環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

「経済」 「社会」(福祉) 「環境」、不安の根っこは同じだ!

「将来不安」の解消こそ、政治の最大のターゲットだ

改めて、日本の「効率化」とは・・・・・

2012-04-01 21:35:30 | 経済
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 4年前の2008年3月28日のブログで、次のような趣旨のことを書きました。

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 日本の年度末にあたって、21世紀の日本の環境問題を考えるときに、私たちが把握しておかなければならない日本特有の主な条件を挙げておきます。それは日本経済が制約を受ける社会的・地理的条件です。大変不思議なのは、このような前提を忘れた議論ばかりが行われていることです。

★日本経済が制約を受ける地理的・社会的条件
★日本の「効率論」で忘れてはならない大前提
★「経済成長一辺倒」の20世紀、「21世紀の方向性」が見えない日本

 日本は今、まさに20世紀の価値観とは異なる21世紀社会への転換期を迎え、その方向性が見えず苦悩しているところです。 
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 今日、4月1日は日本の年度初めです。そこで、今日は上記の3つの論点のうち、「日本の『効率論』で忘れてはならない大前提」を再掲します。昨年3月11日に起こった「東日本大震災」から1年経って、この大前提が見事に証明されたと考えられるからです。

xxxxx
 日本の企業人、エコノミスト、政策担当者の多くはこれまで日本の経済パフォーマンスを語るとき、「効率の良さ」を挙げてきましたが、これには次のような大前提があることを忘れてはなりません。

①平穏時あるいは予想される範囲の近未来しか想定していないこと。あらかじめ準備していたことを遂行する時には、日本の官僚機構、企業、学校などの既存の組織はきわめて有効に働くが、事前に想定された範囲を超える出来事(大事故や大きな自然災害など)が起こるとシステムが機能しなくなる。

②常に健康な成人を想定していること。社会を構成するのは老若男女である。それぞれに健康なものもいれば、そうでないものもいる。日本の制度は健康な成人に焦点を当てた「強者の論理」に基づくものである。
 
 これらの前提に立てば、生産、物流コストをぎりぎりまで切り詰め、「効率化」を図ることが可能となりますが、安定した社会やインフラの整備、自由な企業活動を保障するとともに、国民の健康、生活、財産の安全を確保するには、さらにコストがかかるはずです。社会全体のコストを考えることが重要です。
xxxxx

 皆さんはどうお考えですか。


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期待はずれの3冊: 「日本経済の真実」、「絶対こうなる !  日本経済」、「日本の恐ろしい真実」

2010-10-25 06:31:06 | 経済
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今年4月1日、私は2000年に策定した「このまま行けば、2010年は混乱、2050年は大混乱!?」と題する図を「このまま行けば、2010年混乱、2030年大混乱!?」と改めました。つまり、予想される「大混乱」を20年早めたのです。

そこで、今日は「2010年の日本の混乱」を検証するために今年4月以降に出版された著名人による一般向けの本3冊を取り上げてみました。出版社は異なりますが、いずれも表紙も内容も週刊誌的というか、民放テレビの報道番組的なイメージで、読みやすいことはたしかです。著者はテレビや、雑誌、新聞などマスメデイアでお馴染みの方々です。

先ずは、今年4月に出版された辛坊次郎さんと辛坊さんのお兄さんの共著『日本経済の真実』です。表紙に「ある日、この国は破産します」と自信たっぷりに断定しています。表紙の帯には、たちまち18.5万部とあります。

「はじめに」の小見出しを見みますと、辛坊さんの人柄とこの本の内容についてある程度の想像がつくでしょう。

 私は警告する
 メディアには、アホがいっぱい
 これはもう犯罪だ
 救う道はあるのか

次は、今年6月に出版された田原総一朗さんの責任編集による、田原さん、竹中平蔵さんと榊原英資さんの鼎談『絶対こうなる! 日本経済』です。表紙には「この国は破産なんかしない!?」と、辛坊兄弟のメッセージとは正反対のメッセージを掲げ、「小泉改革の最高責任者と民主党の最大ブレーンが本音で激突! 経済の行方が誰でもわかる!!(田原総一朗)」と、こちらも自信たっぷりです。

 榊原英資氏と竹中平蔵氏は、私が最も信頼するエコノミストの二大巨頭だ。榊原氏は竹中氏のことを「無免許でスポーツカーを疾走させている」と批判したことがある。竹中氏は榊原氏のことを「官僚上がりの学者に何がわかるか」とこき下ろしたことがある。そんな大対立をする2人が、大激論の末に初めてまとめたのが本書なのだ。 そして、2人の激しい論争で日本経済の多くの問題がクリアになり、結果として極めてわかりやすい日本経済の入門書になっている。多くの方々に、ぜひとも読んでいただきたい一冊になったと自負している。(田原総一朗)

そして、最後は、今年9月に出版された辛坊次郎さんの『日本の恐ろしい真実』です。

 この本は日本を蔑む本ではない。かつてのように元気で活力に満ち、若者が未来を夢見ることのできる国にもう一度なるために必要なことを示した本だ。(中略)この本を読み進むのは、多くの日本人にとって自らの弱点、欠陥を指摘されるようでつらいことかもしれない。しかし、読んでゆくと必ずその先に希望が見えるはずだ。正しい判断には正しい知識が必要だ。この本が、あなたの知らない本当の日本の姿を見つめ、明日をつかみ取るための力になれば、筆者望外の喜びである。「はじめに」より


試みに、それぞれの本の最終章の「著者による要約」あるいは「見出し」を抜き書きしておきます。それぞれの著者の「日本の経済や社会の大問題」に対する解決策とおぼしき、考えが示されているからです。

辛坊治郎+辛坊正記 著  『日本経済の真実』 

日本を滅ぼす5つの「悪の呪文」(p191~210) 

 ここまで読み進んでこられた皆さんは、日本の長期にわたる停滞の元凶が一体何で、そこから抜け出す為に何が必要かおぼろげに見えてきたと思います。
 日本がこんなになってしまったのには、メディアの責任もあります。ぬくぬくと既得権益のぬるま湯につかりながら、お題目のようにきれいごとを並べる政治家、ニュースキャスター、評論家が日本を破滅に導くのです。
 そんな連中が口癖のように語る言葉がいかに間違っているか、ここで総まとめしておきます。これら、「悪の呪文」から解き離れることこそが、日本再生の原点です。

悪の呪文1 「経済の豊かさより心の豊かさが大切」
悪の呪文2 「大企業優遇はやめろ!」
悪の呪文3 「金持ち優遇は不公平だ!」
悪の呪文4 「外資に日本が乗っ取られる」
悪の呪文5 「金をばらまけば、景気が良くなる」


田原総一朗責任編集 『絶対こうなる日本経済』 田原総一朗 竹中平蔵+榊原英資

第7章 絶対こうなる! 10年後の日本――日本を明るくするために

いまや「アメリカ」を乗り越えるとき?
競争を促進し、ヤル気を出せば報われる社会
極端な議論で現実から目を逸らせるな!
日本を明るくする処方箋はこれだ!
チャレンジ精神をもつ若者が日本を明るくする!
グローバルな人間が育てば10年後の日本は変わる! 


