環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

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「将来不安」の解消こそ、政治の最大のターゲットだ

毎日新聞の連載記事 「暖かな破局」(第3部 削減を阻むもの)を読む ②

2008-03-19 12:52:17 | 温暖化/オゾン層
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毎日新聞が3月4日から8日まで、5回にわたって「暖かな破局」(第3部 削減を阻むもの)という連載記事を掲載しました。「第3部 削減を阻むもの」というサブタイトルが付けてあることから容易に想像できますように、この連載記事を企画した担当者や実際の取材にかかわった記者の方々が明らかにしたかったことはなぜ、日本では温室効果ガスの削減が進まないのか、その原因を探ろうとしたものです。そのあらすじの要約は昨日の記事をご覧ください。

今日は、上記の連載記事の最終回として3月9日の毎日新聞が掲載した「企業へのアンケート調査」の結果の概要をお知らせします。

企業へのアンケート調査」

暖かな破局

7月に開かれる北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)は、環境問題が焦点となる。日本では4月に今日議定書の約束期間が始まり、地球温暖化対策は待ったなしだ。毎日新聞が主要120社に実施したアンケート(回答率90%)では、議定書を評価しつつも、削減目標の達成を疑問視する声も根深い。主要排出源の企業の取組は十分か。排出削減の最前線を報告する。(温暖化問題取材班)




3月9日の毎日新聞は4面すべてを使って、紙面の左側に今年1月末から2月中旬にかけて120社を対象に行った「企業へのアンケート調査の結果」の詳報を、紙面の右側には、松下電器産業の空調機子会社、松下エコシステムズとソニー、佐川急便の取り組みの紹介と、環境NGOの気候変動ネットワークの畑直之さん、東北大学教授の明日香寿川さん、京都大学教授の一方井誠治さんのコメントを掲載しています。

昨日と同じように、記事を読む機会がない方のために、そして、私自身のメモとして、日本の代表的な企業120社がどのような考えを持っているかについてある程度の推定ができるよう見出しを拾い出しておきます。 

紙面の左側:企業アンケート詳報

環境税導入に過半数反対
温暖化対策 「成長制約せず」 68%    電力、鉄鋼中心に「京都」評価せず
暫定税率廃止 賛否は拮抗  
 

紙面の右側:松下エコシステムズ、ソニー、佐川急便

企業 創意工夫で独自策
排出削減の現場 松下・・・・・省エネ空調で2割減、ソニー総量目標を先行導入
識者のコメント 「目標不透明」批判も ■自主行動計画  改善ペースは鈍化 ■エネルギー効率        方向性がなく、各企業は困惑

紙面の中央:90年代前半を風靡したあの言葉、絞れ「乾いた雑巾」 が据えられています。


私は、この記事を眺めただけで、日本の状況は絶望的だと思ってしまいます。国民各層の間で「温暖化対策」に対する共通の認識が十分に共有されていないからです。私の予測が大きく外れることを期待するのみです。



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毎日新聞の連載記事 「暖かな破局」(第3部 削減を阻むもの)を読む

2008-03-18 22:05:50 | 温暖化/オゾン層
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毎日新聞が3月4日から8日まで、5回にわたって「暖かな破局」(第3部 削減を阻むもの)という連載記事を掲載しました。「第3部 削減を阻むもの」というサブタイトルが付けてあることから容易に想像できますように、この連載記事を企画した担当者や実際の取材にかかわった記者の方々が明らかにしたかったことはなぜ、日本では温室効果ガスの削減が進まないのか、その原因を探ろうとしたものです。

興味のある方は、この連載記事を読んでいただきたいと思いますが、記事を読む機会がない方のため、そして私自身のメモとして何が日本の問題なのかをある程度推定できるように、それぞれの記事の見出しを拾っておきましょう。

ここに書かれている日本の問題点は、私のブログですでに述べてきたことばかりで、特に目新しいことはありません。関連記事として過去のブログ記事にリンクを張っておきます。私の基本認識では、たとえ、ここにあげられた問題点が改善されても(排出権取引を導入し、IT化が進展し、森林計画が順調に進み、原発が正常に稼働し、そして風力発電がかなりの割合で設置されても) 、日本の二酸化炭素の排出量を削減することは難しいでしょう。日本の温室効果ガスの総排出量の90%を占めると言われているエネルギー起源の化石燃料の削減が実質的に担保されていないからです。

