環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

「経済」 「社会」(福祉) 「環境」、不安の根っこは同じだ!

「将来不安」の解消こそ、政治の最大のターゲットだ

2010年3月掲載のブログ記事

2010-03-31 21:21:08 | 月別記事一覧

私のプロフィールや主張、著書、連絡先は、ここをクリック         持続可能な国づくりの会<緑と福祉の国・日本>のブログは、ここをクリック
お問い合わせはここをクリック   アーカイブ(公開論文集)      持続可能な国づくりの会のホームページ(HP)は、ここをクリック






1.2010年3月のブログ掲載記事(2010-03-31)


2.「地デジへの移行」 のもう一つの難問 「アナログTVの廃棄物化への対応」 に問題はないか!(2010-03-20)

3.原子力学会が高校の教科書の原子力記述に注文(2010-03-19)

4.「首都圏におけるごみゼロ大作戦」 古くて新しい「デポジット制度」と「製造者責任制度」(2010-03-14) 

5.温暖化対策 議論は密室 政権が代わっても、いつか見たような景色がまた出現?(2010-03-07)

6.国会内緊急集会 「ゆがめられる地球温暖化対策基本法」(2010-03-03)


    

「地デジへの移行」 のもう一つの難問 「アナログTVの廃棄物化への対応」 に問題はないか!

2010-03-20 20:57:35 | 廃棄物

私のプロフィールや主張、著書、連絡先は、ここをクリック         持続可能な国づくりの会<緑と福祉の国・日本>のブログは、ここをクリック
お問い合わせはここをクリック   アーカイブ(公開論文集)      持続可能な国づくりの会のホームページ(HP)は、ここをクリック






 
2011年7月24日の地上デジタル放送の完全移行までに3月11日で、ちょうど残り500日となったそうです。そこで、今日は私が2000年頃からずっと懸念してきた「地上デジタル放送の完全移行」に必然的に伴う「使用済みの膨大な量のアナログTV受信機への対応」を取り上げてみます。

まず、今朝の朝日新聞に掲載された次の記事をご覧下さい。


10日前の3月11日の朝日新聞には「地デジ移行 まだ難問 あと500日 難視聴地区・ビル陰」という解説記事があり、「地デジ完全移行で必要な対策」と題するわかり易い図が添えられています。

これら2つの記事はいずれも、デジタル放送の導入に対するインフラ整備の話ですが、もう一つの難問である「使用済みの膨大な量のアナログTV受信機への対応」にはまったく触れていません。この大問題への解決は、インフラ整備と並行して着々と進んでいるのでしょうか。

突然ですが、ここで10年前にタイムスリップします。2000年12月1日(金)に、私はNHKラジオ第1放送のスタジオに待機していました。18:20から始まる生放送「ラジオ夕刊」のトーク番組「IT革命と環境負荷」に出演するためです。司会と進行は「ラジオ夕刊」の編集長の吉村秀実さんとパートナーの長谷川尚子さんです。

この日は偶然にも、NHKの「BSデジタル放送開局記念日」で、その意味ではグッドタイミングでした。




12月、クリスマスの月ですから、軽快な「ルドルフ・赤鼻のとなかい」(演奏:ピュア・ハート、フォアストリングス)のリズムに乗って、トーク番組がはじまりました。要旨は次のようです。

xxxxx
                         ラジオ夕刊 「IT革命と環境負荷」

吉村編集長(司会・進行)
21世紀に向けての日本の経済再生は、「IT革命」こそが起爆剤になると言われ、来年度の予算要求を見ても、まさに「IT関連」ラッシュという感じです。しかし、その一方で「ITならば何でもありか」といった批判も出始めています。

そこで今晩は、元在日本スウェーデン大使館科学担当官(環境・エネルギー問題担当)で、現在、環境問題スペシャリストとして、静岡県立大学などで教鞭をとっておられる小沢徳太郎さんにスタジオにお越しいただき、「IT革命が環境に与える影響」などについてお話を伺います。

小沢さん、ITと言いますと、インフォメーション・テクノロジーの略語で、日本語で言えば、「情報技術」という何の変哲もない言葉になるわけで、初めから「情報技術革命」と言っていたら、こんなブームになっただろうかと思うんですが。

