環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

「経済」 「社会」(福祉) 「環境」、不安の根っこは同じだ!

「将来不安」の解消こそ、政治の最大のターゲットだ

2009年6月のブログ掲載記事

2009-06-30 22:06:37 | 月別記事一覧
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6月のブログ掲載記事

1.6月のブログ掲載記事(2009-06-30)

2.投票日は来年9月19日、スウェーデンの場合、では 日本は???(2009-06-27)

3.「日本がお金を出して開いた第1回の国連環境会議」という珍説を掲げた新刊書(2009-06-21)

4.笠松和市さんの講演会「持続可能な町を目指して」のご案内(2009-06-19)

5.1970年代からCO2の削減努力を続けてきたスウェーデン(2009-06-02)



投票日は来年9月19日 スウェーデンの場合、では、日本は???

2009-06-27 10:46:06 | 政治/行政/地方分権
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今朝の朝日新聞の一面トップの記事は、今最もホットな政治の話題、衆議院の解散がいつになるのかの記事です。

昨日の新聞では、今後の政治日程まで添えての解説記事が掲載されていました。

麻生首相はいつ衆議院を解散し、総選挙はいつになるのか。このような報道がマスメディアに登場して、すでに半年が経とうとしています。今のところ「衆院解散はそう遠くない日だ」そうです。

この国の議院内閣制の政治は国内外の山積された課題に対応できるのでしょうか。日本の政治家や経済人、評論家など有識者と称されている人たちがことあるごとに「人口や経済規模が小さすぎて、参考にならない」とほとんど無関心を装ってきた、北欧の国スウェーデンではこの種の時間とお金を浪費する政治の駆け引きは起こらないのです。

その理由は、いたって簡単。スウェーデンの総選挙は現在のルールでは4年ごとに行われ、投票日は9月の第3日曜日と決められているからです。したがって、次の総選挙は2010年9月19日(日)に行われます。

 『貧困にあえぐ国ニッポンと貧困をなくした国スウェーデン』(あけび書房 2008年11月)の著者の竹崎 孜さんは、この本の64ページで次のように書いておられます。

この短い記述だけでも、スウェーデンの政治の風景は日本の政治の風景と大きく異なることがおわかりいただけるでしょう。このような大きな相違を前にしても、日本の識者と称される方々は、今なお、両国の政治分野の大きな相違も「人口と経済規模の相違だ」とおっしゃるのでしょうか。


関連記事

スウェーデンの国会議員の投票率の推移(2007-01-09)

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「困った状況」が目立つようになってきた日本(2007-11-03)


これまでの日本は、目先のコストは大変気にするが、社会全体のコストにはあまり関心がなかったようです。90年代後半になって次々に既存の社会制度から発生する膨大な社会コストの「治療」に、日本はいま、追い立てられているといっても過言ではないでしょう。


「日本がお金を出して開いた第1回の国連環境会議」という珍説を掲げた新刊書

2009-06-21 21:32:27 | 環境問題総論/経済的手法
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つい最近、「つくられた『環境問題』-NHKの環境報道にだまされるな!」(ワック株式会社 2009年6月17日 初版発行)というタイトルの新刊書に出会いました。




著者はビジネス界ではお馴染みの日下公人さんと環境問題の分野で一石を投じた武田邦彦さんのお二人。


この本の略歴によりますと、お二人とも原子力の安全分野とのかかわりがあり、日下さんは原子力安全システム研究所最高顧問武田さんは内閣府原子力安全委員会専門委員だそうです。 
 
武田さんは、この本のまえがきで「経済学者との対談の本を出してみないかというシアターテレビの浜田マキ子社長のお誘いに科学者の私は一瞬、たじろいたものの、たぐいまれな鋭利な頭脳と豊富なご経験の持ち主、日下公人先輩とわずかな時間でも議論を交わすことが出来たのは幸甚だった。・・・・」と書いておられます。つまり、武田さんの表現では、「科学者経済学者の対談」がこの本の内容だというわけです。けれども、私は「工学者ビジネス界の古いタイプの評論家の対談」、あるいは「技術者とエコノミストの対談」というほうが適切だと思います。
 
この本の内容は、目次を見ると一目瞭然です。何とも興味深い内容です。



「第1章 すべて解決している日本の環境問題」から「エピローグ 日本のエネルギーは心配ない」まで、快適なテンポでお二人のトークが続きます。「マスメディアに問題は多いが、日本にはまったく問題がないので皆さんご安心を」というのが著者のメッセージなのでしょうか。

1973年以来、スウェーデンと日本のエネルギー問題、環境問題、労働問題を同時進行でフォローしてきた私は、この本に多くの違和感を感じています。「日本にはまったく問題がないので皆さんご安心を」というのが著者のメッセージであるとするなら、このブログで示してきた私のメッセージは正反対といってもよいでしょう。

