環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

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混迷する日本⑯ 国際社会に大きく遅れをとった化学物質政策

2008-01-31 13:36:20 | 化学物質/アスベスト
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「健康に有害」あるいは「環境(生態系)に有害」な化学物質を製品に使うのは、むろん好ましいことではありません。化学物質を合成するとき、そして、それらの化学物質を製品として製造し、販売し、使用するときには、この2つの基準に照らして、適当かどうかを判断する必要があります。

皆さんは覚えておられるでしょうか。昨年5月2日のブログで、「日本の環境省によれば、2002年の時点でOECD加盟25カ国のうち生態系保全を考慮していないのは日本だけ」という記事を紹介しました。記憶を新たにするために再掲します。

この記事は今となっては5年前の記事ですが、その後日本の化学物質関連法がどうなっているかをお知らせしようというのが今日のブログです。次の図が示すように、2003年5月の通常国会で「化審法」(化学物質の審査及び製造などの規制に関する法律)を改正し、2004年4月1日から改正法が施行されました。これで、やっと日本は最下位から脱し、形の上では他のOECD加盟国並みとなったのです。


さて、今日の朝日新聞に次のような記事がありました。


同日の毎日新聞がもう少し詳しく背景を報じています。


やっとOECD加盟国と足並みがそろったと思ったら、海外の規制動向を踏まえて、再び来年の通常国会で、再生法案の提出をめざすのだそうです。福田首相が1月18日の施政方針演説で述べた「世界最高水準の環境関連技術」 を有する日本、「世界最高のエネルギー効率」を実現した日本、そして、安倍前首相が2007年1月26日の施政方針演説で述べた「21世紀環境立国戦略」を有する日本が国際社会の後を追いかけている図が見えてきます。残念ながら、ここにも日本が世界をリードしている姿は見えてきません。この記事に出てくる「EUのREACH規制」というのは、元をただせば、「EUのRoHS指令」と同様に、スウェーデン発の化学物質規制なのです。

関連記事

緑の福祉国家36 新しい化学物質政策の策定⑤ スウェーデン発の政策がEUを通して日本へ(07-05-06) 


つまり、ここでも次のような図式が認められます。「予防志向の国」スウェーデン vs 「治療志向の国」日本という構図です。




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EU、CO2削減の国別数値目標を提案

2008-01-30 10:47:01 | 温暖化/オゾン層
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1月24日の朝日新聞が「EU域内の温室効果ガス削減のための国別削減目標を提案した」と報じています。まずは次の2つの記事をじっくりお読みください。 




上の2つの記事の柱は次の3点にあります。

(1)EU全体で温室効果ガスの排出量を2020年までに90年比で20%削減 する。そのためにCO2削減の国別数値目標を設定する。

(2)EU全体で再生可能エネルギーの利用率を2020年までに20%まで高める。そのために再生可能エネルギーの利用率の国別数値目標を設定する。

(3)EU域内の排出量取引制度(EUETS)を拡充・強化する。

欧州委員会がスウェーデンに割り当てた(1)のCO2削減数値目標は2005年比17%、(2)の再生可能エネルギーの利用率の国別数値目標は2020年までに49%でした。正式な決定は来年になる見通しです。




関連記事

緑の福祉国家26 エネルギー体系の転換⑤ 10年前の1996年の状況(07-04-26)


ちなみに、10年前の京都議定書で決められた 「EUのCO2削減国別数値目標」 と 「現時点での成果」 を再確認しておきましょう。

緑の福祉国家14 気候変動への対応③(07-01-24) 

国連気候変動事務局(UNFCCC)が公表した温室効果ガス排出量 1990-2005(07-11-23) 





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混迷する日本⑮ 国民生活の混乱回避法案

2008-01-29 20:40:56 | 政治/行政/地方分権
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私はこれまでに、「日本は21世紀前半社会に向けた法体系が未整備だ」と言ってきましたが、いま議論となっている3月末に期限切れを迎える「ガソリン税の暫定税率」などを5月末まで2か月延長する議論を目の当たりにしますと、この国はいろいろな議論はしているけれども、やはり「21世紀の社会を20世紀の延長線上で考えている」としか考えられません。

ですから、21世紀の社会を意識した大幅な法体系の変更は考えられず、必要に応じて新しい法律をつくることはあっても、多くの場合は既存の法律の改正にとどまることになります。

今回の「国民生活の混乱回避法案(いわゆるつなぎ法案)」はその発想といい、法の内容といい、法整備の準備行動などまさに、20世紀の状況の維持ということにほかなりません。



関連記事

混迷する日本⑨ 「持続可能な社会」の構築への法体系が未整備な日本、環境分野も(08-01-23)

混迷する日本② 臨時国会閉幕 21世紀の新しい社会をつくる法律ができない(08-01-16)

21世紀にめざすべき「持続可能な社会」の構築への法体系が未整備な日(07-12-19)


ここでも、「今日の決断が将来を原則的に決める」という経験則が有効であることはいうまでもありません。



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混迷する日本⑭ 「CO2排出権」取引論の虚実、 10年前の議論だが.....

