環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

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フォアキャストする日本、バックキャストするスウェーデン③    21世紀はバックキャストが有効

2007-07-22 21:52:26 | 持続可能な開発・社会/バックキャスト


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フォアキャストする日本のビジョンは、2002年2月4日の施政方針演説で小泉前首相が掲げ、安倍現首相が引き継いだ「持続的な経済成長」です。小泉首相の「改革なくして成長なし」という表現は、相変わらず「金の流れ」に判断基準が置かれていて、20世紀型社会の発想の域を出ていません。 
 
バックキャストするスウェーデンのビジョンは、「エコロジカルに持続可能な社会の実現」、言い換えれば、20世紀の「福祉国家」から21世紀の「緑の福祉国家」への転換です。この意味するところは、判断基準を20世紀の「金の流れ」から21世紀前半の「資源・エネルギーの流れ」に切り替えたということです。
 
どちらのビジョンを選ぶかは、国民の選択の問題です。スウェーデンは、科学者の合意と政治家の決断によって、「エコロジカルに持続可能な社会への道」を選択したのです。

フォアキャストする日本は、技術で自然法則に挑戦しようとしているように見えます。バックキャストするスウェーデンは、人間がつくった仕組みを自然法則に合わせて変えていこうとしています。次の図は、3月16日のブログ「ドイツの環境政策を支えるエコロジー的近代化論」の記事にも掲載しましたが、私の環境論から見たスウェーデンと日本の「環境問題の社会的な位置づけの相違」を示したものです。日本とスウェーデンの「環境問題に対する基本認識の相違」のすべての根源がここにあります。 

スウェーデンは環境問題を、人間社会を支えている「自然」に生じた大問題(図の右下)と考えてきました。ですから、人間を大切にする「福祉国家」のままでは、環境問題には耐えられないことに気づいたのです。そこで、人間を大切にする「福祉国家」を、人間と環境の両方を大切にする「緑の福祉国家」へ転換していこうとしています。
 
一方、日本では、環境問題は「人間社会に起こる数多くの困った問題の一つ」として理解されてきたので、つねに環境問題よりも年金問題や景気回復、不良債権の処理といった経済・社会問題(図の左中に例示した社会現象)のほうが優先されてきました。
 
スウェーデンでは、ここに例示した「日本の経済・社会問題」はほとんど問題にならないか、あるいはすでに解決ずみといってよいでしょう。両国の間には、環境問題に対する認識や行動におそらく10~20年の開き があるといっても過言ではないでしょう




フォアキャストする日本は長期ビジョンを示すことが苦手な「現状追認主義の国」です。バックキャストするスウェーデンは、理想主義の国ではなく、理念に基づいた長期ビジョンを掲げ、行動するシステム思考の得意な「現実主義の国」(プラグマティズム)なのです。



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