
4・24 大飯原発訴訟控訴審 島崎邦彦さん証人尋問
「入倉・三宅式は地震予測を過小評価」
4月24日大飯原発控訴審で元原子力規制委員会委員長代理・島崎邦彦さんの証人尋問がおこなわれた。60席の傍聴席に、229人の行列が出来、名古屋高裁金沢支部の廊下からはみ出し、屋外にまで続いた。

島崎さんへの主尋問・反対尋問は2時間以上に及んだ。記者会見での長沢啓行さん(大阪府立大名誉教授)の発言、弁護団の説明、翌日の新聞各紙を参考にした。
▼島崎陳述書
法廷の左側には、3列30人余の原告と弁護団が並び、中央に島崎さんが裁判官に面と向かって着席した。島崎さんは地震予知連絡会長や日本活断層学会長を歴任し、2012年から2年間原子力規制委員会・委員長代理を務め、大飯原発の地震対策の審査を指揮した。
このような経歴の島崎さんが証言台に立つことになったのは、昨年6月に、「(関西電力が)『詳細な調査等』を実施していたとしても、入倉・三宅(2001)の式を用いることによる過小評価の可能性は変わりません」という島崎陳述書を裁判所に提出したからだ。
裁判所はこの陳述書を無視できず、「最も重要な証人」として、島崎さんの証人尋問を決定した。
▼入倉・三宅式について
入倉・三宅式とは「震源になる断層の面積と地震の規模(地震モーメント)との間の関係式」であり、文部科学省の地震調査委員会で採用されている。入倉・三宅式のほかに松田式、武村式などがある。
関西電力は入倉・三宅式を使って、大飯原発周辺の将来の地震の規模などを予測し、原発に重大な影響はないという結論を導き出して、規制委も同調して、大飯原発再稼働にゴーサインを出してきた。
しかし、島崎さんは熊本地震のデータを分析して、「入倉・三宅式は間違いではないが、これをすべてに適用してはならない。規制庁は入倉・三宅式をもって基準としているのは間違いだ」と明確に証言した。
2016年の日本地球惑星科学連合大会でも、島崎さんは「断層面積の推定値から変形を推定する場合、入倉・三宅式では実測値の4分の1以下の過小評価」「高角の断層の地震モーメントの推定には入倉・三宅式を用いるべきでない」と断言している。
▼不十分な海底調査
関電や規制委は、大飯原発に影響を与える地震について、当初は海底にあるFO―A断層とFO―B断層の連動としていたが、審査の過程で内陸の熊川断層を含めた三連動で評価をやり直し、揺れの強さを700ガルから856ガルに引き上げた経緯がある。
しかし、島崎さんは「関電の海底音波探査はたかだか2~300メートルまでで、詳細と言っても表層にすぎない」と証言した。関西電力は大飯原発周辺の活断層調査を手抜きしているのである。
▼改訂版レシピを使え
昨年12月に、地震調査研究推進本部が「震源断層を特定した地震の強震動予測手法」(レシピ)を改定した。従来のレシピには「詳細な調査をやった場合」と書いてあったが、改訂版では「地震観測記録に基づいて、最新の知見をベースにして、設定する震源断層」と改められた。
従来のレシピには「詳細な調査」と書いてあったので、関電は「詳細な調査をやったから、いい」と主張してきたが、島崎さんは「詳細な調査をやっても、地震観測記録がなければダメだ」「入倉・三宅式を使っている原発の審査はダメだ」と明確に証言した。
▼新ステージに突入
口頭弁論後の記者会見(金沢弁護士会館)で、大飯訴訟弁護団新団長の島田広さんは「大飯原発周辺の地層調査はたかだか200メートル程度であり、調査がまったく不十分だ」「入倉・三宅式は大幅な過小評価に繋がることが明らかになった」「原発の安全性を立証できないところに関電を追い込んだ」「この裁判は新しいステージに入った」と自信を漲らせていた。
次回口頭弁論(7月5日)は新ステージに突入するのか、結審に向かうのか、つばぜり合いの重要な期日になる。