関連記事

スウェーデンは今、GDPの成長と温室効果ガス(GHG)の排出量の「デカップリング」がさらに明確に(08-03-16) 

日本政府が温室効果ガスの排出枠をハンガリーから購入(07-11-30) 


暖かな破局(第3部 削減を阻むもの) ①排出量取引 導入検討
●首相「洞爺湖」見据え決断

政府は国内排出量取引の導入検討を表明した。地球温暖化対策の一環で、活動が規制されると導入に反対する経済界を押し切った。なぜ、急転したのか。第3部は首相官邸から始めたい。

関連記事

混迷する日本⑭ 「CO2排出権取引論」の虚実、10年前の議論だが(08-01-28) 


暖かな破局(第3部 削減を阻むもの) ②IT化でCO2増

京都議定書の目標達成に伏兵が現れた。IT(情報技術)の急激な拡大だ。業務効率化で省エネにつながると期待されたが、事情は違うようだ。

●排出量、効率化上回る予測も

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暖かな破局(第3部 削減を阻むもの) ③森林依存 計画倒れ

日本は京都議定書の削減目標6%のうち3.8%分を森林の二酸化炭素(CO2)吸収で賄う計画だ。実現には森の手入れが不可欠だが、林業の衰退で達成は難しい。

●CO2吸収 間伐遅れが障害

関連記事

暖かな破局(第3部 削減を阻むもの) ④原発は不安定な電源

二酸化炭素(CO2)の排出が少ない原発が世界的に見直されているが、国内では相次ぐ運転停止で「不安定な安定電源」となっている。排出削減が進まないと、電気料金にも影響が出る。

●「石炭」増加、温暖化対策は後手

関連記事

暖かな破局(第3部 削減を阻むもの) ⑤風力発電に「逆風」(最終回)

風力は二酸化炭素(CO2)を排出しない再生可能エネルギーだ。欧州で急拡大するが、日本では逆風が吹いている。

●電力業界、コスト増に反発

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 スウェーデンのエネルギー政策記事を掲げたスウェーデン大使館広報誌「CARING」

2008-03-17 10:28:09 | 原発/エネルギー/資源
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スウェーデン大使館の広報誌「Excellent SWEDEN CARING Vol.10」(スウェーデン大使館&株式会社シルバーストーン発行 毎年1冊)が、2月に出版されました。この10号は創刊10周年の記念号で、「子供の環境」の特集を組み、スウェーデンのエネルギー政策に関する記事を6本掲載しています。


この10年間のスウェーデンのエネルギー政策と現状が書かれていますので、概要を紹介します。


●巻頭インタビュー:駐日スウェーデン大使 ステファン・ノレーン
 エネルギー問題 一つの普遍的解決方法は無い 
実験国家と言われるスウェーデン。10年を振り返って、今後持続可能な社会に向けてスウェーデンはエネルギー問題、子供を取り巻く環境にどう取り組むか、ノレーン駐日スウェーデン大使が語った。


●時代を読んだスウェーデンの選択:エネルギーの効率化を目指す 
環境を考慮した供給システム、次世代に資源を残す

①原子力に替わる第3の供給源:モード・オロフソン産業大臣
スウェーデンのエネルギー政策、その修正と変化。その先を見据えるのは再生可能エネルギー、第3の供給源の可能性だ。 

→目指すは廃棄物からのエネルギー、大いなる可能性を秘めたバイオ、エネルギー 使用を減らす、議長国からの提案




②実現は調和:レクサンド市のエネルギー政策
国の方針に基づき再生可能エネルギー推進に向けて努力する自治体。しかし、現実的にはなかなか直球勝負とは行かない。住民の生活、財政、風土、様々な面を考慮し、模索し、対策を搾りだす。それが自治体に課せられたエネルギー政策だ。

→電力生産と送電企業、地域暖房はバイオエネルギー、「窓」から始めるエネルギー削減

③シンプルな贅沢:エリック・ハッセルベリー、アネッテ・ハッセルベリー
未来の子供たちに何を残してあげられるか? エネルギー削減を考えるとシンプルな生活へと繋がっていく。

