環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

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新しい感染症 「鳥インフルエンザ」

2008-02-27 18:20:55 | 市民連続講座:環境問題
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今日の「ニュースがわからん!」は「鳥インフルエンザ」に関する解説です。




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古くて新しい問題、「調査捕鯨」の議論

2008-02-26 18:11:12 | 市民連続講座:環境問題
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今日の「ニュースがわからん!」は「調査捕鯨」に関する解説です。商業捕鯨の停止から20年過ぎて消費が細る半面、捕獲量は4倍となり、鯨肉を売るために水産庁は新会社の設立を後押しして、学校給食などでの消費拡大に必死なのだそうです。






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クリスマス・プレゼントとしての 「日本の論点」

2007-12-25 21:42:44 | 市民連続講座:環境問題


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10日前の12月16日(日)、渋谷で第2回目の学習会を行いました。この日のテーマは下の図のように「日本はエコロジー的に持続可能な社会へ向かっているのか」でした。



これに対する私の答えはもちろん「NO!」でした。そして、私が提示した最も重要な論点は次のようなものでした。


しかし、日本では小泉前首相が2001年2月に掲げた「持続的な経済成長」を安倍前首相が引き継ぎ、そして福田首相も踏襲しているようですが、不思議なことに、次のような最も重要な論点がまったくと言ってよいほど議論されていません。

文藝春秋社が毎年発行する「日本の論点」シリーズ
でもこの議論はほとんどなされていないようです。20世紀から引きずってきた困った問題や21世紀になって生じた困った問題の中から毎年およそ100程度の論点をあげ、その論点に対して意見を異にする学者、評論家などマスメディアにしばしば登場する有識者(?)が議論を戦わせていますが、「持続的な経済成長」は、20世紀と同様、暗黙の了解(前提)のようです。

私が懸念するのは、マスメディアに登場するエコノミストや経済学者、評論家がまっとうな自然科学者が指摘している視点をまったく気にすることなく、あたかも「持続的な経済成長」が20世紀と同様に可能といわんばかりのスタンスをとっていることです。

つまり、実際の経済活動を支えている「資源」「エネルギー」「環境問題」への視点が欠落しているということです。お金の流れで社会の動きを見ているエコノミストが毎日対面しているPCに「資源」「エネルギー」「環境問題」「持続可能な社会」など、21世紀前半社会を規定するキーワードを入力すれば、いままで見慣れたPCの画面が一瞬にして別の画面に激変することに気がつかなければなりません。

そこで、私は学習会で「議論すべき日本の論点」として次の11の論点を提示しました。今日は奇しくもクリスマスの日ですので、“クリスマスプレゼント”としてその議論すべき11の論点を皆さんに贈ります。これらの論点に対する皆さんのお考えはいかがですか。 

① 「現行の経済成長」は今後50年も可能な?
② 原発は21世紀の電源にふさわしいか?
③ 持続可能なエネルギー体系とは?
④ 自然エネルギーにはCO2削減効果があるだろうか?
⑤ IT革命は省エネにつながるか?
⑥ テレビ会議にCO2削減効果はあるだろうか?
⑦ 日本はほんとうに省エネ国家だろうか?
⑧ 「分ければ資源、混ぜればごみ」はほんとうか?
⑨ 「経済活動」と「環境問題」の関係はどのような関係か?
⑩ スウェーデンと日本の「地球温暖化政策の相違」は何か?
⑪ 「民主主義」は「エコロジー的に持続可能な社会」の構築とどう関係するか?


これらの論点に対する「私の答え」あるいは「私の考え方」は、すでにこれまでのブログで明らかにしてきましたので、それらを手がかりとして皆さんご自身で考え、発言していただければ幸いです。21世紀前半にめざすべき「エコロジー的に持続可能な社会」の構築は私たちの考え方しだいなのですから



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環境問題のまとめ  ④企業の生産条件の劣化

2007-12-24 14:36:08 | 市民連続講座:環境問題


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今日は経済活動の基盤である「企業の生産条件の劣化」についてお話します。特に日本では官民ともに「日本はモノつくりが得意分野だ。これで世界に貢献する」と言い続けてきましたので、よく考えてみてください。