辛坊治郎 著 『日本の恐ろしい真実』

最終章 破綻を免れるヒント(p175~192)
 
豊葦原の瑞穂の国
3年の歳月
悪の王国スウェーデン
あなたは得か損か
議論の封印を解け

しかし、田原さんも、辛坊さんも「スウェーデン」という国が気になるようです。
田原総一朗  ●スウェーデンか、アメリカか     辛坊治郎  ●悪の王国スウェーデン

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「エコノミストはもともと将来を予測できない」、とエコノミストが言う(2009-03-23)

94年の朝まで生テレビ:評論家 田原総一朗の「環境認識」(2007-01-28)

ついに、あの中谷さんも、竹中さんも「北欧の成長戦略に学べ」 と ???(2010-01-05)


これらの本をどう評価するかは、このブログの読者の皆さんがご自身で読んで、決めることです。けれども、私が感じたことをメモしておきましょう。今日取り上げた3冊の一般向けの本は「日本の経済、社会の現状」がいかに大変なものかをそれぞれの著者や編集者の立場で面白おかしく記述していますので、読みやすいことは間違いありません。

上記の3冊は、いずれも「日本の経済・社会の現状分析」に多くの誌面を割いている割には、「これからどうすればよいのかという提案」がほとんどないのが特徴です。議論の基盤は常に“フローな情報”に基づいているようですし、“ストックな情報”への配慮が十分でないことは明らかです。

また、それぞれの本の最後の章が、その前の章までに分析した「日本のとんでもない状況」に対する著者の解決策としての提案らしきものなのですが、著者の知名度と経歴を考慮するとあまりにお粗末としか言いようがありません。

この3冊の本に共通の致命的な欠陥は、他の多くの21世紀論と同様に、 「資源・エネルギー・環境問題」がほとんど(まったくと言ってよいほど)考慮されていない上に、従来型の経済成長が前提になっていることです。21世紀の市場経済を揺るがす最大の問題である「資源・エネルギー・環境問題」を考慮しない経済論などは絵に描いた餅です。田原総一朗責任編集「絶対にこうなる! 日本経済」という本のタイトルは、誰がつけたネーミングかわかりませんが、想像するに“まったく経済の本質がわからない人”がつけたのでしょう。

1987年4月に公表された国連の「環境と開発に関する委員会」(WECD)の報告「われら共有の未来」(通称ブルントラント報告)とそれを受けて
1992年の地球サミット(国連環境開発会議、UNCED)で合意された「持続可能な開発」(Sustainable Development)の概念に基づく「持続可能な社会」Sustainable Society)には3つの側面があります。

①経済的側面  ②社会的側面   ③環境的側面

大変困ったことに、上記の3冊の本が明らかにしたことは、現在の日本が①経済的側面(辛坊さんの「日本経済の真実」および田原さんの「絶対こうなる日本の経済」)でも、②社会的側面(辛坊さんの「日本の恐ろしい真実」)でもひどすぎるということです。さらに加えて、私がこれまでにこのブログや本で言い続けてきた①や②よりもっと重要な③環境的側面でも極めて不十分なこと、つまり、日本は「持続可能な社会」へ転換することが極めて困難な国であることが証明されたことです。

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緑の福祉国家2 なぜスウェーデンに注目するのか:国家の持続可能性ランキング1位はスウェーデン(2007-01-12)

緑の福祉国家3 スウェーデンが考える「持続可能な社会」(2007-01-13)


それでは、日本はまったく絶望的なのでしょうか? 未来が明るいものになるか、絶望となるかはいかに早く方向が転換できるかにかかっています。転換の時期が遅れれば遅れるほど、転換のコストは高くなり、効果は逆に少なくなります。

「生活者」の立場に立って経済政策を立案する際に、政策担当者や経済学者、エコノミストはシュミレーション用のコンピュータに「資源・エネルギー・環境問題」という項目をしっかり入力することが必要です。この操作により、コンピュータ画面はこの項目の入力前に比べて激変するはずです。現実の経済を実際に動かす原動力は、昔も、今も、そして将来も「資源(原材料、エネルギー、水、土地)の供給源であり、同時に廃棄物および廃熱の吸収源であり、人間を含めた生物の生存基盤でもある自然/環境の持続性」だからです。これらの項目は経済学者やエコノミストが信奉する「市場原理」や「生産あるいは経済成長の3要素」(土地、労働、資本あるいは技術)などより優先するからです。

自然/環境の劣化が21世紀の経済成長上の制約条件であり、特に今後20~30年間にはその制約条件が大きくなるという科学的な判断があるにもかかわらずこれまで、日本の経済政策担当者や経済学の専門家、エコノミストの多くが、「経済」と「環境」は別物と認識し(思い込み)、この項目を入力してこなかったのです。 ここに、現実に起きている事象と政策の間にギャップの生ずる理由があります。

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『成長の限界』の著者、メドウズ名誉教授に09年の日本国際賞を授与(2009-01-16)



日経の「社長100人&500社アンケート」に示された日本企業のトップの環境認識

2010-10-17 21:44:02 | 経済



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「私の環境論」の最も基本的な考えは次の通りです。

つまり、経済活動は「経済成長」という目的と共に、必ず「目的外の結果」を伴うということです。皆さんは私のこの考えを共有できますか。もし共有できるなら・・・・・


10月3日のブログで、菅首相の所信表明演説を取り上げました。首相は、解決すべき重要政策課題は「経済成長」、「財政健全化」、「社会保障改革」の一体的実現、その前提としての「地域主権の推進」、そして、国民全体で取り組む「主体的な外交の展開」の5つだと明快に述べています。

