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小松基地問題研究会

20190901地表断層の長周期パルス

2019年09月04日 | 原発
20190901地表断層の長周期パルス

 2019年9月1日、ETVの「サイエンスZERO」で、「新事実続々 解明が進む“活断層地震”の謎」が放映された。
 番組案内には、「これまではっきりしなかった『地震の周期』や『揺れる範囲』が最新研究で詳細に見えてきた。続々と明らかになる新事実を、現場から緊急報告する。建物が被害を受けるかどうかの境目はどこにあるのか? 熊本地震で起きた不可解な現象を追っていくと、専門家も驚く新発見があった。さらに、『想定外の揺れ』がもたらす未知の脅威もクローズアップする。キーワードは『「地表断層』。次の地震に備えるために今するべきことは?」とある。
 出演者の証言をそのまま引用しているわけではなく、私なりに咀嚼してレポートにした。

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 2016年4月14日に発生した熊本地震では、震度7が2回(14日夜、16日未明)発生し、地表断層が大規模にあらわれた(写真2)。地表断層はM7以上の大地震であらわれる可能性がある。

 鈴木康弘(名大)さんが、今年7月に被災地を再訪問し、地表断層の調査をおこなった。写真3の赤で囲んだ部分が地表断層(青色=投稿者加工)から120メートル以内で、家屋倒壊が集中していた。断層に近づけば近づくほど被害率が上がっていた(写真下)。



 一般には、地下10kmから強い揺れのエネルギーが放出されても、地表までに揺れのエネルギーは小さくなり、家屋倒壊を惹き起こすことはないと言われてきた。

 藤原広行(防災科学研)さんは、地盤の強度から来るのではないかと推定したが、被害の大きいエリアと被害の小さいエリアを比べても、地盤の強度に差はなく、地盤の強弱では説明が出来なかった。

 それで、パルス状の(急激な)地震動を発生させるような原因が浅い部分(地表断層)にあったのではないかという疑問が生まれた。

 西原村役場の地震計には、これまでの活断層型地震で観測されたことのない奇妙な揺れが捉えられていた。揺れが1往復するのにかかった時間は、神戸では1秒だったが、西原村では3秒もかかっていた(写真下左)。めったに現れない大きな「長周期」の揺れだった。地面が2メートル近く動くという、長周期パルスと呼ばれる特殊な揺れである(写真下右)。

  

 長周期パルスの特徴は、たった1回の大きな揺れで、高層ビルに深刻なダメージを与える危険性がある。これを引き起こすのは地表断層であり、断層が地表にまであらわれると、長周期パルスを生み出す。

 大きな被害をもたらす可能性がある「主要活断層」は全国で113個所あると、政府の地震調査研究推進本部(地震本部)が発表している。しかし日本列島では、周辺の海底も含めて、活断層が約2000あると言われている。

 こうした場所で地表断層が現れれば、長周期パルスが発生するおそれがある。活断層がある付近では、長周期パルスが起きる可能性が高く、大きな構造物を作るには、活断層による地震動を考慮する必要がある。

 いま、志賀原発訴訟で争点になっているのは原子力建屋が活断層上に建てられていることである。北陸電力は「活断層ではない」と醜くあがき、裁判所は救済の手をさしのべている。一刻も早く、廃炉を決定し、廃炉作業を始めなければ、能登半島一円は廃墟となるかもしれないのである。

 9月7日に、再放映されるので、未見の方はぜひとも録画予約を!
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