環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

「経済」 「社会」(福祉) 「環境」、不安の根っこは同じだ!

「将来不安」の解消こそ、政治の最大のターゲットだ

2011年7月のブログ掲載記事

2011-07-31 10:44:52 | 月別記事一覧
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1.2011年7月のブログ掲載記事(2011-07-31)

2.10年来の私の懸念:日本の地デジ対策に伴う「アナログTV」の不法投棄(2011-07-23)

3.毎日新聞 福島1号機 東電ベント不調報告(2011-07-22)

4.もし、福島第一原発の原子炉格納容器にスウェーデンの「フィルトラ・システム」が設置されていたら(2011-07-20)
  

5.携帯電話の発がん性は(2011-07-19)

6.1980年のスウェーデンの「原子力に関する国民投票」(2011-07-18)
  

7.「不安でいっぱいだが、危機感が薄い国」と「危機感は強いが、不安は少ない国」(2011-07-10)



10年来の私の懸念:日本の地デジ対策に伴う「アナログTV」の不法投棄

2011-07-23 21:47:35 | 廃棄物
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 明日は日本のテレビ放送が「アナログ」から「デジタル」へ変わる歴史的な日です。

 国の意思による「地上デジタル放送への完全移行」に伴うであろう「アナログTV」の不法投棄問題は私の10年来の懸念でした。マスメディアが報ずる「地上デジタル放送の完全移行」に関するニュースのほとんどは「デジタル化のメリット」と「デジタル化への放送インフラの進捗状況」に関することばかりで、私の懸念である「アナログ・テレビの今後の行方」に関する報道は極めて少なかったと言えるでしょう。

 そうした中、今日の朝日新聞夕刊が一面で次のような記事を掲載しました。


 タイミングの良い記事ではありますが、何とも平坦な危機感の無い記事です。全国的にはどうなのでしょうか。この記事を補う意味で、私のこのブログから関連記事を紹介します。私の10年来の懸念が単なる杞憂であればよいのですが・・・・・


このブログ内の関連記事
IT革命と環境問題 ⑥  放送のデジタル化への懸念(2007-04-06)

「放送のデジタル化」と「ブラウン管テレビの行方」(2007-07-17)

「地デジへの移行」のもう一つの難問 「アナログTVの廃棄物化への対応」に問題はないか!(2010-03-20)


また、スウェーデンでは、社会の仕組みが不法投棄を制度的に抑えていると言えるでしょう。

このブログ内の関連記
緑の福祉国家50 廃棄物に対する「製造者責任制度」の導入⑭  電気・電子機器に対する製造者責任制度③(2007-05-20)



毎日新聞 福島1号機 東電ベント不調報告

2011-07-22 12:18:32 | 原発/エネルギー/資源
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今日の毎日新聞朝刊が一面トップで、東京電力が3月12日午後に福島第一原発1号機で格納容器の圧力を下げる目的で行ったベントの成否について疑問を呈しています。この問題は非常に重要ではありますが、当事者以外にはわからない問題ですので、将来の議論のために記録に留めておくことにします


このブログ内の関連記事
もし、福島第一原発の原子炉格納容器にスウェーデンの「フィルトラ・システム」が設置されていたら(2011-07-20)



もし、福島第一原発の原子炉格納容器にスウェーデンの「フィルトラ・システム」が設置されていたら

2011-07-20 18:47:24 | 原発/エネルギー/資源
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 スウェーデンは「科学技術」と「社会制度」のバランスがよくとれた懐の深い国です。日本のスウェーデン研究者の間では、「スウェーデンと日本の両国民の資質には共通な部分がかなりある」と言われますが、両国が長年にわたって築き上げてきた「 現実の社会(制度)」 「将来に対する見通し」には、雲泥の差があります。自然科学や社会科学に基礎を置く理念のもとで、適正な技術、ほどほどの精神、現実へのすばやい対応など、スウェーデンが20世紀後半に実践してきた行動や考え方は、21世紀の「安心と安全の未来」への道を開くことになるでしょう。

 このような認識から、私はこのブログでは両国の共通点よりも、むしろ意識的に相違点に注目してきました。

 さて、 「予防志向の国」スウェーデンと「治療志向の国」日本、あるいは「あべこべの国」日本とスウェーデンという判断基準に基づいて原発の安全性に対する両国の技術的対応の相違を検討してみましょう。ここでは、細かい技術論は専門家にまかせて、誰にでもすぐわかる「原子炉格納容器のベント」に注目します。