これらの「5つの解決すべき政策課題」というのは、いずれも、自民党の長期政権下で20世紀から引きずってきた問題であり、この演説によって日本が21世紀の新たな問題にほとんど対応出来ない状況にあることがはっきりしました。菅首相の所信表明演説に対するマスメディアや識者の評価は必ずしも好意的ではありませんが、私は日本がまさに「混迷状態にあること」を直視した画期的な「所信表明演説」だったと評価しています。

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混迷する日本⑨ 「持続可能な社会」の構築への法体系が未整備な日本、環境分野も(2008-01-23)


ところで、10月3日の日本経済新聞が「社長100人&地域500社アンケート」の結果というのを報告しています。このアンケートは国内主要企業の社長(会長、頭取などを含む)を対象に、四半期ごとに実施しており、今回は1日までに調査、143社の回答を得たそうです。地域経済500調査は各地の有力企業、事業所、団体のトップを対象に、半年ごとに実施しており、今回は414人が回答したそうです。

このアンケート調査の結果の中に、「私の環境論」から見ると非常に興味深い企業からの回答が含まれています。先進国、新興国を問わず、経済活動の主役を担っているのは、先ずはグローバルな市場経済を支えている企業であり、続いて消費者だからです。

1つは「円高に対処するための方策」です。


国内でのコスト削減を第1に、第2に中国など新興国での現地生産の拡大が挙げられていることです。また、欧米での現地生産の拡大という回答もあります。これらの生産拠点の移転は、私の環境論では、日本企業が他国の資源やエネルギーを使い、他国に環境負荷をかけることを意味します。

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もう一つは、「菅政権で重視する経済政策」という問いに対する社長100人の回答です。


最も多かったのは法人税減税など企業の競争力向上策で、著しく低いのが環境・温暖化対策で、いかにも日本企業の回答らしいと思います。このことは日本企業の経営トップの「環境問題に対する基本認識」が21世紀に入った今なお、「公害」の域から抜けきれてないことを意味しているのだと思います。それ故、私の環境論が指摘している経済活動の結果である「経済成長」と経済活動の目的外の結果である「環境問題」の因果関係が理解できていないと言えるのではないでしょうか。

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●大和総研 経営戦略研究レポート CSR(企業の社会的責任)とSRI(社会的責任投資)  日本は環境先進国なのか? 2008年3月10日
要約 世界銀行が2007年10月に公表した温暖化対策を評価した報告書において、日本は70カ国中62位、先進国では最下位という衝撃的な結果が示された。洞爺湖サミットで環境立国日本を標榜し、世界のリーダーシップをとるのであれば、日本は環境先進国、という思い込みを捨てて積極的かつ大胆な温暖化対策を早急に進める必要がある。

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企業の目的は「利潤追求」、ほんとうだろうか?(2007-02-19)


日本とスウェーデンの企業トップの「環境問題に対する基本認識」には大きな落差があります。そして、このような調査を行い、その結果を報道する日本のマスメデイアも「経済成長」と「環境問題」の真の関係を十分理解しているとは思えません。 


今日のブログの最初の図のメッセージを私と共有していただけた方は、次の図のメッセージも私と共有していただけるでしょうか。


この図で言う「技術の変革」とは、具体的には「産業構造の変革」を意味します。20世紀のエネルギー体系をほとんど変えることなくさらなる経済成長を求めれば、CO2の排出量のみならず、その他の環境負荷も高まることは自明の理です。企業にとっては先行投資の対象を誤れば、致命的であることは言うまでもありません。企業のトップは「21世紀の経済成長」には「20世紀の経済成長」のような自由度はほとんど無いことを理解しなければならないと思います。
   

世界経済フォーラムの「国際競争力報告 2010-2011」 スウェーデン2位、日本6位

2010-09-10 22:17:36 | 経済
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世界経済フォーラム(WEF)が2010年9月9日、2010-2011年版の「国際競争力」の調査報告を発表しました。次の図はトップ10の順位とスコアを示したものです。


1位はスイス、2位スウェーデン、日本は6位となっています。スウェーデンを初めとする北欧勢は、フィンランドが7位、デンマークが9位、ノルウェーが14位でした。

●プレス・リリース(日本語)
●プレス・リリース(英語)


次の記事は今日の朝日新聞に掲載されたものです。


朝日新聞の記事は共同が配信した記事を掲載していますが、次の毎日新聞の記事は署名記事となっています。


競争力ランキングと言えば、もう一つ、スイスのビジネススクールIMDによるものがあります。2010年7月5日の産経新聞がこのランキングを報じています。


スコアはシンガポールを100とすると、スウェーデンが6位(90.893)、中国18位(80.182)、韓国23位(76.249)、そして、日本は27位(72.093)、インド31位(64.567)でした。北欧諸国はスウェーデンに続いて、ノルウェーが9位(89.987)、デンマーク13位(85.587)、フィンランド19位(80.002)、アイスランド30位(65.067)でした。

背景資料
●IMD WORLD COMPETITIVENESS YEARBOOK

●THE WORLD COMPETITIVENESS SCOREBOARD 2010


この2つのランキング結果は「国際社会における経済的な競争力」という同じテーマを取り上げても、判断基準が異なれば結果も異なることを示しています。

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世界最強の 「IT国家」 となったスウェーデン(2010-07-18)
この記事の中に、WEFの「国際競争力報告 2009-2010」のトップ10のランキングが掲載されています。

WEFの「国際競争力報告書 2007-2008」(2007-11-02)

米誌 『ニューズウィーク』 が公表した 「世界のベスト・カントリー 100」(2010-09-05)

「21世紀型経済の持続性」が現時点で最も高いと示唆されるスウェーデン(2010-08-09)
 
日本経済新聞 「経済教室」 スウェーデンモデルの核心学べ 安心確保 活力と両立を(2009-09-19)

日本経済新聞 「経済教室」から  低炭素社会構築の道筋  成長・福祉と同時対処を(2007-10-04)


20世紀のスウェーデンは他のほとんどの先進工業国と同じように、豊かさの向上、貧困や格差などの社会問題は経済が成長することで解決できると考え、フォアキャスト的手法で、「福祉国家(人にやさしい社会)」を建設し、維持してきました。

1972年にローマクラブが「成長の限界を」発表したちょっと前1968年ごろに環境問題の重要性に気づき72年には 「第1回国連人間環境会議」 の開催に漕ぎつけました。