この本の内容に私は、多くの点で著者と意見を異にしますが、すでにこのブログを通じて「公害(問題)」と「環境問題」に対する私の考え日本の問題点を書いておりますので、ここでは武田さんの「環境問題に対する認識」を読み取ることができる第1章の「◎いまは『環境問題』というトラウマだけが残っている」というところを紹介しておきます。

武田さんは「環境をどう定義するかという問題はありますが、」と一定の配慮を加えてはいますが、「たとえば、環境によって人の健康が害されたりするようなことが起こるかという点では、1990年以来公害患者の新規発生はほとんどありません」とおっしゃっているように、武田さんの議論では「公害(問題)」「環境問題」の定義の相違にはあまりこだわらない、つまり、議論の場面で状況に応じて適宜言い換える、あるいは無意識のうちに置き換わるということになるようです。武田さんにとっては二つの概念が基本的にはほとんど同義語なのではないでしょうか。

同じようなことが、この本では「科学者」「技術者」という表現にも表れています。上の図(この本のp16の2行目)で「私は科学者なので」とおっしゃっていますが、この本のp100の6行目では「私は技術者だから」ともおっしゃっています。この本の複数の箇所に「科学者」と「技術者」という表現をあまり意識せずにお使いになっている場面があります。武田さんは「経済学者」「エコノミスト」を分けるまでもない、同じと考えてよいとお考えのようです。
上の図の「◎日本において環境問題はなぜ片付いたか」で、武田さんは「もっとはっきり言えば、大量生産によって環境がよくなったということです。環境というのは、生産力が増大することによって常に改善されてきたのです」と断言されています。私が武田さんを「科学者ではなく工学者(技術者)だ」と考える理由は、このような発言にあります。この発言は竹中平蔵さんの「環境問題に対する考え方」とよく似ています。 

 ●環境問題は「制約」どころか経済活性化の促進要因になる(p143~145)  
      (竹中平蔵著『明日の経済学』 幻冬舎 2003年1月30日 第1刷発行)


そして、日下さんの「事実関係の誤り」を一つ指摘しておきます。日下さんの次の発言をご覧ください。

日下さんは「日本は環境問題解決の一番の先進国であるから、国連へ行って訴えるべきである。国連環境会議の開催を訴えるべきである」などと書きました、とおっしゃっておられます。ほんとうにそのようにお書きになったかどうかは、当時の『公害』の巻頭言を参照すればすぐわかることですが、日本が誇る公害防止技術である「排煙脱硫装置」や「排煙脱硝装置」の設置状況の推移を見れば、1970年(昭和45年当時)に「日本は環境問題解決の一番の先進国であるから・・・・」などとは言えなかったのではないでしょうか。これらの技術は日本が世界に誇る公害防止技術(大気汚染防止技術)ではありますが、1970年当時はそれらの装置の設置(排煙脱硝装置の設置は1972年から)の途についたばかりだったからです。

   ●排煙脱硫装置の設置状況の推移   ●排煙脱硝装置の設置状況の推移


意図的か、勘違いなのか、あるいは不注意による誤りなのかはわかりませんが、国連はすでに1967年にスウェーデンのストックホルムで第1回国連人間環境会議を開催することを決定していました。

ですから、日下さんの発言は、武田さんがおっしゃる「たぐいまれな鋭利な頭脳と豊富な経験を持つ経済学者の誤り」ということになります。

ことあるごとに“科学者”を自認しておられる武田さん(この本のみならず、他のご著書でも) が日下さんを“経済学者”と紹介していることにも少なからず疑問を感じます。この本は技術者とオールド・エコノミストによってつくられた“もう一つ”の環境問題ではないでしょうか。 

 
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槌田さんが理解する「スウェーデンの原発事情」(2007-10-20)


                                

笠松和市さんの講演会 「持続可能なまちを目指して」のご案内

2009-06-19 07:18:32 | Weblog
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私も“スペシャル・サポーター”としてかかわっている「持続可能な国づくりの会」が徳島県上勝町・町長であられる笠松さんをお招きして講演会が行われますので、お知らせします。




1970年代からCO2の削減努力を続けてきたスウェーデン

2009-06-02 11:29:06 | 温暖化/オゾン層
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5月21日の全国紙の一面に、2020年を目標年次とする日本の「地球温暖化問題」の中期目標に対する産業界の意見広告が掲載されました。この意見広告は、今年3月17日の意見広告に次ぐ第2弾です。

私はこの意見広告には、「現世代への公平」については、考えているのかもしれないが、地球温暖化の本質であるはずの「将来世代への公平性」が考えられていないと懸念を表明しました。

今日は、温暖化防止に対するスウェーデンの小さな、しかし、着実な努力の結果をお知らせしましょう。

★70~80年代のCO2排出量の推移



★80年代のCO2排出量の推移 


★90年代のCO2排出量の推移


★90~2005年までのCO2排出量の推移