次の図に示しましたように、物の生産には労働力のほかに、生産工程に原料」、「エネルギー」、「水」など資源の供給(インプット)が必要です。一方、生産工程からは、製品と共に必ず、「廃棄物(固体廃棄物、排ガスおよび排水)」および「廃熱」が排出(アウトプット)されます。



これらの条件(原料、エネルギー、水などのインプットおよび廃棄物と廃熱のアウトプット)のいずれか一つが、“量的あるいは質的”に有為に満たされなくなれば、21世紀の生産活動が持続できなくなることは疑う余地もありません。

上の図が示しますように、発生する固形廃棄物の処分場は最初は工場敷地内から、生産規模の拡大に伴って国内の近接地へ、そして国内の過疎地へ、さらに国外へと移動して行きます。

上の図で重要なことは、例えば、エネルギーの供給が十分であっても、その他の条件が一つでも有為に満たされなくなれば、生産活動ができなくなるという事実です。ですから、 「生産活動は最も少ない条件に縛られる」ということになります。



当然のことですが、生産量の増加は一般に廃棄物(固形廃棄物、排ガスおよび排水)の増加と廃熱の増加をもたらすことになりますので、「環境に配慮した持続可能な生産体系」で重要なことは原料やエネルギー、水などの供給側(インプット)よりも、むしろ排出側(アウト)である廃棄物や廃熱の処理・処分のシステムが社会の中に適切に整備されているかどうかにかかっています。

今後、「持続可能な開発」を模索する際に、廃棄物の問題は最大の関心事でなければならなりません。廃棄物という観点から見れば、中古品の輸出は「相手国での有効利用」というプロセスを経るものの、結果的には廃棄物そのものの輸出と同じことになるといってもよいでしょう。92年5月5日に発効した「バーゼル条約」は有害廃棄物の輸出に一定の歯止めをかけると期待されています。

先進工業国から発展途上国への有害廃棄物の輸出を全面的に禁止するこの条約改正案の採択を報じた95年9月24日の日本経済新聞によれば、「国連によると、有害廃棄物は先進国を中心に世界で毎年4億トン以上生み出されている。これが処理技術の不十分な途上国に持ち込まれると環境汚染を引き起こすという懸念から、条約加盟国は昨年春、拘束力のない輸出禁止決議を採択した。正式な条約改定には欧州連合(EU)や環境保護団体が熱心な一方、日本や米国、オーストラリア、韓国、インドなどはリサイクル目的の貿易を容認するよう主張したが、大多数の条約加盟国は全面禁止を支持した」そうです。

次の記事をご覧ください。2000年の日本の実態です。私が15年前のバーゼル条約発効以来、懸念して来たことが現実問題となりました。




次の関連記事をご覧ください。さらに、最近の状況が明らかになっています。

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家電リサイクル アジアへごみ輸出の危険性(7/28) 



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環境問題のまとめ  ③人間の生存条件の劣化

2007-12-23 23:50:18 | 市民連続講座:環境問題


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今日は「人間の生存条件の劣化」についてお話します。

私たちの「産業経済システム」とその下で行われる「消費活動」が、環境を構成している「生態系(エコシステム)」に影響を与え、その影響が、私たちが生きるために空気を吸い、水を飲み、食物をとる行動を介して、次の図のように、「人体への負荷」という形に収斂されます。




私たち人間は動物ですから、この図に示したように、ある範囲の温度と湿度の下で、光を浴び、空気を吸い、水を飲み、動・植物しか食べられません。この事実こそ21世紀の社会である「持続可能な社会」が備えるべき最も基本的な必要条件であり、これらの条件のいずれか一つが、環境の悪化により“量的あるいは質的”に有為に満たされなくなれば、21世紀の人間の生存が危ぶまれることは疑う余地もありません。

この他に、私たちは意識してタバコを吸ったり、無意識のうちに放射線にさらされたり、電磁波の影響を受けています。また、労働環境や住環境からも様々な物理的・化学的・心理的な影響を受けています。

