環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

「経済」 「社会」(福祉) 「環境」、不安の根っこは同じだ!

「将来不安」の解消こそ、政治の最大のターゲットだ

3月のブログ掲載記事

2008-03-31 20:00:00 | 月別記事一覧
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1.3月のブログ掲載記事(08-03-31) 

2.明日から始まる「京都議定書の約束機関」を前に、 皆さんへのメッセージ(08-03-31)

3.希望の船出から11年-経済も、福祉も、環境も  バックキャストが有効だ!(08-03-30) 

4.ロバート・ハイルブローナー  21世紀の資本主義、その行方は???(08-03-30)

5.年度末にあたって、改めて「環境問題」とは(08-03-29)

6.年度末にあたって、改めて日本経済を支える基本条件の確認と「日本の効率化」とは(08-03-28)

7.年度末にあたって、改めて「IT革命」と「環境問題」(08-03-27) 

8.年度末にあたって、改めて「日本の都市再開発への疑問」(08-03-27) 

9.スウェーデンのエネルギー政策の変遷⑤(最終回) 温室効果ガスは7%減少、GDPは36%成長(08-03-26)

10.スウェーデンのエネルギー政策の変遷④ エネルギー体系修正への挑戦(08-03-25)

11.スウェーデンのエネルギー政策の変遷③ 原子力に対する考え方の変遷(08-03-24)

12.スウェーデンのエネルギー政策の変遷② エネルギー体系修正の試み(08-03-23)

13.スウェーデンのエネルギー政策の変遷① 化石燃料に恵まれなかった福祉国家(08-03-22)

14.再び、原発と温暖化対策の議論、」 18~20年前に逆戻り(08-03-21)

15.3月19日に経産省が発表した「CO2排出量の試算」、対策費20年度までに前提で約52兆円(08-03-20) 

16.毎日新聞の連載記事 「暖かな破局」(第3部 削減を阻むもの)を読む②(08-03-19)

17.毎日新聞の連載記事 「暖かな破局」(第3部 削減を阻むもの)を読む(08-03-18)

18.スウェーデンのエネルギー政策記事を掲げたスウェーデン大使館広報誌「CARING」(08-03-17)

19.スウェーデンは今、GDPの成長と温室効果ガス(GHG)排出量のデカップリングがさらに明確に(08-03-16)

20.EU、温室効果ガス削減を2009年秋に法制化をめざす(08-03-15)

21.日本のCO2排出量、もう一つの側面(08-03-14)

22.国連への日本の提案、セクター別アプローチ、実効性はどうか?(08-03-13)

23.国連へのポスト京都提案、日本、締切遅れ(08-03-12)

24.またまた過去最高を更新、2つの税制指標(08-03-11)

25.2008年1月の景気動向指数(08-03-10)

26.日本の「失われた10年」は経済分野だけではない、環境分野も(08-03-09)

27.1990年代前半のもう一つの日本初の議論「トリレンマ」(08-03-08)

28.1990年代の「日本の温暖化政策」⑳(最終回) 温暖化対策議論を混乱させた「乾いた雑巾論」(08-03-07)

29.1990年代の「日本の温暖化政策」⑲ まとめ(08-03-06)

30.1990年代の「日本の温暖化政策」⑱ 11年前、京都議定書採択後初めての通産省のCO2排出量予測試算(08-03-05)

31.1990年代の「日本の温暖化政策」⑰ 90年レベルに抑えるには全家庭1年分の省エネが必要(08-03-04)

32.1990年代の「日本の温暖化政策」⑯ 環境庁地球環境部監修の「地球ホットニュース」-2(08-03-03)

33.1990年代の「日本の温暖化政策」⑮ 環境庁地球環境部監修の「地球ホットニュース」-その1(08-03-02)

34.2月のブログ掲載記事(08-03-01)





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明日から始まる 「京都議定書の約束期間」を前に  皆さんへのメッセージ

2008-03-31 17:36:06 | Weblog
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いよいよ明日2008年4月1日から、1997年に採択され、2006年2月16日に発効した 「京都議定書の約束期間」 が始まります。

2007年1月1日から1年3か月にわたって書き続けてきたこのブログも、今日で547本目となりました。この機会に、このブログを卒業しようと思います。私が考える環境問題のかなりの部分を読者の皆さんにお伝えすることができたと思うからです。スウェーデンと日本の考え方の相違を通して、日本の問題点をご理解いただけたら幸いです。


日本は世界第2位の経済大国として、日本の現状から出発して、国際社会からの批判に耐えられるような日本発の「持続可能は社会への道」を国際社会に提示する必要があると思います。

なぜスウェーデンに注目するのか:持続可能な社会に最も近い国(07-01-12)

EIUの民主主義指標 成熟度が高い民主主義国の1位はスウェーデン(07-08-18) 

