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昨日のブログで、皆さんは表題に掲げた「持続可能な社会」、「低炭素社会」、「循環型社会」、「自然共生社会」、これらを組み合わせた社会とは何だかおわかりですか。私にはさっぱりわかりません、と書きました。
そして、最近マスコミにしばしば登場する「低炭素社会」という用語の概念が十分議論されていないと思いました。そこで、今日はスウェーデンとの比較でこの言葉をすこし考えてみたいと思います。
まずは、いつものように、次の図をご覧ください。4日前の朝日新聞に掲載されていた記事の中の図です。
この図は「低炭素社会へ 選択の時」、「温室ガス 7割減らせるか」、「なぜ増加 車や家電 普及した暮らし一因」、「目標は 深刻な影響防止 上昇は2度まで」、「方法は エネルギー 集約型か分散型か」という記事で囲まれています。
2050年、日本の社会は?と題する図の上半分にシナリオA(技術志向)とシナリオB(自然志向)が示され、図の中央は「2つの道筋、比較すると・・・」、そして、一番下はそれぞれのシナリオのもとで「自動車」、「電力」、「家庭の暖房」のエネルギーをどのように供給するかが書かれています。
そこで、私は1996年にすでに「生態学的に持続可能な社会」のビジョンを掲げ、着々とその目標年次に向けて、国民一体となって努力しているスウェーデンと日本の研究レベルを比較してみました。次の図はその概要をまとめたものです。
スウェーデンの研究プロジェクトは1995年にスタート、日本のプロジェクトは2004年に始まりました。スウェーデンは「生態学的に持続可能な社会」を、日本は「脱温暖化」をゴールとしているようです。
興味深いのは、研究手法が両国とも「バックキャスト的手法」を用いていることです。そして、両国とも2つのシナリオを描いていることです。概念的にはスウェーデンの「シナリオA」(タスクマインダー:現実の経済社会の延長上で環境に配慮し、再構築したモデル)は日本の「シナリオA」と、スウェーデンの「シナリオB」(パスファインダー:望ましい経済社会をイメージしたモデル)は日本の「シナリオB」と対応していると考えてよいと思います。
両国の研究成果を検証してみると、いずれも「掲げた目標達成は可能」としていますが、私はスウェーデンのシナリオのほうが包括的で、現実的だと思います。また、研究のスタート時期が8年スウェーデンの方が早く、めざすゴールはスウェーデンが2021年で、日本が2050年となっています。
「日本の低炭素社会」のシナリオが「スウェーデンの生態学的に持続可能な社会(緑の福祉国家)」のシナリオと決定的に異なるのは、原子力エネルギーの役割です。スウェーデンのシナリオでは原子力エネルギーはなく、化石燃料は最小限の抑えられています。日本のシナリオAでは電力の87%を原子力と化石燃料に依存し、シナリオBでも73%を原子力と化石燃料に依存しています。図には「電源構成」は書いてありますが、「総供給量(予測)」が表示されていません(他の項目も同じ) 。この電力供給システムは絵に描いた餅の可能性があります。次の関連記事を参照してください。
関連記事
原発を考える⑦ それでは高速増殖炉は? 核融合炉は?(07-04-16)
そして、スウェーデンはこの研究成果を現実の政策に応用し、すでに8年が経っています。今のところ上々の成果を上げています。詳細は、このブログの「緑の福祉国家1~62(1/11~6/2)」をご覧下さい。
ぜひ、皆さんもご自分で日本のプロジェクト「脱温暖化2050プロジェクト」を検証してみてください。私たちの近未来のために・・・・・そのとっかかりとして次の関連記事をあげておきます。
関連記事
スウェーデン
緑の福祉国家⑨ 21世紀へ移る準備をした「90年代」⑤ 研究報告「2021年のスウェーデン」(1/19)
2021年のスウェーデン 我々はすでに正しい未来の道を選択した(10/26)
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★混迷する日本⑥ 福田首相の変心?(08-01-20)
「脱温暖化2050プロジェクト」成果発表のお知らせ(平成19年2月15日)
脱温暖化2050研究プロジェクト
2050日本低炭素社会シナリオ:温室効果ガスj70%削減可能性検討
西岡PLによる報告書の背景解説
日英共同プロジェクト「低炭素社会の実現に向けた脱温暖化2050プロジェクト」の発足について
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