最近では、低濃度の化学物質の摂取によると考えられる「化学物質過敏症」の報告が増えてきました。さらに、“いわゆる環境ホルモン”(内分泌かく乱物質)として知られる様々な環境由来の化学物質が、ある種の貝や野生動物の奇形や生殖機能に影響を与えているとする報告がありますし、人間の生殖機能や内分泌系統に影響をおよぼしたり、ホルモンのバランスを崩すことを示唆する医学的な報告も散見されるようになって来ました。

この種の化学物質の濃度と作用の関係は、ppt(parts per trillion:1兆分の1)という単位で表されるように、極めて低濃度(しばしば50メートル・プールに目薬一滴分などと形容される)と考えられるので、動物としての人間の持続性という観点からも、この種の報告は十分注目しなければなりません


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私の環境論11 人間の生存条件の劣化(1/21) 



このような視点から考えますと、今朝の朝日新聞(朝刊)の一面トップに掲載されていた次の記事は大変気がかりな記事です。

私たちの身体には生物としての許容限度(人体の許容限度)があるため、その許容限度を超えると、死亡から内分泌攪乱に至るまで、様々なレベルで健康の障害が出てきます。私たちが重視しなければならないのは多種類の化学物質による複合汚染です。


私たちは生きるがゆえに、「環境へ人為的負荷」をかけ(環境に影響を及ぼし)、逆に、「人体への負荷」を高めているのです(その影響を受けているのです) 。このような段階に、今、私たちは来てしまったのです。私は、これが「環境問題の本質」であると考えます。


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環境問題のまとめ  ②生態系の劣化

2007-12-22 22:06:08 | 市民連続講座:環境問題


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今日は「生態系の劣化」についてお話しましょう。

これまでの自然科学は、多くの場合、人間を除いた議論をしてきました。人間の問題は人文・社会科学の分野で扱われてきましたが、この分野では人間社会を他の生物社会と区別して考える習慣がありました。しかし、人間社会も人間という生物の集団である以上、太陽と植物を基礎にしたエネルギーの範囲の中で生きていることには変わりありません。

45億年の地球の歴史の中で、これだけ人間が他の生物よりも優先してしまった現実を直視すれば、自然科学の中心に人間を据えた新しい自然科学的な取り組みが必要です。これまでの生態系の説明では、人間の存在がみごとに抜けていました。
 
しかし、環境を支配している法則は数100年前も現在も基本的には変わりません。現在のように人間活動が「環境の許容限度」を越えるほどに大きくなってくると、自然の法則にしたがって、私たちの体には、これまで以上に大気、水、食物を介して、次から次へと負荷がかかってくるようになります。人間が、おのれの基本的立場である動物的次元を忘れ物理化学的要素の強い科学技術文明に軸足を掛け過ぎたために、「公害」を招き、「人体への負荷」が高まってきたのです。



私たちと生活環境を共有してきた野生の動・植物が徐々に姿を消して行くことは、同じ動物界の一員である人間にもその危機が忍び寄っていることを示唆しているのです。私たちが決して忘れてはならないことは、「生態系を支える食物連鎖の出発点は植物であり、食物連鎖で支えられた“生物ピラミッド”の頂点に位置づけられているのが人間である」という事実です。 

つまり、「人間を含めた動物の生存を支えているのは基本的には植物だ」ということです。植物を食べる動物がいて、その動物を食べる動物がおり、私たち人間は動物と植物の両方を食べているわけです。ですから、植物がだんだん失われてくると私たちは生きていけなくなるわけです。

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私の環境論10 生態系の劣化


このようなあまりにも当たり前のことを私たちはすっかり忘れ、環境問題は技術で解決できるかのような誤った認識(?)に浸っている感があります。それは私たちの「環境問題に関する基本認識」が20世紀後半に経験した「公害の概念」の域から未だ脱していないからです。環境基本法がその何よりの証拠です。 私たちはこれまでお話してきた原則を真剣に考える必要があります。

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環境基本法成立から14年② 不十分なので、このままでは私は反対だ!(12/7



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環境問題のまとめ  ①環境問題とは

2007-12-21 21:22:16 | 市民連続講座:環境問題


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今年1月1日(月)に開設したこのブログで、私の環境論の一端を皆さんに示して、環境問題の重要性を訴えてきました。あと10日ほどで今年も幕を閉じます。ここで、改めて「環境問題」に対する私の考え をまとめておきましょう。

