環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

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ケータイ電磁波の発がん性

2011-06-01 21:22:55 | IT(情報技術)
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今日の朝日新聞夕刊が一面で、WHOがケータイの電磁波による「発がん性の可能性」についての分析結果を発表したと報じています。次の記事をご覧ください。



ケータイ電話はスウェーデンでも非常にポピュラーです。ケータイ電話から出る電磁波の規制についてはEUの勧告があり、スウェーデンで使用されているケータイ電話はこの勧告に準拠しています。

しかし、いま、スウェーデンの市民や研究者が懸念しているのは、ケータイ電話から出る電磁波よりも、国内の通信状況を整備するために建てられる多くのアンテナから出るさらに強い電磁波です。

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電磁波対策の最も進んだ国② 携帯電話(2007-06-14)





2009年 IT活用度ランキング:スウェーデン2位、日本17位

2009-03-28 17:12:12 | IT(情報技術)
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ダボス会議で知られる世界経済フォーラム(WEF)は2009年3月26日、今年で8回目となるIT活用度のランキングの2009年版の調査報告「The Global Information Technology Report 2008-2009」を発表しました。毎日新聞は次のように報じています。



報告書によりますと、トップ10は次のとおりで、北欧5カ国がすべてランクインしています。

1  デンマーク    5.85   
2  スウェーデン   5.84
3  米国       5.68
4  シンガポール   5.67
5  スイス      5.58
6  フィンランド   5.53
7  アイスランド   5.50
8  ノルウェー    5.49
9  オランダ     5.48
10 カナダ      5.41

ちなみに、昨年2008年4月9日に発表された7回目の調査報告では、デンマークが1位、スウェーデン2位、スイス3位、米国4位、韓国9位、日本は19位でした。 

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IT活用世界ランキング スウェーデン2位、日本14位(2007-03-30)

年度末にあたって、改めて「IT革命」と「環境問題」  

2008-03-27 22:19:42 | IT(情報技術)
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7年前、2000年10月の環境・経済政策学会で、私は「IT革命と経済の関係」を問う報告がいくつか登場することを期待しつつ、 「わが国のITへの期待と環境負荷増大への懸念」と題する報告を行ないました。ところが、私の期待はまったく裏切られ、この大会で発表された142の報告のうち、IT関連の報告は私のものだけでした。  

その後の6年間、2006年の大会まで「ITと経済の関係」を問うた報告は1つもありません。環境経済・政策学会の会員の構成は、その多くが環境問題に関心のある大学の経済関連部門の教職員(教授、助教授、助手)と大学院生であることを考えると、この現実は、私には不思議な気がします。しかし、「環境」と「経済」は別ものと考えている限りはむしろ当然なのかも知れません。

2007年4月5のブログ「IT革命と環境問題④ IT革命による部分改良が社会前提のエネルギー消費を減らすか?」 で、日本の主流の考え方に疑問を呈しました。

そして、いよいよ、7年前の私の主張が現実味を帯びてきたような記事に出会いました。次の記事は2008年2月19日の朝日新聞の2ページ「時時刻刻」に掲載されたものです。私の7年前の主張を裏付ける事実が報じられていますので、記事をとくとご覧ください。私のコメントは不要でしょう







さらに、ご関心があれば、次の関連記事をご覧ください。

関連記事

IT革命と環境問題① ITを経済発展の起爆剤!(07-04-02) 

IT革命と環境問題② 乏しい環境経済・政策学会の反応(07-04-03) 

IT革命と環境問題③ 「IT革命」への期待と懸念(07-04-04) 

IT革命と環境問題④ IT革命による「部分改良」が社会全体のエネルギー消費を減らすか?(07-04-05) 

IT革命と環境問題⑤ テレビ会議はCO2を削減するか?(07-04-06) 

IT革命と環境問題⑥ 放送のデジタル化への懸念(07-04-06) 

IT革命と環境問題⑦ IT化による電力消費の増加(07-04-07) 

IT革命と環境問題⑧ IT革命、忘れてはならないこと(07-04-08)  



次の記事は、上の記事とは正反対に「夢のようなデジタル社会」を描いています。毎日新聞の2008年1月1日の「08 正月特集号」です。

xxxxx
東京の下町にデジタル社会の新たなシンボルが誕生する。地上610メートルの「新東京タワー」。日本一の東京タワー(333メートル)の2倍近い高さになる。地上デジタル放送の送信拠点として、3年後に完成する。「テレビ新時代」の幕開けを告げ、日本に名所がまた一つ増える。08年度に着工、建設費は約500億円・・・・・xxxxx

記者が上のような現実を知っていれば、紹介記事の内容「ロボットが家族に」「進化するお茶の間」「デジタル家電の買い方」「携帯、カーナビの可能性」「地デジの課題は」という構成はもう少し変わっていたのではないでしょうか。





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電車内の携帯使用の影響は?

