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理念とビジョン:「全文」 「ダイジェスト版」
16年前の1996年9月18日に行われた「第11回原子力政策円卓会議」は、このシリーズの最終回でした。果たして、この円卓会議の結末はどうだったのでしょうか。この会議を終わるに当たってこのシリーズのモデレータを努められた茅陽一さんが、この会議の最後に、特に発言を求めて、このシリーズの反省と今後の展望についてお話になっておられます。
議事録の全文が公開されていますので、ご興味のある方は直接議事録にアクセスすればよいのですが、茅さんのご発言はかなり、私の発言を意識されておられるようですので、その部分を引用します。
公開されている議事録をご覧になればおわかりのように、議事録の記述は発言内容がそのまま収録されており、延々と長文が続きます。そこで、読みやすいように、私が公開されている記事録の原文に段落を入れる、改行する、重要な部分を強調するために文字に色をつけるなど、最小限の編集を行いましたことを付記します。
xxxxx
【小沢】そろそろ終わる時間ですので、最後に言いたいことは、ずっとこういう議論を繰
り返していても、技術論をやっている範囲ではそんなに問題はないわけです。こ
れ、全然変わらないわけです。一番の議論は、何といっても、将来をどう見るか
という基本的な視点があるかないか。つまり、おそらく原子力を推進する方々は、
このままいけるんだよと、経済拡大が。そういう前提にもし私も立つのだったら、
私も、原子力と化石燃料しかないと思うわけであります。
しかし、もしそうであれば、やはり原子力を推進する方は--ここにエネ研がや
ったものがあります。これを見ると、プルトニウムを使うにしても、どういう前
提をしているかよくわかりませんけれども、もう明らかにエネルギーは不足する
という下のものがあります。石炭を使えば、うまくどうにか必要な分だけおさま
るよと。ところが地球温暖化というような話を考えて、二酸化炭素を増やさない
ように、石炭の量を一定にしちゃうと。100年間一定にすると、もう追いつか
ないよというこういう話なわけであります。
そういうことを考えますと、少なくとも2050年の絵をかいてみようというこ
とと、それから、原子力を進めようという方たちは、それでも結構だけども、そ
の場合には、プルトニウム社会の経済がどうなるかという絵をやっぱりかいてい
ただきたい。それを比較すると我々はどういうのが望ましいかということがわか
ると思うのであります。
私自身の原子力に対する考え方は、たとえ原発が100%安全であっても、そし
て原発の廃棄物が100%処理できる、つまり日本の原子力の議論の、私はその
2つで90%ぐらいは占めると思いますけれども、それが仮に完成されたとして
も原子力は無理なんじゃないかなと、個人的にはそう思うわけであります。
【鳥井】 先ほど小沢さんからご指摘があったように、そろそろ時間になっております。ま
だご議論が続くか、続けたいようなご議論が、結構中身の濃いご議論があったと
いうふう考えておりますが、討論のほうはこの辺で終了させていただきたいと思
います。
前回も申し上げましたとおり、本日まで11回にわたる円卓会議でさまざまな議
論をしてまいりました。モデレーターとしましては、本日を一区切りとして、こ
れまでの議論を整理して、円卓会議というか、円卓会議のモデレーターとしてと
いうか、その辺はまだはっきりはしていないわけですが、原子力委員会に対して
提言を行うことを考えております。その議論の整理の中で、円卓会議という名前
を使うかどうかはわかりませんが、今後ともこういう形での、議論の場といいま
すか、国政に対する市民の意見を述べる場という、そういったもののあり方につ
いても検討をしていきたいと考えております。
閉会に当たりまして、モデレーターの茅さんのほうから一言、発言をしたいとい
うふうに伺っておりますので、では、お願いをいたします。
【茅】 私もモデレーターをやりまして、実はこういう4時間の会議というのはあまりない
んですが、4時間何も口をきかないで座っていたというのは多分ここ10年で初め
てじゃないかと思うんですけれども、その意味で大変欲求不満がたまりましたが、
最後ちょっとだけ言わせていただきます。
といっても、別に中身について言うというよりは、今、鳥井さんのおっしゃいまし
た点でございまして、11回いたしましたが、この先どうするかということにつき
ましては、今盛んに検討いたしております。
いろいろ実は問題がございまして、ここにおいでになった方何人かは、私が発言し
たときにお聞きになったかと思いますが、現在のこの円卓会議のやり方、それにつ
いてはやはり問題がかなりあるように思っております。円卓会議そのものは、今鳥