温暖化対策実行ランキング:スウェーデン 1位、日本 42位(07-12-09) 




スウェーデン号は精巧なコンパス(科学者の合意)と強力なエンジン(政治家主導の政府)を搭載した新造船で、最新の海図(自然科学的知見)をたよりに、みごとな操船術(社会科学的知見と実現のための政策)を駆使して、最終目的地である「緑の福祉国家」をめざしています。

市民連続講座 緑の福祉国家1 ガイダンス(07-01-11)

市民連続講座 緑の福祉国家63(最終回) 改めて、緑の福祉国家の概念を(07-06-02)

進化してきた福祉国家⑩ スウェーデンについて、私たちが知っていること(07-09-05) 

進化してきた福祉国家⑪ スウェーデンについて、私たちが最近知ったこと(07-09-06)  

希望の船出から11年-経済も、環境も、福祉も バックキャストが有効だ!(08-03-30) 



 「出来ること(ところ)から始めること」の危険性①(07-09-08) 

 「出来ること(ところ)から始めること」の危険性②(07-09-09)  

 「出来ること(ところ)から始めること」の危険性③(07-09-10) 




このブログに書いてきたことは内容的には、10年後に読み返してみてもおそらく新鮮味を保っていると思います。私は「環境問題」の現象面を追うことなく、その本質を「私の環境論」 に沿って、私のできる範囲で書いてきたという自負があるからです。

市民連続講座 私の環境論1 ガイダンス(07-01-11)

市民連続講座 私の環境論21(最終回) 50年後のビジョンを考える際に必要な経験則(07-02-04)



読者の皆さんが、日本の社会の環境問題に疑問が生じたときに、このブログに関連記事があったな、と思い出してクリックしてくださることお願いして、このブログをひとまず閉じたいと思います。わずかな時間ではありましたが、ご支援いただきありがとうございました。


今後は、カレンダーに追われることなく、その時々で思い出したり、思いついたときに、不定期で、気ままに、私の考えや主張をこのブログの延長で書いて行こうと思っています。



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希望の船出から11年-経済も、福祉も、環境も、  バックキャストが有効だ!

2008-03-30 12:16:15 | 持続可能な開発・社会/バックキャスト
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私は2006年2月、朝日新聞社から 「スウェーデンに学ぶ持続可能な社会 安心と安全の国づくりとは何か」(朝日選書 792) を上梓しました。そして、その「おわりに」で次のように書きました。

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1996年9月17日、乗員・乗客884万人を乗せたスウェーデン号は、「21世紀の安心と安全」を求めて、周到な準備のもとに目的地である「緑の福祉国家」(生態学的に持続可能な社会)へ向けて出港し、現在、順調に航行を続けています。航行中、予期せぬ難問に遭遇し、場合によってはグローバル化の荒波に呑み込まれ、沈没してしまうかも知れませんが、順調に行けば、目的地に到着するのは2025年頃とされています。
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出港からおよそ11年を経た2008年3月30日、スウェーデン号の乗員・乗客は、出港時より34万人増え、918万人(2008年1月31日現在)となり、船は目的地までのほぼ中間点まで順調に航行してきました。この間、経済も、環境も、福祉も、想定通りの成果を得ているようです。その行動計画成果の一部は、日本の現状と比較しながら、このブログでも既に紹介しきました。


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北欧はここまでやる。週刊東洋経済1月12日号が特集(08-01-07) 

進化してきた福祉国家⑪ スウェーデンについて私たちが最近知ったこと(07-09-06) 

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★環境問題こそ、安全保障の中心に位置づけられる(07-03-12)




★バックキャストが有効だ!

21世紀に国際社会がめざす「持続可能な社会」が大量生産・大量消費・大量廃棄に象徴される現在の社会を延長・拡大した方向にはあり得ないという、これまで述べてきた議論は、「地球サミット」での議論と、その結果まとめられた数々の合意文書でも明らかです。地球サミット=国連環境開発会議(UNCED)は、15年前の1992年6月にブラジルのリオデジャネイロで開催された、「国連主催の環境と開発に関する国際会議」です。「気候変動枠組み条約」「生物多様性条約」「森林原則声明」「環境と開発に関するリオ宣言」(ここで、「持続可能な社会」という考え方が提案されました)や「アジェンダ21」などが採択されました。翌年1993年には、地球サミットの合意の実施状況を監視し、報告するために、国連経済社会理事会によって「持続可能な開発委員会」が設立されています。 

持続可能な社会を展望しようとする時、「現行の産業経済システムが持続可能ではなさそうだ」ということは何となく、わかるような気がするとしても、それではどのような産業経済システムが望ましいのかは、今のところ誰にもわかりません。