 1979年のスリーマイル島原発事故を教訓にスウェーデンは、原子炉の安全性を一層高めるために、世界に先駆けてデンマークに近いバルセベック原発の1号機および2号機の原子炉格納容器に「フィルトラ・システム」 を設置しました。

 これは、何らかの理由で原子炉格納容器内の圧力が高まり、格納容器の破壊が予測された場合に、 「格納容器内の圧力を逃がすベント作業」(原子炉格納容器の弁を開けて放射性物質を含む蒸気を大気に排出する作業)に伴って大気へ放出される大量の放射性物質を封じ込める装置です。

 この装置は1985年よりバルセベック原発1号機および2号機で稼働を始め、1989年までに残りの10基の原子炉格納容器すべてに類似のFILTRA-MVSSが設置されました。このシステムは日本でも一部で設置の検討が行われましたが、いまだ設置には至っていません。日本の原子力関係者の表現に従えば、原子炉の一層の安全性を高めるために「原発の多重防護(具体的には五重の防護)」に、さらにもう一重の、つまり六重の防護が施されたことになります。

このブログの関連記事
東日本大震災:東電会長 廃炉認める(朝日新聞 朝刊)、  放射能封じ 長期戦(朝日新聞 夕刊)(2011-03-31)



 岩波書店の雑誌「世界」の7月号が東日本大震災・原発災害の特集を組んでいます。この中に「安全な原発などありえない 技術と安全の思想を問う」と題する座談会記事があります(p54~67)。


 発言者は小倉志郎さん、後藤政志さんおよび田中三彦さんの3人。編集部の司会者が次のようなテーマで質問を投げかけています。

    ●原発に関わった技術者として
    ●事故の状況をどう見るか
    ●地震国で原発を集中立地する愚かさ
    ●フィルターを着けていれば・・・・・・
    ●地震に耐える基準はあるのか取り返しのつかない原子力事故

 私が特に注目したのが、「フィルターを着けていれば・・・・・・」 というテーマです。司会者は次のように問うています。

放射性物質が首都圏まで含めて降り注いだのは、格納容器の破裂を避けるために圧力を逃がすベントが行われたことが最大の要因のようです。格納容器に、ベントの際に放射性物質を濾し取るフィルターが設置されていたら、結果は違いましたか。

後藤さんの答え:決定的に違ったでしょう


 報道によれば、3月12日午前10時17分に福島第一原発の1号機で、格納容器内の圧力を逃がすために弁を操作し、放射性物質を含んだ高温の水蒸気を外部に放出する「ベント作業」が始まりました。3月13日午前9時20分に3号機の「ベント作業」が行われました。3月15日午前0時頃、2号機のベントが行われました。これら1号機~3号機のベント作業により、3月12日から15日かけて大量の放射性物質が環境に放出されました。

 そして、今日(7月20日)の朝日新聞朝刊によれば、政府と東京電力は19日、東京電力福島第一原発の事故収束に向けた工程表の改訂版を発表し、「福島第一原発の1~3号機の外部への放射性物質の放出量は、炉心の冷却が進んで、事故直後に比べて6月末時点で200万分の1に減少している」としています。


 これらの事実と後藤さんのお考えを合わせて考えれば、もし福島第一原発の原子炉格納容器のベントにフィルターが着いていたなら、つまり、スウェーデンが設置したフィルトラ・システムのような装置が設置され、それらが正常に稼働していたなら、今私たちが直面しているような環境の放射能汚染は最小限に食い止められていたと思われます。

 「予防志向の国」スウェーデンと「治療志向の国」日本の原発に対する技術的な対応の相違が日本の大惨事を招く結果となり、日本の将来に禍根を残すこととなってしまったといっても過言ではないでしょう。



 この座談会の記事とは別に、2ヶ月前の5月19日(木) に行われた「新潟県原子力発電所の安全管理に関する技術委員会(平成23年度第1回)」の議事録がネット上で公開されています。この議事録の19~20ページに、スウェーデンのフィルトラ・システムに触れたところがありますのでご覧ください。

(吉川委員)

 残りの二点のうち、次はベントについての質問です。昔、シビアアクシデント対策として他の国ではベントの仕方について随分検討されました。そのままサプレッションプールに落とすのではなく、グラベル(砂利)層のある水中を通して出すフィルター付きベント方式を検討され、スウェーデンではBWR 発電所には実際に設置されています。少しでも放射能が外に出るのをフィルターして出せば、ベントしなければならない事態でも周辺地域には少しは安心ですけれど、そういう方式を昔、検討されたのか?ベント対策は他国にはありますが、日本では検討していないのではないか?