井さんがおっしゃいましたように、いろいろな方々の声を聞く。そしてそれを原子
力行政に反映する場としてはやはり非常に重要である。こういうことは私も思いま
すし、またそういう意見が大多数であると思っているのですけれども、ただ、現実
にこの形のものをただ続けていくということは物理的にも非常に難しい。例えば事
務局がつぶれてしまうということがございますし、そのほかいろんな問題点がござ
います。
そこで、この点を少し、やはり我々としてはいろいろ検討いたしまして、こういう
ふうに新しく組織直しをしたらどうかという提案を出したいということで、その辺
を今、盛んに議論をモデレーターの間でしております。
私、特に申し上げたかった一つのポイントは、今までいろんな方からご意見を伺っ
たんですが、中にはある程度詰まった議論もあるんですが、残念ながら議論か最後
まで詰め切れなかった。論点が結局十分見えなかったというものが幾つかあります。
今日も最後にたまたま小沢さんがおっしゃったことはかなりそれに近いのですけれ
ども、つまり将来をどう見るか。その中に原子力をどういうふうな姿としてとらえ
るのかということなんですが、今日も実はそのために前半があったはずなんですけ
れども、途中で方向が変わっちゃいましてその議論は途中になってしまった。前に
もこれ2回ほどやったことがあるんですが、結局そのときも同じになってしまった
んですね。
こういうふうに途中で終わってしまうというのはまことに残念なんで、やはりその
先をやって、今のような問題についてはきちんとした議論をしたい。プルトニウム
の社会というのをどういうふうに考えるのかという小沢さんのご指摘がありまし
たが、同じように、今度逆に原子力が全くない社会のときには、じゃあどう考える
のかということもやらなきゃいけない。そういった議論が始まって、ぶつかり合っ
て、初めて論点が明確になると思うんですが、ぜひ次回以降の新しい、名前はわか
りませんけれども、円卓会議の続きでは、そういうことができるように何とかした
いとは考えております。
そんなことで、我々モデレーターはこのままやることには多分、少なくとも全員は
そうならないと全く思っておりますけれども、いずれにいたしましても、今まで皆
様方、ここには何人か何遍もおいでいただいた方もありますが、大変ご苦労をおか
けいたしました。我々としては、できるだけ皆様方の声を分析いたしまして、少し
でも前向きの提言を今回はしたいと思っております。
ただ、当然のことですけれども、この中には原子力そのものに対して反対の方も賛
成の方もおられますし、その意見を変えるということをこのままでおやりになる方
は、まずおられない。その中で何らかの意味で前向きの提言をするというのは、正
直言って非常に難しいんです。
その意味では、我々としても大変苦労はしているんですけれども、それこそ文殊の
知恵で、これはいい意味にとっていただきたいんですが何とか我々としては努力を
したいと思っておりますのでよろしくお願いいたします。どうもありがとうござい
ました。
閉 会
【鳥井】 それでは、閉会に当たりまして、委員長代理の伊原さんのほうから一言ごあいさ
つをお願いします。
【伊原】 本日は長時間にわたりまして貴重なご意見、ご議論をいただきましてほんとにあ
りがとうございました。これまでに議論が十分尽くされなかった点を今日はテー
マにさせていただいたわけでございますけれども、たくさんの示唆に富んだご意
見をいただきまして、かなり深い議論にまでいけたと思っているわけでございま
す。
ただいま、モデレーターの鳥井さんと茅さんからご紹介がありましたとおり、こ
の円卓会議も本日で、まず一区切りになると。これまでの議論をモデレーターの
方々が整理してくださるということになっております。また、その中には、会議
を今後どういう形に持っていくかと、そういうことについてのご検討もいただく
わけでございます。
我々原子力委員会といたしましては、これまでご参加いただいた数多くの招へい
者の皆様方に改めて感謝を申し上げますとともに、モデレーターの皆様方にも大
変お世話になったわけでございますが、この議論をさらに整理をしていただきま
して、その会議の議論の反映された、そのご提言の内容を、これからの原子力政
策に的確に反映してまいると、こういうことを約束いたしたいと思います。
本日はまことにありがとうございました。
【鳥井】 それでは、11回並びにこの形の円卓会議をこれで終了させていただきます。
どうも皆さん、ありがとうございました。
--了--
xxxxx
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理念とビジョン:「全文」 「ダイジェスト版」