1月18日のブログ記事「私の環境論8 環境問題とは何か」で次の図を掲げました。


私の環境論では、環境問題とは上の図が示しますように、人間活動の拡大(資源とエネルギー利用の拡大)による 

①生態系の劣化」

②「人間の生存条件の劣化」 および


③「企業の生産条件の劣化」

です。  


次の図に示した「経済活動」と「環境問題」の関係が理解できれば、上の図「環境問題とは何か?」の社会科学的に見た環境問題の原因と結果、そしてその対応がお分かりいただけるでしょう。日本では環境問題を上の図の自然科学的な見方で理解してきたきらいがあります。


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東海大学湘南公開セミナー   「21世紀前半社会の最大の問題:環境問題」-原因は経済活動の拡大ー

2007-12-20 23:46:26 | 市民連続講座:環境問題


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東海大学公開セミナー委員会は2007年度の秋学期に2本の講演会を企画しました。一つは12月12日(水)に行われた講演会で、講師は寺島実郎さん(日本総合研究所 会長・三井物産戦略研究所 所長)で、演題は「21世紀世界の潮流と日本」、もう一つは1週間後の昨日行われた私の講演で、演題は「21世紀前半社会の最大の問題:環境問題―その原因は日常の経済活動の拡大である―」でした。

私の講演の冒頭で参加者に、先週の寺島さんの講演を聞いた方がどのくらいいるのか挙手をしてもらったところ参加者の20%程度でした。おそらく、この20%の参加者は寺島さんと私の話を聞くことによって問題の存在の大きさを知るきっかけをえられたのではないでしょうか。主催者がつくった資料に書かれている「講演概要」を記しておきましょう。


第288回 『21世紀世界潮流と日本』
寺島実郎(財団法人 日本総合研究所 会長、株式会社 三井物産戦略研究所 所長)

今回は混迷する21世紀の世界潮流に対するお考えをお話し頂くと共に、その中で日本はどのような役割を果たすべきか、特に今後、日本は国際社会の中でどのような立場で行動しなければならないのか。また、現在の世界経済の視点現状などについて持論を展開して頂ける予定となっております。グローバルな観点から国際社会の中の日本の立場をいかに進めていくべきかを考え直す機会ともなり、また世界経済の現在置かれている現状、問題点、国際社会における日本の立場などとても大変役立つお話が伺えるものと思います。

具体的には海外企業・市場の動向、為替、各国国債、社債、株式、石油、派生商品市場や海外企業・産業におけるトピックスを紹介するとともに国際政治経済の動向、欧米に限定せず、現代の国際経済・国際金融動向に欠かせない中国、ロシア、インド、中東、中南米そして中東欧などの政治・経済トピックスを選び出し、寺島実郎氏の詳しい解説が加えられます。


第289回 『21世紀前半社会の最大の問題:環境問題―その原因は日常の経済活動の拡大である―』
小澤徳太郎氏(環境問題スペシャリスト)

昨今、温暖化などの環境問題について、6月6日~8日、ドイツのハイリゲンダムで主要テーマを「地球温暖化対策」とした主要国首脳会議が開かれました。日本の安倍首相がその会議において、「世界全体の温室効果ガス排出量を2050年までに半減する」という長期目標を設定し、その達成手段として革新的技術の開発と低炭素社会の実現を目指すという提案がなされました。

確かに、これは良い提案であると思われますし、環境問題に常に他国の後手に回ってきた日本から見れば、大きな一歩であると言えます。しかし、世界全体で半減という数値目標は、京都議定書の削減目標である6%すら削減できず、逆に8%増やしてしまった日本には無理なことです。

そして、タイトルからわかるように、経済活動が環境問題の原因となっています。日本はそれを全く理解せず、20世紀の考え方のまま、経済成長一辺倒です。それに、日本は省エネが世界でもトップレベルだと言っていますが、それなら何故一向に削減できていないのでしょうか。例えば、スウェーデンは小国ながら、「緑の福祉国家」・「持続可能な社会」を目指し、世界の先頭に立って、様々な政策を実施し、既に素晴らしい成果をあげているのです。

この講演会では、環境問題とは何かという根本的な問題や、日本における環境問題やその対策の現状を、スウェーデンという国を通して比較しながらお話頂きます。そして、現状をしっかり知ってもらい、環境問題に対して自ら正しく考える事ができるようにして頂きたいと思います。


私が思うに、せっかくの機会ですからこの種の講演企画は同じ日に行うとか、対論にするとかすると、もっと話が現実的になると思います。いずれにしても、このような企画が今後増えることが望まれます。






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第2回学習会のご案内  日本は「エコロジー的に持続可能な社会」に向かっているか?

