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環境問題は今や人類共通の重大事ですが、その解決のためにはほとんどの国、地域で「平和と民主主義」が確立されなければならないこと、人の活動が「人および環境の許容限度」を越えないことが必須です。1992年の地球サミットで合意された「リオ宣言」や「アジェンダ21行動計画」を実効あるものにするには、それらを実行に移せる社会システム(制度)がなければなりません。
世界を眺めれば、これらの条件を満たすことができる国々や地域はほとんどないと言ってよいでしょう。スウェーデンはそれらの数少ない国々の一つです。スウェーデンの現状を見ながら、日本の現状を考える材料を提供します。
環境問題に対して「科学技術」は非常に重要であるとは思いますが、この有効な科学技術の効果を十分に発揮することができるためには、その前提としての「社会システム(制度)」が問題となります。
毎日のように、マスコミを通じて様々な環境問題が報じられています。国内で、あるいは世界各地で様々な環境関係のシンポジウムが開かれ、たくさんの専門家と称する人々や市民が発言しています。国内のシンポジウム等に参加して、大変、不思議に思うのは「技術的な対応に関する発表」が多く、難しい議論が多いことです。そうでなければ、「環境問題の現象面の分析」と「その対応方法の解説」です。
ここで言う社会システム(制度)とは
などを主な構成要素とする現実の社会のことです。これらの項目の中で、普段は環境問題との関連であまり議論されませんけれども、環境問題の主な原因が人間の経済活動であることを考えれば、 ⑥の「チェック・システム」や「税、予算などの財政・金融システム」が重要です。これらの重要性は巨大構造物や道路、空港などのインフラの話と関連します。
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ここに掲げたような項目の改善なしには、いくら環境問題の現象面を分析し、その対応を練って実行に移しても、環境問題の解決にはならないでしょう。「私たちがこれから直面するであろう環境問題を私たちが解決できるものだ」と仮定した場合、私は科学技術が貢献できる割合はせいぜい30%程度だろうと思います。残りの70%は「社会システムの変更」であり、「教育」であろうと思います。
ただし、ここで言う教育とは「環境教育」、「エネルギー教育」、「消費者教育」などとわが国で呼ばれている「目的的な、細切れの問題解決型の教育」ではなくて、私たちが生きていくために必要な「知識と知恵」を高めるような幅広い教育です。
最近、私たちのライフスタイルを変えるべきだということがよく聞かれるようになりました。わたしもこの主張に異論をはさむつもりはありませんが、その前に社会システムの改善をすべきだと思います。社会システムが改善され、私たちが環境問題の本質を知り、行動に移せば、国民のライフスタイルはおのずから改善されると思うからです。社会システムをこのままにして、国民にライフスタイルの変更を求めるのは順序が逆であると思います。
日本では、環境問題を何となく「技術的な問題」とか「自然科学的な問題」と考えがちですが、私は、常々、環境問題とは「私たちの生存条件への負荷の増大」に対する問題意識であり、突き詰めれば、その多くの原因が「経済のあり方」や「社会のあり方あるいは社会システム(社会制度)」の問題だと思っています。
社会システムが有機的にうまく機能していれば、環境問題のみならず私たちが今抱えている様々な問題も解決しやすくなるはずです。ここに掲げたような項目を「新しい科学的な知見」と「現実」に合わせて意図的に社会システム(制度)を変えない限りは、現行の社会システムは将来も継続しますので、持続可能な社会の実現は絵に描いた餅となってしまいます。
経済のあり方については、後日あらためて検証します。
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