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小松基地問題研究会

20221208 悪魔の手=原発を止めよ!

2022年12月09日 | 原発
20221208 悪魔の手=原発を止めよ!

志賀原発への再稼働圧力
 12月4日、北陸経済連合会は西村経産大臣に「抜本対策としては原子力を積極的に活用」するよう要請した。6日には、中部・近畿経産局とも会議をおこない、「原子力の活用」、「原発の運転期間延長・新増設」、「既設炉の早期再稼働」を要求した。これにたいして、経産大臣は「安全性が確認された原発は、…再稼働していく」、中部経産局は「脱炭素のベースロード電源として、原子力の最大限の活用に取り組む」と答えている。
 また、北経連は「カーボンニュートラルを実現するためには原発は不可欠」などと言っているが、脱炭素方針は第一に人々の生活環境を守ることにあり、たとえ、資本の活動を制限してでも実現しなければならない課題なのである。資本は「商売繁盛」のために、カーボンニュートラルとか、SDGs(持続可能な開発目標)などという口当たりのよい言葉を利用しようとしているのだ。

  

最近の原発報道
10/06【北中】「原発最長60年規制削除へ」「規制委、政府方針容認」
10/07【北中】「原則40年、最長60年制限撤廃方針」「老朽原発延命、歯止めどこへ」
11/03【北中】「原発30年運転後10年ごと評価」「60年規定削除で規制委方針」
11/09【北中】「原発停止中の年数除外提示」「60年超運転 年末結論」
11/26【北中】「停止期間除外で最終調整」「経産省 原発60年超稼働案」
11/29【北中】「経産省原発活用案提示」「停止期間除外」「次世代型に建て替え推進」



なぜ40年なのか?
 2012年以前の「原子炉等規制法」には、原発の運転期限は規定されていなかったが、2011年福島原発事故後、「運転期間は原則40年間」に改正された。その理由は原発の心臓=原子炉の圧力容器は核分裂で生じる中性子によって劣化しつづけ、安全を確保できるのは40年とされたからである。そのうえで、40年超の運転には、原子力規制委員会が審査した上で認可が必要になった。
 「経産省原発活用案」(11/28)には、運転停止中は運転期間としてカウントしないとされてるが、安全審査などで停止している期間中も中性子は発生し続けており、圧力容器の劣化は進んでいくので、この期間をを除外するというのは理にかなっていない。
 また、「原発活用案」には、「再稼働への総力結集」という項が設けられ、「防災対策の強化」「住民避難計画の策定」について書かれているが、原発事故発生を前提にしており、その規模は小さなものから福島第一原発並みの地域全滅型の事故まで含まれており、原発周辺住民にとってとても容認できるものではない。
 にもかかわらず、政府経産省は原発再稼働と無期限運転を合法化しようとしている。世界には431基の原発があり、アメリカでは80年運転が認められ、イギリス・フランスには運転期間に上限がないが、中性子による原子炉圧力容器の経年劣化に加えて地震国という条件下で同一に論じることはできない。
 しかも、「(原発の)依存度を可能な限り低減する」と明記しているエネルギー基本計画とも矛盾するではないか。

核武装のための原発推進
 政府が原発推進に舵を切ったのは、原発の使用済み核燃料の副産物として蓄積されるプルトニウムの製造・蓄積が狙いなのだ。使用済み核燃料からプルトニウムを分離し、核爆弾に早変わりさせるなど、日本の科学技術水準では簡単なことだ。運搬手段として、ロケット打ち上げ技術を使用すれば、長距離弾道ミサイルなどお手の物であり、政府・国会がゴーサインさえ出せば、一気に核軍事大国となり得るのである。
 そのために、政府は第三者委員会で人選し、学術会議を変質させ、軍民分離の原則を解体し、学者を軍事研究に総動員しようとしている。

志賀原発の動向
 昔から、能登半島は「地震の巣」と言われてきた。とくに、2021年から珠洲市周辺で地震が多発している。2021年1月以降、震度1以上の揺れを150回以上観測し(2021/9/16珠洲市で震度5弱、志賀原発で震度2)、2022年も12/6までに184回も発生し、6/19には珠洲市で震度6弱、志賀原発震度3を記録した。
 2007年3月には、輪島市西南西沖(志賀原発から12キロ)でマグニチュード6.9の地震が発生し、志賀原発で震度6弱を記録し、「原発は大丈夫か」と、小松のアパートから飛びだした私を震え上がらせた。
 耐震設計審査指針で志賀原発は、最強地震動S1を375ガル、限界地震動S2を490ガルとして設計されていたが、観測された揺れは最大で711ガル(0.8秒周期)だった。1、2号機とも停止していたが、1号機では、配管モルタルの一部が剥がれ、使用済み燃料プールからは放射能を含む水が飛び散った。2号機では、原子炉建屋内で、水銀灯が使用済み核燃料貯蔵プールに落下した。
 まさに、志賀原発は「地震の巣」に棲息する悪魔以外の何ものでもないにもかかわらず、北経連は再稼働を要求し、規制委員会は再稼働の言い訳を探し、裁判所は規制委員会の結論を待っている。

現代資本主義の危機
 ウクライナ戦争を引き金として始まった世界経済の分裂と危機が日本経済を直撃し、これまで通りには、資本の増殖が困難になっている。生産(原料)、物流の基本原資である石油、天然ガスの供給が阻害され、高騰し、価格に転嫁し、食糧・生活必需品の物価を押し上げ、市民生活を圧迫している。最も安定して供給されるべき主食(お米)も、輸入肥料の高騰で、じわじわと上昇している。このままでは、私の少年時代のように、労働者階級の命の綱=米さえ十分に食べられない状況が指呼の間に迫っている。
 現代日本は石油・天然ガスなどの燃料から食糧に至るまで他国に依存し、電力をはじめとしたエネルギーの無制限な供給を前提にして発展してきた社会にとって、その一部が滞れば、たちまち全体的な停滞と危機を迎える。この「危機」突破策として、次世代に禍根を残す原発・核政策を選択しようとしている。このように、人間の上に君臨する資本主義生社会にこそ、矛盾の本質を見なければならない。

侵略戦争準備
 世界経済の分裂と危機が労働者市民の生活を直撃している時、日米韓は台湾周辺や東シナ海・日本海で軍事演習を連発し、中国や朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を軍事挑発し、これに対抗した両国の軍事対応に、さらに反応するという軍事スパイラルに陥っている。
 以下に見る新聞記事の見出しのように、政府は中国や北朝鮮をターゲットにした軍事体制構築に躍起となっている。「長射程ミサイル運用へ」(10/22)、「高速滑空弾射程1000キロに」(10/31)、「人工衛星群で防衛」(11/1)、「防衛費増へ増税論大勢」(11/10)、「殺傷力持つ武器輸出検討」(11/18)、「防衛費財源 増税を提起」(11/23)、「反撃能力(先制攻撃能力)日米共同で行使」(11/26)、「トマホーク最大500発購入へ」(12/1)、「防衛費5年最大43兆円検討」(12/2)、「ミサイル迎撃網 南西諸島強化へ」(12/5)などと、連日のように新聞紙面を賑わしてきた。
 日本政府は、マスコミを総動員して、労働者市民の生活難の原因があたかも中国や北朝鮮にあるかのように言いなして、戦争を煽り、戦争の準備をし、労働者市民の目をそらせようとしている。私たちは、真実を見抜く感性を鍛え、戦争への道を絶対に許してはならない。

参考資料:『志賀原発の廃炉をめざして―資料・論考・傍聴記』(2022/3小松基地問題研究会発行)

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