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不可能であるなら、早めに方向転換することが、将来を明るくすることになるでしょう。そこで、21世紀の明るい社会像を描くために、21世紀前半まで現行経済の持続的拡大が可能かどうかを、大雑把ではありますが、地球規模で検証してみましょう。
2050年の世界は、私たちや私たちの子どもや孫が生きるはずの現実の世界です。国内外の研究機関は2050年の「世界の人口」、「世界の経済規模」、「世界のエネルギー消費」などのマクロ指標を、それぞれの立場で独自に発表しています。
2050年の世界を大雑把にイメージするために、ここでは電力中央研究所が1992年8月につくったパンフレットの数値を参考にします。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/68/86/47045afe32b5e5c06afb24a43ace2e2b.jpg)
今から15年近く前の数値をあえてここに掲げた意味をご理解下さい。
日本の電力会社は電力事業法という法律で「電力の供給義務」を負わされていますから、電力10社の共同研究所である電力中央研究所はこの種のデータには最も敏感なはずです。おそらく、15年前の国内外の公的機関および独自の情報ネットワークを駆使して収集したデータをこのパンフレットに掲載したのだと思います。
2002年8月21日に世界銀行が公表した「世界開発報告 2003」によりますと、今後50年間で世界の人口は90億人だそうですが、GDPは140兆ドルだそうです。経済規模の拡大の大きさとスピードに驚かされます。
電力中央研究所の1992年のデータと比べると人口が100億から90億に減少していますが、GDPは77億から倍近い140億と予想されています。これにともなって、エネルギーの消費量やCO2の排出量や廃棄物の排出量も増えるであろうことは容易に想像でできます。
私たちはこれまで、いつも右肩上がりの経済活動を求めてきました。ですから、経済活動への投資はつねに量的な拡大をめざすものでした。
生産部門では、生産工程を大幅に変更しないで生産量を拡大しようとすれば、原料、エネルギー、水などの供給量(インプット)は増え、製品とともに発生する廃棄物や廃熱などの排出量(アウトプット)は、原則的には増えるはずです。
もちろん、技術開発によって、廃棄物や廃熱などの排出量の増える割合を減らすことは可能ですが、そこには、おのずから技術的限界があります。
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