環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

「経済」 「社会」(福祉) 「環境」、不安の根っこは同じだ!

「将来不安」の解消こそ、政治の最大のターゲットだ

「2021年のスウェーデン・プロジェクト」 対 日本の 「脱温暖化2050プロジェクト」

2007-10-25 21:41:57 | 持続可能な開発・社会/バックキャスト
 

私のプロフィールや主張、著書、連絡先は、ここをクリック

持続可能な国づくりの会<緑と福祉の国・日本>のブログは、ここをクリック


昨日のブログで、皆さんは表題に掲げた「持続可能な社会」、「低炭素社会」、「循環型社会」、「自然共生社会」、これらを組み合わせた社会とは何だかおわかりですか。私にはさっぱりわかりません、と書きました。

そして、最近マスコミにしばしば登場する「低炭素社会」という用語の概念が十分議論されていないと思いました。そこで、今日はスウェーデンとの比較でこの言葉をすこし考えてみたいと思います。

まずは、いつものように、次の図をご覧ください。4日前の朝日新聞に掲載されていた記事の中の図です。



この図は「低炭素社会へ 選択の時」、「温室ガス 7割減らせるか」、「なぜ増加 車や家電 普及した暮らし一因」、「目標は 深刻な影響防止 上昇は2度まで」、「方法は エネルギー 集約型か分散型か」という記事で囲まれています。

2050年、日本の社会は?と題する図の上半分にシナリオA(技術志向)とシナリオB(自然志向)が示され、図の中央は「2つの道筋、比較すると・・・」、そして、一番下はそれぞれのシナリオのもとで「自動車」、「電力」、「家庭の暖房」のエネルギーをどのように供給するかが書かれています。

そこで、私は1996年にすでに「生態学的に持続可能な社会」のビジョンを掲げ、着々とその目標年次に向けて、国民一体となって努力しているスウェーデンと日本の研究レベルを比較してみました。次の図はその概要をまとめたものです。

スウェーデンの研究プロジェクトは1995年にスタート、日本のプロジェクトは2004年に始まりました。スウェーデンは「生態学的に持続可能な社会」を、日本は「脱温暖化」をゴールとしているようです。

興味深いのは、研究手法が両国とも「バックキャスト的手法」を用いていることです。そして、両国とも2つのシナリオを描いていることです。概念的にはスウェーデンの「シナリオA」(タスクマインダー:現実の経済社会の延長上で環境に配慮し、再構築したモデル)は日本の「シナリオA」と、スウェーデンの「シナリオB」(パスファインダー:望ましい経済社会をイメージしたモデル)は日本の「シナリオB」と対応していると考えてよいと思います。

両国の研究成果を検証してみると、いずれも「掲げた目標達成は可能」としていますが、私はスウェーデンのシナリオのほうが包括的で、現実的だと思います。また、研究のスタート時期が8年スウェーデンの方が早く、めざすゴールはスウェーデンが2021年で、日本が2050年となっています。


「日本の低炭素社会」のシナリオが「スウェーデンの生態学的に持続可能な社会(緑の福祉国家)」のシナリオと決定的に異なるのは、原子力エネルギーの役割です。スウェーデンのシナリオでは原子力エネルギーはなく、化石燃料は最小限の抑えられています。日本のシナリオAでは電力の87%を原子力と化石燃料に依存しシナリオBでも73%を原子力と化石燃料に依存しています。図には「電源構成」は書いてありますが、「総供給量(予測)」が表示されていません(他の項目も同じ) 。この電力供給システムは絵に描いた餅の可能性があります。次の関連記事を参照してください。

関連記事

原発を考える⑦ それでは高速増殖炉は? 核融合炉は?(07-04-16)



そして、スウェーデンはこの研究成果を現実の政策に応用し、すでに8年が経っています。今のところ上々の成果を上げています。詳細は、このブログの「緑の福祉国家1~62(1/11~6/2)」をご覧下さい。

ぜひ、皆さんもご自分で日本のプロジェクト「脱温暖化2050プロジェクト」を検証してみてください。私たちの近未来のために・・・・・そのとっかかりとして次の関連記事をあげておきます。

関連記事


スウェーデン

緑の福祉国家⑨ 21世紀へ移る準備をした「90年代」⑤ 研究報告「2021年のスウェーデン」(1/19)

2021年のスウェーデン 我々はすでに正しい未来の道を選択した(10/26) 

★希望の船出から11年、経済も、福祉も、環境も、 バックキャストが有効だ! 



日 本

★混迷する日本⑥ 福田首相の変心?(08-01-20) 


 「脱温暖化2050プロジェクト」成果発表のお知らせ(平成19年2月15日) 

脱温暖化2050研究プロジェクト

2050日本低炭素社会シナリオ:温室効果ガスj70%削減可能性検討

西岡PLによる報告書の背景解説

日英共同プロジェクト「低炭素社会の実現に向けた脱温暖化2050プロジェクト」の発足について




それぞれのマークをクリックすると、リアルタイムのランキングが表示されます。お楽しみください。

      

最新の画像もっと見る

コメントを投稿