2008-02-06 21:37:19 | IT(情報技術)
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今日は久しぶりに電車内の携帯の使用について考える材料を提供しましょう。私はこのテーマに携わっているわけではないので技術的なコメントはできませんが、この問題には関心があります。

皆さんは、昨年6月14日のブログ「電磁波対策の最も進んだ国② 携帯電話」 で、「2002年に東北大学の研究者が電車内の携帯電話の使用によって電車内の電磁波密度が国際的な安全基準を超える可能性を指摘した」という報道を紹介したのを覚えていらっしゃいますか。今日の朝日新聞の夕刊は、「電車内の携帯電話の使用が、心臓にペースメーカーを装着した人の健康に影響を与える」という私たちの一般常識とは異なる専門家の見解を紹介しています。

携帯電話の心臓ペースメーカーに与える影響に関するこの専門家の見解が正しいとしても、東北大学の若い研究者が提起した懸念は払拭されません。あの発表の後どうなったのでしょうか。今後も関心を持ち続けたいと思っています。



今日のテーマである「電車内の携帯電話の心臓ペースメーカーへの影響」や昨年4月9日のテーマであった「電車内の携帯電話の利用と乗客の健康との関係」など個別の問題については、十分な資料がありませんのでコメントできません。しかし、デジタル化社会について、私にもはっきり言えることが2つあります。

●一つは環境問題を十分意識した「総合的な経済政策」がとられないかぎり、IT「持続的な経済成長」の起爆剤として位置づけている21世紀の日本社会は、ますます環境負荷の高い社会とならざるを得ないこと。そして、デジタル情報化社会のインフラ整備は、電力や設備コストの増加を促すだけでなく、システム・ダウンによる大きなリスクを社会全体がかかえることにもなりかねないこと。 


そして、もうひとつ、これが最も重要な点ですが。


関連記事

IT革命と環境問題⑨ IT革命、忘れてはならないこと(07-04-09)
 


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  「放送のデジタル化」と「ブラウン管テレビの行方」

2007-07-17 10:20:07 | IT(情報技術)


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最近、こんな投書を読みました。




この投書に対する日本政府の回答を見つけることはできませんが、現状がたいへん難しい状況にあることは次の報道から容易に理解できます。



この記事のリードの部分は次のように書かれています。
●液晶やプラズマなど薄型テレビへの買い替えが急速に進み、大量に廃棄されるブラウン管テレビの行き場がなくなりつつある。受け皿だった東南アジアでも薄型テレビ化が次第に進み、需要は頭打ち。中国からは国際的な廃棄物規制を理由に輸入を拒まれている。それでも「家電リサイクル法」で定められた再商品化(リサイクル)目標の達成を義務付けられている日本の家電メーカーはブラウン管を捨てるわけにもいかず、業界からは「法改正が必要」との声が高まっている。 (都留悦史)

この記事の図「ブラウン管テレビのリサイクルの流れ」をみると、国内で発生したブラウン管テレビのブラウン管はカレット化されて海外へ輸出されているようです



次の図はカラーテレビの需要予測を示していますが、日本でも「ブラウン管テレビ」から「薄型テレビ」への買い替えが着実に進んでいることを示しています。また、国の政策によって、2011年には放送のデジタル化が開始され、アナログ放送に切り替わるわけですから、大量のブラウン管テレビ受像機が廃棄物になることは容易に理解できます。その意味で、投書された方の問題意識は的を射ています。