それでは、現在の「持続不可能な社会」を「持続可能な社会」に転換する手法があるのか、と問われれば、私は「ある」と思います。将来の方向を考え、行動する手法として、「フォアキャスト(forecast)」と「バックキャスト(backcast)」という2つの手法があります。

スウェーデンの未来予測レポートでしばしば使われる「バックキャスト」は、日本では耳慣れない言葉ですが、「将来のあるべき姿を想定し、それに基づいて、いま、何をしたらよいのかを判断する」といった意味で使われています。環境問題の解決にあたっては、この方法が有効だと思います。

バックキャストの方法で、近い将来の、主な環境問題を解決した持続可能な社会を描いてみると、人間の経済活動のあり方を、自然法則に逆らう度合いの少ない方向に変えていかなければならないことが見えてきます。このような、環境をこれ以上破壊しない、さらに、できれば人間が安心して暮らせる環境を創造するような技術開発と投資のあり方を、「持続可能な開発」(Sustainable Development)と呼んでいます。

スウェーデンが考える「持続可能な開発」とは、 「社会の開発」であって、日本が考える「経済の開発、発展、あるいは成長」ではありません。


次の図はこのブログに幾度となく登場した図ですが、スウェーデンと日本の21世紀前半のビジョン(政治目標)の相違を示したものです。スウェーデンのビジョンはバックキャスト的手法で日本のビジョンはフォアキャスト的手法で考えられ、策定されています。最近日本が国際社会に提案した「地球温暖化対策としてのセクター別アプローチ」はまさに、20世紀型のフォアキャスト的手法の典型です。

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スウェーデンと日本の違いは、  「予防志向の国」 と 「治療志向の国」 、言い換えれば、 「政策の国」「対策の国」といえるでしょう。スウェーデンは公的な力で「福祉国家」をつくりあげた国ですから、社会全体のコストをいかに低く抑えるかが、つねに政治の重要課題でした。そこで、政策の力点は「予防」に重点が置かれ、 「教育」に力が入ることになります。一方、これまでの日本は、目先のコストはたいへん気にするが、社会全体のコストにはあまり関心がなかったといってよいでしょう。90年代後半になって「20世紀の経済成長を前提につくられ、21世紀の今なお続く社会制度」から次々に発生する膨大な社会コストの「治療」に、日本はいま、追い立てられているのです。90年後半から始まったように見える「マスメディアを通じて知らされる日本社会の劣化」は止まることなく、さらに進行を続けているかのようです。私にとってはスウェーデンのことよりもこの日本の将来がほんとうに気がかりです。

日本の21世紀前半社会を明るく豊にするか暗く貧しくするかは、2007年から定年が始まったおよそ700万人ともいわれる団塊の世代の「少子・高齢化問題」と「環境問題」に対する認識と行動とその子供たちの行動にかかっていると言えるでしょう。


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ロバート・ハイルブローナー  21世紀の資本主義、その行方は???

2008-03-30 07:47:28 | 経済
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★20世紀の資本主義






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★21世紀の資本主義

野村総合研究所主席エコノミスト、福島清彦著「ヨーロッパ型資本主義 アメリカ資本主義との決別」(講談社 現代新書」2002年10月発行)の15ページおよび23ページに次のような記述があります。私には大変理解しやすい記述です。





1994年2月に、ダイヤモンド社からロバート・ハイルブローナー(1919年生まれのアメリカの経済思想史家で、ニューヨークのニュースクール・フォー・ソシアル・リサーチ大学院の経済学教授)著/中村達也・吉田利子訳「21世紀の資本主義」が出版されました。この本の帯びには「馥郁たる香り、ある経済学者の苦悩とロマン。珠玉のエッセー。昨秋、全米で出版後惣ち全米ベストセラー。『ニューヨーク・タイムズ』紙のブックレビュー、1993年ベストブック<経済部門>に選ばれる」と魅力的なコピーがあります。

私はこの著者を全く知りません。この著者が世界の経済学者の間で、米国の経済学者の間で、あるいはわが国の経済学者の間で経済学者としてどう評価されているのか全くわかりませんが、この本を読み進むうちに、私の環境問題に対する認識と基本的に合致する箇所がかなりありましたので、その部分を読者の皆さんの議論のための参考に供したいと思います。






(1)勝利につながる資本主義の戦略とは




(2)21世紀に成功する資本主義




(3)資本主義を揺るがす大問題

 


日本語版への序章(5ページ)で、著者は「日本が現在の栄光に安住するなら、それは愚かなことである」と述べています。まさに、21世紀に入った現在の日本の状況を見通していたのかもしれません。

そして、この本の最終章「第5章 未来へのシナリオ」の最終節「資本主義を超えたところに何があるか」で、こんどは、スウェーデンが登場します。著者は次のように述べています。

