幸せの青い鳥

おまえもおれも、親の夫婦仲、悪かったよね。

おまえんとこ、離婚しちゃってるわけだし。

と、一夜、「おやじ」というニックネームの男と飲みながら、話す。

このエントリーの主人公なんだけどね。

親が仲悪いと、大体、長男坊には、過剰な期待がかかるからさ。

結構、自分は、特別な人、みたいな感覚、持ってたでしょ。

なんていうと、彼は、深く、うなづいていた。

どうしても、孤独な母親は、跡取り息子にすがりつくわけだ。

なので、息子は、大きな勘違いをしちゃうんだよね。

それが、還暦にも近くなって、未だに話題にのぼるんだから。

なかなか、根っこは深いんです。

一時期、流通業界で、一世を風靡した会社の幹部だった御仁。

僕より、10歳弱、お年を召しているんだけど。

彼なんか、先妻のお子さんがいらっしゃる中で、後妻の長男坊だったそうで。

そりゃ、もう、いまだに、おりゃぁ、マザコンだ、というくらい。

この、特別な人、症候群の最たるもんだ、と自ら、おっしゃっていた。

ところで、件（くだん）の「おやじ」は、この15日で、仕事をやめちゃうらしい。

お店の上司と喧嘩した、ということなんだけどね。

若いね。

そりゃそれで、いいことで、未知の世界で、やってみる。

なんて、言っていた。

還暦間近の自分探しの旅も、いいんでないかい。

ということです。

ま、身も蓋もない事、先に言っちゃうと。

幸せの青い鳥は、目の前にいるんだけどね。