(鈴木座長)
 
 どうぞ。

(東京電力_川俣部長)

 多分、スウェーデンでですね、フィルトラという名前だったと思うんですけれど、そういうフィルター装置があるということは承知しております。ただ申し訳ございません。私、その装置をどういう経緯でどのように扱ったか、今時点、知りませんので、これについてはちょっと持ち帰って当時の経緯を調べた上でご回答させていただければと思います。ただ、ご存知のように今日時点、今時点で東京電力は何らかのフィルター機能を持っているベントは設置していない。これは事実です。

(吉川委員)

 ベントする時に外に放射能が出ないとなれば安心ですね。そういう海外事例もありますので検討いただければと思います。それから最後の一つは先ほどから議論になっている事故データの解析です。

                   以下 省略


 東京電力の川俣部長の発言から、今時点で、東京電力は何らかのフィルター機能を持っているベントは設置していないことが明らかになりました。そうであれば、スウェーデンが1979年のスリーマイル島原発事故の教訓から1989年までにすべての原子炉格納容器のベントに設置したフィルトラ・システムのような対応が東京電力福島第一原発の原子炉格納容器になされていたら、今回のような大惨事に至らなかったのではないでしょうか。

このブログ内の関連記事
25年前に原発格納容器のベント用にフィルターを設置した国と、“安全神話”でいまだ設置ゼロの国(2011-07-20)


まさに、治療より予防をです。そして、このことが「不安でいっぱいだが、危機感が薄い国」日本と「危機感は強いが、不安は少ない国」スウェーデンの相違となるのです。


携帯電話の発がん性は

2011-07-19 14:07:17 | 自然災害
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6月1日のブログで、WHOの一機関である国際がん研究機関(IARC)が携帯電話の電磁波と発がん性の関連について限定的ながら「可能性がある」との分析結果を発表したとの報道を紹介しました。今朝の毎日新聞が、この分析結果についての関連記事を掲載しています。

     毎日新聞 2011年7月19日 携帯電話の発がん性は

この記事の中で、スウェーデンの研究でも「携帯電話の累積使用が2000時間を超えると神経膠腫(こうしゅ)のリスクが3.2倍に上昇した」との結果を紹介しています。また、スウェーデン放射線安全機関も、通話中は電話機を体から離すことを勧め、「使用時間が長い人や若者は特に重要」と助言しているそうです。




1980年のスウェーデンの「原子力に関する国民投票」

2011-07-18 13:15:46 | 自然災害
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1980年3月23(日)に実施されたスウェーデンの「原子力に関する国民投票」は、当時、日本に国民投票という制度がないために、その解釈をめぐって、多くの誤解を生みました。スウェーデンの国民投票は1980年までに4回しか行われていませんでした。禁酒問題(1922年)、右側通行問題(1955年)、年金問題(1957年)、それに原子力問題(1980年)です。

スウェーデンの国民投票はある案件について国会議員が要求し、国会がその実施を決議したときに限って実施されるもので、投票結果が自動的に国会や政府を拘束するものではありません。

スウェーデンの国民投票はその頻度と拘束力の点で、直接民主主義の国、スイスの国民投にとは異なるところです。しかし、「原子力に関する国民投票」の際には政党間でその結果を尊重するという申し合わせがありました。

議会制民主主義の国、スウェーデンでは90%前後の投票率の総選挙で選ばれた国会議員からなる国会が十分機能しておりますので、国民投票は国民の考え方の方向性を知り、国会の機能を補完する目的で行われるものです。


今日の朝日新聞朝刊のコラム「エネルギー政策のゆくえ」で、ジャーナリストの今井一さんが、1980年に行われたスウェーデンの「原発に関する国民投票」概要を紹介しています。
「諮問型」の国民投票を ジャーナリスト 今井一氏


今井さんの記事の背景を理解する助けとなる関連記事がこのブログ内にありますので、併せてご覧ください。

このブログ内の関連記事
東日本大震災:汚染水、建屋外に(朝日新聞 朝刊)、  汚染水 移動作戦(朝日新聞 夕刊)(2011-03-29) 

スウェーデンの環境・エネルギー政策:原子力問題の捉え方

またしても、ミスリードしかねない「スウェーデンの脱原発政策転換」という日本の報道(2009-03-21)





「不安でいっぱいだが、危機感が薄い国」 と 「危機感は強いが、不安は少ない国」

2011-07-10 23:34:20 | 自然災害
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3月11日の東日本大震災の発生から今日で4ヶ月が経ちました。そこで、この機会に4月18日の記事を最後に中断していた私のブログを、再開することにしました。どんなテーマがブログ再開にふさわしいかいろいろ考えた結果、表題のようなタイトルとしました。これまで、このブログで取り上げてきた日本とスウェーデンの間には次のような「社会的な心理構造」の相違があるというのが20年来の私の観察です。