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「スウェーデンのように社会主義的資本主義の考え方を熱心に追及してきた国は資本主義の要請、なかでも、資本蓄積の必要性と、平等という社会主義的目標追求との矛盾によって、袋小路にはまりかけている。スウェーデンはいまでも人間の顔をした資本主義の明るい例であり、多くの点で、近い将来も適応によって生き延びることのできる資本主義だと思う。しかし、勢いが失われて、あまり成功しているとはいえない現在の状況から前進できると予想するのは非常に難しい。スウェーデン、それにある程度までは市場型社会主義一般は、前進はおろか、見通しすら困難な辺境に達したようである。それでは、スウェーデンを超える道はあるのだろうか」(119ページ)
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と疑問を呈し、そのスウェーデンを超える道として、著者は社会の統合原理を「参加」におく、参加型社会の理念に人類の未来を託すと考えているようです。この本が出版された1994年前後はまさにスウェーデン経済が苦しんでいる時でした。

ですから、日本の今を見事に見通したこの本の著者も15年後の今のスウェーデン社会を見通すことは難しかったのかも知れません。 

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希望の船出から11年-経済も、環境も、福祉も、 バックキャストが有効だ!(08-03-30)

北欧はここまでやる。週刊東洋経済1月12日号が特集(08-01-07) 

進化してきた福祉国家⑪ スウェーデンについて私たちが最近知ったこと(07-09-06) 

進化してきた福祉国家⑫ スウェーデンを軽視する日本(07-09-07) 



そして、著者はこの本を次のような考えで結んでいます(121ページ)。


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それでは、21世紀の社会はこの方向に向かうのであろうか。私はそうは思わない。移行は非常に難しく、社会の再構成は非常に複雑である。とりわけ、真の意味でこれほど革命的な変化が、歴史的にほんの短期間で起こるならば、抵抗もきっと激しいだろう。参加型経済は、破局をも含むどんなことが起ころうと、21世紀の社会秩序とはならないと思う。     

しかしながら、思想はそれ自身生命力を持つ。少なくとも、資本主義後のそうした秩序にかかわる目標と一般的な社会概念が、来るべき世紀に私たちの意識に芽生えることは不可能ではない。参加型社会の思想や理想は、資本主義をできるだけ長く機能させようと苦悩しているあいだは、大いに役立つにちがいない。解決や成功ではなく、緊張と失敗が常態となる可能性が大きいこれからの時代、そのことを想定して別の社会的目標を設定しておくことは、けして無駄ではあるまい。
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私の考えでは、(1)、(2)および(3)を理解し、実践して来た数少ない国のひとつ(おそらく唯一の国)がスウェーデンではないかと思います。私は2007年8月31日のブログ「進化してきた福祉国家⑨ 現実主義の国vs現状追認主義の国」 「現実は社民党最大の敵である」という故パルメ首相の言葉を引用し、スウェーデンの現実主義を紹介しましたが、この言葉はまさに(1)に対応しますし、スウェーデンの現在の社会は(2)のようですし、スウェーデンの持続可能な社会への挑戦はまさに(3)を理解したものです。



★「ゆで蛙」という寓話

1995年4月15日付の朝日新聞の論壇に「このまま“ゆで蛙”になりたくない」と題する米スタンフォード大学教授の今井賢一さんの主張が出ておりましたが、この主張は(1)と同じことを言っているのだと思います。    

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われわれ日本人は「ゆで蛙」になり安楽死しつつあるのではないか。「ゆで蛙」というのは、アメリカのビジネススクールでよく語られる「蛙をフラスコに入れて、 高温で熱すれば、蛙は飛び出して助かるが、徐々に熱すると気持ちよく安楽死してしまう」という実験例のことで、企業がリストラをするような場合にも、だらだら少しずつやるのは禁物だという寓話である。理論というほどのものではないが、アメリカ人らしく産業界の具体例を引いて説明するので、なかなか説得力がある。    

われわれ一人ひとりが外界の熱を感知して、「自己」を変えつつ、他と連動して社会を動かして行く(自己組織化)ことであるが、頼るべき哲学なしでは漂流する。基本に立ち返ることである。「基本」とは環境の変化にリアルタイムに対応して生きることである。

企業が真に革新しうるには、企業を構成する個々人が自らをリエンジニアリングしなければならない。変化の激しい時ほど、新たな経済機会が生まれ、社会や個人に潜在していた能力が発揮される。
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年度末にあたって、改めて「環境問題」とは

2008-03-29 10:08:54 | 環境問題総論/経済的手法
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環境問題は経済活動の「目的外の結果」の蓄積である
これが「私の環境論」の基本的な認識の一つで、多くの日本の環境問題の学者や専門家、政策担当者、環境NPO、そして、企業人との認識と表現方法を異にする点である。