1980年代後半からはそれらの経験と教訓から「持続可能な社会」の模索を始め、以後、地球の限界(地球の有限性)が科学的に明らかになってくると、他の先進工業国に先駆けてバックキャスト的手法を用いて「生態学的(エコロジカル)に持続可能な社会」への道筋を考え、96年には20世紀の「福祉国家」を「緑の福祉国家」(環境に十分配慮した福祉国家)を建設するという新たな政治的なビジョンを掲げたのです。

「エコロジカルに持続可能な社会」には社会的な側面、経済的な側面および環境的な側面の3つの側面があります。今回の国際競争力ランキングはスウェーデンがめざしているエコロジカルに持続可能な社会の「経済的な側面」の評価でもあります。

2000年以降、経済のグローバル化の進展が高まるにつれて、国際機関で様々な国際比較が行われ、それらのデータに基づいて、国際ランキングが公表されるようになりました。ランキングの生命は「判断(評価)基準の的確さ」ですので、国際的に試行錯誤がなされ、改善が加えられています。

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進化してきた福祉国家⑪ スウェーデンについて私たちが、最近知ったこと(2007-09-06)



世界最強の 「IT国家」 となったスウェーデン

2010-07-18 22:41:52 | 経済
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6月27日のブログで、「1990年代初めの不況に対して、日本は景気回復という『一兎』を追ったが一兎をも得ずであった。ドイツ、フランスは財政再建という『一兎』を追い、一兎を得た。スウェーデンは景気回復と財政再建という『二兎』を追い、二兎を得た」と書きました。その対応策として、次の図を示しました。


そして、「1992年から知識集約的産業の成長を倍増させ、産業構造を転換させた。世界最強の『IT国家』をめざし、ストックホルムをして『IT首都』とまで賛美させる産業構造の転換こそ、スウェーデンが景気回復にも財政再建にも成功した鍵なのである。」とする神野直彦さんのご見解を紹介しました。

今日はこの神野さんのお考えを十分に裏付ける最新の調査報告書を紹介しましょう。上の図「スウェーデンの財政再建」の「②IT(情報技術)インフラ整備」に関する項目と関連するところです。ダボス会議の主催団体として有名な世界経済フォーラム(WEF)は2010年3月25日、「経済的、環境的、社会的に持続可能な世界」を創造する有効な手段としてのICT(情報・コミュニケーション技術)の主な役割に焦点を当てた報告書「The Global Information Technology Report 2009-2010」を公表しました。 

この報告書はINSEAD(インシアッド:フランスとシンガポールにキャンパスを有するビジネス・スクール大学院、1957年創立)との協力のもとに、WEFが世界133か国を調査対象とし、「国家の発展過程と競争力」に対するICTのインパクトを同一の指標(68項目)で国別に評価し、ランク付けした最も包括的で、権威ある報告書です。 

この報告書は2001年から毎年1回公表されているICT報告の9回目の報告として公表されたものです。21世紀社会のキーワードである「Sustainability(持続可能性)」に焦点を当てた今回の報告書で総合1位にランクされたのはスウェーデン(スコアーは5.65)で、以下シンガポール、デンマーク、スイス、米国と続きます。日本の順位は21位、スコアーは4.86でした。次の表は30位までの順位を示したものです。



また、次の表は今回の調査でトップ10にランクされた国々が、2001年の第1回調査から今回の第9回調査までに占めた順位を示しています。

さらに、世界経済フォーラムは「The Global Competitiveness Report 2009-2010」を公表しています。この報告によりますと、スウェーデンが4位(スコアは5.51)、日本は8位(スコアは5.37)となっています。



世界競争力調査には、もう一つ別の団体による調査報告があります。スイスのビジネス・スクール経営開発国際研究所(IMD)によるものでスウェーデンは58カ国中6位、日本はなんと27位です。



これらの事実は、スウェーデンが90年代初めの経済危機の際に「財政再建」のために「歳出の削減」と「増税」を行い、「景気の回復」のために経費の中身を「ITインフラ整備」の分野に大きくシフトさせた結果と言えるのではないでしょうか。つまり、スウェーデンは、「増税して、景気回復をした事例などない」というこれまでのエコノミストの定説を打ち破る新しい結果を出したということなのです。

世界最強の「IT国家」となったスウェーデンでは、多くの国で懸念されている「デジタルデバイド」についても予防的な対応が取られていることを付しておきます。



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2009年 IT活用度ランキング:スウェーデン2位、日本17位(2009-03-28)

年度末にあたって、改めて「IT革命」と「環境問題」(2008-03-27)

IT革命と環境問題⑨ スウェーデンはどうなっているか(2007-04-09)




「20年前のスウェーデンの経済政策成功の教訓」が、現在の日本の問題解決に有効か!

2010-07-13 10:29:48 | 経済
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7月5日の讀賣新聞の「キャチボール」というコラムで、コラムの執筆者が、菅首相が掲げる「第三の道」に世界が注目しているが、今は「二兎を追っても一兎も得られない」という考えが欧米の主流だと書いておられます。


6月27日のブログで私は、20年前の経済不況でスウェーデンが「二兎を追って二兎を得た」という話を書きました。今日は、そのときに「二兎を追って二兎を得た」スウェーデンの対応を略記しておきます。

経済の門外漢である私が理解しているところでは、財政再建の方法は次の3つしかないというのがエコノミストの定説となっているそうです。



スウェーデンの政策に詳しい経済の専門家は、スウェーデンが20年前にとった不況対策は日本の不況対策とは異なり、「総需要の喚起を重視するケインズ政策」や「総供給量を重視する新古典派政策」ではなく、「資産重視政策」だったと評価しています。スウェーデンは福祉の向上のために、福祉の基盤である「経済」と「環境」を重視したのです。

ここでは、およそ10年前の1999年1月21日付けの日本経済新聞の「経済教室」に掲載された丸尾直美さん(当時日本大学教授)の「国民不安解消、北欧を参考に」の要点を示します。

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●迅速な「公的資金」の投入
 公的資金の迅速かつ大規模な投入などにより、金融危機は1年で終息し、株価はバブル崩壊前に比べても大幅に高くなった(平均株価は90年を100とすると直近で300超)。 
経済成長率は94年から98年までの5年間で平均2.6%に達した。経常収支は黒字となり、財政収支も98年には黒字に転じた模様である。投入した公的資金に関しても、96年6月までに93%が返済されているので、税金の無駄遣いにもなっていない。
 日本は北欧に5~6年遅れて公的資金導入に着手した。