→住環境に合ったエネルギー、省エネがインテリアに


④自然環境が映える生活術:レナート・ヨハンソン、バルブロ・ヨハンソン
菜食主義を貫くヨハンソン夫妻。自然の恩恵を受けた、健康的に楽しく暮らすライフスタイルが省エネになる。

→自然と共に暮らす、光熱費は自然から

 ⑤スウェーデンのエネルギー政策の変遷:環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎
「地球温暖化を含む環境問題」の解決はエネルギーの総供給および総消費量をいかに抑え込むかにかかっている。この機会に、70年代から現在に至るまでのおよそ35年間のスウェーデンのエネルギー政策の変遷を概観する。

化石燃料に恵まれなかった福祉国家
 エネルギー体系修正への試み:原発先進国であり、脱原発先進国、原子力に対す る考え方の変遷、原子炉廃棄の最終期限の撤廃、2基の原子炉の廃棄、21世紀 前半社会に向けて

 エネルギー体系修正への挑戦
 2002年の「エネルギー政策」、エネルギー消費と経済成長(GDP)のデカップリング、2050年を目標として提案された2つの報告書、温室効果ガスは 7%減少、GDPは36%成長



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スウェーデンは今、GDPの成長と温室効果ガス(GHG)の排出量の「デカップリング」がさらに明確に

2008-03-16 12:31:59 | 温暖化/オゾン層
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今年2008年は、1997年に採択された「京都議定書」の約束期間の始まりの年です。7月7日から9日まで洞爺湖サミットが予定されています。そのようなわけで、マスメディアが一方的に多量のフローの情報を流すので、少しはストックな情報を提供することによって議論に道筋をつけたいと考え、 「1990年代の日本の温暖化対策」の大筋をとらえる試みを行って来ました。その結果、日本は1990年代にほとんど有効な手立てを行ってこなかったことが確認されたと思います。また、2000年以降の取り組みも国際社会をリードするまでには至っていないように思います。 

そこで、今日はスウェーデンの状況をとりあげます。スウェーデンは1995年1月1日にEUに加盟しました。それ以降、スウェーデンの政策はEUメンバーとして、EUに協力すると同時に、スウェーデン独自の政策を展開していくことになりました。

1996年にスウェーデンが「エコロジカルに持続可能な社会(緑の福祉国家)の構築」を21世紀前半社会のビジョンとして掲げてから12年が経とうとしています。スウェーデンの考え方が日本の考え方と決定的に異なるのは、「エコロジカルに持続可能な社会の構築」が国家のビジョンであって、「気候変動(地球温暖化)への対応」はそのビジョンを実現する一側面(最大のものではありますが)だということです。


現在に至るまでのスウェーデンの行動計画については、私のブログの「市民連続講座 緑の福祉国家」で63回にわたってひととおり書きましたので、今日はこの12年間の「気候変動への対応」の結果だけを紹介します。そのためには、次の5枚の図を紹介するだけで十分でしょう。






図5は一次エネルギーの供給量が90年以降13年間若干増えているものの、ほとんど横ばいの状況にあることです。この間の経済成長は伸びています。なお、図5の原子力について注意してほしいことは、図の3分の1が実際に発電に使われている量で、残りの3分の2は排熱として捨てられていることです。つまり、電力への転換ロスがきわめて大きいのが原子力エネルギーの特徴なのです。 


2008年2月21日、スウェーデンのラインフェルト首相はEU議会で演説し、「1990年以来、スウェーデンは44%の経済成長(GDP)を達成し、この間の温室効果ガスの排出量を9%削減した」と語りました。

ここで重要なことは、これまでの結果が国内の努力によって達成したものだということです。京都議定書以降はEUの一員として、EUの次の目標である2020年に向けて、さらなる温室効果ガスの削減に努めることになります。

以上のデータから、スウェーデンでは経済成長(GDPの成長)と温室効果ガス、二酸化炭素、一次エネルギーの供給の間のデカップリング(相関性の分離)が認められるようになってきたと言えるでしょう





関連記事

緑の福祉国家24 エネルギー体系の転換③ GDPと1次エネルギー消費のデカップリング(07-04-24) 