2008-01-28 12:12:43 | 温暖化/オゾン層
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今、世界はあたかも「排出権(量)」取引が唯一の実効性のある温暖化防止対応策であるかのような雰囲気になってきたように思います。昨日放映されたNHKの「クローズアップ現代」も、その流れに乗っているかのようです。私の環境論から考えると疑問がありますし、ある種の懸念があります


そこで、今日は、日本で世界初の「温暖化防止法」が制定された10年前に、「排出権取引」の議論に異議を唱えていた小野五郎さん(埼玉大学教授:産業政策論)という方が朝日新聞の論壇に投稿した記事を紹介します。私の環境論の立場からは、小野さんのお考えの方がわかりやすいのですが、皆さんはいかがでしょうか。



この投稿記事は、1997年9月8日に掲載されたものですので、地球温暖化防止京都会議が開催される3か月前に掲載されたものです。私はこの投稿記事を読むまで、小野さんがどういうお立場の方存じあげませんでしたが(10年たった今も状況は同じですが)、私にはこの方のお考えのほうが好ましい考えだと思います。小野さんのお考えはこの10年間で変わられたでしょうか。

次の図は京都議定書で決められた温暖化対策のメニューですが、排出権取引あるいは排出量取引「柔軟的措置」と位置付けられていますように、あくまで補完的ということではなかったのでしょうか。




米国や日本のように、国内での削減努力を十分にすることなく、補完的措置を優先するのはおかしいのではないでしょうか。


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混迷する日本⑬ ダボス会議から 国別環境対策ランキング スウェーデン2位、日本21位

2008-01-27 21:40:38 | 環境問題総論/経済的手法
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1月25日の毎日新聞によりますと、ダボス会議で米エール大学などの専門家が国別の環境対策ランキングを発表したそうです。


詳細は次のサイトをご覧ください。

Environmental Performance Index 2008



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混迷する日本⑫ 今日の道路特定財源が、将来の温暖化問題の状況を原則的に決める

2008-01-26 11:45:16 | 温暖化/オゾン層
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今日のブログの表題「今日の道路特定財源が、将来の温暖化問題の状況を原則的に決める」は、もちろん、私の環境論の根底にある「今日の決断が将来を原則的に決める」という経験則をもじったものです。

今月18日に始まった通常国会で「道路特定財源」が、混迷する日本の大きな議論となりそうな状況になってきました。今朝の朝日新聞の記事をご覧ください。

首相官邸(福田首相、町村官房長官)、国立環境研究所、日本経団連、石弘光・放送大学学長、NPO法人「環境・持続社会」研究センターの足立治郎事務局長、民主党、自民党のプレーヤー(アクター)がこの記事には登場し、それぞれの持論を展開しています。かつて政府税制調査会長を務めた石弘光・放送大学学長は「道路特定財源は、今の仕組みのままなら『地球温暖化促進税制』だ」と述べたと、興味深い発言を紹介しています。

この記事には、すべての導入国は税収を一般財源とし、使い道を限定していないとありますが、この情報は正しいのでしょうか。2003年の時点では90年代初めに導入した北欧諸国は一般財源とし、10年遅れて2000年以降に導入した欧州の主要国は一般財源ではありませんでした。今日の朝日新聞のこの記事が正しければ、欧州の主要国は2003年以降に税収を一般財源化したことになります。次の図をご覧ください。


関連記事



環境税の議論は北欧では80年代後半から始まっており、90年代初めには導入され、2000年に入るとドイツ、フランス、イタリア、英国で導入され、その効果も確認されています。つまり、北欧から遅れること15年、欧州の主要国から遅れること5、6年、日本ではこの間に断続的に議論はありましたが、いまだ結論が出ず、再び議論再燃というところです。


日本の行政は、自ら「21世紀環境立国戦略」などという看板を掲げながら、このような議論を再燃させているのは恥ずかしくないのでしょうか。経済だけでなく、環境分野でも失われた15年」を更新し続けるのでしょうか。15年前の1992年の新聞記事で石さんがおっしゃっていた「成長が鈍るとか、国際競争力が弱まるなどどいわず、むしろ環境対策で世界に対してリーダーシップを発揮してほしい」という言葉が混迷する今の日本を象徴しています。


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混迷する日本⑪ 温室効果ガスはどのように測るのか?