この相違は両国の「民主主義の成熟度」と「政府への信頼度」、「情報公開制度」などの社会の仕組みの根本的な相違に基づくものといってよいでしょう。


次の図は日本とスウェーデンの「不安への対応」の決定的な相違を示したものです。



この図をご理解いただくために、およそ18年前の1993年の第126回国会 環境委員会公聴会 第1号(平成5年5月13日)の議録から関連部分を抜粋します。


○原田委員長
次に、寺前巖君。

○寺前委員
最初に、清水さんと小沢さんにお聞きをしたいと思います。

今日国会でも再々問題になるのですが、三十数年前に水俣の被害が生まれました。私は水俣の問題について、裁判記録なりあるいは現地の方々のお話を聞いておってつくづく感ずるのですが、もしも情報公開が行われていたならばもっと早い段階にあんな被害を受けなくても済んだものをと。私は、そういう点では、会社にとってもあるいは国家機関にとっても、情報公開をしなかったことが非常に悪い役割をしてきていると
いうことを強く感ずる者です。

お二人の皆さんは、リオ宣言についてもよく御存じのとおりであって、情報公開について指摘をわざわざやっています。ところが今度の基本法を見ると、私たちの経験から考えても、はっきりしなければならないこの問題が欠けているのではないだろうか、強く気になるところなんです。そういう意味では、水俣の問題についてどういうふうにお感じになっているのか、情報公開との関係において御指摘をいただきたい。
まず清水さんからお願いします。


○清水公述人
水俣の問題につきましては、私も大変胸の痛む思いがしております。この問題については、やはり時代がかなり違っていたな、全体として高度成長志向型の時代が続いたということですね。これは、今の日本から見ると過去のことでありますけれども、その時代に起きた不幸な問題だった、こういうふうに思います。

もう一つは、行政法体系全体としていろいろ許認可とか免許とか届け出とか報告とかいうのがいっぱいありますけれども、これらはやはり長い年月の間でずっとたまってきて、そうして社会情勢等の変化との間でときどきに変わるというか進歩するというか、そういう現象ももちろん見られるわけですけれども、そういう行政法の体系なりあるいはそれの考え方、そういう問題もやはりある。現時点の目から見て過去のことを
批判するということになりますと、それはなかなか難しいということがあって、現に今でもそういうようなことからだろうと思うのですけれども、結論が出ないという問題もあるわけですね。

今、情報公開ということがありましたが、これについては、公開という言葉がなかなこともあると思いますが、例えば今度の基本法では、したがって公開という言葉はあえて避けているわけですけれども、情報提供ということを法律の上ではっきりうたっているわけです。この情報提供という立場から極力これを充実させていくということがまず望まれるのではないか、こんなふうに思っております。


○小沢公述人
情報の公開につきましては、先ほどお話ししましたように、スウェーデンの場合はもう二百年ぐらいの歴史があります。これは、先ほどお話ししましたように、国民が、自分たちのことは自分で決定したい、そのために、行政が一番情報を持っているわけですから、とりたい、そういう非常に強い熱意が二百年以上前にあって、それが今社会に定着しているということであります。

スウェーデンでは、基本的には行政の持っている情報は公開されていて、ただし、民族関係とかプライバシーに関するものとかあるいは安全保障に関するものについて、あるいはもう少し事例があったかもしれませんけれども、そういうものについて除かれている。原則的に公開されていて一部制限するものがある、こういう形であります。

それから、水俣の話が出ましたけれども、私は、直接この水俣の話としてお話しするのではなくて、環境問題が起きた場合の日本とスウェーデンの情報公開の決定的な違いを一例を挙げて申し上げたいと思います。

これは、例えばダイオキシンのような国際的に環境に有害な物質というのが発見された場合に、スウェーデンでは、どこから出たかということを国民が非常に気にするわけです。そして、どこから出たかということがわかればそこに対策をすればいい、そうすれば安心できる、こういうふうにスウェーデン人は考えるわけであります。

ところが、我が国の新聞報道を見ていますと、ダイオキシンが出た、出た場所を公表すると国民があるいは市民が不安になる、だからやらないんだということが数年前の新聞に書いてありました。

不安だから公開をして、その所在を知って対策を政府が打つから安心していられると考えるのと、公開するといろいろ不安が出る という、これは考え方の違いだろうと思います。