一人当たりのCO2排出量の現状と将来の目標(07-10-23)

EU、CO2削減の国別数値目標を提案(2008-01-30) 


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EU、温室効果ガス削減を2009年に法制化をめざす

2008-03-15 13:17:01 | 温暖化/オゾン層
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EUが、今年1月に提案した温室効果ガスの国別削減目標に関する首脳会議がブリュッセルで開催され、2009年前半に関係法を成立させることを申し合わせた、と今朝の朝日新聞が報じています。

この件をもう少し具体的に紹介した関連記事がありますので、合わせてご覧ください。


関連記事

EU、CO2削減の国別数値目標を提案(08-01-30)


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日本のCO2排出量 もう一つの側面

2008-03-14 10:17:35 | 温暖化/オゾン層
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3月8日の毎日新聞と3月12日の朝日新聞が、日本のCO2排出量について「もう一つの側面」を紹介しています。記事のもとになっているのは、環境NPO「気候ネットワーク」の最新の分析によるものです。







これらの記事によると、気候ネットワークは「03年度のCO2の国内排出量推計」に続いて上の記事のもとになった「05年度のCO2の国内排出量推計」を公表しているようです。私の手元に、「03年度のCO2の国内排出量推計」をまとめた資料がありますので、関連部分を紹介します。上の記事と読み合わせると、日本の地球温暖化政策の「もう一つの側面」が見えてくるように思います







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国連への日本の提案 セクター別アプローチ、実効性はどうか?

2008-03-13 18:55:34 | 温暖化/オゾン層
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温室効果ガスの削減に関する国連への日本の提案が明らかになったと、3月5日の朝日新聞が報じています。同日の毎日新聞は、昨日、紹介した記事にあるように、日本の提案の内容の紹介よりも、その提案が提出期限を過ぎてもまだ、国連へ提出されていないことを重視していました。

朝日新聞が報じた「日本の提案」はセクター別アプローチと呼ばれる積み上げ方式です。






日本の提案は昨年12月のCOPで提案され、今年1月に世界経済フォーラムの総会で表明した構想に基づくものだそうです。世界経済フォーラムで表明された構想に対して大阪大学の西條辰義さんが朝日新聞の「私の視点」で「日本の積み上げ方式」に異論を唱えておられます。



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国連へのポスト京都提案 日本、締め切り遅れ、

2008-03-12 22:26:41 | 温暖化/オゾン層
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何ということでしょうか。3月5日の毎日新聞のこの記事を読んで、私は愕然としました。そして、18年前のリオデジャネイロの地球サミットのときのことを思い出しました。この時も、日本は国連環境会議に提出すべき報告書を提出期限内に提出できなかったのだそうです。最も、この時はスウェーデン以外は皆、状況は同じだったようですが。

関連記事

90年代日本の温暖化対策④ 18年前、OECD 日本にCO2導入圧力(07-02-11) 


日本は、CO2排出量が世界の2%以上ある主要国の中で、ロシアとカナダとともに、2月22日の締め切りを過ぎてもまだ国連に「ポスト京都議定書の提案」を提出していないのだそうです。


そして、未提出の理由が「国内での合意形成の遅れ」という、何とも日本特有の理由であることに失望感を禁じえません。




社会的な合意形成はスウェーデンが最も得意とすることですし日本が最も不得意とするところです。私のブログでも2007年2月28日の「社会的な合意形成① 合意形成への2つのアプローチ」 から 3月8日の「社会的な合意形成⑩ 私たちには英知があるのだろうか」 まで10回にわたって検証してきました。あれから1年経ってしまったのですね。もう一度1年前を振り返ってみることが必要でしょう。


関連記事

たとえば、社会的な合意形成③ 皆さんへの質問(07-03-02)



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またまた過去最高を更新、2つの財政指標

2008-03-11 10:37:33 | 経済
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混迷を続ける日本で、確実に、そして、着実に、「過去最高」を更新している2つの財政指標があります。何かと異論の多い「国民負担率」と「国の借金残高」です。


●国民負担率


2008年1月24日の毎日新聞の記事です。




●国の借金残高


これらの件については、改めてコメントをする必要はないでしょう。好ましいことではなさそうです。前回の発表との比較にご関心のある方は、次の記事をご覧ください

関連記事
またまた更新、3つの指標(07-08-26) 