●資産重視の不況対策
 北欧各国の経済政策の基本は、「総需要を操作するケインズ政策」とも「総供給量を重視する新古典派政策」とも異なる。「両者はフロー重視」であるが、北欧は「ストック(資産)重視」の経済であり、その不況対策は有効であった。北欧諸国が「資産重視の先駆的な不況対策」を導入したのは経済学(北欧経済学派)の影響が大きい。

●国民の不安解消、北欧を参考に
 スウェーデンは90年代に、金融再生政策と並行して、社会保障費の削減と両立する形での「医療・介護改革」と「年金改革」を進め、成功した。高齢化に耐えうる「持続可能な年金制度」を整えた。国民の安全性と資産形成の配慮という点で、フロー重視の国にはない制度の重みが観察できる。
 日本でも「不況対策」と「社会保障改革」の時期は重なったが、北欧とは逆に国民の不安を高めるような格好になっている。92年の宮沢内閣以降、政府は公共事業拡大を中心とする「ケインズ政策」を導入する一方、規制緩和と小さな政府によって供給側を強化する「新古典派政策」も志向した。ところが両者の理念の間で揺れたために弊害も露呈した。日本に必要なことは金融不安の解消による「資産市場の安定化」である。 
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以上のような当時の対応策が、20年後の今、日本が直面している問題の解決のヒントになるかどうかは私にはわかりませんが、結果として、スウェーデンは6月27日のブログに示したように、他のEU諸国に比べて、「景気」も「財政」も好調です。2008年9月のリーマンショックからの回復も早く、順調に推移しています。

20年前のスウェーデンの対応の的確さを解説した丸尾直美さん(尚美学園大学客員教授)が2週間前の2010年7月1日の日本経済新聞の同じ欄「経済教室」で、今度は「スウェーデンの年金制度」の解説をされています。

丸尾さんは、「日本はスウェーデンの年金制度をモデルとしてきたが、本稿で紹介したような肝心の特徴がきちんと理解されていない。今後の年金改革議論において留意すべきである」と、この解説記事を結んでいます。 


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J.フロントリテイリング社長 奥田 務氏 北欧モデルに学べ 国民に安心感与え閉塞打破(日本経済新聞 2010-02-15)

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日本経済新聞  経済教室 スウェーデンモデルの核心を学べ 安心確保 活力と両立を(2009-09-19)
       
危機の時代 どうする日本 スウェーデン型社会という解答(2008-12-16)

危機の時代 どうする日本 スウェーデン型社会という解答②(2008-12-17) 




 

G8開幕、成長の手法:米国は「景気回復」、欧州は「財政再建」、それでは、スウェーデンは、日本は?

2010-06-27 22:04:17 | 経済
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6月26日の朝日新聞が25日、カナダのトロント郊外のムスコカで始まったG8の会議の初日に「各国の経済成長を持続させることが重要だとの認識で一致した。その手法を巡っては、財政出動による景気刺激策の継続を主張する米国と、財政再建を優先したい欧州の間で意見が分かれた。」と報じています。

この両者の間に、2020年度までに健全化させる「財政運営戦略」と、環境やエネルギー、介護などの産業を生かした雇用創出でデフレ脱却を図る「新成長戦略」との両立を強調した日本があるとの図式です。

この記事を読んだときに、すぐ思い出したのはちょうど20年前不況の時期に、欧州(ドイツおよびフランス)と日本、スウェーデンの行動でした。今回の状況下で参考になるかどうかはわかりませんが、経済の門外漢である私には類似の図式に見えますので、当時の状況を振り返っておきましょう。

90年代初めの不況は深刻な財政赤字の悪化を招き、スウェーデン経済に著しい打撃を与えました。1991年から93年にかけて、日本と同じような原因による「バブル崩壊」を経験したスウェーデンは、「経済のマイナス成長」「高失業率」「GDPの12%を超える財政赤字」「経常収支の大赤字」の四重苦に苦しみました。

事態を改善するためにスウェーデン政府は、野党との協力のもとに綿密なプログラムを組み、強い福祉を訴え、「歳出の削減」と「増税」を実施した結果、「景気回復」と「財政再建」を同時に解決するとともに、四重苦を克服したのです。迅速で大胆な公的資金の投入により、不良債権問題は1年で解消し、投入された公的資金も1996年にはほぼ全額返済されました。
 
この間の事情を、神野直彦さん(当時、東京大学経済学部教授)の著書『二兎を得る経済学――景気回復と財政再建』(講談社+α新書、2001年)を参考に再現してみます。

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「20世紀から21世紀への峠を、スウェーデンは『自信と楽観主義(confidence and optimism)』とともに越えた。スウェーデンの『予算説明書』は、そう胸を張って宣言している。これに対して日本は、20世紀から21世紀への峠を、『不安と悲観主義』とともに越えるしかなかった。この対照的な相違は、『人間を信頼した国』と、 『人間を信頼しなかった国』との相違だということができる」。
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スウェーデンと日本を鮮烈で対照的な表現で活写した神野さんはこの著書のなかで、世紀の変わり目に先進工業国が直面した「景気回復」「財政再建」を二匹の兎にたとえ、90年代の日本、ドイツ、フランス、スウェーデンの対応を財政学の立場から分析し、比較検討しておられます。それぞれの国が、それぞれの異なる社会制度のもとで、それぞれの選択をした結果、現在に至っている状況がわかり、たいへん興味深いものです。神野さんの分析を要約すると、次のようになります。




日本は景気回復という「一兎」を追ったが一兎をも得ずであった。ドイツ、フランスは財政再建という「一兎」を追い、一兎を得た。スウェーデンは景気回復財政再建という「二兎」を追い、二兎を得た。

1992年から知識集約的産業の成長を倍増させ、産業構造を転換させた。世界最強の「IT国家」をめざし、ストックホルムをして「IT首都」とまで賛美させる産業構造の転換こそ、スウェーデンが景気回復にも財政再建にも成功した鍵なのである。

90年代後半以降のスウェーデン経済のパフォーマンスを、「景気回復」という一兎から見ると、「一般財政収支の対GDP比」「GDPの推移」「一人当たりのGDPの推移」「経済活動指数」「失業率」「株価」「政策金利」「国債の格付け」「国際競争力」などのデータでは、きわめて好調です。
 
もう一つの「財政再建」という一兎についてはどうでしょうか。『中央公論』が2004年11月号で、「特集 国家破綻の足音」を組み、そのなかで、榊原英資さん(当時・慶應義塾大学教授、元財務官)は、「日本の財政悪化は政治の再編成を招くか」と題して米国の格付け機関S&Pが、現状のままの財政制度が将来も維持されたときの25カ国の累積財政赤字(一般政府累積赤字対GDP比率)を試算した表を掲げています。