小沢
確かに、ITへの傾倒ぶりは呆れるばかり。
21世紀に向けての日本は今、「現行経済の持続的拡大」を暗黙の前提として、
     ★廃棄物対策としての「循環型社会」
     ★「景気刺激策」や「経済発展の起爆剤」としてのIT(情報技術)革命
などを構想し、ISO14000シリーズに代表されるような“輸入概念による環境対策”を実施しようとしています。
このような状況下で、「メガ・コンペティション」なる言葉と共に、「グローバリゼーション」と「IT革命」が経済学者やエコノミストによってもてはやされています。

吉村編集長
IT革命によって、世の中はどう変わるんでしょうか。

小沢
ITの最大の特徴は、物理的な「距離」とか「時間」を感覚上ほとんどゼロに変えてしまうことにあります。ですから経済学者やエコノミストは、「IT革命を“取引コスト”を限りなくゼロに近づける革命」と理解しています。

しかし、ITというツール(道具、手段)には、相反する2つの特性が混在していて、導入の仕方によっては、異なる効果が誘発されることになります。

★効率化や省資源・省エネ化を促進する可能性を秘めた技術
★モノや人の移動、サービスの増加を助長し、それに伴う資源やエネルギーの消費、環境への人為的な負荷の増大を誘発する可能性が高い技術

長谷川(司会・進行)
経済学者の人たちのIT革命に関する本を読んだり、話を聞いても、経済再生や景気刺激のことばかりで、環境への悪影響など全く触れていませんが。

小沢
IT革命が「景気刺激」や「経済発展」の起爆剤になるのなら、それに伴う資源やエネルギーの消費、環境への悪影響は当然考えなければなりません。

契約や取引、配信、決済などは全てネット上で完結できるから効率化や省エネ化は図ることができますが、「モノの輸送」はネット化することができません。ですから、景気刺激策によって、輸送エネルギーがこれまで以上に増大する可能性があります。

長谷川
日本の経済学者やエコノミストたちは、IT革命によって、今の慢性的な交通渋滞なども解消できると期待しているようですが。

小沢
ETC(電子自動料金収受システム)、VICS(道路交通情報通信システム)、AHS(走行支援道路システム)など、ITS(高度道路交通システム)のような技術体系が物流を効率化したり、交通渋滞を解決する手段など、部分的な「効率化」や「省エネ」は図れるでしょうが、その上限を設定しない限り、モノやサービスのさらなる増加によってその効果が相殺されてしまうことに気付かなければなりません。
  
私達が認識しておかなければならないことは、IT革命がもたらす「電力消費の増大」、「既存の家電製品や電子機器の廃棄物の増加」、また、間接的な「一般廃棄物のさらなる増加」で、「環境負荷の増大」という視点を欠いてはなりません。そして、電力のシステム・ダウンによる社会の様々なリスクや混乱です。

吉村
IT革命は、「景気刺激」とか「経済再生」など、光の部分にばかり焦点が当てられているけれど、物事には全て光だけではなく、影もあるということですね。

小沢
「経済発展」という目標のツール(道具)として導入される限り、「電力消費の増大」、「環境への人為的負荷の増大」を誘発する可能性が高くなります。環境問題を十分に意識した「総合的な経済対策」がとられない限り、環境にやさしい地球など望めません。

「電力をはじめとするエネルギーの総消費量の増減」と「廃棄物の総排出量の増減」をIT革命の新たな指標とすべきだと思います。
  
日本のように、国民の間に「経済の持続的拡大」という暗黙の前提がある社会では、21世紀の社会を論ずる場合には、特に注意が必要です。議論の出発点は、“ゼロ”からではなく、“人や環境が許容限度に近づきつつある現状”から考えるべきです。
  
現行の経済システムの下でデジタル化がいかに進もうとも、21世紀を生きる私たちの「身体の機能」や「自然の営み」は、アナログ的時間に支配されていることを忘れたてはならなりません。ここに、「テクノストレス」が生ずる可能性があるのです。

吉村
ありがとうございました。今晩は「IT革命がもたらす環境への負荷」をテーマに、環境問題スペシャリストの小沢徳太郎さんにお話を伺いました。
xxxxx               


このトーク番組の中で、私は「放送のデジタル化に伴うアナログテレビ受像機(当然のことながらほとんどすべてブラウン管テレビです)の廃棄物問題」に触れました。前述したように、この日は偶然にも、BSデジタル放送開始の記念すべき日でした。

