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理念とビジョン:「全文」 「ダイジェスト版」
昨日、第180通常国会が招集され、6月21日までの150日間の議論がいよいよ始まります。今朝の朝日新聞に、野田首相が首相就任後初めて行った「施政方針演説」の全文が掲載されています。全体の内容をつかむために、とりあえず「見出し」と新聞1面をフルに使った「施政方針演説」(全文)の中に、21世紀前半のキーワードである「持続可能な」という言葉が どの程度、どのような文脈で、使われているか調べて見ました。5回登場しますが、そのうち、4回が「持続可能な社会保障(制度)」というものでした。
1.はじめに(1カ所)
持続可能な社会保障制度を再構築するという大きな方向性
2.3つの優先課題への取り組み(1カ所)
-復興の槌音よ、鳴り響け
津波を含むあらゆる自然災害に強い持続可能な国づくり ・地域づくりを実現するため、
-原発事故と戦い抜き、福島再生を果たす
-日本経済の再生に挑む
3.政治・行政改革と社会保障・税一体改革の包括的な推進(3カ所)
-政治・行政改革を断行する決意
-社会保障・税一体改革の意義
「社会保障を持続可能で安心できるものにしてほしい」という国民の切なる願いを叶えるため
-改革の具体化に向けた協議の要請
歴代の先輩方は年初の施政方針演説の中で、「持続可能な社会保障を実現するための革・・・」
「持続可能な社会保障制度を実現するには、・・・・・・」
4.アジア太平洋の世紀を拓く外交・安全保障政策(なし)
-アジア太平洋の世紀と日本の役割
-近隣諸国との2国間関係の強化
-人類のより良き未来のために
5.むすびに(なし)
つまり、日本のめざす将来目標は「持続不可能な社会」の中に、「持続可能な社会保障制度」を構築するという大変矛盾をはらんだものとなっています。政治家も官僚も学者も企業家も、そして市民もこのおかしさに気づいていないのでしょうか。私は「持続可能な社会保障制度」は「持続可能な社会」の中に構築されるものだと思うのですが・・・・・・
次の2つの図をご覧ください。この図は21世紀前半社会のキーワードである「持続可能な」という言葉の、スウェーデンと日本の使い方の相違を示したものです。10年前の2002年に描いたものですが、昨日の野田首相の「施政方針演説」を読む限り、内容的にはこの図を修正する必要はなさそうです。
昨年3月11日に発生した東日本大震災の前まで、マスメディアを賑わしていた「低炭素社会」、「循環型社会」、「自然共生型社会」という概念はどこへ行ってしまったのでしょうか? 4年前の2008年1月に行われた福田康夫・元首相の施政方針演説はなんだったのでしょうか。
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持続可能な社会、低炭素社会、循環型社会、自然共生社会、これらを組み合わせた社会とは何だろう?(2007-10-24)
今年、6月にブラジルのリオデジャネイロで「1992年の地球サミット(国連環境開発サミット)」の20周年を受けて、 「国連のリオ+20」が開催の予定ですが、現政権は目の前に山積する国内の解決すべき大問題に気を取られるあまり、この大事な国連会議をすっかり忘れているのではないでしょうか。
野田首相は「1.はじめに」の中で、次のように述べておられます。
xxxxx
昨年9月、野田内閣は目の前にある課題を一つ一つ解決して行くことを使命として誕生いたしました。 「日本再生元年」となるべき本年、私は、何よりも、国政の重要課題を先送りしてきた「決められない政治」から脱却することを目指します。
xxxxx
是非、そうあって欲しいと思います。
1月20日のブログでも述べたように、スウェーデンと日本の違いは、 「予防志向の国」と 「治療志向の国」 、言い換えれば、「政策の国」と「対策の国」です。「治療志向の国」日本は、戦後の経済復興から一貫して「経済の持続的拡大」を追い求めてきた社会の仕組みから、つぎつぎに発生する膨大なコスト(たとえば、国や自治体の財政赤字、年金をはじめとする社会保障費、企業の有利子債務など)の「治療」に追い立てられています。
「対策の国」日本の舵取りを任されている野田首相は、昨日の「施政方針演説のおわり」の中で、次のように述べて、初めての施政方針演説を結んでおられます。
xxxxx
・・・・・・政治を変えましょう。苦難を乗り越えようとする国民に力を与え、この国の未来を切り拓くために今こそ「大きな政治」を、「決断する政治」を、共に成し遂げようではありませんか。日本の将来は私たち政治家の良心にかかっているのです。国民新党を始めとする与党、各党各会派、そして国民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げ、私の施政方針演説といたします。
xxxxx
大変すばらしい決断です。しかし、忘れないでいただきたいことは、1月20日のブログで再考した私の環境論を構成する主要な原則の一つ「今日の決断が将来を原則的に決める」という経験則です。