 
これを見ますと、2000年のスウェーデンが55%(日本144%)、2030年が21%(日本399%)、2050年が59%(日本718%)。日本の状況は右肩上がりで、試算対象国のうち最悪です。欧米が判断基準としている累積財政赤字が60~70%であることを考えると、日本の深刻さが理解できるはずです。上の表から作成したのが次の図です。



そして、最新のスウェーデンの状況と欧州の状況を次の記事から知ることができます。

★景気回復


★財政再建 


世界経済のグローバル化がもたらしたこの10年間の「環境負荷の増大」

2010-04-05 08:00:44 | 経済
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4月1日のブログで、過去10年間使ってきた「このまま行けば、2010年は混乱、2050年は大混乱」という図に代えて、「このまま行けば、2010年は混乱、2030年は大混乱!?」という図を新たに掲げました。10年前の2000年に比べて、世界経済のグローバル化がさらに激化し、その結果としての「環境負荷」がますます増大してきたからです。


私の環境論では「経済と環境の関係」を次のように捉えています。

     環境問題は経済活動の「目的外の結果」の蓄積である
     これが「私の環境論」の基本的な認識の一つで、多くの日本の環境問題の学者や専門家、政策担当者、環境NPO、マスメディア、
     そして、企業人との認識と表現方法を異にする点である。

私たちが行動すると、その目的が達成されようとされまいと、必ず「目的外の結果」が生ずることになります。20世紀後半に顕在化した「環境問題」の大半は、私たちが豊かになるという目的を達成するために行った「企業の生産活動」「企業と市民の消費活動」があいまってつくりだした経済活動の「目的外の結果」が蓄積したものなのです。経済活動が大きくなれば「目的外の結果」も比例的に、あるいはそれ以上に大きくなります。つまり、「経済」と「環境問題」は切っても切れない関係にある、わかり易くいえば「コインの裏表」と表現してもよいでしょう。コインの表である「経済」は基本的には資源とエネルギーで支えられており、コインの裏である「環境問題」は経済活動の結果、つまり、資源とエネルギーの利用結果が蓄積したものなのです。

したがって、「これまでの経済学者やエコノミストの多くはコインの表である「経済」“金の流れ”だけで評価し、判断しています。環境論者はややもすると経済活動を注視することなく、経済活動の拡大の結果生じた「環境問題の現象面」ばかり見ています。21世紀の経済はコインの裏である“資源・エネルギー・環境問題”で考えるべきだ」とする私の主張は、案外、新しい視点なのかもしれませんね。 

関連記事
年度末にあたって、改めて「環境問題」とは(2008-03-29)

古くて、新しい問題、「環境問題」をもう一度考える(2010-01-18)



私の環境論では、「環境・エネルギー問題の本質」は次の図のようになる。


ですから、21世紀の経済成長の制約は「資源やエネルギーの供給量の不足」によるものではなく、「環境負荷の増大」によるものであることは疑う余地がありません。したがって、次の図が決定的に重要です。

20世紀の安全保障の議論は「軍事的側面」に特化されていましたが、21世紀の安全保障の概念は軍事的側面だけでなく、さらに広く「グローバルな経済活動から必然的に生じる環境的側面」へと展開していかなければなりません。戦争やテロ活動がなくなり、世界に真の平和が訪れたとしても私たちがいま直面している環境問題に終わりはないからです。その象徴的存在が「気候変動問題」といえるでしょう。

そこで、次の図を見ていただきましょう。この図は、1990年から2007年までの17年間に世界で毎年排出し続けてきたCO2の排出量に基づいて、1990年の排出量と2007年の排出量を比較してみたら80億トン増加していたこと(この間、大気中には毎年その年の排出量が累積的に蓄積されていく)と、世界全体の排出国の排出割合がこの17年間で大きく変わってきたことがわかります。


次の図は、世界の2008年の化石燃料の燃焼に伴うCO2の排出量が過去最高の87億トン(炭素換算)に達したこと、90年比で41%増加したことを報じています。重要な視点はこれまであまり、明らかにされていなかったが、青色の網をかけた部分です。



そして、次の図は、その結果として大気中のCO2濃度が2008年に観測史上最高に達したことを示しています。




ついに、あの中谷さんも、竹中さんも「北欧の成長戦略に学べ」 と ???

2010-01-05 23:48:11 | 経済
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昨年の12月30日に、鳩山首相は「環境や健康を軸に需要を生み出す成長戦略の基本方針」発表しました。鳩山首相は「経済のために人間が動かされるのではなく、人間のための経済でなければならない。供給サイドに偏っていた考えを改め、需要をしっかり創出していく」と強調。供給側(企業など)ではなく、需要側(消費者など)をより重要視する政策に転換することを明確にした、と12月31日の朝日新聞朝刊は伝えています。

今朝(1月5日)の朝日新聞の社説は「パイの分配には熱心だが、増やすための成長戦略がない-経済界や野党からそう批判されきた鳩山政権は『新成長戦略』の基本方針を打ち出したが、それが答えになるかどうか。実現へ、大胆に肉付けする力量が問われようとしている。」と書いています。

今日取り上げたいのは「成長戦略」というキーワードです。日本の「成長戦略」のために、あの中谷巌さんも、そして、あの竹中平蔵さんも最近のご著書で「北欧の成長戦略に学べ」と書いております。これはかなり大きな変化ではないでしょうか。


関連記事
私の疑問に初めて正面から答えた経済学者、中谷巌さんの最新著 『資本主義はなぜ自壊したのか』 (2009-03-22)


まず、次の図をご覧下さい。これは中谷さんが上記の「資本主義はなぜ自壊したのか」で述べておられる主張です。




そして、以下は竹中さんのお考えと主張です。

『AERA Business』(アエラ臨時増刊 No.42 2009年9月20日)は「滝川クリステルと読み解く民主党政権とニッポン経済」という特集記事を組んでいます。「竹中平蔵ゼミ 2 政権交代」(p13~15)の記事は次のような対話で始まります。



以下省略。


そして、竹中さんは2009年11月11日発行の著書「政権交代バブル 重税国家への道」(PHP研究所)のp112~114で、次のように書いておられます。



竹中さんのこの分析には少々異論がありますが、最後の4行(次の部分)が大変興味深いところです。

スウェーデンの経済成長政策がある意味でアメリカと似ていることがわかってもらえたと思います。模範的な社会民主主義国と日本ではイメージされている国家の実際を、よく理解すべきだと思います。そして、成長力が先進国の中で最も弱い日本は、両国の成長戦略によくよく学ぶべきだと私は考えています。

