環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

「経済」 「社会」(福祉) 「環境」、不安の根っこは同じだ!

「将来不安」の解消こそ、政治の最大のターゲットだ

「環境問題」こそ、安全保障の中心課題に位置づけられる

2007-03-12 07:29:22 | 環境問題総論/経済的手法


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地球的規模での「経済活動の拡大の可能性」がきわめて低いとすると、21世紀前半の「持続的経済成長」をめざす「超輸入大国」日本の経済活動にも大きな影響が出てきそうです。日本は経済活動を支えるために「原材料」のおよそ40%と「エネルギー」の90%以上を海外に依存し、その経済活動から排出される廃棄物の大部分を国内に蓄積し、その一部を海洋投棄しています。最近は、海外にも廃棄物を輸出しています。
 
日本の経済成長が、資源やエネルギーの面で、途上国との「協力」と「競合」の上に成り立っていることを、あらためて認識する必要があります。 「資源・エネルギーの流れ」の視点に立てば、日本が「超輸入大国」であることは明らかですし、「経済」と「環境」が切り離せないことも、理解しやすいと思います。
 
しかし、「金の流れ」という視点で社会の動きを見ている経済学者やエコノミストにとっては、日本は「輸出大国」と考えるほうが普通なのかもしれません。この場合には、「経済」と「環境」は、これまで通り、切り離して考えてもほとんど不都合は生じないのでしょう。
 
たとえば、マスメディアにもしばしば登場する草野厚さん(慶應義塾大学総合政策学部教授)は、『「強い日本」の創り方――経済・社会大改革の海図』(竹中平蔵+東京財団・政策ビジョン21、PHP研究所、2001年)で、「案外忘れられがちだが、日本は輸出立国である。自国で生産したものを輸出することで、経済が成り立っている部分が大きい。今後も輸出立国で生きていくためには、輸出先にも経済成長をしてもらわなければならない」と述べています。

このことは、日本の経済成長や景気回復などが現在、米国や中国の経済成長に依存しており、将来は米国やBRICs諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国)の経済成長に依存することを示唆するものです。

草野さんの解説は経済学的視点(お金の流れ)でみれば、まことにごもっともで論理的で納得のいくものです。しかし、実際に経済活動を支えている「自然科学的視点(資源・エネルギーの流れ)」に立って、「経済成長」と「資源・エネルギー消費」の強い相関関係がある現実の産業経済システムを直視すれば、昨日のブログで明らかにした「有限な地球上でのさらなる経済成長」は可能性が低いばかりでなく、私たち人間の生存にとってますますリスクが高まることを示唆しているのではないでしょうか。

21世紀前半の経済論、技術論は「資源・エネルギーの流れ」に基づいて展開されなければなりません。

20世紀の安全保障の議論は「軍事的側面」に特化されていました。しかし、21世紀の安全保障の概念は「軍事的側面」だけではなく、さらに広く「経済活動から必然的に生じる環境的側面」へと発展していかなければなりません。1月3日のブログ「戦後62年 立ち止まって考えてみよう」に書いたように、 その象徴的存在が「気候変動(地球温暖化)」なのです。

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