当時は通産省(現在の経産省)の担当官も、環境省の担当官も2001年4月から施行される「家電リサイクル法」への対応に忙しく、「10年先のデジタル化に伴うアナログテレビの廃棄物化」に対する私の疑問に答えられませんでした。あれから10年、現在の経産省や環境省の担当官は「500日後に迫ったこの大問題」をどう考えているのでしょうか。

次の記事は、私が懸念しているこの大問題が未だ解決されていない可能性を示唆していると思います。


 
国が実施する「放送インフラの政策」の変更に必然的に伴う「大量のアナログテレビの廃棄物化」に対して、はたして「国民が安心できる対応策」を、国は用意してくれているのでしょうか?

関連記事
地デジ移行で最大6400万台のアナログテレビが処分--JEITAが予測(2007-03-09)  

IT革命と環境問題 ⑥ 放送のデジタル化への懸念(2007-04-06)

「放送のデジタル化」と「ブラウン管テレビの行方」(2007-07-17)

家電リサイクル アジアへごみ輸出の危険性(2007-07-28)

緑の福祉国家49 廃棄物に対する「製造者責任制度」の導入⑬ 電気・電子機器に対する製造者責任制度②(2007-05-19) 

緑の福祉国家50 廃棄物に対する「製造者責任制度」の導入⑭  電気・電子機器に対する製造者責任制度③(2007-05-20)





原子力学会が高校の教科書の原子力記述に注文

2010-03-19 20:58:51 | 原発/エネルギー/資源

私のプロフィールや主張、著書、連絡先は、ここをクリック         持続可能な国づくりの会<緑と福祉の国・日本>のブログは、ここをクリック
お問い合わせはここをクリック   アーカイブ(公開論文集)      持続可能な国づくりの会のホームページ(HP)は、ここをクリック






 

今朝の朝日新聞が「日本原子力学会が高校の教科書に出てくる原子力に関する記述について文部省に改善を求める提言を提出した」と報じています。この記事にスウェーデンが登場します。


私はこの記事を読んで、20年前にも似たようなことがあり、このブログでも書いたことを思い出しました。20年前の提言は改悪(次の関連記事を参照して下さい)であり、今回の提言はどちらかと言えば、記述が具体的になったという点で、「まあ改善かな」と思います。

日本のマスメディアや原発に関心のある方々は、賛成、反対を問わず、「スウェーデンの原発政策」あるいは「スウェーデンの脱原発政策」という表現を好みますが、私がここで敢えて主張しておきたいことは、それらの政策は「日本の関心事である原発」に矮小化すべきではなく、「20世紀の福祉社会を支えてきた原発を含むエネルギー体系(日本が大好きな言葉で言えば、「現行の“低炭素型”エネルギー体系」)」「21世紀にめざす緑の福祉国家(エコロジカルな持続可能な社会)を支えるエネルギー体系」に変えて行くための壮大な「エネルギー体系転換政策」への進化の過程だということです。

関連記事
原発を考える ⑫ 最終回 私の素朴な疑問(2007-04-23)


日本原子力学会は、日本の原子力の専門家集団として、高校の教科書の記述だけでなく、マスコミや原子力推進の立場に立つ識者の発言にも適切な提言をしてほしいと思います。次の関連記事を見ていただくとおわかりのように、日本のマスメディアや識者、著名人の「スウェーデンの原発に対する認識」はかなりひどい状況です。

関連記事
またしても、ミスリードしかねない「スウェーデンの脱原発政策転換」という日本の報道(2009-03-21)

毎日新聞に掲載された「地球を考える会のフォーラム」(広告)に対する私のコメント(2009-11-06)



「首都圏におけるごみゼロ大作戦」  古くて新しい「デポジット制度」 と 「製造者責任制度」

2010-03-14 12:30:32 | 廃棄物

私のプロフィールや主張、著書、連絡先は、ここをクリック         持続可能な国づくりの会<緑と福祉の国・日本>のブログは、ここをクリック
お問い合わせはここをクリック   アーカイブ(公開論文集)      持続可能な国づくりの会のホームページ(HP)は、ここをクリック