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2008年1月の景気動向指数

2008-03-10 16:04:05 | 経済
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今月もまた、内閣府が「景気動向指数」を発表する時期となりました。下の図は3月6日に発表された2008年1月のものです。


私の環境論では、20世紀後半に顕在化した「環境問題」の大半は、私たちが豊かになるという目的を達成するために、企業による生産活動と市民の消費活動があいまってつくりだした経済活動の「目的外の結果」が蓄積したもの です。経済活動が大きくなれば「目的外の結果」も比例的に、あるいはそれ以上に大きくなります。

ですから、これからの経済は、 「経済活動(モノやサービスの流れ)」を「金の流れ」で見るのではなく、「資源・エネルギーの流れ」で見なければなりません。

そのためには経済成長(GDPの拡大)、具体的には「個人消費の拡大」「設備投資の拡大」「貿易の拡大」「民間住宅投資の拡大」「巨大構造物の建設」といった、これまで当然視してきた「拡大志向の考え方」やその考えを支えてきたさまざまな「経済指標」を変えなければならないでしょう。それは、こうした指標が「資源・エネルギー・環境問題」の現状をまったく反映していない性格のもの だからです

たとえば、「景気動向を最も的確に示す」といわれ、内閣府が毎月6日頃に公表する「景気動向指数(DI)」があります。私がまず変えるべきだと思うのは、この指数を構成する指標です。景気動向指数は、景気と深いかかわりを持っている30の指標からなっています。景気に先行する「先行指数」(11指標)、景気と一致して動く「一致指数」(11指標)、景気に遅れて動く「遅行指数」(8指標)ですが、これら3つの指数は高度成長期に入る1960年代に創設され、80年頃に現在の指数に定着したものです。

上の図に示したように、ほぼ30年前に定着した「一致指数」を構成する11の指標は、生産指数(鉱工業)、大口電力使用量、稼働率指数(製造業)、商業販売額(小売業および卸売業)、営業利益(全産業)など、すべて「経済規模の拡大」を前提とした指標だからです。「先行指数」や「遅行指数」も同様です。


関連記事

2007年12月の景気動向指数(08-02-07)



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日本の「失われた10年」は経済分野だけではない、環境分野も!

2008-03-09 17:39:19 | 温暖化/オゾン層
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一昨日、1990年代の「日本の温暖化政策」の大筋の流れをまとめました。そして、わかったことは1988年から2000年に至るまで、つまり、 「90年代に、日本は温暖化問題に対してほとんど何も有効な対応策をとってこなかった」ということでした。

昨日は、10年前の1997年前後にマスコミを賑わし、今なおその余韻を引きずっている「乾いたぞうきん論」というおそらく国際社会では通用しないであろう日本独自の論を紹介しました。

偶然ではありますが、3日前の朝日新聞のコラム「ウオッチ」が、「京都から失われた10年」と題して、日本のエネルギー消費(一人当たり)が1割も下がったのは、この100年で片手で数えるほどしかない、とある地球温暖化問題の専門家の見方を紹介しています。





本来、京都議定書の趣旨は、先ずエネルギー起源のCO2を削減し、それでも目標が達せられ場合に、排出量取引などの補完的措置が設けられているのです。日本の場合は順序が逆です。なぜそのようなおかしなことになってしまうのでしょうか。それは、日本が未だ「経済の持続的拡大」という20世紀の発想をそのまま維持し続けているからだと思います。

関連記事

混迷する日本⑭ 「CO2排出権」取引論の虚実、10年前の議論だが


私も同じようなことを考えていましたので、このブログでも折にふれ「日本はほんとうに省エネ国家なのか」と疑問を呈し、日本のエネルギー消費は基本的には常に上昇傾向にあることを取り上げて来ました。改めて皆さんの確認のために関連データを紹介します。これから7月のサミットに向けて「地球温暖化問題」がマスメディアを賑わすことが容易に想像されるからです。一見もっとらしい怪しげな議論に惑わされないために。 







関連記事

経済、エネルギー、環境の関係(07-02-17) 