2007-11-25 21:04:26 | 市民連続講座:環境問題


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「平成19年版 環境・循環型社会白書」の「刊行に当たって」を、若林正俊・前環境大臣が書いておられます。 私が注目したのは、全文33行の最後の13行になんと「持続可能な社会の形成」、 「低炭素社会の構築」、そして「循環型社会の構築」という概念が異なる3つの言葉が混じっていたことです。

「刊行に当たって」を読んだ私の最初の感想は、これから日本はどのような社会をめざそうとしているのか、さっぱりわからないということでした。多くの人がそれぞれに努力しているにもかかわらず、日本はますます「混乱の状況」を呈してきたように思います。皆さんのご感想はいかがでしたか?

そこで、「持続可能な国づくりの会<緑と福祉の国・日本>」主催の第2回学習会では「日本は『エコロジー的に持続可能な社会』に向かっているか?」というテーマでお話することにしました。

                                   第2回学習会のご案内


2006年2月に出版された私の本「スウェーデンに学ぶ持続可能な社会 安心と安全な国づくりとは何か」(朝日新聞社 朝日選書792)がこの春、3刷となりました。この本は「私自身の環境論」に基づいて、スウェーデンと日本の現状と将来を総合的に分析し、日本の将来に関心のある方々に必要な情報を提供し、一緒に考えていただこうという趣旨で企画したものです。

そして、今年8月、この本がきっかけで、 「持続可能な国づくりの会<緑と福祉の国・日本>」という小さな組織が誕生しました。この持続可能な国づくりの会は「会の目標」に沿って定期的な学習会を計画しているそうですが、私は最初の2回の学習会の講師の依頼を受けました。初回の学習会は10月21日(日)に行われました。内容は「私自身の環境論」に基づいて、スウェーデンの挑戦「20世紀の福祉国家を21世紀の緑の福祉国家に変えていくための政策的なアプローチ」を検証してみました。

さて、今回2回目の学習会では、「私自身の環境論」に基づいて「日本の現状と将来」について具体的なお話します。日本の問題点と21世紀前半に日本がめざすべき方向をはっきりと示すことができると思います。質疑応答の時間を2時間とりました。質疑を通して新しい発見ができればと期待しています。

私は、私の本の「第6章 予防志向の国」で、次のように書きました。


スウェーデンと日本の違いは、「予防志向の国」と「治療志向の国」、言い換えれば、「政策の国」と「対策の国」といえるだろう。スウェーデンは公的な力で「福祉国家」をつくりあげた国だから、社会全体のコストをいかに低く抑えるかが、つねに政治の重要課題であった。そこで、政策の力点は「予防」に重点が置かれ、「教育」に力が入ることになる。

一方、これまでの日本は、目先のコストはたいへん気にするが、社会全体のコストにはあまり関心がなかったようである。90年代後半になって社会制度からつぎつぎに発生する膨大な社会コストの「治療」に、日本はいま、追い立てられている。



お問い合わせ、参加ご希望の方は、下記メールまでご連絡をお願いいたします。



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学習会のご案内  安心と安全の国づくりとは何か スウェーデンに学ぶ「持続可能な社会」

2007-10-05 14:49:04 | 市民連続講座:環境問題

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昨日のブログで、日本経済新聞の「経済教室」(2007年9月25日)に掲載された前欧州連合代表部大使・朝海和夫さんの寄稿を紹介しましたが、その結論は「(日本では)経済成長と環境対応、社会福祉という三者を総合して扱う、政治のリーダーシップが今こそ求められる」というものでした。