私たちが行動すると、その目的が達成されようとされまいと、必ず「目的外の結果」が生ずることになります。20世紀後半に顕在化した「環境問題」の大半は、私たちが豊かになるという目的を達成するために行った「企業の生産活動」「企業と市民の消費活動」があいまってつくりだした経済活動の「目的外の結果」が蓄積したものです。ですから、経済活動が大きくなれば「目的外の結果」も比例的に、あるいはそれ以上に大きくなります。つまり、「経済」と「環境問題」は切っても切れない関係にある、分かり易くいえば「コインの裏表」と表現してもよいでしょう。

「経済学者やエコノミストの多くはコインの表である“金の流れ”で社会の動きを評価し、判断している。環境論者はややもすると環境問題の現象面ばかり見ている。21世紀の経済はコインの裏である“資源・エネルギー・環境問題”で考えるべきだ」という私の主張は、案外、新しい視点なのかもしれません。 


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私の環境論14 環境問題は経済の「目的外の蓄積の結果」(07-01-24) 


環境問題は世界のほぼ全域に広がった、市場経済社会(資本主義経済社会)を揺るがす「21世紀最大の問題」と位置づけられますが、主流の経済学者やエコノミストの多くには、そのような認識はほとんどありません。コインの表側ばかり見ており、裏側を見ていないからです。
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21世紀に私たちが、20世紀のような「経済規模の拡大」ではなく、「経済の適正規模」を模索しなければならないのは、「資源やエネルギーの量的な不足や枯渇によって経済活動が制約される」という20世紀の懸念からだけではなく、21世紀の新たな懸念があるからです。

それは、「20世紀の経済活動の結果、大気や水や土壌にすでに蓄積されている様々な環境負荷(温室効果ガスやオゾン層破壊物質、有害物質、廃棄物、放射線など)」に、「21世紀の経済活動にともなって新たに加わる環境負荷」が加わることによって、その総和がいよいよ環境の許容限度や人間の許容限度に近づくこと、あるいは、一部ではすでにそれらを超えてしまったために、経済活動が制約されざるを得ないという20世紀には想定されなかった新たな懸念です。

ですから、私たちがいま直面している「環境問題に対する最も重要な判断基準」は、「社会全体のエネルギー消費量を削減できるかどうかにかかっている」ということになります

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環境問題:私の基本認識と判断基準①(07-10-12)  

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環境問題のまとめ:環境問題とは(07-12-21) 

 「環境問題への対応ために(07-07-24) 

改めて、環境問題とは(07-07-23) 

環境問題こそ、安全保障の中心に位置づけられる(07-03-12)

私の環境論20 環境問題を考える際の7つのキーポイント(07-02-03) 

私の環境論19 環境問題の原因も解決も経済のあり方、社会のあり方の問題だ!(07-02-02)

私の環境論8 環境問題とは何か(2007-01-18)


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年度末にあたって、改めて日本経済を支える基本条件の確認と 「日本の効率化」とは

2008-03-28 10:48:34 | 経済
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日本の年度末にあたって、21世紀の日本の環境問題を考えるときに、私たちが把握しておかなければならない日本特有の主な条件を挙げておきます。それは日本経済が制約を受ける社会的・地理的条件です。大変不思議なのは、このような前提を忘れた議論ばかりが行われていることです。


★日本経済が制約を受ける地理的・社会的条件

●日本は世界第2位の経済活動をしている経済大国であること。90年代、日本は世界のGDPの総和=約30兆ドルの16%に相当する4.8兆ドル=約500兆円をつくりだす経済活動を行なっていた。日本の2006年の名目GDPはおよそ4.3兆ドルで90年代とほぼ同じであるが、BRICs(ブラジル、ロシア、中国およびインド)などの新興国の経済規模が拡大したため世界全体の経済規模は拡大しており、日本の占める割合は9.1%に低下した。

先進工業国第2位の人口大国であること。2005年、約1億2770万人、世界人口の約2.0%、2004年にピークを迎え、以後減少傾向にある。

国土と可住面積の狭さ(約37万平方キロメートルの国土)、約343人/平方キロメートル(2005年)の人口密度の濃さ

これらの3条件は、経済的な視点から見れば「大きな国内市場」を意味するとともに、スケールメリットによる効率化を生むことになりますが、環境問題の視点から見れば「環境負荷の増大」と「人体の負荷増大」を意味することは、すぐにおわかりいただけると思います。さらに、厳しい3つの条件があります。

●原材料の約30%、エネルギーの約90%を海外に依存している。

この100年間で日本のエネルギー消費が下がったのは、第1次世界大戦と昭和大恐慌、第2次世界大戦、70年代の石油危機のときしかない。

●食糧自給率が40%を切り、先進国中最低。





★日本の「効率論」で忘れてはならない大前提

ところで、日本の企業人、エコノミスト、政策担当者の多くはこれまで日本の経済パフォーマンスを語るとき、「効率の良さ」を挙げてきましたが、これには次のような大前提があることを忘れてはなりません。