2008-01-25 09:46:50 | 温暖化/オゾン層
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温室効果ガスはどのようにして測るのか、このことをある程度知っていれば、「日本の地球温暖化対策」ほんとうに妥当性のあるものかどうか は難しい議論をしなくても、その道の専門家でもない私たちでも容易にわかるのではないでしょうか。

詳しいことはその分野の専門資料に譲るとして、まず、次の2つの記事を読んでみてください







上の図から、2005年の日本の温室効果ガスの排出量は13億6000万トンで、そのうちのおよそ90%(図では89.11%)が化石燃料の燃焼などエネルギー関連であることが明らかです。

このことは、温室効果ガスの排出削減には、実質的には既存のエネルギー体系を化石燃料の少ないエネルギー体系に転換していくか、様々な事情によりエネルギー転換が難しい場合には、エネルギーの総供給量(総消費量)を削減する(単にエネルギー効率を向上させるだけでなく、それによってエネルギーの総供給量・総消費量が実現されることが必要)しか手段はないことがわかります。

このことが理解できましたら、次の図をご覧ください。

日本が97年の京都議定書で公約した削減率は基準年である1990年のCO2排出量の6%減(-6%)でした。そして、京都議定書の趣旨からすれば、この-6%は上記のエネルギー体系の転換あるいはエネルギーの総供給量・消費量の削減によって達成すべきものでした。ところが日本が策定した温室効果ガス削減計画は-6%の削減目標のうち、「エネルギー起源」は±0、-5.4%を「森林吸収(-3.8%)と排出量取り引きなどの京都メカニズム(-1.6%)」となっています。つまり、CO2の主たる発生源であるエネルギー体系への対応策が極めて不十分なのです。

関連記事

日本政府が温室効果ガスの排出枠をハンガリーから購入(07-11-30)

国連気候変動事務局が公表した温室効果ガスの排出量 1990~2005(07-11-23)
 




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混迷する日本⑩ 世界初の「温暖化防止法」、今月中にも成立! でも、10年前の話

2008-01-24 09:11:16 | 温暖化/オゾン層
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一昨日、今月18日に行われた福田首相の施政方針演説で、「持続可能社会」という21世紀のキーワードが消え、代わって「低炭素社会」というまだ十分な概念が確立していない輸入概念(?)が登場したことを紹介しました。そして、昨日は環境省が「地球温暖化防止対策推進法」の改正案を自民党に提出した、というニュースをとりあげました。

今日は、なんと、10年前に、つまり、京都議定書の成立した翌年に、この国に世界初の「地球温暖化対策推進法」ができたというお話です。まずは次の記事をじっくりとご覧ください。


この記事をどう読むかは皆さんにお任せしますが、30年以上日本の環境政策をフォローしてきた私にとって、「この国はほとんど30年前の発想と変わらない」ということです。この記事の中に「・・・・・・調整は難航したが、自民党としてCOP4にぎりぎりのタイミングで成立させたいとの思惑から修正案をのんだ格好だ。」という記述がありますが、「COP4」を「7月の洞爺湖サミット」に置き換えれば、今の状況は10年前とほとんど同じだといってもよいのではないでしょうか。

この記事には、日本の政治、行政、マスメディア、審議会、企業など立法にかかわる「プレーヤー(アクター)の役割」「予想される結末」が見事に凝縮されています。

地球温暖化対策推進法は、京都議定書が成立した翌年の98年に成立し、99年4月1日施行、2006年4月に改正され、再び、今国会で改正されることになっています。日本の法律の改正の仕方は、最初に不十分な(あまり実効性が期待されない)法律を作り、それを時間の経過に合わせて徐々に「規制の対象」を広げていく(改正)という方法です。したがって、その間に「新しい被害者」「余分な経費」を増加させる特徴を持っています。まさに、「治療志向」の発想です。次の関連記事を参照してください。

関連記事

なぜ先駆的な試みを実施し、世界に発信できるのだろう⑫ プライバシーの保護(07-09-03)