つまり、日本はこれから始まるというお話です。この分野では、EUのリーダーであるスウェーデンが10年前の1996年から具体的な行動を起こし、すでに国際社会で目覚ましい成果をあげています。まさに、朝海さんがお書きになっている「経済成長、環境対策、社会福祉」です。

偶然にも、私は来る10月21日(日)13:30から渋谷で、スウェーデンの最新のアプローチをお話する機会をいただきました。このブログの読者の皆さんと直接意見交換ができればと願っています。また、皆さんのお知り合いの方にお声をかけていただければ、幸いです。


主催者作成のチラシを載せます。


このブログでは、少々読み難いところがあるようですので、リライトしておきます。

現在の市場経済システムの下で営まれてきた経済活動の拡大によって、環境への人為的負荷は増大し、環境問題は深刻な状況にあります。こうした状況を目の前にして日本とスウェーデンの描く今後の将来像はきわめて対照的です。日本は「持続的な経済成長」という言葉を掲げ経済成長路線をとり続けています。一方スウェーデンは生態学的に持続可能な社会を目指し、緑の福祉国家への転換を目指しています。

スウェーデンはなぜ国家の持続可能性ランキングで一位(※)になることができたのか、そしてスウェーデンの目指す持続可能な社会とはどのようなものなのか、環境問題スペシャリストである小澤徳太郎氏を講師に迎え、学習会を開催いたします。
※国際自然保護連合(IUCN)2001年10月11日発表のランキング

日 時 10月21日(日)   13:30~   (開場は13:00)

会場 モンベル渋谷店 5Fサロン
渋谷駅ハチ公口 徒歩8~10分 東急ハンズ向い
受講費 一般1500円  学生1000円  会員1000円

お問い合わせ
持続可能な国づくりの会<緑と福祉の国・日本>     

http://blog.goo.ne.jp/greenwelfarestate

メール greenwelfarestate@mail.goo.ne.jp

会場の都合により、先着60名



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今日の決断が将来を原則的に決める

2007-04-04 14:35:04 | 市民連続講座:環境問題
   

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昨日のブログで、 3月30日に開業した「東京ミッドタウン」を取り上げました。この機会に「巨大構造物と環境問題の関係」を考える材料を提供しましょう。まずは、この問題を考えるときの原則をお話します。

今、私たちが本気で「環境保護のための行動」と「持続可能な社会の実現をめざした行動」を起こさないと、私たちの子供や孫が生きる世界が大変なことになりますし、対応を先に延ばせば延ばすほど、社会的なコストが増大することになります。これから、このことを説明します。次の図をご覧ください。

私たちが、今、直面している環境問題は「今に原因があるというよりも、私たちが数10年前に決断したことに原因がある」ということです。私たちが経済成長の拡大を求めて投資した生産設備や、そこから生産された生産物、インフラ・ストラクチャーとしての巨大ビルや高速道路などの構造物から生ずる「環境の人為負荷」の蓄積が今起こっている環境問題の主な原因なのです。

つまり、数10年前に建設した工場等の構造物が生産活動を通じて環境へ様々な廃棄物(ガス状、液状および固体状の廃棄物)を環境に排出してきました。また、私たちも生産活動から得た生産物を消費することにより、環境を汚染し、最終的に廃棄物を環境に放出してきました。そして、それらが大気を汚染し、水を汚染し、土壌を汚染してきたのです。

ですから、環境問題は人間活動に伴う資源や原料の供給量、エネルギーの消費量、水の消費量に左右され、これらの量が大気汚染物質や水質汚濁物質の排出量、廃棄物量を原則的に決めてしまうのです。このことがはっきり理解できれば、「今日の決断が数十年先の環境問題を原則的に決めてしまう」という経験則が理解されるはずです。

この経験則は人口の大小や生産規模の大小にかかわりなく、すべての国に共通する普遍の原理・原則です。この原理・原則は環境問題だけでなく、社会システム、インフラ・ストラクチャー、経営などほとんどすべての社会事象に適用可能だと思います。

つまり、私たちが、今、必要だからということで、全体を考えずに、巨大な構造物をどんどん作っていきますと、この原理・原則により、これから10年後、30年後、50年後……の環境問題が原則的に決まってしまうということです。何が決まってしまうかと言いますと、「資源/原料の供給量」、「エネルギーの消費量/大気汚染物質の排出量」、「水の消費量/水質汚濁物質の排出量」、「廃棄物の量」、「土壌汚染の程度」などです。
 