日本はほんとうに省エネ国家なのか? 評価基準の見直しを!(07-03-17) 

不十分な日本の「省エネルギー」という概念、正しくは「エネルギー効率の改善」という概念だ!(07-11-26)

省エネルギーの考え方(07-11-27)


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1990年代前半のもう一つの日本発の議論「トリレンマ」

2008-03-08 08:54:52 | 環境問題総論/経済的手法
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昨日の「乾いたぞうきん論」で思いだしたのは、1990年前半を風靡した「トリレンマ」というもう一つの日本発の概念でした。この概念も当時は新鮮な感じがして、団塊の世代の方には、懐かしい概念だったと思います。


皆さんご存じのように、10年前の1997年12月に「地球温暖化防止のための京都議定書」が採択されましたが、その年の4月から日本工業新聞で毎週1回金曜日に、「小沢徳太郎のグリーン時評」と題する私のコラムが始まり、半年間掲載が続きました。私はこの連載の最初の2回に「トリレンマ」という概念を取り上げました



この概念も「乾いたぞうきん論」とともに、いまなお、日本の企業人の環境問題に対する考え方に根強く残っており、日本の現在の「地球温暖化の議論」の社会的・経済的側面の混迷に影響をおよぼし続けているのではないでしょうか。

関連記事

 「トリレンマ」という概念への疑問(07-03-24) 




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1990年代の「日本の温暖化政策」⑳(最終回) 温暖化対策議論を混乱させた「乾いた雑巾論」

2008-03-07 19:42:28 | 温暖化/オゾン層
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2月8日から始めた1990年の「日本の温暖化政策」シリーズを今日で締めくくりたいと思います。締めくくりにあたって、京都議定書が採択された1997年前後にマスメディアを賑わせた、今となってはこっけいではありますが、団塊の世代には懐かしい、いわゆる「乾いた雑巾論」を紹介します。これらの記事をお書きになったジャーナリストは当時のご自身の書かれた記事を10年経った今読み返してみて何を思うのでしょうか。






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1990年代の「日本の温暖化政策」⑲ まとめ

2008-03-06 21:23:47 | 温暖化/オゾン層
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2月8日から19回にわたって、1990年代の「日本の温暖化政策の流れ」の大筋をつかむ試みを行いました。温暖化政策の専門家でもなく、ましてや日本の温暖化政策の担当者でもない私が、このような試みを公開資料に基づいて行うときに、比較的容易で、しかも、かなり有効な手法は、政府の温暖化政策を報じた新聞記事の流れを時系列的に見ていくことです。

今日は、その大まかな結果を箇条書きにしてみました。

1988年 (20年前)

6月にカナダのトロントで「大気変動に関する国際会議」が開かれた。 

この会議で、先ず先進工業国がCO2の増加を抑えるために「省エネ」「CO2を出さないエネルギーへの転換」で、2000年までにCO2排出量を20%削減すべきであると提言された。この際に、原子力を非化石燃料に加えるかどうかについて議論されたが、原子力には反対の人が多かった。  