平穏時あるいは予想される範囲の近未来しか想定していないこと。あらかじめ準備していたことを遂行する時には、日本の官僚機構、企業、学校などの既存の組織はきわめて有効に働くが、事前に想定された範囲を超える出来事(大事故や大きな自然災害など)が起こるとシステムが機能しなくなる。 

常に健康な成人を想定していること。社会を構成するのは老若男女である。それぞれに健康なものもいれば、そうでないものもいる。日本の制度は健康な成人に焦点を当てた「強者の論理」に基づくものである。
 
これらの前提に立てば、生産、物流コストをぎりぎりまで切り詰め、「効率化」を図ることが可能となりますが、安定した社会やインフラの整備、自由な企業活動を保障するとともに、国民の健康、生活、財産の安全を確保するには、さらにコストがかかるはずです。社会全体のコストを考えることが重要です。




★「経済成長一辺倒」の20世紀、「21世紀の方向性」が見えない日本



G8は依然成長路線(07-02-12) 

 「パラダイムの転換」とはいうけれど(07-02-13) 

 「成長論」しか言えない経済学界(07-02-14)

 「成長一辺倒」の戦後60年①(07-02-15)

 「成長一辺倒」の戦後60年、これからも(07-02-16) 

経済、エネルギー、環境の関係



小渕恵三内閣のもとにつくられた「経済戦略会議」に、当時の経済企画庁長官であられた堺屋太一さんに請われて、メンバーに参加した竹中平蔵さんは、小泉内閣では経済財政政策・金融担当大臣を務められました。皆さんは、次に示した竹中さんのお考え「経済が2%成長できるということは、35年後に所得水準が2倍、親から子どもの世代にかけて、生活水準を2倍にできるという夢の経済」を同評価しますか。





下の図は、2006年10月に当時の自民党幹事長であられた中川秀直さんが上梓した「GDP1000兆円 上げ潮の時代」(講談社)の「はじめに」です。先に紹介した竹中さんの発想そのものといってよいような文章が出てきます。ただし、こちらは竹中さんの「経済が2%成長できるということは・・・・・」ではなくて、「名目4%成長で成長していけば・・・・・」です。


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日本は今、まさに20世紀の価値観とは異なる21世紀社会への転換期を迎え、その方向性が見えず苦悩しているところです。




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年度末にあたって、改めて「IT革命」と「環境問題」  

2008-03-27 22:19:42 | IT(情報技術)
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7年前、2000年10月の環境・経済政策学会で、私は「IT革命と経済の関係」を問う報告がいくつか登場することを期待しつつ、 「わが国のITへの期待と環境負荷増大への懸念」と題する報告を行ないました。ところが、私の期待はまったく裏切られ、この大会で発表された142の報告のうち、IT関連の報告は私のものだけでした。  

その後の6年間、2006年の大会まで「ITと経済の関係」を問うた報告は1つもありません。環境経済・政策学会の会員の構成は、その多くが環境問題に関心のある大学の経済関連部門の教職員(教授、助教授、助手)と大学院生であることを考えると、この現実は、私には不思議な気がします。しかし、「環境」と「経済」は別ものと考えている限りはむしろ当然なのかも知れません。

2007年4月5のブログ「IT革命と環境問題④ IT革命による部分改良が社会前提のエネルギー消費を減らすか?」 で、日本の主流の考え方に疑問を呈しました。

そして、いよいよ、7年前の私の主張が現実味を帯びてきたような記事に出会いました。次の記事は2008年2月19日の朝日新聞の2ページ「時時刻刻」に掲載されたものです。私の7年前の主張を裏付ける事実が報じられていますので、記事をとくとご覧ください。私のコメントは不要でしょう







さらに、ご関心があれば、次の関連記事をご覧ください。

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IT革命と環境問題① ITを経済発展の起爆剤!(07-04-02) 

IT革命と環境問題② 乏しい環境経済・政策学会の反応(07-04-03) 

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IT革命と環境問題⑥ 放送のデジタル化への懸念(07-04-06) 

IT革命と環境問題⑦ IT化による電力消費の増加(07-04-07) 

IT革命と環境問題⑧ IT革命、忘れてはならないこと(07-04-08)  



次の記事は、上の記事とは正反対に「夢のようなデジタル社会」を描いています。毎日新聞の2008年1月1日の「08 正月特集号」です。

xxxxx
東京の下町にデジタル社会の新たなシンボルが誕生する。地上610メートルの「新東京タワー」。日本一の東京タワー(333メートル)の2倍近い高さになる。地上デジタル放送の送信拠点として、3年後に完成する。「テレビ新時代」の幕開けを告げ、日本に名所がまた一つ増える。08年度に着工、建設費は約500億円・・・・・xxxxx