現在のように、資源の制約、エネルギーの制約、環境の制約により人間の活動が環境の許容限度に近づいてるような時に、このような巨大構造物をつくってしまいますと、どこかを犠牲にしない限り、巨大な構造物を設計どおりに機能させることができなくなります。

巨大な構造物はその一生(建設時、使用時、廃棄時)を通じて原則的に大量のエネルギー(最近の構造物では、特に電気)を要求し、大量の廃棄物を生み出します。日本は資源やエネルギーが極めて乏しいため、それらを外国から持ってこざるをえません。多くの場合、発展途上国に依存することになります。

発展途上国の人々との共存を考えると、私たちはこれまでの産業経済システムの方向性を変えなければ行き詰まるのではないかと思います。これは難しい議論ではなく、ごく当たり前の話です。


↓環境問題の本質を知り、「環境問題についての共通の認識」を形成するためにご協力を!
そのためには、それぞれのマークを1回クリックしてください。

     

「新しい経済発展の道」をめざして  

2007-03-11 07:54:49 | 市民連続講座:環境問題


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生産活動の制約要因のなかで最も強く緊急性を要する要因は、地球的規模では、おそらく「水資源(淡水)」でしょう。 

国連は2003年3月5日、国連初の水の包括的な報告書「世界水開発報告書」を発表しました。報告書は最悪の場合、2050年には約89億人の推定人口のうち70億人が深刻な水不足に直面する、と指摘しています。



また、2000年に入りますと、次の図に示しますように、「バーチャル・ウォーター(仮想水)」という概念が提案されるようになりました。




いずれにしても淡水は、人間の生命や経済活動に必須の資源でありながら、エネルギーや金属、食料などのほかの資源と違って、用途において代替不可能だからです。水資源は国内外を問わず、将来の経済活動拡大の最大の制約因子になることは間違いありません。

「地球が物質的に閉鎖系である」という事実「生産にかかわる4つの制約条件」と、下図に掲げた「生産にかかわる4つの制約条件」を総合的に考えれば、きわめて大雑把ではありますが、「2050年まで現行経済の持続的成長を続けることができる可能性はきわめて低い」と結論づけられるのではないでしょうか。



1月12日のブログで紹介した2001年10月に公表された国際自然保護連合の「国家の持続可能性」に関する報告では、世界180カ国のうち、現時点(2001年)でさえ「持続可能な社会」はないとのことです。

経済活動の量的拡大、すなわち「現行経済の拡大の方向に将来はない」のであれば、これまでの経済成長を抑制する方向で「新しい経済発展」の道を考えなければなりません。





生産条件 資源からの制約

2007-03-10 14:01:49 | 市民連続講座:環境問題


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昨日のブログで、
   とりあえず参考資料として、世界の主要金属や世界のエネルギー資源確認埋蔵量と 
   可採年数が参考資料として重要です。可採年数とは、ある年の年末の確認可採埋
   蔵量をその年の年間生産量で割った数字であらわされ、地下資源の有限性を示す目
   安の一つとなっています。
と書きました。

最新の情報が手元にそろっていれば見栄えがよいのですが、無いよりもましということで、最新の情報と少々古くなった情報を参考に掲げておきます。重要なことは情報そのものの新旧ではなく、考え方の問題だからです。


★資源・エネルギーに関する情報





★水に関する情報

現在の地球が保有する水の総量は約14億キロ立方メートルと見積もられており、海水が97.5%を占め、地球表面の約2/3を覆っているといわれています。通常、海水と水蒸気を除く「雪氷、地下水、河川水など」を陸水と呼び、陸水の占める割合は水の総量の約2.5%です。



この陸水の大部分(1.75%)を両極の氷河が占めるため、残りの0.75%が地下水、湖沼水、河川水などに相当します。このうち人間が利用できる淡水は、浅層地下水、湖沼水、河川水などに限られ、地球上の総水量のわずか0.04%(下の朝日新聞の図では0.01%となっています)にすぎません。

