気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

キジバト

2005-05-09 21:36:42 | 朝日歌壇
キジバトとツグミとわれの三角形しばらく榛(はん)の木のふりをする
(西尾喜代子)

白髪染めの「ビゲンの六番」この店も品切れにする見知らぬ仲間
(福井誠子)

こぶ平の正蔵襲名読み終えて継ぐ子もいない畑に出で行く
(前田一揆)

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今日の朝日歌壇から。
一首目、自然に溶け込んでいる様子がわかる。
二首目、愛用の白髪染めをほかにも買う人がいて品切れしていることから、その相手を仲間を思うところがおかしい。
三首目、自分が守って来たものを継ぐ者のいないさびしさ。
どれも自分のことを言いながら、まわりの世界を見て自分の位置を捕らえた作品だと思った。

十四ポンド

2005-05-09 00:55:41 | つれづれ
イギリスのパブにビールを飲む人らビール飲みゐる時間に在りぬ

イギリスのパブのテーブルにグラス在り 注がれるものなくてもグラス

果てしなき青空の下歩みゆく 石畳在りゆゑに我在り

イギリスの法学院は傘を売るゆゑに買ひたり十四ポンド

(香川ヒサ 短歌5月号)

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香川ヒサさん、またイギリスに行ったんだ。私も一度は行って見たいものだ。
存在の意味ってなんだろう。売っていないと思われるところで売っていたから買うのであれば、あれもこれも買ってしまいそう。日本に持って帰ると、イギリスで買ったという付加価値がつく。