記者が上のような現実を知っていれば、紹介記事の内容「ロボットが家族に」「進化するお茶の間」「デジタル家電の買い方」「携帯、カーナビの可能性」「地デジの課題は」という構成はもう少し変わっていたのではないでしょうか。





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年度末にあたって、改めて「日本の都市再開発への疑問」

2008-03-27 18:43:09 | 巨大構造物/都市/住環境
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企業にとって先行投資は、競争力を確保するために経営上最も重要な意思決定です。目先の判断で誤った方向に先行投資すると、企業経営上致命的なダメージを招くことになるでしょう。

1993年7月に開業し、2002年9月に閉鎖された屋内スキー場「ザウス」(千葉県船橋市)、94年に全面開業し、2001年2月に倒産した「シーガイア」 (宮崎県宮崎市)、92年3月開園し、2003年2月に事実上倒産した「ハウステンボス」 (長崎県西海市)に代表されるようなテーマパークは、マスメディアでは、通常、経済的な視点(金の流れ)からしか論じられません。


しかし、巨大構造物は事業者にとっては先行投資による莫大な借金を、金融機関にとっては不良債権を、そして、環境にとっては多大な負荷を生じていることは疑問の余地がありません。全国の大都市につくられたドーム型の多目的施設都庁をはじめとする自治体の高層庁舎関空本州四国連絡橋東京湾アクアラインなどもその例外ではありません。 




多くの場合、事業の決定者は後年、その責任を問われることはありません。構造物の経済的寿命は長く、事業決定の最高責任者は通常、高齢者であることが多いので、問題が生じたときには他界していることが少なくないからです。

昨年3月30日に、六本木の旧防衛庁跡地に「東京ミッドタウン」がオープンしました。そして、今年3月20には赤坂に「赤坂サカス」がグランドオープンしました。


そして、次の図が示しますように、同じような巨大構造物の建設がさらに続きます


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東京ミッドタウンがオープンした(07-04-03) 

巨大構造物と環境問題① 90年代の建設業界の「環境意識」(07-04-05) 

巨大構造物と環境問題② 建設業界の専門家は私の疑問にどう答える(07-04-06)

巨大構造物と環境問題③ 技術者の恐ろしい単純思考(07-04-07) 

巨大構造物と環境問題④ 幻想か、ファンタジーか(07-04-08) 



こうした建造物の経済的寿命は40~50年あるいはそれ以上ですから、事故が起こったり、エネルギー(とくに電力)不足になったり、あるいは意図的に廃止されないかぎりは、2050年あるいはそれ以降も稼働しつづけます。巨大な構造物はその一生(建設時、使用時、廃棄時)を通じて大量のエネルギー(とくに電力)や大量の水を要求し、大量の排熱(下の記事を参照)と廃棄物を生み出し、最終的には構造物自体が大量の廃棄物と化します。 

 

上の記事の最後のところで、建築研究所の足永上席研究員は「緑化など熱を逃がす方法は対症療法にすぎない。都市に化石燃料を持ち込むのを減らすこと。太陽光など自前のエネルギーで都市を維持する仕組みを作らないと、大変なのとになる」と警告しておられます。わたしも同感です。そのような意識をもって次の記事(広告)を御覧ください。広告記事とはいえ、日本の識者や専門家と称される方々の環境問題に対する「意識の低さ」というよりも「意識の無さ」という表現のほうが適当かも知れませんが、驚くばかりです。


島田晴雄さん(慶應義塾大学経済学部教授、内閣府特命顧問)の発言(上の記事の青網をかけた部分)

まず都心部の容積率を現在の1000%からニューヨークなみの2000%に引き上げることが必要です。
現在東京の建物は高層ビルの林立する山手線の内側ですから、平均するとわずかに2.5階しかない。

菊川怜:そんなに低いんですか。それでは、これから都心人口が増えていったら、とても収容しきれませんね。
 


黒川紀章さん(建築家、日本芸術院会員)の発言(上の記事の赤網をかけた部分)

さらに「屋上に緑を植えた場合は容積率を20%上乗せする」。


お二人とも、20世紀の「経済拡大の発想」から一歩も抜き出ていないことが明らかです。

そこで、私のささやかな提案です。このような開発行為やイベントはその目的や規模の大小にかかわらず、かならず「廃棄物」を出します。これまで、銀行系の調査機関、民間や公的な調査機関は、「大規模開発行為」(関西国際空港、本州四国連絡橋、各種テーマパーク、屋根付きドームの建設、首都移転計画など)や「大規模イベント」(オリンピック、万国博覧会など)が日本経済全体、あるいは、地方経済にどの程度の「経済波及効果」(市場規模の拡大、新規雇用の創出、税収の増加など)をもたらすかを経済成長の観点から調査し、マスメディアはその結果を大々的に報道してきました。