こんなわずかな水量で人間をはじめ多くの生物が生命を維持できるのは「水の循環」という巧妙なからくりが自然界にあるからです。



★廃棄物に関する情報



しかし、本当のところは神のみぞ知る、ですいずれの資源もその主なものは、現在の知識では、2050年までになんらかの限界が明らかになりそうな状況を示しています。これらの予測値や推定値についてはさまざまな専門機関で公表されていますので、最新のものを参照してください。

最後に、もう一度繰り返します。

重要なことは「生産活動」は地球規模であれ、国レベルであれ、企業レベルであれ、個人レベルであれ、最も少ない要素に縛られるということです。  





 再び「現行の経済成長」は50年後も可能か? 

2007-03-09 21:10:34 | 市民連続講座:環境問題


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さて、「社会的合意形成」の話が10回ほど続きましたので、今日からしばらく離れていたカテゴリー「市民連続講座:環境問題」に戻ります。

2月25日のブログで、モノの生産には、労働力のほかに、生産工程に「原材料」、「エネルギー」、「水」などの資源の供給(インプット)が必要で、生産工程からはかならず、「製品」とともに、「廃棄物(固形廃棄物、排ガス、排水)」および「廃熱」が排出(アウトプット)されることを学びました。
 
そして、重要なことはたとえば、エネルギーが十分あっても、その他の条件が一つでも量的あるいは質的に有意に満たされなくなれば、生産活動ができなくなるということ、つまり、生産活動は供給資源(原材料、エネルギー、水)と廃棄物の処分能力のうち、最も少ない条件に縛られることになるということでした。

それでは、これらの生産条件の現状と将来を地球規模で調べてみましょう。



この図で明らかなことは、中央の「経済活動」を行うのに「インプット」が必要であり、その結果必ず「アウトプット」があるということです。ですから、中央の「経済活動の拡大」(その総和が国レベルでは「GDPの成長」という指標で表現される)を求めれば、既存の経済・産業システムへの「インプット」を高めることになり、「アウトプット」も高まるのは当然といえるでしょう。

このアウトプットの蓄積が「環境への人為的負荷」であり、環境問題の原因です。それ故、「経済活動の拡大(GDPの成長)」は資源やエネルギーのインプット量)に制約されると同時に、廃棄物のアウトプット量に制約されることになるのです。

そして、20世紀後半に自然科学が明らかにしたことは、現行の産業経済システムで利用可能な資源やエネルギーの量(資源やエネルギーの減耗、最近のピークオイルという概念など)に限界が見えて来たこと、環境の許容限度にも限界が見えてきたこと、つまり、

 「インプット」「アウトプット」も限界点に近づいてきたこと、ある部分ではその限界点を越えていることです。

とりあえず参考資料として、世界の主要金属や世界のエネルギー資源確認埋蔵量と可採年数が参考データとして重要です。可採年数とは、ある年の年末の確認可採埋蔵量をその年の年間生産量で割った数字であらわされ、地下資源の有限性を示す目安の一つとなっています。

しかし、本当のところは神のみぞ知る、です。いずれの資源もその主なものは、現在の知識では、2050年までになんらかの限界が明らかになりそうな状況を示しています。これらの予測値や推定値についてはいくつか公表されたものがありますので、最新のものを参照してください。

2050年までの主な制約条件

2007-02-25 21:59:48 | 市民連続講座:環境問題


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国連やそのほかの国際機関、日本政府などの公的機関が公表しているさまざまな統計資料をベースに総合的に考えると、2050年までに、つぎのような制約条件が浮かび上がってきます。

ここでは、経済活動の原点である生産活動に焦点を当てます。モノの生産には、つぎの図に示すように、労働力のほかに、生産工程に「原材料」、「エネルギー」、「水」などの資源の供給(インプット)が必要です。生産工程からはかならず、「製品」とともに、「廃棄物(固形廃棄物、排ガス、排水)」および「廃熱」が排出(アウトプット)されます。

  
この図で重要なのはたとえば、エネルギーが十分あっても、その他の条件が一つでも量的あるいは質的に有意に満たされなくなれば、生産活動ができなくなるということです。ですから、生産活動はインプットあるいはアウトプットの最も少ない条件に縛られることになります。