私が「民主党のマニフェストにマクロ経済の概念がない」とおっしゃる竹中さんをはじめ、日本のエコノミストの方々にぜひ学んでほしいことは「成長戦略」だけでなく、スウェーデンの(北欧の)成長戦略の背後にある「CO2」と「経済成長(GDP)」のデカップリング(相関性の分離)の考え方とその実績です。下の図は京都議定書の基準年である「1990年」から2007年までのスウェーデンと日本の「CO2」と「GDP」の推移を示したものですが、97年頃を境に、スウェーデンでは見事なまでに、「CO2」と「GDP」の排出量がデカップリングしています。これまで、何回となく書いてきましたように、「経済」と「環境」はコインの裏表の関係にあるからです。


 関連記事
スウェーデンは今、GDPの成長と温室効果ガス(GHG)の排出量の「デカップリング」がさらに明確に(2008-03-16)
     
2008年の温室効果ガス排出量:スウェーデンは90年比11%減、日本は90年比7.4%増(CO2)+ α(2009-12-19) 



鳩山首相が「成長戦略」の基本方針を発表、温室効果ガス削減との整合性は?

2009-12-31 22:12:50 | 経済
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私の環境論では、環境問題の解決は次のようになります。


そして、21世紀の経済には20世紀のような自由度はありません。


次の図は過去36年間(1971~2007)の一次エネルギーの総供給量の推移を示しています。


次の図は過去36年間のCO2の排出量とGDPの推移を示しています。


過去36年の実績では、日本は一次エネルギーの供給量もCO2の排出量も増加しています。また、CO2の排出量とGDPの成長も見事なまでの「カップリング(相関関係)」を示しています。

関連記事
日本の地球温暖化対策 もう一つの視点(2009-12-16)



さて、今朝の朝日新聞が「鳩山首相が成長戦略の基本方針を発表した」と報じています。2020年度までの国内総生産(GDP)の成長率を名目で平均3%、物価指数の影響を除く実質で2%成長させ、名目GDPは現在の1.4倍の650兆円に増やすのだそうです。記事の内容は次の通りです。

●成長戦略 年平均2% 20年度まで 政府が新目標 

●成長戦略、急ごしらえ


鳩山政権が掲げた「成長戦略」では、増加傾向にある「一次エネルギーの供給量」や「CO2の排出量」との関係はどうなるのでしょうか。民主党政権のキャッチフレーズである「コンクリートから人へ」は日本の「一次エネルギーの供給量」と「CO2の排出量」を減少傾向に反転させることができるでしょうか。

様々な問題を抱えながら、私たちはあと数時間で新しい年「2010年」を迎えようとしています。

それでは、皆さん、よいお年をお迎え下さい。 

   

難問山積、OECDが「Economic Survey of Japan 2009」を公表

2009-10-05 04:14:45 | 経済
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「シンポジウム」 のご案内:下の図をクリック
       
     詳しくは当会のブログをご覧ください。



去る9月30日、OECD(経済協力開発機構)は「Economic Survey of Japan 2009」を公表しました。この調査報告はOECD加盟国の経済政策状況を国ごとに1年半ないし2年の間隔で調査報告するもので、次回の日本の報告は2011年だそうです。

10月1日の日本経済新聞が9月30日に公表された「Economic Survey of Japan 2009」の概要を次のように報じています。




日本の経済に関する短期的・長期的難問が指摘されています。今回の日本の報告は日本にとって特別の意味があるのではないでしょうか。歴史的な政権交代が行われる直前の自民党政権下「最後の経済報告」であり、2011年の次回の報告は民主党政権下の「最初の経済報告」となるはずだからです。

2009年10月1日現在、OECDは次の30カ国の加盟国からなっています。

オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、チェコ共和国、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、アイルランド、イタリア、日本(1964年4月28日加盟) 、韓国、ルクセンブルグ、
メキシコ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、
スロバキア共和国、スペイン、スウェーデン(1961年9月28日加盟) 、スイス、トルコ、イギリス、アメリカ(1961年4月12日加盟)

ちなみに、OECDは、個別の国ごとの経済報告に加えて、EUに関する経済報告書「Economic Survey of European Union 2009」も公表しています。こちらも、次回の報告書は2011年の予定です。




世界経済フォーラムが2009年の「経済競争力ランキング」を発表 スウェーデン4位、日本8位

2009-09-08 18:11:51 | 経済
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「学習会」 と 「シンポジウム」 のご案内:下の図をクリック
       
*持続可能な国づくりの会からのお知らせ
9月13日の大井玄氏の学習会は延期となりました。代わりに、岡野守也氏(上図の左)をお招きしお話を伺います。
詳しくは、当会のブログ(ここをクリック)をご覧ください。



世界経済フォーラム(WEF)が2009年の「世界競争力ランキング」を発表したと今日の朝日新聞(夕刊)が伝えています。




詳細は

The Global Competitiveness Report 2009-2010




それでは、昨年の、そして、一昨年の状況はどうだったのでしょうか。次の関連記事をご覧下さい。

関連記事
WEFの「国際競争力報告書 2007-2008」(2007-11-02)



「日本の借金 1日1260億円増」、 これは一体どんな意味を持つのだろう

2009-07-06 21:17:25 | 経済
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下の図をクリックしてください。
 


「日本の借金 1日1260億円増」、????? 1週間前の毎日新聞朝刊の1面トップの見出しを見て大変驚きました。



国と地方の長期債務残高の推移が「日本の大好きな右肩あがり」の状況にあることは知っておりましたし、私がこのブログを始めた2007年にはたびたびこのブログでもこのテーマを取り上げました。このように比較的馴染みのある図に含まれているが通常見えない情報の一部を「日本の借金1日1260億円増」という形で提示されたのは私にとっては初めてのことでしたので、あまりの数字の大きさに驚きました。同時に、この事実が日本の国や国民にとってどのようなことを意味しているのかを改めて知りたいと思いました。