 




昨日、NPO法人「町田発・ゼロ・ウェイストの会」が主催した「ワークショップ 首都圏におけるゴミゼロ大作戦」にパネリストとして参加しました。

参加者への配付資料に、次のような主催者の趣旨説明がありました。

xxxxxx
今日わが国では、環境問題に対して関心が高まる中、循環型社会形成に向けて市町村での取り組みが進んでいます。明確なごみゼロ社会への移行は、「ゼロ・ウェイスト宣言」によって実現されますが、初めての宣言が2003年徳島県・上勝町で制定されて以来、福岡県・大木町(2008年)、熊本県水俣市(2009年)がこれに続いています。ゼロ・ウェイストとは、無駄をなくし資源を大切にしながら環境をよくしていこうという考え方です。

「ゼロ・ウェイスト宣言」を制定した上記の自治体は、いずれも人口約3万人以下ですが、42万人を抱える町田市では、2006年から、「ゴミを作らない,燃やさない、埋め立てない」という理念のもとに1年間の大規模な「ごみゼロ市民会議」がおこなわれ、それ以来、ゼロ・ウェイスト社会の実現に向けた多くの取り組みが進んでいます。

21世紀は環境の時代といわれます。日本が環境負荷の少ない持続可能な国に生まれ変わるためにも人口が集中する都市でのごみ政策のあり方を抜本的に見直す必要があります。本ワークショップでは、首都圏において、ごみの削減と資源化をどのように進めるべきか、市民、行政、国の役割は何かなど、ゼロ・ウェイストのまちづくりについて多面的に検討を加え、皆様と一緒に今後の方向を考えたいと思います。

平成22年3月13日
NPO法人 町田発・ゼロ・ウェイストの会
理事長 広瀬 立成
xxxxx


私のプレゼンテーションのテーマは「廃棄物に対する考え方の相違:日本vsスウェーデン 製造者責任制度の導入」でした。与えられたプレゼンテーションの時間は20分。

私の前に基調報告をされた物理学者の広瀬さんが、ごみ問題にかかわりのある物理学の基本的な法則をお話になりましたので、「広瀬さんがお話になられた物理学の基本法則が理解できれば、廃棄物に対するスウェーデンの考え方は非常にわかりやすく逆に、日本の考え方はわかりにくいのでは・・・」と、日本のゴミ対策に多少の皮肉を込めて、私のプレゼンテーションを始めました。                                 
最初に、次の報道記事を見ていただきました。


私のことを知らない方でも、廃棄物の分野でご活躍中の服部さんのことをご存じの方は多いでしょう。服部さんは行政職員、事業者、学識者と共に、ごみ減量とリサイクルの推進に長く取り組んできたそうです。その服部さんが、家庭から出た空き缶やペットボトルに対する対策としてデポジット制度に注目しているそうです。その制度を導入している国として、スウェーデンの名が出ています。

そこで、次のスライドを見ていただきました。


このスライドはスウェーデンで1984年に導入された「アルミ缶回収システム」の概略を示した図です。その回収率は1990年以降、90%以上となっています。このシステムの導入に当たって、それまで使われていたスチール缶は市場から姿を消し、市場で流通する飲料缶はアルミ缶だけになりました。

1994年からはこのシステムを用いてペットボトルの回収も始まりました。ペットボトルの回収率も現在では90%以上となっています。当初スウェーデンのペットボトルはリユース(再利用)用のペットボトルが主流でしたが、海外からワンウェーのペットボトルが多量に入ってきた結果、数年前からリユース用の厚手のペットボトルは姿を消し、ほとんどがワンウェーのペットボトルになりました。

服部さんが日本でも導入したいとおっしゃる「デポジット制度」は、スウェーデンでは25年以上前に導入され、確実に成果をあげてきたことがおわかりいただけたでしょうか。

関連記事
緑の福祉国家45 廃棄物に対する「製造者責任制度」の導入⑨ 包装に対する製造者責任制度の成果(2007-05-15)

緑の福祉国家46 廃棄物に対する「製造者責任制度」の導入⑩ アルミ缶のリサイクル(2007-05-16) 