16年前の1996年9月18日に行われた「第11回原子力政策円卓会議」は、このシリーズの最終回でした。果たして、この円卓会議の結末はどうだったのでしょうか。この会議を終わるに当たってこのシリーズのモデレータを努められた茅陽一さんが、この会議の最後に、特に発言を求めて、このシリーズの反省と今後の展望についてお話になっておられます。
議事録の全文が公開されていますので、ご興味のある方は直接議事録にアクセスすればよいのですが、茅さんのご発言はかなり、私の発言を意識されておられるようですので、その部分を引用します。
公開されている議事録をご覧になればおわかりのように、議事録の記述は発言内容がそのまま収録されており、延々と長文が続きます。そこで、読みやすいように、私が公開されている記事録の原文に段落を入れる、改行する、重要な部分を強調するために文字に色をつけるなど、最小限の編集を行いましたことを付記します。
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【小沢】そろそろ終わる時間ですので、最後に言いたいことは、ずっとこういう議論を繰
り返していても、技術論をやっている範囲ではそんなに問題はないわけです。こ
れ、全然変わらないわけです。一番の議論は、何といっても、将来をどう見るか
という基本的な視点があるかないか。つまり、おそらく原子力を推進する方々は、
このままいけるんだよと、経済拡大が。そういう前提にもし私も立つのだったら、
私も、原子力と化石燃料しかないと思うわけであります。
しかし、もしそうであれば、やはり原子力を推進する方は--ここにエネ研がや
ったものがあります。これを見ると、プルトニウムを使うにしても、どういう前
提をしているかよくわかりませんけれども、もう明らかにエネルギーは不足する
という下のものがあります。石炭を使えば、うまくどうにか必要な分だけおさま
るよと。ところが地球温暖化というような話を考えて、二酸化炭素を増やさない
ように、石炭の量を一定にしちゃうと。100年間一定にすると、もう追いつか
ないよというこういう話なわけであります。
そういうことを考えますと、少なくとも2050年の絵をかいてみようというこ
とと、それから、原子力を進めようという方たちは、それでも結構だけども、そ
の場合には、プルトニウム社会の経済がどうなるかという絵をやっぱりかいてい
ただきたい。それを比較すると我々はどういうのが望ましいかということがわか
ると思うのであります。
私自身の原子力に対する考え方は、たとえ原発が100%安全であっても、そし
て原発の廃棄物が100%処理できる、つまり日本の原子力の議論の、私はその
2つで90%ぐらいは占めると思いますけれども、それが仮に完成されたとして
も原子力は無理なんじゃないかなと、個人的にはそう思うわけであります。
【鳥井】 先ほど小沢さんからご指摘があったように、そろそろ時間になっております。ま
だご議論が続くか、続けたいようなご議論が、結構中身の濃いご議論があったと
いうふう考えておりますが、討論のほうはこの辺で終了させていただきたいと思
います。
前回も申し上げましたとおり、本日まで11回にわたる円卓会議でさまざまな議
論をしてまいりました。モデレーターとしましては、本日を一区切りとして、こ
れまでの議論を整理して、円卓会議というか、円卓会議のモデレーターとしてと
いうか、その辺はまだはっきりはしていないわけですが、原子力委員会に対して
提言を行うことを考えております。その議論の整理の中で、円卓会議という名前
を使うかどうかはわかりませんが、今後ともこういう形での、議論の場といいま
すか、国政に対する市民の意見を述べる場という、そういったもののあり方につ
いても検討をしていきたいと考えております。
閉会に当たりまして、モデレーターの茅さんのほうから一言、発言をしたいとい
うふうに伺っておりますので、では、お願いをいたします。
【茅】 私もモデレーターをやりまして、実はこういう4時間の会議というのはあまりない
んですが、4時間何も口をきかないで座っていたというのは多分ここ10年で初め
てじゃないかと思うんですけれども、その意味で大変欲求不満がたまりましたが、
最後ちょっとだけ言わせていただきます。
といっても、別に中身について言うというよりは、今、鳥井さんのおっしゃいまし
た点でございまして、11回いたしましたが、この先どうするかということにつき
ましては、今盛んに検討いたしております。
いろいろ実は問題がございまして、ここにおいでになった方何人かは、私が発言し
たときにお聞きになったかと思いますが、現在のこの円卓会議のやり方、それにつ
いてはやはり問題がかなりあるように思っております。円卓会議そのものは、今鳥
井さんがおっしゃいましたように、いろいろな方々の声を聞く。そしてそれを原子