昨日紹介した改正を伝える記事の最後の部分に「京都議定書に義務付けられた90年度比6%削減の達成を確実にさせる狙いがある」と書いてあります。「一歩前進」という言葉とともに、「抜本的○○」という正反対の言葉が大好きな(でも、行動に移すことはほとんどない)国民として、ここは、 「抜本的に」にいかなければならないのではないでしょうか。


関連記事

 「環境基本法」成立から14年① (07-12-06) 

 「環境基本法」成立から14年② 不十分なので、このままでは反対だ!(07-12-07) 



現状は、世界初の「地球温暖化対策推進法」が日本で成立し、施行された10年前よりも明らかに厳しい状況にあります。対策に必要なコストも10年前に比べて明らかに増えています。私の環境論の根底にある「今日の決断が原則的に将来を決める」という経験則を今こそ真剣に考え、文字どおり抜本的な改正をしなければなりません。

関連記事

私の環境論:今日の決断が将来を原則的に決める(08-01-17)


余談

 ● 地球温暖化対策推進法の制定に当たって(平成10年10月6日 真鍋大臣談話) 

1.地球温暖化対策推進法案は、去る10月2日の参議院本会議で可決され、10月9日に公布される運びとなった。本法は、昨年末のCOP3での京都議定書の採択を受け、まず、第一歩として、国、地方公共団体、事業者、国民が一体となって地球温暖化対策に取組むための枠組みを定めたものである。

2.これは、地球温暖化防止を目的とする世界最初の法律であり、COP3議長国として地球温暖化対策に積極的に取り組む我が国の姿勢を世界に示すことができるものと考える。  

3.本法の全面的な施行は、半年後に予定されるが、環境庁としては、早速、「基本方針」の策定等の法律に基づく措置の準備を開始することとしている。  

4.私としては、全体の温室効果ガスの排出量の約8割は事業者関連であることから、広範な事業者の取組を促すため、事業者との積極的な対話を私自身がトップ同士で進めていきたい。また、NGO・ボランティア、企業、地方公共団体などの有意義な温暖化防止の活動について大臣表彰をしたいと考えている。  

5.さらに、早期に京都議定書を発効させるため、11月のCOP4が大きな前進となるよう全力を尽くすとともに、京都議定書の批准に際しての総合的な国内制度構築の諸準備に万全を期していきたい。



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混迷する日本⑨ 「持続可能な社会」の構築への法体系が未整備な日本、環境分野も

2008-01-23 16:25:24 | 持続可能な開発・社会/バックキャスト
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「日本には21世紀のビジョンがない」という大方の識者やジャーナリズムの見解とは異なって、私は日本には「21世紀のビジョン」はあると思っています。小泉首相が掲げていた「持続的な経済成長」は安倍前首相に引き継がれ、そして、福田首相にも引き継がれているようです。ですから、少なくとも現時点では、「持続的な経済成長」という目標は21世紀前半の日本のビジョンと考えてよいと思うのです


この私の主張を検証するために、これまでのブログでいかに「○○改正法」「改正○○法」が多いかを示してきました。既存の法律が社会の変化に耐えられなくなったとき、それらの法律を現状に合うような改正を施すだけでは、現状肯定にすぎないと思います。20世紀型の社会を21世紀型の新しい社会に変えていくことにはならないでしょう。また継続審議とは要するに、先送りということでしょう。

確認のために、もう一度、過去3年間に成立した主な法律を復習しておきましょう。

小泉政権:135本の法律
安倍政権:141本の法律
福田政権:26本の法律

今朝の朝日新聞が報じている環境分野の2つの法案も、ともに改正法案です。しかも、後者は先送りです。


関連記事

環境省が「地球温暖化対策推進法改正案」を検討(07-12-18) 



関連記事

家電リサイクル法 「リサイクル料金前払い」の導入を断念(07-07-18)



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混迷する日本⑧ あの 「景気動向指数」 のルーツ(?)を発見

2008-01-22 21:10:06 | 経済
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昨年12月12日のブログで「10月の景気動向指数」をとりあげ、いつものように、 「環境への配慮がまったく反映してない経済指数だ」と書きました。私の主張は、だから、早く変更すべきだというものです。

このブログにトラックバックが付きました。そこには「景気動向指数」の解説がありました。


景気動向指数

わたしにとって、たいへん興味深かったのは次の記述です

xxxx
このような景気動向指数の考え方は、1930年代に全米経済研究所(NBER)の経済学者によって開発された。日本では60年(昭和35)より経済企画庁(2001年からは内閣府)が指数を作成し、発表している。景気の山と谷を景気の転換点という意味で景気基準日付というが、一致指数が50%の基準線を上から下に切るときが景気の山、逆に下から上に切るときが景気の谷に対応している。
xxxxx