問題は日本社会の対応というか、政府の対応です。私は2000年12月1日のNHK「ラジオ夕刊」に出演し、「IT革命と環境負荷」と題して当時の吉村秀美編集長(司会・進行)とパートナー長谷川尚子さんとの対話で、放送のデジタル化に伴うアナログテレビ受像機(当然のことながらほとんどすべてブラウン管テレビです)の廃棄物問題に触れました。たまたま、この日は、BSデジタル放送開始の記念すべき日でした。

当時は通産省(現在の経産省)の担当官も、環境省の担当官も2001年4月から施行される「家電リサイクル法」への対応に忙しく、「10年先のデジタル化に伴うアナログテレビの廃棄物化」に対する私の疑問に答えられませんでした。
あれから7年、現在の経産省や環境省の担当官は「4年後に迫ったこの大問題」をどう考えているのでしょうか。

国の予定された「放送インフラの政策」の変更に必然的に伴う「大量のアナログテレビの廃棄物化」に対して、はたして「国民が安心できる対応策」を国は用意してくれているのでしょうか。


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送電線から出る電磁波に対するWHOの「新たな環境保健基準」

2007-06-22 19:12:58 | IT(情報技術)


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6月14日のブログ「電磁波対策の最も進んだ国② 携帯電話」で、技術評論家の剣持一巳さんが1986年に(株)日本評論社から出された著書『ハイテク災害』の「第三章:電磁波にさらされる人体」で、WHOが1981年に加盟各国に勧告した「電磁波に関する環境保健基準」に対する当時の日本の状況を紹介し、次のように書きました。

剣持さんが書いたこの状況は、20年後の今、どのくらい改善されているのでしょうか。ここにはまだ、携帯電話は登場していません。剣持さんの「このまま高度情報化社会が進めば、その社会の電磁波的な環境は、人びとを巨大な電子レンジの中に閉じ込めてゆっくり焼きあげるようなものになっていくであろう」という記述が妙に気になっていました。

なんという偶然か、5日前の私の疑問に対するそのままズバリの答が3日前にもたらされました。6月19日の毎日新聞です。

この記事では、

●WHOが送電線などから出る電磁波について、「新たな環境保健基準」を6月18日に公表し、新基準に基づいて各国に予防策をとるよう勧告したこと、
●経済産業省の原子力安全/保安院が先月、送電線などの電磁波について健康影響を考慮し規制を検討する作業部会を設けたこと、WHOの新基準への対応は今後この部会で検討すること、

が報じられています。この事例も、6月6日のブログ「国際機関への提案が多い国と国際機関からの勧告を受けることが多い国」で書いたように、日本が「治療志向の国」である好例だと思います。



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電磁波対策の最も進んだ国② 携帯電話

2007-06-14 06:58:45 | IT(情報技術)


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携帯電話はスウェーデンでもたいへんポピュラーです。携帯電話からの電磁波については、EUの勧告があります。スウェーデンで使用されている携帯電話のSAR値(比吸収率。簡単にいえば、携帯電話と直接接触する人間の側頭部が吸収する電磁波のエネルギー量)は0.1~1.7ワット/キログラムの範囲にあります。無線電話のSAR値はすべて0.1ワット/キログラム以下です。
 
しかし、いま、スウェーデンの市民や研究者が懸念しているのは、携帯電話から出る電磁波よりも、国内の通信状態を整備するために建てられる多くのアンテナからのさらに強い電磁波です。

日本でも1999年に、WHOの基準値を超えないこと、という民間のガイドラインが設けられ、2002年からはこの基準値が法制化されています。

しかし、日本で、電磁波についてまず問題になったのは、人の健康への影響ではなくて、漏洩電磁波による電子機器の誤作動の問題でした。日本が「技術立国」を掲げ、科学技術をもって世界に貢献しようとするとき、開発した機器を使うのは、多くの場合、私たち人間であるという事実をはっきり認識する必要があります。

ここで、話を一気に20年前に戻してみましょう。技術評論家の剣持一巳さんが1986年に(株)日本評論社から出された著書『ハイテク災害』の「第三章:電磁波にさらされる人体」で、当時の日本のこの問題を詳しく論述しておられます。
     