力行政に反映する場としてはやはり非常に重要である。こういうことは私も思いま
すし、またそういう意見が大多数であると思っているのですけれども、ただ、現実
にこの形のものをただ続けていくということは物理的にも非常に難しい。例えば事
務局がつぶれてしまうということがございますし、そのほかいろんな問題点がござ
います。
そこで、この点を少し、やはり我々としてはいろいろ検討いたしまして、こういう
ふうに新しく組織直しをしたらどうかという提案を出したいということで、その辺
を今、盛んに議論をモデレーターの間でしております。
私、特に申し上げたかった一つのポイントは、今までいろんな方からご意見を伺っ
たんですが、中にはある程度詰まった議論もあるんですが、残念ながら議論か最後
まで詰め切れなかった。論点が結局十分見えなかったというものが幾つかあります。
今日も最後にたまたま小沢さんがおっしゃったことはかなりそれに近いのですけれ
ども、つまり将来をどう見るか。その中に原子力をどういうふうな姿としてとらえ
るのかということなんですが、今日も実はそのために前半があったはずなんですけ
れども、途中で方向が変わっちゃいましてその議論は途中になってしまった。前に
もこれ2回ほどやったことがあるんですが、結局そのときも同じになってしまった
んですね。
こういうふうに途中で終わってしまうというのはまことに残念なんで、やはりその
先をやって、今のような問題についてはきちんとした議論をしたい。プルトニウム
の社会というのをどういうふうに考えるのかという小沢さんのご指摘がありまし
たが、同じように、今度逆に原子力が全くない社会のときには、じゃあどう考える
のかということもやらなきゃいけない。そういった議論が始まって、ぶつかり合っ
て、初めて論点が明確になると思うんですが、ぜひ次回以降の新しい、名前はわか
りませんけれども、円卓会議の続きでは、そういうことができるように何とかした
いとは考えております。
そんなことで、我々モデレーターはこのままやることには多分、少なくとも全員は
そうならないと全く思っておりますけれども、いずれにいたしましても、今まで皆
様方、ここには何人か何遍もおいでいただいた方もありますが、大変ご苦労をおか
けいたしました。我々としては、できるだけ皆様方の声を分析いたしまして、少し
でも前向きの提言を今回はしたいと思っております。
ただ、当然のことですけれども、この中には原子力そのものに対して反対の方も賛
成の方もおられますし、その意見を変えるということをこのままでおやりになる方
は、まずおられない。その中で何らかの意味で前向きの提言をするというのは、正
直言って非常に難しいんです。
その意味では、我々としても大変苦労はしているんですけれども、それこそ文殊の
知恵で、これはいい意味にとっていただきたいんですが何とか我々としては努力を
したいと思っておりますのでよろしくお願いいたします。どうもありがとうござい
ました。
閉 会
【鳥井】 それでは、閉会に当たりまして、委員長代理の伊原さんのほうから一言ごあいさ
つをお願いします。
【伊原】 本日は長時間にわたりまして貴重なご意見、ご議論をいただきましてほんとにあ
りがとうございました。これまでに議論が十分尽くされなかった点を今日はテー
マにさせていただいたわけでございますけれども、たくさんの示唆に富んだご意
見をいただきまして、かなり深い議論にまでいけたと思っているわけでございま
す。
ただいま、モデレーターの鳥井さんと茅さんからご紹介がありましたとおり、こ
の円卓会議も本日で、まず一区切りになると。これまでの議論をモデレーターの
方々が整理してくださるということになっております。また、その中には、会議
を今後どういう形に持っていくかと、そういうことについてのご検討もいただく
わけでございます。
我々原子力委員会といたしましては、これまでご参加いただいた数多くの招へい
者の皆様方に改めて感謝を申し上げますとともに、モデレーターの皆様方にも大
変お世話になったわけでございますが、この議論をさらに整理をしていただきま
して、その会議の議論の反映された、そのご提言の内容を、これからの原子力政
策に的確に反映してまいると、こういうことを約束いたしたいと思います。
本日はまことにありがとうございました。
【鳥井】 それでは、11回並びにこの形の円卓会議をこれで終了させていただきます。
どうも皆さん、ありがとうございました。
--了--
xxxxx
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『成長の限界』の著者、メドウズ名誉教授に09年の日本国際賞を授与(2009-01-16)
あれから40年 2010年は混乱か?-その4 デニス・メドウズさん vs 茅陽一さん(2009-05-01)