環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

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1990年代の「日本の温暖化政策」⑲ まとめ

2008-03-06 21:23:47 | 温暖化/オゾン層
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2月8日から19回にわたって、1990年代の「日本の温暖化政策の流れ」の大筋をつかむ試みを行いました。温暖化政策の専門家でもなく、ましてや日本の温暖化政策の担当者でもない私が、このような試みを公開資料に基づいて行うときに、比較的容易で、しかも、かなり有効な手法は、政府の温暖化政策を報じた新聞記事の流れを時系列的に見ていくことです。

今日は、その大まかな結果を箇条書きにしてみました。

1988年 (20年前)

6月にカナダのトロントで「大気変動に関する国際会議」が開かれた。 

この会議で、先ず先進工業国がCO2の増加を抑えるために「省エネ」「CO2を出さないエネルギーへの転換」で、2000年までにCO2排出量を20%削減すべきであると提言された。この際に、原子力を非化石燃料に加えるかどうかについて議論されたが、原子力には反対の人が多かった。  

1986年当時の日本のCO2排出量は7億8000万トンで、その排出量は世界4位であった。

6月にIPCC(国連の気候変動に関する政府間パネル)の設置が決定され、 


1989年

●日本政府は11月に行われた「大気汚染と気候変動に関するオランダ会議」で、CO2の削減目標値の設定に反対することを決めた。


●目標値設定に賛成しているのは、オランダのほかノルウェー、スウェーデンなどの北欧諸国とフランス、西ドイツ、カナダなど西側先進国であった。米国は反対であった


1990年

政府は10月23日に、「地球温暖化防止行動計画」を正式に決定した。 

その中で、「CO2排出量を2000年に1990年水準に安定化する」という目標を初めて設定した。

10月23日から始まった国連の「第2回世界気候会議」の開催前に、13カ国が2000年あるいは2005年を目標とするCO2の削減目標を設定した。       


1992年

政府は5月22日に、「CO2排出抑制目標」となる「1990年度のCO2国内排出総量」を11億7000万トン(炭素換算で3億1800万トン)と定めた。 

1990年度のCO2排出量の発生源別の内訳は、石油、石炭などの化石燃料によるものが、炭素換算で2億8810万トン(90.6%)であった。

1990年度の1人あたりのCO2排出量は2.57トン(CO2換算で約9.4トン)であった。

今後はこれらの数値を基に、各種の温暖化防止対策が実施される。

「CO2排出量を2000年に90年水準に安定化する」という国際公約に対して、85年のCO2排出量は89年には13%増えていることがわかった。


1997年

97年版環境白書が「温暖化対策は不十分」であることを初めて認めた。 

5月、政府は1995年度に日本で排出されたCO2は炭素換算で3億3200万トンと過去最悪であったことを公表した。90年度比8.3%増であった。  

8月8日、通産省・エネルギー庁は「2010年に日本のCO2排出量を1990年水準に削減するには原油換算で5000万キロリットル分を削減することが必要で、この量は95年の全家庭で使われたエネルギー総消費量にほぼ匹敵する」という試算を公表した。 

12月京都議定書が採択され、90年比日本6%、米国7%、EU8%削減の基本合意がなされた。 


1998年 (10年前)

1月26日、通産省は先月の京都議定書の採択に当たって合意された「2008年~2012年にCO2などの温室効果ガスの排出量を90年水準より6%削減する」という約束を守るためには、原油換算で5600万キロリットルのエネルギー消費の削減が必要なことを明らかにし、日本のエネルギー政策の基本となる「長期エネルギー需給見通し」を改定することを決めた。     


次の図は2001年時点のCO2削減実績を示しています。合わせて、1990年10月23日から始まった国連の「第2回世界気候会議」で国際公約した13カ国の数値目標を示します。この2つの図から国際公約とその実績、97年12月の京都議定書の途中経過を知ることができます。



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