●「日本はアメリカに次ぐ工業国であり、高度情報化社会を唱えているにもかかわらず、電磁波の医学的な利用の研究がある程度で、労働災害や環境汚染についての研究は皆無に等しい。最近流行のOA化されたビル(インテリジェント・ビル)では、職場そのものが漏洩電磁波で囲まれることになる。それに都会では、ラジオやテレビ放送、各種の通信システム、レーダーからの電磁波が加わる。事務労働者はこうして電磁波的な環境で日常、働くことになる。

●日本では、電離作用を持つガンマ線、X線などの電磁波は、労働安全衛生法にもとづく電離放射線障害防止規則、放射線障害防止法などによって厳しい規制が設けられている。ところが、電磁波のうち非電離放射線であるラジオ波とマイクロ波について、労働災害、環境汚染の立場から被曝許容量や環境基準などを法的に規制する措置はまったくとられていない

●日本の電磁波に対するこのような状況は、国際的に見るとまったく異常なことであり、孤立しているのである。すでに、世界保健機構(WHO)は1981年に『ラジオ波とマイクロ波の環境保健基準(以下、環境保健基準と略記)』を定めて、加盟各国に勧告している。

●WHOの『環境保健基準』は、7年間の準備を経て、加盟各国の意見を聞いたうえでまとめられており、国際的に権威ある基準になっているのである。だが、日本では、WHOの窓口である厚生省の一部を除いては、この『環境保健基準』の存在すら知られていない。

●環境庁にたずねても、労働省労働衛生課にたずねても、その存在すら知らなかった。しかし、ここで犠牲になるのは一般の人びとの健康であり、子孫への影響である。このまま高度情報化社会が進めば、その社会の電磁波的な環境は、人びとを巨大な電子レンジの中に閉じ込めてゆっくり焼きあげるようなものになっていくであろう。

剣持さんが書いたこの状況は、20年後の今、どのくらい改善されているのでしょうか。ここにはまだ、携帯電話は登場していません。剣持さんの「このまま高度情報化社会が進めば、その社会の電磁波的な環境は、人びとを巨大な電子レンジの中に閉じ込めてゆっくり焼きあげるようなものになっていくであろう」という記述が妙に気になっていました。

2002年6月3日の朝日新聞に次のような記事が出ていました。記事のリード部分には「通勤客は日々、強い電磁波にさらされている――。列車内では多くの乗客が持つ携帯電話の電磁波が重なって反射し合い、その電磁波密度は国際的な安全基準を大幅に超えうることが、東北大の研究でわかった」とあります。続報はあったのでしょうか。





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電磁波対策の最も進んだ国① VDT作業の世界標準

2007-06-13 05:35:23 | IT(情報技術)


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電磁波というのは光や電波の仲間で、レントゲン撮影に使われるX線は、なかでもエネルギーの高いものです。X線ががんを誘発したり遺伝子を損傷する可能性のあることは知られていますが、日常生活で大量のX線を浴びることは、まずありません。

しかし、ずっとエネルギーの低い電波は、さまざまな電子機器から発せられて、そこら中を飛び回っています。こんなに大量の電波にさらされて、健康に害はないのだろうかと懸念する声は、かねてよりありました。
 
電磁波対策が世界で最も進んでいる国は、おそらくスウェーデンでしょう。1992年、カロリンスカ研究所は、電力会社の全面的協力を得て、電磁波の人体への影響についての大規模な疫学的調査を行ないました。過去25年間のデータを調べ、サンプル数は25万世帯にものぼりました。その結果、電磁波が子どもの白血病とかかわりがあることがわかりました。 

スウェーデン政府はこの成果を踏まえ、高圧の送電線を学校などの生活ゾーンから引き離したり、VDT(テレビの画面やコンピュータのディスプレイのような端末機)からの電磁波の規制を世界に先駆けて行ないました。
  
VDTの作業者が、眼の疲れや視力低下、頭痛、吐き気などの症状を訴えることは、いまではよく知られています。これを防止するためにはどうしたらよいのか、具体的にはどのくらい休憩時間が必要なのかの基準策定のもとになったデータの多くは、北欧や欧米で蓄積されたものでした。スウェーデンの労働組合TCOが決めたVDTの作業基準は、いまでは世界標準となっていることを、ご存じの方がおられるかもしれません。




このシステムは1992年に開始されました。上のラベルは初期の段階(1995年)のもので、現在の最新のラベルは2006年のものがあります。このラベルにご関心のある方は次のウエブサイトが参考になるでしょう。
http://www.env.go.jp/policy/hozen/green/ecolabel/world/sweden2.html
http://www.tcodevelopment.com/index.html