「景気動向指数」は1930年代に米国経済研究所の経済学者によって開発され、日本では1960年から現在に至るまで使われているという記述を見ると改めて「環境問題に直面している21世紀の経済指標としてはふさわしくない」という私の主張に正当性があることを知り、意を強くしました。

関連記事

10月の景気動向指数(07-12-12) 

私の環境論13 「経済」と「環境」は切り離せない(07-01-23) 

来年4月から「景気動向指数」をDI方式からCI方式に変更(07-12-29) 



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混迷する日本⑦ 「日本はもはや経済一流」とは呼べない、太田弘子・経済財政担当相

2008-01-21 16:56:06 | 政治/行政/地方分権
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一昨日のブログで、福田首相の施政方針演説をとりあげました。昨日は福田首相の昨年10月1日の所信表明演説と今年1月18日に行われた施政方針演説を比較して、私の関心事である環境・エネルギー分野で、わずか4か月足らずの間に大きな変化があったことを指摘しました。所信表明演説と施政方針演説の位置づけについては、次の図をご覧ください。


首相が行うのが施政方針演説、続いて財務相が行うのが財務演説、外相が行うのが外交演説、経済財政担当相が行うのが経済演説、そして、これらを合わせて「政府4演説」というのだそうです。1月18日に召集された第169回通常国会では政府4演説が行われましたが、同日の朝日新聞には首相の施政方針演説(全文)と財政相の財務演説(要旨)、外相の外交演説(要旨)が掲載されておりました。掲載されていた財務演説(要旨)と外交演説(要旨)は次の通りです。

経済財政担当相による経済演説は掲載されておりませんでしたが、1月19日の朝日新聞が次のような興味深い記事を掲げています。


関連記事

日本の2006年の名目GDP:世界の10%を割る(07-12-28) 

日本の一人当たりGDP OECD30カ国中18位、そして・・・・・(07-12-27)

この記事に対する私の感想は、何をいまさらという感じがします。今回の財政演説では、財務相は「主要先進国の中で最悪の水準となっている」と語っていますが、8年前の2000年の経済白書は「現下の最大の課題は巨額に達した財政赤字で、持続可能とは言えない」と述べ、政府として財政が破たん状態に近いことを初めて公式に認めたと報じられていたからです。

この経済白書は堺屋太一さんが経済企画庁長官だった時の経済白書ですから、そのあとを引き継いだ竹中平蔵・前経済財政担当相の任期中に事態が徐々に悪化していたことはまちがいありません。今回の財務演説では「11年度における国・地方の基礎的財政収支の黒字化」について述べられていますが、この件も実現が危ぶまれています

最近の日本は、経済も、政治も、社会も、そして環境も、「偽」という文字がちらつくような印象をぬぐい切れません。


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混迷する日本⑥ 福田首相の変心? 「持続可能社会」から「低炭素社会」へ転換

2008-01-20 11:50:45 | 政治/行政/地方分権
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昨日のブログは少々わかりにくかったかもしれません。そこで、今日は改めて昨日のブログでお伝えしたかったことを、「福田首相の変心?」と題してもう一度おさらいをしておきます。

次の図の左は福田首相が安倍前首相を引き継いだ時に行った所信表明演説(2007年10月1日)です。右は福田首相が今国会の冒頭に行った施政方針演説(2008年1月18日)です。


           下の図を拡大する              下の図を拡大する


私が皆さんにお伝えし、考えていただきたいのは2つの演説の赤枠で囲った部分の相違です。次の2つの図をご覧ください。上の図は2007年10月1日の所信表明演説の赤枠で囲った部分です。下の図は2008年1月18日の施政方針演説の赤枠で囲った部分です。



上の2つの拡大図を比較すると、わずか4か月足らずの間に「持続可能社会」がなくなって、「低炭素社会」が登場していることがお分かりいただけるでしょう。そして、次の図をご覧ください。この図は昨年5月29日に、中央環境審議会21世紀環境立国戦略特別部会が提言した概念図です