続いて、次の2枚の図を見ていただきました。





そして、スウェーデンの「廃棄物に対する製造者責任制度」の概要をお話しました。
1.廃棄物に対する製造者責任の必要性
2.1990年代の廃棄物政策
3.スウェーデンの製造者責任制度


時間が限られていましたので、「1994年10月1日に導入された古紙、包装およびタイヤ」、「98年1月1日に導入された自動車」および「2001年7月1日に導入された電気・電子機器」の製造者責任制度のうち、「電気・電子機器」に対する製造者責任制度を説明するとともに、日本の家電リサイクル法の問題点を指摘しました。 

関連記事
緑の福祉国家43 廃棄物に対する「製造者責任制度」の導入⑦ 導入までの流れのまとめ、基本的な考え方(2007-05-13) 

緑の福祉国家48 廃棄物に対する「製造者責任制度」の導入⑫ 電気・電子機器に対する製造者責任制度①(2007-05-18)

緑の福祉国家49 廃棄物に対する「製造者責任制度」の導入⑬ 電気・電子機器に対する製造者責任制度②(2007-05-19) 

緑の福祉国家50 廃棄物に対する「製造者責任制度」の導入⑭  電気・電子機器に対する製造者責任制度③(2007-05-20)


スウェーデンが「製造者責任制度」(拡大生産者責任とも言う)を導入した1994年、OECDは「拡大生産者責任(EPR)」を検討する委員会を発足させました。この委員会に全額財政的援助をしたのが日本です。しかし、これまで、日本は得られた成果をほとんど活用してきませんでした。スウェーデンOECDの検討結果よりも数年早く類似の制度を導入したことは特筆に値します。


温暖化対策 議論は密室 政権が代わっても、いつか見たような景色がまた出現?

2010-03-07 21:54:24 | 温暖化/オゾン層
私のプロフィールや主張、著書、連絡先は、ここをクリック         持続可能な国づくりの会<緑と福祉の国・日本>のブログは、ここをクリック
お問い合わせはここをクリック   アーカイブ(公開論文集)     



 下の図をクリックして下さい。     ゼロ・ウエィストワークショップのご案内        2010年は混乱、大混乱は2030年頃かも?  
                             


昨日3月6日の朝日新聞が、「地球温暖化対策基本法案」に関する審議の経過を報じています。

●温暖化対策 議論は密室 審議会・民間から批判 法案作成大詰め(2010-03-06)

この種の記事を読むときに必要な私たちの心構えは、  「私の環境論」を形作っている原則の一つ、たとえば 「今日の決断が将来を原則的に決める」 というような基本認識を思い出すことです。具体的には次のような過去のブログ記事です。

混迷する日本③ 私の環境論:今日の決断が将来を原則的に決める(2008-01-17

あの時の決定が日本の「地球温暖化対策」を悪化させた(2007-02-26)

「個人」と「組織」のずれ(2007-01-29) 


私たち一般市民にとっては、この種のタイムリーな報道記事は議論の共通な基礎資料として極めて重要です。テレビやラジオのような映像や音声による情報は多くの場合、分かり易いという特徴がありますが、その場限りでフォローするのが難しく、雑誌は執筆者の主張(多くの場合、執筆者の個人の主張と言うよりもむしろ執筆者が属する組織の主張)が強すぎたり、テーマが矮小化あるい部分的化(良く言えば、テーマが深く)する傾向があります。一方、ネット情報は圧倒的にフローの情報が多く、個人の強い主張があるかと思うと、逆にあまり主張性がなく、不適切に編集されたり、コピペされており、その分野の予備知識と判断力がありませんと、ほとんど取捨選択が不可能です。また、時間の経過と共に情報ゴミの山と化します。

この点では、他の情報源に比べて、全国紙の報道記事や解説記事はいままでのところある程度の信頼感をもって接することができますし、ある特定のテーマの「現状と課題」に関する情報源としては安価で、しかも比較的確度の高い良質なものだと思います。ですからこれを否定してしまいますと、私たち一般人には議論のための共通の基盤がなくなってしまいます。もちろん、ここにもいくつかの問題点があります。そのことは幾度となくこのブログでも取り上げてきました。たとえば、  「またしてもミスリードしかねない“スウェーデンの脱原発政策”という日本の報道(2009-03-21)」 などはその好例です。それでも、私は日本の全国紙の報道にかなりの信頼を寄せています。

