環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

「経済」 「社会」(福祉) 「環境」、不安の根っこは同じだ!

「将来不安」の解消こそ、政治の最大のターゲットだ

「原発で『第3の大事故』が起きれば、・・・・・」

2011-12-31 22:23:41 | 原発/エネルギー/資源
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タイトルの「原発で『第3の大事故』が起きれば・・・・・」は、「代替エネルギー移行の準備がどうあろうと、脱原発の声が大きくなるだろう。そのためにも、廃止の準備は必要だ」と続きます。21年前の1990年9月19日の社民党大会で当時の社民党党首であったカールソン・スウェーデン首相がこのように演説したと当時の竹内敬二特派員が9月29日の朝日新聞夕刊で報じています。


このことは私の最初の本『いま、環境エネルギー問題を考える-現実主義の国スウエーデンを通して』(1992年 ダイヤモンド社)でとりあげました。 その「第3の大事故」がここ日本で今年3月11日に起きてしまいました。間違いなく、来年は日本でも、スウエーデンから20年遅れて、「脱原発の議論」が活発化するでしょう。

今年3月11日午後2時46分、東北の三陸沖でマグニチュード9.0の巨大地震が発生。その1時間後の津波で東京電力福島第一原発の非常用ディーゼル発電機が使用不能となり、1号機~3号機は炉心溶融(メルトダウン)するという深刻な事態となりました。

 この事故は、スウェーデンでも高い関心を持って報道されましたが、スウェーデンではドイツやスイス、イタリアとは違って、現在のエネルギー政策を大きく方向転換するような政治的な決定は行われていません。この事故のおよそ9 ヶ月前、2010 年6 月17 日の国会で、すでに原発に対する将来の方向性が政治的に明確化されていたからです。

 福島第一原発の事故によって明らかとなった日本固有の「電力政策の課題」(たとえば、電力の自由化や発送電分離)や「原子力行政の問題点」(たとえば、推進と規制の分離)などは、スウェーデンでは15 年以上前から対応策がとられています。

 環境省の原子力行政機関であるスウェーデン放射線安全機関(Swedish Radiation Safety Authority)は事故後の5 月12 日、スウェーデンの原発の安全性をいっそう高めるために、福島原発事故の経過を評価する組織を発足させました。バッテンファールなどの電力事業者もタスクフォースを組織しました。

 スウェーデンの原発の災害のシナリオには地震や津波はありません。しかし、原発は今後もスウェーデンの電源として存在するので、緊急時の原子炉冷却システムの維持は極めて重要です。今後、日本の安全基準は間違いなく強化されるでしょうから、スウェーデンは日本のこれからの技術的な対応を注意深く見守っています。


 ところで、話は変わりますが、「今年の漢字」は「絆」でした。日本漢字能力検定協会の「今年の漢字」は阪神大震災が起きた1995年の「震」に始まり、今年で17回目だそうです。私のブログは2007年1月1日に開設しました。これまでの4年間の「今年の漢字」は次のとおりです。

2007年 「偽」
2008年 「変」
2009年 「新」
2010年 「暑」

 今年12月12日に発表された2011年の「今年の漢字」は「絆」でした。


 このニュースを伝えた12月13日の朝日新聞は、「絆」の語源の元々の意味は 「マイナス・イメージが強かった」 という興味深い解説を載せています。


あと2時間ほどで今年は終わり、私が2000年に「2010年は混乱」と想定した2年目の新年を迎えることになります。特に、「原子力エネルギー」についての議論がどの程度活発化するかウオッチしていきましょう。良いお年を。