日本は現在の「持続不可能な社会」を「持続可能な社会」へ転換していかなければなりません。ですから、この図を私の環境論からあえて好意的に解釈すれば、 「持続可能な社会」が21世紀にめざすべき社会であって、持続可能な社会低炭素社会的側面(地球温暖化への対応のために化石燃料の消費量を極力抑えた社会)、循環型社会的側面(廃棄物の排出が少ない社会)、そして、自然共生社会的側面(自然が豊かな生産力を維持している社会)の3つの側面のからなっていると解釈すべきなのです。

そのように理解すれば、福田首相の「低炭素社会」持続可能な社会の一成分である低炭素社会的側面に重点をおくということになります。福田首相は「循環型社会や自然共生型社会の側面はすでにこれまでに手がつけられている、だから、低炭素社会の側面は自分がやらなければいけない」とお考えなのかも知れませんね。あるいは、G8の洞爺湖サミットが半年後に迫っているので、とにかくこの「低炭素社会」という課題に絞ろうということかもしれません。

でも私には、このような発想で「持続可能な社会」が構築されるとは思えません。「持続可能な社会は3つの側面を持っている、だから、それぞれ3つの側面が完成すれば、持続可能な社会が完成する」という考えは20世紀の伝統的な考えであるフォアキャスト的な考え方です。21世紀に有効なバックキャスト的な考え方では、先に「持続可能な社会の望ましい姿」を描きます。そして、望ましい姿を描いたら、それを実現するために「低炭素社会」の側面はどうするべきか、つまり、どのようなエネルギー体系に変えなければならないのか、「循環型社会」の側面は、つまり、生産物はすべて廃棄物になるのですからどのような産業構造に変えなければならないのか、そして、「自然共生社会」の側面は、つまり、どのような生態系を維持すれば私たちの生活の安全と安心が守られるのかを考えることになります。

このようにフォアキャスト的発想でつくる「持続可能な社会」とバックキャスト的発想でつくる「持続可能な社会」とはまったく完成図が異なるはずです。フォアキャストでつくった「持続可能な社会」は、その意図するところと違って、「持続不可能な社会」である可能性が高いことになるかもしれません。

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平成19年版「環境・循環型社会白書」の不可解(07-10-27)

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★希望の船出から11年、経済も、福祉も、環境も、バックキャストが有効だ! 

★「希望の船出」から11年-経済も、福祉も、環境も・・・・・(PDFファイル) 



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混迷する日本⑤ 福田首相の施政方針演説: 「持続可能社会」はどこへ行ったのか?

2008-01-19 18:52:46 | 政治/行政/地方分権
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昨日、私は福田首相の施政方針演説をテレビで注意深く聞きました。首相が21世紀のキーワードである「あの言葉」を何回とり上げ、どのような文脈で説明するかを期待しながら・・・・

ところが、私の期待はまったく裏切られ、この演説の中でこの言葉は1回も聞かれませんでした。聞き洩らしたのかと思い、新聞で確認するとあろうことか一言も使われていないことがわかりました。その代り、異なる概念の言葉が5回も使われていました。私が期待した言葉というのは「持続可能(な)社会」という言葉で、概念が異なる言葉とは「低炭素社会」という言葉です。

そこで、今日もまた、私の環境論の根底にある「今日の決断が将来を原則的に決める」という経験則について、勉強することにしましょう。教材はもちろん昨日の朝日新聞夕刊に掲載された首相の施政方針演説(全文)です。



赤の網をかけた部分は環境問題に関する部分(「低炭素社会への転換」の部分は後で拡大して示します)です。小泉首相の施政方針演説所信表明演説、そして安倍首相の施政方針演説所信表明演説の中の「環境やエネルギー」に比べると、今回の福田首相の施政方針演説では「環境やエネルギー」の登場する頻度が高いことがわかります。水色の網をかけた部分は「持続可能」という言葉を示しています。「持続可能」という言葉は「社会保障制度の持続性」と「持続的な経済成長」というように、限定的に使われています。青の網をかけた部分が「低炭素社会」という言葉です。5回出てきます。私が期待していた21世紀にめざすべき新しい社会の方向性としての「持続可能(な)社会」という言葉はゼロ福田首相の10月1日の所信表明演説では4回も登場したというのに・・・・


次に「低炭素社会への転換」の部分を拡大します。

最初に赤の網をかけた部分「地球環境問題は21世紀の人類にとって最も深刻な課題です」とあり、私の基本認識と一致します。私の知る限り、このように述べたのは公式の演説では福田首相が初めてではないでしょうか。「我が国が有する世界最高水準の環境関連技術」という言葉には異論がありますが、青の網を掛けましたように、4か所に「低炭素社会」という言葉が出てきます。しかし、「低炭素社会とはどのようなものなのか、どうすれば実現できるのかなどをわかりやすくお示しできるよう、有識者による環境問題に関する懇談会を開催することとしています」と述べていますので、「低炭素社会」という極めて新しい概念がまだ出来上がっていないことを示唆しています。