「入倉・三宅式は地震予測を過小評価」
4月24日大飯原発控訴審で元原子力規制委員会委員長代理・島崎邦彦さんの証人尋問がおこなわれた。60席の傍聴席に、229人の行列が出来、名古屋高裁金沢支部の廊下からはみ出し、屋外にまで続いた。


島崎さんへの主尋問・反対尋問は2時間以上に及んだ。記者会見での長沢啓行さん(大阪府立大名誉教授)の発言、弁護団の説明、翌日の新聞各紙を参考にした。
▼島崎陳述書
法廷の左側には、3列30人余の原告と弁護団が並び、中央に島崎さんが裁判官に面と向かって着席した。島崎さんは地震予知連絡会長や日本活断層学会長を歴任し、2012年から2年間原子力規制委員会・委員長代理を務め、大飯原発の地震対策の審査を指揮した。
このような経歴の島崎さんが証言台に立つことになったのは、昨年6月に、「(関西電力が)『詳細な調査等』を実施していたとしても、入倉・三宅(2001)の式を用いることによる過小評価の可能性は変わりません」という島崎陳述書を裁判所に提出したからだ。
裁判所はこの陳述書を無視できず、「最も重要な証人」として、島崎さんの証人尋問を決定した。
▼入倉・三宅式について
入倉・三宅式とは「震源になる断層の面積と地震の規模(地震モーメント)との間の関係式」であり、文部科学省の地震調査委員会で採用されている。入倉・三宅式のほかに松田式、武村式などがある。
関西電力は入倉・三宅式を使って、大飯原発周辺の将来の地震の規模などを予測し、原発に重大な影響はないという結論を導き出して、規制委も同調して、大飯原発再稼働にゴーサインを出してきた。
しかし、島崎さんは熊本地震のデータを分析して、「入倉・三宅式は間違いではないが、これをすべてに適用してはならない。規制庁は入倉・三宅式をもって基準としているのは間違いだ」と明確に証言した。
2016年の日本地球惑星科学連合大会でも、島崎さんは「断層面積の推定値から変形を推定する場合、入倉・三宅式では実測値の4分の1以下の過小評価」「高角の断層の地震モーメントの推定には入倉・三宅式を用いるべきでない」と断言している。
▼不十分な海底調査
関電や規制委は、大飯原発に影響を与える地震について、当初は海底にあるFO―A断層とFO―B断層の連動としていたが、審査の過程で内陸の熊川断層を含めた三連動で評価をやり直し、揺れの強さを700ガルから856ガルに引き上げた経緯がある。
しかし、島崎さんは「関電の海底音波探査はたかだか2~300メートルまでで、詳細と言っても表層にすぎない」と証言した。関西電力は大飯原発周辺の活断層調査を手抜きしているのである。
▼改訂版レシピを使え
昨年12月に、地震調査研究推進本部が「震源断層を特定した地震の強震動予測手法」(レシピ)を改定した。従来のレシピには「詳細な調査をやった場合」と書いてあったが、改訂版では「地震観測記録に基づいて、最新の知見をベースにして、設定する震源断層」と改められた。
従来のレシピには「詳細な調査」と書いてあったので、関電は「詳細な調査をやったから、いい」と主張してきたが、島崎さんは「詳細な調査をやっても、地震観測記録がなければダメだ」「入倉・三宅式を使っている原発の審査はダメだ」と明確に証言した。
▼新ステージに突入
口頭弁論後の記者会見(金沢弁護士会館)で、大飯訴訟弁護団新団長の島田広さんは「大飯原発周辺の地層調査はたかだか200メートル程度であり、調査がまったく不十分だ」「入倉・三宅式は大幅な過小評価に繋がることが明らかになった」「原発の安全性を立証できないところに関電を追い込んだ」「この裁判は新しいステージに入った」と自信を漲らせていた。
次回口頭弁論(7月5日)は新ステージに突入するのか、結審に向かうのか、つばぜり合いの重要な期日になる。