次の図は同じ日の毎日新聞に掲載されていたGDPに対する債務残高の推移を示す国際比較の図で、最近はかなり見慣れた図です。



この図にはスウェーデンは登場しませんが、スウェーデンの状況は日本に比べたら、非常に健全です。
この図を見ながら、私は元大蔵相の財務官であられた榊原英資さんが月刊誌『中央公論』(2004年11月号)に「日本の財政悪化は政治の再編成を招くか」というタイトルでお書きになった論文を思い出しました。この論文に添えられた表「各国の累積財政赤字の予想」では2000年から2050まで10年ごとに「各国の累積財政赤字」の推移が予想されています。この表にはスウェーデンが含まれています。

この表とその表の数字をもとに私が作成した図を紹介します。日本の状況はダントツで、日本が大好きな右肩上がりとなっています。この表に登場する25カ国の中で、右肩上がりを示す国はチェコ1カ国しかありません。欧米が「健全な累積財政赤字」のメドにしているのは60~70%であることをお伝えしておきましょう。 





関連記事
国の借金 832兆円、過去最悪を更新(2007-03-24)

またまた更新、3つの指標(2007-08-26)  

またまた過去最高を更新、2つの財政指標(2008-03-11)




現在の「大不況」、経済学者、小宮隆太郎さんなら?

2009-04-26 23:46:47 | 経済
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私の環境論が他の多くの日本の環境分野の専門家の議論と異なるのは、「環境問題」と「経済(活動)」を最初から関連づけて考えていること、そして、環境問題の解決のためには「民主主義の考え方」と「その実践」が必須なこと、具体的には環境問題の解決は従来の公害とは違って技術的な対応だけでは不十分で、経済社会の制度の変革をともなうこと、21世紀に主な環境問題を解決した「エコロジカルに持続可能な社会」の創造のためには、さまざまな「政策」とそれらの政策を実現するための「予算措置」が必要なこと、つまり、環境問題の解決に当たって、「技術の変革」と「政治と行政のかかわり」を強く意識していることです。

20世紀の安全保障の議論は「軍事的側面」に特化されていましたが、21世紀の安全保障の概念は軍事的側面だけでなく、さらに広く「経済活動から必然的に生じる環境的側面」へと展開していかなければなりません。戦争やテロ活動がなくなり、世界に真の平和が訪れたとしても私たちがいま直面している環境問題に終わりはないからです。その象徴的存在が「気候変動問題」といえるでしょう。

皆さんはご存じだと思いますが、私は今年の1月11日のブログで、「大不況」、ドラッカーなら、ケインズなら、ではなくて、現在のスウェーデンに学んでみたら、と書きました。そこで、今日のブログは、現在の「大不況」、小宮隆太郎さんなら、としてみました。


今日は、日本の経済学界を代表するお一人である小宮隆太郎さんが10年前の日本経済新聞に書かれたお考えを紹介します。私は、これまでにこのブログで何回も書きましたように、経済学やその関連学問とは無縁の門外漢ですから、小宮さんがどのような方であるかは存じませんが、幸いにも私たちはウイキペディアを通じて私たちにとって今必要な情報は得ることができます。ウイキペディアには次のように書いてあります。

----------
元来の専攻は国際経済学であったが、その枠にとどまることなく、金融論から産業政策論まで幅広く戦後の経済学並びに経済論壇をリードし続けた。
理論と政策提言の乖離が甚だしい日本の経済学界において「理論」と「実践」の両面で長らく第一線の地位を占め続けた小宮は、極めて例外的な存在である。東京大学退官後、1989年には青山学院大学国際政治経済学部教授に就任。この間、1964年~1965年にはスタンフォード大学客員教授、1988年~1997年には通商産業省通商産業研究所長を兼ねた。1990年日本学士院会員。1972年には松永賞、2002年には文化勲章を授与されている。弟子には、須田美矢子、岩田規久男、斎藤精一郎、堺屋太一、太田房江、中馬弘毅、中曽宏らがいる。
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現在の経済分野の議論でマスメディアを賑わしている経済学やエコノミストの方々の多くが小宮さんのお弟子さんであったり、小宮さんに学び、あるいは影響を受けた方々であることがわかります。最後の部分に「小宮ゼミ出身者」という欄があって、ここには、榊原英資さん、現日銀総裁の白川方明さん、日本経団連副会長の三村明夫さん、八代尚宏さん、岩井克彦さんなどのお名前などが見受けられます。


さて、小宮さんのお考えを伝える10年前の日本経済新聞です。

この論文記事のタイトルは「日本経済の課題 中長期の視点から 悲観主義の克服」とあります。記事の上段は10年前の日本の状況と考えてよいでしょう。そして、下段は当時の北欧諸国やスイスの状況分析です。

なぜか私には、小宮さんがお書きになった10年前の分析が現在の日本や北欧の状況と大差ないように思えるのです。そうであれば、当時よりもさらに深刻な「大不況」の現在を、「ドラッカーなら、ケインズなら、」ではなく、「小宮さんなら、どうお考えなのか」、お尋ねしたいものだと思います。

小宮さんの記事が掲載された20日後、1999年1月21日の日本経済新聞は「経済教室」の欄で北欧の成功の背景を掲載しました。当時、日本大学経済学部教授であられた丸尾直美さんが書かれたものです。そのポイントは次のようです。日本の対応とは大きく異なります。

●国民の不安解消、北欧を参考に

●資産重視の不況対策


関連記事
時代に取り残される経済学(2007-02-22)

成長一辺倒の戦後60年①(2007-02-15)

成長一辺倒の戦後60年② そしてこれからも?(2007-02-16)

新年度の初日はこうして始まった:3月 日銀短観 景況感 過去最悪

2009-04-01 11:19:34 | 経済
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今日から4月1日。日本では今日から新年度が始まりました。新年度初日の朝日新聞の夕刊一面トップは「景況感 過去最悪」とあります。私の環境論では、20世紀後半に顕在化した「環境問題」の大半は、私たちが豊かになるという目的を達成するために行ってきた「企業による生産活動」と「市民の消費活動」があいまってつくりだした「経済活動の目的外の結果」が蓄積したもの と理解します。つまり、「経済」と「環境問題」は、切っても切れない関係にある、わかりやすく言えば、「コインの裏表」と言うことになるでしょう。

とにかく、日本の経済も、国際経済も、気候変動問題をはじめとする環境問題も国際政治の大問題となっています。この問題を解決できるのは今を生きる私たちだけです。というわけで、この記事についても、ついコメントをしてみたくなるのですが、ここはぐっと我慢して、2009年度はこのような大変な状況から始まったと記録しておくことにとどめます。さらに「過去最高」を更新するかもしれませんので・・・・・