この例にかぎらずスウェーデンでは、「疫学」(人間集団を観察することで得られるデータから、原因と病気の因果関係を定量的に明らかにする方法論)と呼ばれる学問が環境分野で応用され、その成果が行政担当部局と労働組合、企業など利害を異にする組織の間で共有され、行政的な対応に活かされています。このことは後日で紹介する「アスベスト問題」で有効性を発揮します。



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IT革命と環境問題 ⑨ スウェーデンはどうなっているか   

2007-04-09 11:47:35 | IT(情報技術)


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早いもので、「IT革命と環境問題」も今回で9回目を迎えました。このテーマはもともと3月30日のブログで紹介した世界経済フォーラム(WEF)が「07年版 世界IT報告書」でIT活用の世界ランキングでスウェーデン2位日本14位と公表したことがきっかけで設けたものでした。

これまでは、主に日本の状況を述べてきましたので、今回はスウェーデンの状況にちょっt触れておきます。まず、日本とスウェーデンのIT革命という概念の相違を見ておきましょう。



次は国際社会における日本とスウェーデンの状況ですが、次の2つの図をご覧になれば、説明の必要はないでしょう。日本よりもスウェーデンのほうが4~5年以上導入が早いことがおわかりいただけるでしょう。



ところで、皆さんは「デジタルデバイド」(情報格差)という言葉があることをご存じですか。パソコンやインターネットなどの情報技術(IT)を使いこなせる者と使いこなせない者の間に生じる、待遇や貧富、機会の格差のことです。個人間の格差の他に、国家間、地域間の格差を指す場合もあります。次の記事をご覧ください。


この記事の中で、木村さんは次のように述べています。

実際、こうしたデジタルデバイドの拡大は、市場競争原理を優先するアメリカ社会で顕著に見られる。他方、フィンランドなどの北欧では、小中学校からの情報教育に力を注ぎ、階層と関係なく情報・知識社会への適応力を育んできた。グローバル化や市場競争の重要性を同じように認めても、アメリカが社会的な変化のリスクを個人レベルで解決使用としているのに対し北欧諸国は社会全体でリスクを共有し、分散させようとしている。・・・・・アメリカ型階層社会を目指すのか、逆に北欧型を目指すのか・・・・・

木村さんの分析は、最初に掲げた「IT革命」に対する日本とスウェーデンの相違からも容易に理解できます。

最後に、スウェーデンの労働組合の一つであるTCOが1995年に定めたTCO規格がパソコンやVDTから発生する電磁波の国際標準規格になっていることを紹介しましょう。95年の規格は99年に改定されました。


3月30日のブログで紹介したWEFの国際ランキングの背景にあるスウェーデンのIT状況の一端をご理解いただけたでしょうか。今日で、「IT革命と環境問題」のシリーズを一端終了することにします。



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IT革命と環境問題 ⑧  IT革命、忘れてはならないこと   

2007-04-08 05:39:49 | IT(情報技術)


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今日は「IT革命と環境問題 ⑨」で、このシリーズの最終回です。

デジタル情報化社会のインフラ整備は、電力や設備コストの増加を促すだけでなく、システム・ダウンによる大きなリスクを社会全体がかかえることになります。

この分野の巨人、NTTグループの広報誌のひとつ「FUFION」(NTTファシリティーズ)の1999年春季号は次のように述べています。

デジタルを核とした「マルチメディア」の進展が、同時にエネルギー消費の増大を招くという事実は見落とされがちである。例えば、アナログ電話の時代には、通話時のみ電力を消費していたものが、ISDN等のデジタル回線では24時間常時通電されており、デジタル網ではアナログ回線網の約3倍の電力が必要だと推定されている。アクセス系が光方式になると、電気信号と光信号の変換のために、さらにエネルギーを消費する。

このまま社会が進展すると、エネルギーコストが膨らむことは避けられなくなり、エネルギー問題が「社会と企業が控える新たな課題」となることは必至である。一方、デジタル情報社会の企業経営を支える情報インフラの整備は「設備やエネルギーコストの増大」のみならず、「システム・ダウンによるリスク」や「エネルギー消費に伴う地球環境保護の企業責任」を同時に含んでいる。

