気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

薔薇とアイロン

2005-05-14 12:27:31 | つれづれ
転がるは心地よからむ風の坂吹かるる紙にうらおもてあり

アイロンの熱きくちばしワイシャツに押し当て唄ふ<遠くへ行きたい>

組物の陶器いちまいづつ欠けて妻(め)となり十年こはいものなし

パソコンの横にバイオの薔薇は咲き日々しろがねの水を欲(ほ)るなり

親しげな体温持ちてすり寄れる鬱こそわれの新しき綺羅

(栗木京子 綺羅 河出書房新社)

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栗木京子の第三歌集。表紙には彼女の遠景の写真があり、裏表紙には上半身の写真が載せられている。当時40歳だったんだ。私も髪のかたちは似ているのだが…

多田零の歌「うつくしき葬儀すすみぬダイアナがひと生(よ)にアイロンかけしは幾度」というのを思い出した。アイロンかけは面倒な作業。