環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

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緑の福祉国家63(最終回)  あらためて、緑の福祉国家の概念を

2007-06-02 08:22:30 | 市民連続講座:緑の福祉国家


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今年1月11日から始めた市民連続講座「スウェーデンの挑戦:緑の福祉国家」が昨日で62回目を迎えました。日本も戦後62年目を迎えました。「62」という数字は単なる偶然の一致にすぎませんが、この連続講座は昨日でひとまず終了しました。

世界は急速に動き始めました。6月6日からドイツのハイリゲンダムで開催されるG8サミットでは「温暖化」が主要テーマになり、日本の首相も日本発の提案をするようです。また、来年6月の洞爺湖サミットの主題のテーマは「環境」だそうです。

1月7日のブログで紹介した安倍首相の「所信表明演説」(2006年9月29日)

1月27日のブログで紹介した安倍首相の「施政方針演説」(2007年1月26日)

で示された「首相の環境問題に対する認識」と半年後の6月6日のサミットに臨む「首相の環境問題に対する認識」のあまりの落差の大きさに、私は戸惑いを感じざるを得ません。

スウェーデンはG8のメンバーではないので、日本のマスコミに登場する機会はメンバー国である英国、ドイツ、フランス、米国に比べて極端に少ないのですが、すでにこのブログで紹介しましたように、スウェーデンは2001年の時点で京都議定書の目標値をクリアーした最初の国となりました。現在では、スウェーデン、英国、ロシアおよびウクライナの4カ国が京都議定書の目標値を達成したことになっています。

また、国連開発計画(UNDP)の「人間開発報告書 2004」の207ページ(Energy and the Environment)によれば、スウェーデンは先進工業国の中で、一人当たりのCO2排出量(2000年)が最も少ない国(1980年:8.6トン、2000年:5.3トン)でもあります。日本は1980年:7.9トン、2000年:9.3トンだそうです。ちなみに、今年1月7日に公表されたスウェーデン政府の報告書によれば、スウェーデンのCO2の排出量は京都議定書の基準年の90年と2005年を比較する7%減(日本は約8%増)で、この間、36%の経済成長を達成しました

これまで述べてきたように、スウェーデンは単に「地球温暖化」だけに目標を絞っているのではありません。スウェーデン政府は21世紀前半に向けて「緑の福祉国家」を実現するという壮大なビジョンを掲げています。目標年次は2025~2030年ごろです。「地球温暖化防止」への対応は、ビジョンを実現する行動計画の一部に過ぎません。

緑の福祉国家12 「気候変動」への対応 ①(1/23) 

緑の福祉国家13 「気候変動」への対応 ②(1/23) 

緑の福祉国家14 「気候変動」への対応 ③(1/24) 

緑の福祉国家15 「気候変動」への対応 ④(1/26)

緑の福祉国家16 「気候変動」への対応 ⑤(2/3) 


緑の福祉国家17 「気候変動」への対応 ⑥(2/4)   
 


この連続講座を終わるにあたって、初回の1月11日のブログに掲げた持続可能な開発省のホームページのトップページを飾る「緑の福祉国家」の要旨を再掲します。

この概要から、緑の福祉国家(生態学的に持続可能な社会)の構築は、江戸時代へ戻ることでも、現在の生活レベルを落とすことでもなく、人間の英知を発揮し、「希望のある安心と安全な国づくり」であることがおわかりいただけたでしょう。

すでに1月9日のブログでも報告しましたように、スウェーデンでは、昨年9月17日に12年ぶりで政権交代が行われました。昨年10月6日に発足したラインフェルト連立内閣(4党)の下で、今年1月1日から3つの新しい省が発足しました。

これに合わせて、「緑の福祉国家」のという実現というビジョンを加速する目的で2005年1月1日に発足した「持続可能な開発省」は今年1月1日から再び「環境省」に名称変更することが明らかになりました。持続可能な開発省が所管としていた「エネルギー分野」は企業・エネルギー・通信省へ>、「住宅分野」は財務省へ移管されました。

新政権誕生直後に公表された、首相の施政方針演説を見る限り、行政組織の衣替えや微調整はあるでしょうが、大きな変化はなさそうです。大きな変化があるとすれば、4年後、2010年の総選挙で現政権が大勝利(今回は議席数で7議席、得票数で2%程度の僅少さ)したときでしょう。

今後のスウェーデンの動きを皆さんとともにウオッチしていきましょう。



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは (memaido)
2007-06-02 08:33:58
はじめまして、楽しく拝見させていただきました。
またちょくちょく拝見させていただきます。
返信する
はじめまして、馬明です。 (馬 明)
2007-06-02 16:13:00
backcast2007さん、はじめまして。馬明です。

温暖化については、世界各国で取り組み方に温度差が相当ありますね。

私のブログでバイオエタノールについて、掲載しております。
ご参考までにトラックバックさせていただきます。
今後ともどうぞよろしくお願いします。

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