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環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

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ロバート・ハイルブローナー  21世紀の資本主義、その行方は???

2008-03-30 07:47:28 | 経済
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★20世紀の資本主義






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★21世紀の資本主義

野村総合研究所主席エコノミスト、福島清彦著「ヨーロッパ型資本主義 アメリカ資本主義との決別」(講談社 現代新書」2002年10月発行)の15ページおよび23ページに次のような記述があります。私には大変理解しやすい記述です。





1994年2月に、ダイヤモンド社からロバート・ハイルブローナー(1919年生まれのアメリカの経済思想史家で、ニューヨークのニュースクール・フォー・ソシアル・リサーチ大学院の経済学教授)著/中村達也・吉田利子訳「21世紀の資本主義」が出版されました。この本の帯びには「馥郁たる香り、ある経済学者の苦悩とロマン。珠玉のエッセー。昨秋、全米で出版後惣ち全米ベストセラー。『ニューヨーク・タイムズ』紙のブックレビュー、1993年ベストブック<経済部門>に選ばれる」と魅力的なコピーがあります。

私はこの著者を全く知りません。この著者が世界の経済学者の間で、米国の経済学者の間で、あるいはわが国の経済学者の間で経済学者としてどう評価されているのか全くわかりませんが、この本を読み進むうちに、私の環境問題に対する認識と基本的に合致する箇所がかなりありましたので、その部分を読者の皆さんの議論のための参考に供したいと思います。






(1)勝利につながる資本主義の戦略とは




(2)21世紀に成功する資本主義




(3)資本主義を揺るがす大問題

 


日本語版への序章(5ページ)で、著者は「日本が現在の栄光に安住するなら、それは愚かなことである」と述べています。まさに、21世紀に入った現在の日本の状況を見通していたのかもしれません。

そして、この本の最終章「第5章 未来へのシナリオ」の最終節「資本主義を超えたところに何があるか」で、こんどは、スウェーデンが登場します。著者は次のように述べています。

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「スウェーデンのように社会主義的資本主義の考え方を熱心に追及してきた国は資本主義の要請、なかでも、資本蓄積の必要性と、平等という社会主義的目標追求との矛盾によって、袋小路にはまりかけている。スウェーデンはいまでも人間の顔をした資本主義の明るい例であり、多くの点で、近い将来も適応によって生き延びることのできる資本主義だと思う。しかし、勢いが失われて、あまり成功しているとはいえない現在の状況から前進できると予想するのは非常に難しい。スウェーデン、それにある程度までは市場型社会主義一般は、前進はおろか、見通しすら困難な辺境に達したようである。それでは、スウェーデンを超える道はあるのだろうか」(119ページ)
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と疑問を呈し、そのスウェーデンを超える道として、著者は社会の統合原理を「参加」におく、参加型社会の理念に人類の未来を託すと考えているようです。この本が出版された1994年前後はまさにスウェーデン経済が苦しんでいる時でした。

ですから、日本の今を見事に見通したこの本の著者も15年後の今のスウェーデン社会を見通すことは難しかったのかも知れません。 

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そして、著者はこの本を次のような考えで結んでいます(121ページ)。


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それでは、21世紀の社会はこの方向に向かうのであろうか。私はそうは思わない。移行は非常に難しく、社会の再構成は非常に複雑である。とりわけ、真の意味でこれほど革命的な変化が、歴史的にほんの短期間で起こるならば、抵抗もきっと激しいだろう。参加型経済は、破局をも含むどんなことが起ころうと、21世紀の社会秩序とはならないと思う。     

しかしながら、思想はそれ自身生命力を持つ。少なくとも、資本主義後のそうした秩序にかかわる目標と一般的な社会概念が、来るべき世紀に私たちの意識に芽生えることは不可能ではない。参加型社会の思想や理想は、資本主義をできるだけ長く機能させようと苦悩しているあいだは、大いに役立つにちがいない。解決や成功ではなく、緊張と失敗が常態となる可能性が大きいこれからの時代、そのことを想定して別の社会的目標を設定しておくことは、けして無駄ではあるまい。
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私の考えでは、(1)、(2)および(3)を理解し、実践して来た数少ない国のひとつ(おそらく唯一の国)がスウェーデンではないかと思います。私は2007年8月31日のブログ「進化してきた福祉国家⑨ 現実主義の国vs現状追認主義の国」 「現実は社民党最大の敵である」という故パルメ首相の言葉を引用し、スウェーデンの現実主義を紹介しましたが、この言葉はまさに(1)に対応しますし、スウェーデンの現在の社会は(2)のようですし、スウェーデンの持続可能な社会への挑戦はまさに(3)を理解したものです。



★「ゆで蛙」という寓話

1995年4月15日付の朝日新聞の論壇に「このまま“ゆで蛙”になりたくない」と題する米スタンフォード大学教授の今井賢一さんの主張が出ておりましたが、この主張は(1)と同じことを言っているのだと思います。    

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われわれ日本人は「ゆで蛙」になり安楽死しつつあるのではないか。「ゆで蛙」というのは、アメリカのビジネススクールでよく語られる「蛙をフラスコに入れて、 高温で熱すれば、蛙は飛び出して助かるが、徐々に熱すると気持ちよく安楽死してしまう」という実験例のことで、企業がリストラをするような場合にも、だらだら少しずつやるのは禁物だという寓話である。理論というほどのものではないが、アメリカ人らしく産業界の具体例を引いて説明するので、なかなか説得力がある。    

われわれ一人ひとりが外界の熱を感知して、「自己」を変えつつ、他と連動して社会を動かして行く(自己組織化)ことであるが、頼るべき哲学なしでは漂流する。基本に立ち返ることである。「基本」とは環境の変化にリアルタイムに対応して生きることである。

企業が真に革新しうるには、企業を構成する個々人が自らをリエンジニアリングしなければならない。変化の激しい時ほど、新たな経済機会が生まれ、社会や個人に潜在していた能力が発揮される。
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