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そして、もう一つ、次の図も参考に。
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昨日、第180通常国会が招集され、6月21日までの150日間の議論がいよいよ始まります。今朝の朝日新聞に、野田首相が首相就任後初めて行った「施政方針演説」の全文が掲載されています。全体の内容をつかむために、とりあえず「見出し」と新聞1面をフルに使った「施政方針演説」(全文)の中に、21世紀前半のキーワードである「持続可能な」という言葉が どの程度、どのような文脈で、使われているか調べて見ました。5回登場しますが、そのうち、4回が「持続可能な社会保障(制度)」というものでした。
1.はじめに(1カ所)
持続可能な社会保障制度を再構築するという大きな方向性
2.3つの優先課題への取り組み(1カ所)
-復興の槌音よ、鳴り響け
津波を含むあらゆる自然災害に強い持続可能な国づくり ・地域づくりを実現するため、
-原発事故と戦い抜き、福島再生を果たす
-日本経済の再生に挑む
3.政治・行政改革と社会保障・税一体改革の包括的な推進(3カ所)
-政治・行政改革を断行する決意
-社会保障・税一体改革の意義
「社会保障を持続可能で安心できるものにしてほしい」という国民の切なる願いを叶えるため
-改革の具体化に向けた協議の要請
歴代の先輩方は年初の施政方針演説の中で、「持続可能な社会保障を実現するための革・・・」
「持続可能な社会保障制度を実現するには、・・・・・・」
4.アジア太平洋の世紀を拓く外交・安全保障政策(なし)
-アジア太平洋の世紀と日本の役割
-近隣諸国との2国間関係の強化
-人類のより良き未来のために
5.むすびに(なし)
つまり、日本のめざす将来目標は「持続不可能な社会」の中に、「持続可能な社会保障制度」を構築するという大変矛盾をはらんだものとなっています。政治家も官僚も学者も企業家も、そして市民もこのおかしさに気づいていないのでしょうか。私は「持続可能な社会保障制度」は「持続可能な社会」の中に構築されるものだと思うのですが・・・・・・
次の2つの図をご覧ください。この図は21世紀前半社会のキーワードである「持続可能な」という言葉の、スウェーデンと日本の使い方の相違を示したものです。10年前の2002年に描いたものですが、昨日の野田首相の「施政方針演説」を読む限り、内容的にはこの図を修正する必要はなさそうです。
昨年3月11日に発生した東日本大震災の前まで、マスメディアを賑わしていた「低炭素社会」、「循環型社会」、「自然共生型社会」という概念はどこへ行ってしまったのでしょうか? 4年前の2008年1月に行われた福田康夫・元首相の施政方針演説はなんだったのでしょうか。
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今年、6月にブラジルのリオデジャネイロで「1992年の地球サミット(国連環境開発サミット)」の20周年を受けて、 「国連のリオ+20」が開催の予定ですが、現政権は目の前に山積する国内の解決すべき大問題に気を取られるあまり、この大事な国連会議をすっかり忘れているのではないでしょうか。
野田首相は「1.はじめに」の中で、次のように述べておられます。
xxxxx
昨年9月、野田内閣は目の前にある課題を一つ一つ解決して行くことを使命として誕生いたしました。 「日本再生元年」となるべき本年、私は、何よりも、国政の重要課題を先送りしてきた「決められない政治」から脱却することを目指します。
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是非、そうあって欲しいと思います。
1月20日のブログでも述べたように、スウェーデンと日本の違いは、 「予防志向の国」と 「治療志向の国」 、言い換えれば、「政策の国」と「対策の国」です。「治療志向の国」日本は、戦後の経済復興から一貫して「経済の持続的拡大」を追い求めてきた社会の仕組みから、つぎつぎに発生する膨大なコスト(たとえば、国や自治体の財政赤字、年金をはじめとする社会保障費、企業の有利子債務など)の「治療」に追い立てられています。
「対策の国」日本の舵取りを任されている野田首相は、昨日の「施政方針演説のおわり」の中で、次のように述べて、初めての施政方針演説を結んでおられます。
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・・・・・・政治を変えましょう。苦難を乗り越えようとする国民に力を与え、この国の未来を切り拓くために今こそ「大きな政治」を、「決断する政治」を、共に成し遂げようではありませんか。日本の将来は私たち政治家の良心にかかっているのです。国民新党を始めとする与党、各党各会派、そして国民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げ、私の施政方針演説といたします。
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