同誌はNTTグループが1999年の時点で2005年および2010年の電力消費、IT社会におけるさまざまな課題を下図のように想定しています。





私の考えでは、IT革命を進めるにあったって、決して忘れてはならないことは、次の点です。


1997年12月16日に、TVアニメ「ポケモン」を見ていた子どもたちが、全国各地で同じ時間帯に身体の異常を訴えたあの「ポケモン・パニック」はその前兆かもしれません。


 
私は1月3日のブログ「人類史上初めて直面する2つの大問題」で、21世紀前半に私たちが人類史上初めて直面する大問題としてと「少子・高齢化問題」「環境問題」の2つの大問題を挙げました。これらに、「社会のデジタル化問題」を加える必要があるかもしれません。人類が初めて経験するこれら3つの大問題には「治療志向の国」(対策の国)日本の対応よりも「予防志向の国」(政策の国)スウェーデンの対応のほうが安心で安全な社会を志向する多くの方には参考になるはずです。

日本のIT革命の政治的位置づけは「さらなる経済発展」への起爆剤とされているようです。そうであれば、「IT革命と環境問題」で示しましたように、電力消費の増大は避けられそうにありません。それでは、稼働中にCO2をほとんど排出しない原発を・・・・?

次回から、原発に対する私の考えをお伝えし、原発議論の材料を提供できればと考えています。



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IT革命と環境問題 ⑦  IT化による電力消費の増加  

2007-04-07 08:08:05 | IT(情報技術)


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経済産業省の外郭団体である新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が2001年5月、「インターネットを介してやりとりされる情報量の増大により、パソコンなどIT関連の機器の消費する電力量は10年間で8倍に増え、2010年には現在の日本の電力需要の3分の1(原発30基分に相当)にも達するという予測」を公表していたことを付け加えておきましょう。

2001年5月21日の日本経済新聞、同年6月30日の東京新聞がこの報告を伝えています。また、2002年8月8日の電気新聞が総務省の調査で「2010年の社会では、CO2国内排出量が2000年比で3倍になる」としていることも付け加えておきましょう。




NEDOが公表した報告については、報告者の、(財)国際超電導産業技術研究センター副理事長の田中昭二さんが「インターネットが電力を食い潰す――カリフォルニア大停電、本当の原因はITだった」と題して「文藝春秋」の2001年8月号で詳ししく論じています。


いずれにしても、これらの調査結果が的中するかどうかはともかく、日本のように、ITが「経済発展」の刺激策や起爆剤の目的で導入されるかぎり、ITは4月4日のブログ「IT革命への期待と懸念」に示した2つの特性のうち、 ②の特性による「目的外の結果」として「電力消費の増加」「最終エネルギー消費の増加」「廃棄物の増加」に加えて、「環境への人為的負荷の増加」を誘発する可能性が高まることは間違いないでしょう。

環境問題を十分意識した「総合的な経済政策」がとられないかぎり、21世紀の日本社会は、ますます「環境負荷」と「人体負荷」の高い社会とならざるを得ないでしょう。

4月3日のブログ「乏しい環境経済・政策学会の反応」で書きましたように、  環境問題に関心を持って「環境経済・政策学会」に参加しているはずの日本の経済学者や研究者から「ITと環境問題」に対してほとんど発言がないのはどうしてなのでしょうか。



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IT革命と環境問題 ⑥  放送のデジタル化への懸念

2007-04-06 15:18:54 | IT(情報技術)


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総務省(旧郵政省)では、2010年末までに、「現在のアナログ方式の衛星放送、地上波、CATV」を「デジタル化」することが、すでに決まっています。
 

この計画によれば、いま使用中の「アナログ方式のテレビ受像機」のままではテレビが見られなくなるので、各家庭に普及している約1億台のアナログ・テレビ受像機の大部分が、デジタル放送受像機に切り替えられることから、大きな新規市場が創出できると期待されています。 

国民の多くが常に「景気の回復」を求めている日本では、これらの計画は魅力的かもしれませんが、規模の拡大を前提とした従来型の経済成長の考えでは、「1億台と推定され得ているのアナログ・テレビ受像機」の大部分や数1000万台に達する旧型パソコンが廃棄物となることは、火を見るよりも明らかでしょう。


消費者は、「これから普及が期待されるハイビジョン・テレビやワイド・テレビ、マルチメディア対応テレビ、デジタル対応テレビなどは、これまでのテレビに比べて消費電力が各段に大きくなる」という実際にテレビ開発にたずさわっている家電メーカーの技術者の声に耳を傾ける必要があります。

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IT革命と環境問題 ⑤  テレビ会議はCO2を削減するか?  