さて、今日のブログのタイトルに「政権が代わっても、いつか見たような景色がまた出現?」と書きました。この機会に今日は、「地球温暖化問題に関する過去の主なブログ33本」のリストを作ってみました。特に、赤、青および黒で表示したものをご覧下さい。 「自然エネルギー」と「原発」についての私の考えに異論を唱える方がおられるかもしれません。是非ご意見をお聞かせ下さい。「なるほど、そういう考え方なのか」と納得のいくご意見をいただければ、私は私の考えを改めます。

関連記事

2008年の温室効果ガス排出量:スウェーデンは90年比11.7%減、日本は7.4%増(CO2)+α(2009-12-19)

日本の温暖化対策 もう一つの視点(2009-12-16)

毎日新聞に掲載された「地球を考える会のフォーラム」(広告)に対する私のコメント(2009-11-06)

低炭素社会と原発の役割  再び、原発依存を強化する日本vs原発依存を抑制するスウェーデン(2009-10-08)

21世紀の低炭素社会をめざして 原発依存を強化する日本 vs 原発依存を抑制するスウェーデン(2009-07-27)

経済界の意見広告 第2弾 「考えてみませんか? 日本にふさわしい目標を。」(2009-05-21)

2020年時点で90年比4%増が大勢?  いよいよ混迷の度を増してきた日本の温室効果ガスの中期目標(2009-05-15) 

日本の温室効果ガス削減中間目標 これはもうどう考えたらよいのだろう???(2009-04-18)

企業の07年度の温室効果ガス排出量(CO2換算)上位10社(2009-04-14)

07年度の温室効果ガスの排出 鉄鋼・セメント業界が上位(2009-04-04) 

日本政府の中期目標検討委員会が受賞した「化石賞」(2009-04-03)

またしても、ミスリードしかねない「スウェーデンの脱原発政策転換」という日本の報道(2009-03-21)

日本は世界トップレベルの低炭素社会?  経済界の判断基準が明らかにされた「意見広告」(2009-03-17)

ドイツとポーランドが「今日の化石賞」受賞、 欧州のNGOが環境政策ランキングを公表(2008-12-11)

日本がなぜ、「今日の化石賞」を受けるのか? 経済成長、エネルギー消費、CO2の整合性なき政策(2008-12-07)

2008年COP14で 日本が「今日の化石賞」を受賞(2008-12-05)

日本の社会を構成する「主なプレーヤー」の問題点(4) 官僚と縦割り行政(2008-10-11)

再び、原発と温暖化対策の議論 また、18~20年前に逆戻り?(2008-03-21) 

日本のCO2排出量 もう一つの側面(2008-03-14)

国連への日本の提案 セクター別アプローチ、実効性はどうか?(2008-03-13)

国連へのポスト京都提案 日本、締め切り遅れ、(2008-03-12)

1990年代の「日本の温暖化政策」⑳(最終回) 温暖化対策議論を混乱させた「乾いた雑巾論」(2008-03-07)

1990年代の「日本の温暖化政策」⑲ まとめ(2008-03-06) 

混迷する日本⑩ 世界初の「温暖化防止法」、今月中にも成立! でも、10年前の話(2008-01-24)

自然エネルギーにCO2削減効果はあるだろうか?(2008-01-14)


前途多難な日本の温暖化対策(2008-01-06)

「気候変動をはじめとする環境問題」の解決と「民主主義」(2008-01-02)

環境省が「地球温暖化対策推進法改正案」を検討(2007-12-18)

COP13直前の地球温暖化に対する「政府の意識」と「企業の意識」、そしてある高校生の投書(2007-12-02)

日本の温暖化対策:経産省 vs 環境省、日本経団連 vs 経済同友会(2007-10-17)

松下、CO2排出量の目標を「原単位」ではなく、「総量」に!(2007-10-06)

温室効果ガス 「総量規制で」(2007-07-29)

原発を考える ⑪ CO2削減効果はない「原発」(2007-04-22)


温暖化に関する全てのブログ記事あるいは、上に掲げた記事以外の温暖化関連記事をご覧になりたい方は左の「カテゴリー」欄の「温暖化/オゾン層(112)」を参照して下さい。今日現在で、上に掲げた33本の記事を含む112本の記事があります。