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平成19年版「環境・循環型社会白書」の不可解(07-10-27)

持続可能な社会、低炭素社会、循環型社会、自然共生社会、これらを組み合わせた社会とは何だろう?(07-10-24)


皆さんはお気づきになったでしょうか。新聞一面を覆い尽くすおよそ1万2000字のこの演説の中に一言も出てこなかったのは「持続可能な社会」だけではありません。日本のマスメディアや環境NPOが大好きな「循環型社会」という言葉もまったく出てこないのです。

次の図をご覧ください。

福田首相はこのような図があるのをご存知ないのでしょうか。福田首相の施政方針演説の草案作成にかかわった側近の政治家、官僚、学者はいかがでしょう。10月1日の福田首相の所信表明演説で、福田首相は「持続可能社会」を4回も繰り返しました。この図にははっきりと、 「21世紀環境立国戦略に示された統合的取り組みの概念」 (私はこの図の表現がよくないと思います。図だけが一人歩きしますと誤解を招きそうな気がします)とあります。 

日本は現在の「持続不可能な社会」を「持続可能な社会」へ転換していかなければなりません。ですから、この図を私の環境論からあえて好意的に解釈すれば、 「持続可能な社会」が21世紀にめざすべき社会であって、持続可能な社会は低炭素社会的側面(地球温暖化への対応のために化石燃料の消費量を抑えた社会)とか循環型社会的側面(廃棄物の排出が少ない社会)とか自然共生社会的側面(自然が豊かな社会)の3つの側面のからなっていると解釈すべきなのです。そのように理解すれば、福田首相の「低炭素社会」は持続可能な社会の一成分である低炭素社会的側面に重点をおくということになります。福田首相は「循環型社会や自然共生型社会の側面はすでにこれまでに手がつけられている、だから、低炭素社会の側面は自分がやらなければいけない」とお考えなのかも知れませんね。

でも私には、このような発想で「持続可能な社会」が構築されるとは思えません。「持続可能な社会は3つの側面を持っている、だから、それぞれ3つの側面が完成すれば、持続可能な社会が完成する」という考えは20世紀の伝統的な考えであるフォアキャスト的な考え方です。21世紀に有効なバックキャスト的な考え方では、先に「持続可能な社会の望ましい姿」を描きます。そして、望ましい姿を描いたら、それを実現するために「低炭素社会」の側面はどうするべきか、つまり、どのようなエネルギー体系に変えなければならないのか、「循環型社会」の側面は、つまり、生産物はすべて廃棄物になるのですからどのような産業構造に変えなければならないのか、そして、「自然共生社会」の側面は、つまり、どのような生態系を維持すれば私たちの生活の安全と安心が守られるのかを考えることになります。

このようにフォアキャスト的発想でつくる「持続可能な社会」とバックキャスト的発想でつくる「持続可能な社会」とはまったく完成図が異なるはずです。フォアキャストでつくった「持続可能な社会」は、その意図するところと違って、「持続不可能な社会」である可能性が高いことになるかもしれません。

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21世紀環境立国戦略の策定に向けた提言(平成19年5月29日 中央環境審議会21世紀環境立国戦略特別部会)

フォアキャストする日本、バックキャストするスウェーデン③ 21世紀はバックキャストが有効(07-07-22) 

フォアキャストする日本、バックキャストするスウェーデン② フォアキャストvsバックキャスト(07-07-21) 

フォアキャストする日本、バックキャストするスウェーデン① 「未来社会の構想」(07-07-20) 


福田首相は、安倍前首相が掲げた「21世紀環境立国戦略」はしばらく棚上げ、あるいは放り出してしまったのでしょうか。私にはこの国はますます混乱するばかりに思えてなりません。皆さんはいかがですか。




昨日の福田首相の施政方針演説に示された決断が将来の日本の状況を原則的に決めてしまうというのが、私の環境論の経験則です。21日から始まる国会の代表質問で、与野党の質問者が昨年10月1日の福田首相の所信表明演説と今回の施政方針演説の相違を詰めることができるかどうかが私にとっては関心のあるところですが、与野党の関心は別のところにあるのでしょう。
 


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混迷する日本④ 20世紀の企業倫理・企業観が招いた「低い古紙配合率」