2007-04-06 06:52:07 | IT(情報技術)


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NTTはIT業界の巨人ですから、その生活環境研究所という名称で多くの一般読者は疑問を持つこともなく納得してしまうでしょう。この発表は読者をミスリードします。

テレビ会議の利用がCO2やエネルギー消費削減効果を発揮すると考えられるのは、テレビ会議の利用が化石燃料を現実に代替した場合のみです。


これでは、CO2削減効果もエネルギー消費量削減効果も生じません。
 
テレビ会議の開催により、NTTの出張会議の参加者が公共交通に乗らなくなることは事実でしょうが、公共交通機関の広報担当者は、別の顧客集めのPRを行なうでしょう。この種の議論では、「企業はつねに、需要の掘り起こしに努めていること」を忘れてはなりません。


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IT革命と環境問題 ④  IT革命による「部分改良」が社会全体のエネルギー消費を減らすか?  

2007-04-05 08:06:08 | IT(情報技術)


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IT革命によって物流革命が起こり、とくに「輸送の効率化」が図られることは間違いないでしょう。しかし、日本では3月16日のブログでお話したように、 「効率化」と「省エネ」の考え方が混同されています。
 
世界最高水準の燃費を誇る日本車や日本の省エネ型家電製品も、使用台数が増えれば、エネルギー総消費は増えてしまいます。技術による省エネは、 「上限を決めないかぎり、その効果は使用台数が増えることにより相殺されてしまうこと」 に気がつかなければなりません。

問題は社会全体を構成するさまざまなプロセスの「IT革命による部分改良」が、社会全体のエネルギー消費を減らすか、あるいは増やすかです。 

具体的には、IT革命により、モノ・サービスの総量が減少して、大量生産・大量消費・大量廃棄の市場経済システムの物流を支えている車両、航空便、船便、鉄道便などの交通手段が政策やシステム変更あるいは社会的要請によって削減されたら、日本社会がどうなるかです。
 
市場経済システムのもとで環境問題を矮小化し、つねに経済の持続的拡大を志向してきた日本は、物流の総量減少に耐えられるでしょうか。



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IT革命と環境問題 ③ 「IT革命」への期待と懸念 

2007-04-04 06:58:55 | IT(情報技術)


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3月30日のブログで、 世界経済フォーラムが07年版「世界IT報告」を発表したことをお知らせしました。ITの活用状況はスウェーデンが2位、日本が14位でした。この結果を頭に置きながら、「エネルギーや環境問題」に対する ITの特性を考えてみましょう。  



スウェーデンのように「緑の福祉国家(生態学的に持続可能な社会)の実現」を21世紀前半社会のビジョンとする国では、①の特性に期待をかけます。そして、2月4日のブログ次の図が示すような成果をあげています。


しかし、日本のIT革命は、4月2日のブログ4月3日のブログが示すように、「現行経済の持続的拡大(持続的な経済成長)」という暗黙の了解のもとでの、「景気刺激策」や「経済発展の起爆剤」としての期待ですから、②の特性が導き出される可能性が高くなります。 

ITのインフラが十分に整備されれば、多くの取引がネット上で行なわれるようになります。保険契約、銀行取引、音楽・ビデオ配信、新聞・書籍の配信、電子決済などは、すべての取引がネット上で完結するので、効率化や省エネ化を図ることができますが、「モノ」の輸送だけはネット上では完結できません。  

物流システムは、IT革命がいくら進もうとも、実体経済のなかでかならず重要な地位を占めます。消費者や事業所への配送ニーズは、これまで以上に高まるでしょう。したがって、輸送エネルギーがこれまで以上に増加し、2月17日のブログ「経済、エネルギー、環境の関係」で書いたように、社会全体のエネルギー消費量を増加させる可能性があります。 


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