アジアと小松

アジアの人々との友好関係を築くために、日本の戦争責任と小松基地の問題について発信します。
小松基地問題研究会

20171120 大飯原発運転差し止め訴訟結審

2017年11月23日 | 原発
11・20大飯原発運転差し止め訴訟結審

傍聴に殺到
 11月20日の金沢は、今冬いちばんの寒い日だった。名古屋高裁金沢支部前には、早朝から、「再稼働ストップ」ののぼり旗がなびき、マイクアジテーションが続いた。

 午後1時頃には、傍聴希望者の列がどんどん長くなっていった。いつもは、庁舎内で列を作るのに、今回は、この寒さの中を庁舎外にならばせた。ある人は、「傍聴希望者に風邪を引かせるのか。庁舎内に列を移動せよ」と、裁判所職員に訴えている。

 60の傍聴席に、並んだ人々の列の最後尾は219番だった。抽選にはずれた人は兼六園側入口に移動し、片手に傘、片手にメッセージボードを持って、シュプレヒコールを上げた。

弁護士会館で待機
 午後2時から始まった法廷で、何が起きているのか気にかけながら、金沢弁護士会館で待機した。木原壯林さん、木田節子さんなどの訴えが続いた。木田さんは原発事故によって引き起こされた健康被害、妊娠・出産のトラブルについて訴えた。これらの被害について、理解者のなかからも「障がい者差別になる」と公然、隠然の圧力を受け、健康被害について話しづらくなっている。「だれがこの事態を引き起こしたのか! 国と東京電力ではないか!」と、木田さんは涙を溜め、悔しさをかみしめながら話した。福島の苦悩にもっと向きあわねばならないと思った。

裁判報告集会
 法廷から原告団、弁護団、傍聴者が戻り、記者会見が始まった。原告団長の中嶌哲演さんは「裁判長は関電のサーバント(召し使い)だ」と厳しく言い放った。いつも穏やかに話す中嶌さんにふさわしくない語調だった。

 島田広弁護団長は「地裁に続き、高裁でも関西電力を追いつめた。しかし裁判所は安全審査をしないと決定した。国民への裏切りだ」と裁判所を弾劾した。

 笠原一浩弁護団事務局長は裁判の経過を報告した。法廷では、笠原さんが準備書面(34~42)を説明し(下記注)、島田さんが終結の再考を促す弁論をおこない、5人の原告が次々と立って、審理の継続を訴えた。

 裁判所は10分間の休憩後、2人の証人申請を却下した。弁護人海渡雄一さんが立ち、「裁判所の訴訟指揮は不当であり、公正な裁判を妨げている」として、3人の裁判官を忌避した。内藤正之裁判長は簡易却下(即時抗告が出来ない)し、審理を強引に終結させた。しかし、判決期日を指定することが出来ないまま、そそくさと退廷する3人の裁判官に、傍聴席から激しい抗議の声が飛んだ。

 水戸喜世子さんの意見陳述では、連れあいの巌さん(故人)が東海原発裁判で格闘したことをるる裁判官に語りかけ、結審の再考を促した。

次は判決だ
 この日、762筆の署名を裁判所に提出し、合計3478筆になった。福井からはバス2台で60人が駆けつけてきた。次は判決(期日未定)だ。さらに倍する人民の波で、名古屋高裁金沢支部を揺るがそう。

注:第34準備書面と第35準備書面の概要(2017.11.20大飯原発差止訴訟・福井弁護団) 
第34準備書面と山元孝広氏証人尋問

 火山灰が外気取入口に設置されているフィルタに侵入すると、フィルタが閉塞し、その機能が失われ、火山灰が極めて濃い濃度になった場合は全交流電源喪失という事態もありうる。したがって、火山灰が侵入しても機能維持が十分可能なように設計されなければならない。

 1審被告は、大山火山について、運用期間中に大規模噴火の可能性が十分低いと評価したが、巨大噴火の時期や規模について、相当以前の時点で的確に予測できないことは、福岡高裁宮崎支部決定すら認定しており、およそ科学的根拠のあるものではない。また、1審被告が依拠した論文(須藤ほか【2007】、津久井【1984】)にたいしては、近年、産総研活断層・火山研究部門の総括研究主幹である山元孝広氏が、修正を要する重大な問題が含まれていると指摘した。

 そこで我々は、山元氏の証人尋問を申請した。

 なお、2017年7月19日原規委第25回会議では火山灰の基準を100倍以上に引き上げており、大飯原発は現状ではこの基準を満たさない。関電は「追加工事」をしたそうだが、その工事の妥当性については客観的証拠がなく、規制委員会の審査すら経ていない。

第35準備書面と石井吉徳氏証人尋問

 石井氏は、東京大学理学部の地球物理学科を卒業後、石油開発公団などに勤務して、油田の調査などのため、地下の地質構造の探査をおこなってきた。竹下登総理大臣(当時)から日本学術会議会員に任命され、また物理探査学会の会長を複数回務めた、わが国を代表する応用物理学者である。

 石井氏は、1審被告の2015年1月付け「大飯発電所の基準地震動調査について」における分析結果について、一読するや「特異な構造は認められない」(by1審被告)どころか、「特異な構造」だらけと述べ、また1審被告の反射法地震探査は、現在主流である三次元探査ではなく、古典的な二次元探査を用いており、合理的でないと述べた。そこで、我々は、石井氏の証人尋問を申請した。(以上、元号を西暦に変更した)



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