2008-01-18 17:48:29 | 環境問題総論/経済的手法
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昨日、私の環境論の根底にある「今日の決断が将来を原則的に決める」という経験則について、この国の将来の方向性、つまり、「地球温暖化対策」にかかわる大きな話をしました。今日は、「今日の決断が将来を原則的に決める」という経験則を身近な例で検証してみましょう。10年前の決断が今日の困った状況を作り出してしまった例です。

昨日の朝日新聞の一面トップの記事を参考にします。


この事件そのものはマスメディアがいつものパターンで報道しておりますので、そちらに任せます。重要なことは事件を起こした製紙会社が再生紙の年賀はがきの品質重視のために、およそ10年前に「契約で決められた年賀はがきの古紙配合率40%」を契約の変更なしに、社内で勝手に配合率を低くして「年賀はがきの品質を保った」ということです。

つまり、「10年前の社内の決定が今日の企業の信頼失墜の原因となった」という事例です。同業他社も同じような状況のようですので、「業界で」ということになるのでしょう

朝日新聞の35面に、「偽装 リサイクルでも」、「配合率操作、10年以上 日本製紙」、「古紙表示 申告任せ」という見出しをつけた関連記事があり、この分野の専門家3人が次のようなコメントを寄せています。 


環境分野の専門家という立場でコメントすれば、このようなコメントになるのかもしれませんが、このようなコメントはことの本質を突いているとは、私には思えません。問題を起こした企業の言い分を読みますと、私はもっと深いところにこういう事態になった理由があると思います。この記事の中に「同社(日本製紙)は92年ごろから古紙配合率を無断で下げたという。理由を、ごみやインクの固まりが増えるという『再生紙の品質問題』と説明した」という記述があります。ヒントは「92年ごろから古紙配合率を無断で下げた」「再生紙の品質問題」です

バブル崩壊以前の日本の企業が世界の市場で大成功をおさめた理由は3つありました。次の図が示しますように、その一つが「品質」でした。 

バブル崩壊までの日本企業は公害防止には関心がありましたが、環境問題には冷淡でした。1988年ごろから日本の環境行政が、それまでの「自然保護行政」と「公害行政」に加えて「地球環境問題」という新たな日本的な概念を加え、「公害対策基本法」を「環境基本法」に引き継いだのが1993年でした。ですから、今回の事件は環境の問題というよりも、日本の製紙業界が20世紀の企業としての慣習を引き継いできただけのことだと思います。

この事件が示唆していることは、日本の一流企業でさえも一部の企業を除いて、「CSR(企業の社会的責任)」や「EPR(拡大製造者責任)」が問われる21世紀に入った今なお、「20世紀の企業倫理や企業観」で製品を作り、市場に供給していたことが明らかになったということではないでしょうか。



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混迷する日本③ 私の環境論:今日の決断が将来を原則的に決める

2008-01-17 12:43:12 | 温暖化/オゾン層
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私の環境論の根底にある「今日の決断が将来を原則的に決める」という経験則についてはこのブログでも昨年2度ほどとりあげました。

市民連続講座:今日の決断が将来を原則的に決める(07-04-04) 

再び、「今日の決断が将来を原則的に決める」という経験則の有効性(07-07-30)

この経験則を理解するのに絶好の記事を、今日の朝日新聞が提供してくれました。次の2つの記事をじっくりと読んでください。


上の記事は内閣を構成する環境大臣と経済産業大臣の間で意見が対立し、最終的には福田首相の決断にかかっているという話ですし、下の記事は、「1年以上かけた経産省と環境省の審議会合同会議は経産省や日本経団連が13年以降の時期枠組みで先進国の排出総量削減をなくし、セクター別の効率目標にさせようとしてきた策略の隠れ蓑だった」とこの合同会議に委員として参加してきた浅岡さんの主張です。

つまり、この2つの記事は、この国では内閣も、行政も、国の審議会も、企業の間でも、そして、自治体や一般国民の間でも、「地球温暖化対策に対する十分な社会的な合意形成」がなされていない現実を見事に描き出しているのです。これらの記事は「日本の環境問題に対する私の基本認識」を十分裏付けてくれたとはいえ、この困った状況をどうにかしなければ、私たちの将来は悲観的にならざるを得ません。

福田総理の決断が間もなく明らかになるはずです。今月末までに、私たちは「今日の決断が将来を原則的に決める」という経験則の出発点を見ることになります。ぜひ福田総理の決断にご注目ください。

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