1986年当時の日本のCO2排出量は7億8000万トンで、その排出量は世界4位であった。

6月にIPCC(国連の気候変動に関する政府間パネル)の設置が決定され、 


1989年

●日本政府は11月に行われた「大気汚染と気候変動に関するオランダ会議」で、CO2の削減目標値の設定に反対することを決めた。


●目標値設定に賛成しているのは、オランダのほかノルウェー、スウェーデンなどの北欧諸国とフランス、西ドイツ、カナダなど西側先進国であった。米国は反対であった


1990年

政府は10月23日に、「地球温暖化防止行動計画」を正式に決定した。 

その中で、「CO2排出量を2000年に1990年水準に安定化する」という目標を初めて設定した。

10月23日から始まった国連の「第2回世界気候会議」の開催前に、13カ国が2000年あるいは2005年を目標とするCO2の削減目標を設定した。       


1992年

政府は5月22日に、「CO2排出抑制目標」となる「1990年度のCO2国内排出総量」を11億7000万トン(炭素換算で3億1800万トン)と定めた。 

1990年度のCO2排出量の発生源別の内訳は、石油、石炭などの化石燃料によるものが、炭素換算で2億8810万トン(90.6%)であった。

1990年度の1人あたりのCO2排出量は2.57トン(CO2換算で約9.4トン)であった。

今後はこれらの数値を基に、各種の温暖化防止対策が実施される。

「CO2排出量を2000年に90年水準に安定化する」という国際公約に対して、85年のCO2排出量は89年には13%増えていることがわかった。


1997年

97年版環境白書が「温暖化対策は不十分」であることを初めて認めた。 

5月、政府は1995年度に日本で排出されたCO2は炭素換算で3億3200万トンと過去最悪であったことを公表した。90年度比8.3%増であった。  

8月8日、通産省・エネルギー庁は「2010年に日本のCO2排出量を1990年水準に削減するには原油換算で5000万キロリットル分を削減することが必要で、この量は95年の全家庭で使われたエネルギー総消費量にほぼ匹敵する」という試算を公表した。 

12月京都議定書が採択され、90年比日本6%、米国7%、EU8%削減の基本合意がなされた。 


1998年 (10年前)

1月26日、通産省は先月の京都議定書の採択に当たって合意された「2008年~2012年にCO2などの温室効果ガスの排出量を90年水準より6%削減する」という約束を守るためには、原油換算で5600万キロリットルのエネルギー消費の削減が必要なことを明らかにし、日本のエネルギー政策の基本となる「長期エネルギー需給見通し」を改定することを決めた。     


次の図は2001年時点のCO2削減実績を示しています。合わせて、1990年10月23日から始まった国連の「第2回世界気候会議」で国際公約した13カ国の数値目標を示します。この2つの図から国際公約とその実績、97年12月の京都議定書の途中経過を知ることができます。



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1990年代の「日本の温暖化政策」⑱ 11年前、京都議定書採択後初めての通産省のCO2排出量予測試算

2008-03-05 10:06:40 | 温暖化/オゾン層
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11年前の1997年12月11日、京都議定書が採択され、日本の温室効果ガスの排出削減目標が「約束期間に90年比6%減」と決まり、これが日本の国際公約となりました。この決定を受けて、当時の通産省(現経産省)が「約束期間の終わる2010年までにどれだけのエネルギー消費を削減する必要あるか」を試算しました。次の記事をご覧ください。



なんと、 「原油換算で5600万kl相当のエネルギー消費の削減が必要」とのことです。今後2010年の京都議定書の約束期間内に、この程度のエネルギー消費削減が達成されるような行動計画を政府は策定することになります。



そして、98年6月、上の記事にありますように、通産相の諮問機関である総合エネルギー調査会は「長期エネルギー需給見通し」を公表しました。




ここで、少々、「長期エネルギー需給見通し」について説明しておきましょう。

1965年に通商産業大臣の諮問機関として総合エネルギー調査会設置法により、総合エネルギー調査会が設置された。当初の「長期エネルギー需給見通し」では低廉な石油輸入によるエネルギー供給体制を基本とし、石油供給の低廉、安定、自主が重要な課題とされた。

1970年代の2度のオイルショック以降は石油依存度の低減、省エネルギーの必要性が重視されるようになり、「長期エネルギー需給見通し」の役割は、基本的にはエネルギー需給の将来像を示しつつ、エネルギーの安定供給へ向けた取組みを促すという実勢を踏まえた自然体の見通しに近いものとなってきた。

1990年以降の「長期エネルギー需給見通し」では地球環境問題への対応の必要性という考え方が導入され、日本の長期的なエネルギー政策の努力目標としての性格を併せ持つようになった。

「長期エネルギー需給見通し」は90年以降、日本のエネルギー政策の定量的な目標とされています。経済産業大臣の諮問機関(審議会)である総合資源エネルギー調査会の答申は総合エネルギー対策推進閣僚会議に報告され、そして、了承され、国会の審議もないまま国のエネルギー政策の基本として機能しています。


また、日本政府の「90年代以降の地球温暖化政策推進大綱」のエネルギー部分は、この「長期エネルギー需給見通し」を基に作られています。日本のCO2の全排出量のおよそ90%が化石燃料の消費であることを考えると、この「長期エネルギー需給見通し」が日本の「地球温暖化防止政策」に大きく関与していることがおわかりいただけるでしょう。


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