寅さんはおいちゃんにいつも、「バカだねぇー」と云われ、親鸞さんは自らを「愚禿」と謂い、宮澤賢治さんは「デクノボー」と著した。
セルフポートレイトとは、自画像を称するが、古今東西これを極めた人は立派な先人となっているようである。
云うのでも言われるのでも謂われでもかまわないが、自分がどんなバカかを知りたいのである。
自分がどんな種類のバカなのかがわかれば、バカでももう少しやりようがあるように思うのである。
古文には、こんなたとえがある。
「夫(それ)、馬鹿の名目一ならず、阿房あり、雲津久(うんつく)あり、部羅坊(べらぼう)あり、たはけあり、また安本丹の親玉あり」