今後は、事業計画者は「経済波及効果」とともに、つぎのような情報をセットで試算し、マスメディアに提供したらいかがでしょうか。 


①開発行為の準備期間および完成した構造物の経済的な寿命の期間中に生ずる「水・エネルギー消費量」や「各種廃棄物の総量(固形廃棄物、排ガスおよび排水処理の結果生ずる廃棄物の総量)とその処理・処分に要する費用」

②イベントの準備期間および会期中に発生する「水・エネルギー消費量」や「各種廃棄物の総量とその処理・処分に要する費用」




私たちの経済活動が「環境の許容限度」や「人間の許容限度」ギリギリに近づいている、あるいは一部で限度を超えてしまった現在、環境への人為的負荷が増えるのを避けるためには、量の増大を意味する「新築・増築的発想」よりも、質の向上を重視する「改築的発想」が望まれます。そして、決して忘れてはならないのは、日本は「有数の地震国」であるという現実です。 



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スウェーデンのエネルギー政策の変遷⑤(最終回) 温室効果ガスは7%減少、GDPは36%成長

2008-03-26 11:28:41 | 原発/エネルギー/資源
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スウェーデンのエネルギー政策の変遷④ エネルギー体系修正への挑戦

2008-03-25 17:17:22 | 原発/エネルギー/資源
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スウェーデンのエネルギー政策の変遷③ 原子力に対する考え方の変遷

2008-03-24 11:22:07 | 原発/エネルギー/資源
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スウェーデンのエネルギー政策の変遷② エネルギー体系修正の試み

2008-03-23 10:52:33 | 原発/エネルギー/資源
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スウェーデンのエネルギー政策の変遷① 化石燃料に恵まれなかった福祉国家

2008-03-22 09:52:17 | 原発/エネルギー/資源
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昨日、「再び、原発と温暖化対策の議論、18~20年前に逆戻り?」という記事を書きました。
日本の原発、スウェーデンの原発、そして、原発と温暖化対策についてはこのブログでもかなり取り上げましたが、たまたま、今年2月23日発行の 「Excellent SWEDEN CARING Vol.10」 (スウェーデン大使館&株式会社シルバーストーン)のp90-93に「スウェーデンのエネルギー政策の変遷」と題する小論を書きました。これまで書いてきたことと重複する部分もかなりありますが、昨日の記事を考える材料のまとめとして、今日から数回に分けて紹介します。








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再び、原発と温暖化対策の議論 また、18~20年前に逆戻り?

2008-03-21 19:01:22 | 原発/エネルギー/資源
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3月21日の朝日新聞が、国の原子力委員会(近藤駿介委員長)が「07年版 原子力白書」を閣議に報告し、そして、地球温暖化対策としての原子力を国内だけでなく、世界的にも拡大するための取り組みが必要の姿勢を初めて明確に打ち出した、と報じました。
 
 私には18~20年前にタイムスリップしたような気がします。次の2つの資料をご覧ください。 そして、もう一度、 「原発はCO2の削減に有効か」を皆さんにお尋ねします。次の2つの相反する意見を私のコメント抜きで紹介します。前者は1990年当時の電気事業連合会会長・那須翔さんの発言です。後者は1991年の東京大学教授・鈴木篤之さんの発言で、核廃棄物の専門家であられる鈴木篤之さんは現在、原子力安全委員会の委員長を務めておられます。みなさんで考えてみてください。



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20年前の日本の原発論争:スウェーデンの「脱原発政策」への関心(07-10-19)

原発を考える⑥ 原発に否定的な国際的評価の事例(07-04-15)

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私は、昨年4月10日から23日まで、12回にわたって「原発を考える」という記事を書きました。続いて10月30日から11月19日まで、21回にわたって「スウェーデンの脱原発政策の歩み」を書きました。この2つのシリーズで原発に関する相当部分に対する私の考えを述べたつもりです。皆さんには、日本の将来のエネルギー政策が原子力に傾斜するのが望ましいかどうかをお考えいただきたいと思います。

原発を考える① まずは皆さんへの質問(07-04-10) 
から

原発を考える⑫(最終回)私の素朴な疑問(07-04-23) まで


 
スウェーデンの「脱原発政策の歩み」① 原発に対する考え方の相違(07-10-30) から、

スウェーデンの「脱原発政策の歩み」21(最終回) 「国会の決議」、「国会の承認」(07-11-19) まで






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3月19日に経産省が発表した「CO2排出量の試算」、対策費20年度までに全体で約52兆円

2008-03-20 19:10:30 | 温暖化/オゾン層
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