国会内緊急集会 「ゆがめられる地球温暖化対策基本法」

2010-03-03 21:25:41 | 温暖化/オゾン層

私のプロフィールや主張、著書、連絡先は、ここをクリック         持続可能な国づくりの会<緑と福祉の国・日本>のブログは、ここをクリック
お問い合わせはここをクリック   アーカイブ(公開論文集)      持続可能な国づくりの会のホームページ(HP)は、ここをクリック




 下の図をクリックして下さい。     ゼロ・ウエィストワークショップのご案内        2010年は混乱、大混乱は2030年頃かも?  
                             


昨日3月2日に、衆議院第2議員会館第4会議室でNGOによる「基本法案を巡る検討状況と問題点」という集会が開かれました。午後3時から4時までのわずか1時間、質疑応答の時間なしの緊急集会でしたが、参加してみました。会議室は参加者であふれていました。

配布されたチラシには次のように書いてありました。
xxxxx
国会内 緊急集会

ゆがめられる
地球温暖化対策基本法
~密室の官僚主導でマニフェスト違反を許していいのか~

政府が検討している「地球温暖化対策基本法案」は、閣議決定が間近な状況です。ところがここに来て、官僚・産業界による猛烈な巻き返しが行われています。

鳩山首相が宣言した「25%の削減目標」は「国内の自主目標」としてすら条文凍結になりそうです。また「排出量取引制度」も、実質的にキャップのない、一部業界を極端に甘くする制度となりそうですし、「再生可能なエネルギー目標」も実質的に弱められようとしています。今、この問題を明らかにし、実効ある温暖化対策が図られるよう強く求めていきます。
xxxxx


このわずか1時間の集会で、NPO代表が取り上げたキーワードは次の4つでした。

●25%という削減率(他国の動向を見てという前提付き)
●キャップ&トレード(キャップなし、原単位ベース、間接排出量に基づく)
●自然エネルギーの導入目標10%(制度設計の問題)
●原子力の推進(核燃サイクルまで含む) 

そして、その背景にある1990年以来の相変わらずの「環境省」vs「経産省」の対立構造。  
 
質疑応答の時間はありませんでしたが、私は今回のNPOの主張は適切だと思います。

今朝の朝日新聞が、この緊急集会のもようを報じる記事を掲載しています。



この緊急集会に参加した3日後の3月6日、[MAKE the RULE メールマガジン] シロベエ通信【第36号】 2010/3/5から、次の情報をいただきました。

●集会の様子はこちらのビデオニュースでご覧いただけます。

●資料、出席議員名など報告はこちら


私はこの集会の間に、私が17年前の1993年に中央公聴会の公述人として意見を求められた衆議院環境委員会での「環境基本法案」の意見陳述の状況を思い出していました。

当時の私の意見の要旨は次のようでした。



17年前の「衆議院環境委員会の議録」の全文(ここをクリック)を今でもネット上で読むことができます。まだ、エネルギーの残っている方は、アクセスし、ページを繰って、当時の議員と私の討論(バトル?)をお楽しみ下さい。

厳しい言い方をすれば、不十分な環境基本法の下で多額の予算を費やし、多くの国民を巻き込んだ日本の17年の行動が図らずも実を結ばなかったばかりでなく、相対的には環境の改善にはつながらなかった、現状は“1993年以前より悪化した”と言えるのではないでしょうか。そして、NPOの主張が十分に取り込まれなければ、今回の「地球温暖化対策基本法」も同じ運命をたどらざるおえない危険性をはらんでいると言えるでしょう。

関連記事
「環境基本法」成立から14年② 不十分なので、このままでは私は反対だ!(2007-12-07)


私がいつも不思議に思うのは、この国ではなぜ新しい法案を作る段階で「骨抜き」が行われるのかです。その結果、実効性の乏しい不十分な法律ができ、そして、事態は改善するよりも悪化することになります。

日本の“脳科学者”には日本の「この不思議な思考回路」を解明し、日本の社会の改善に貢献してほしいと思います。

関連記事
環境省が「地球温暖化対策推進法改正案」を検討(2007-12-18)