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小松基地問題研究会

4/15大飯原発運転差し止め訴訟控訴審第3回口頭弁論

2015年04月18日 | 原発
4/15大飯原発運転差し止め訴訟控訴審第3回口頭弁論

 前日の興奮も冷めやらない翌15日、名古屋高裁金沢支部で大飯原発運転差し止め控訴審第3回口頭弁論が開かれた。裁判所ロビーには100人を超える市民と報道関係者がひしめき、傍聴抽選の結果を待っていた。60人の傍聴者が決まり、小雨の降るなかを報道陣のフラッシュを浴びながら法廷に向かった。

 傍聴抽選に外れたある市民は冊子「5/20判決書」を販売するといって、のぼりを立てて兼六園下に向かった。私は事務局とともに記者会見の会場設営に向かい、ふたたび、裁判所に戻り、裁判を終えて廷内から出てくる原告、弁護団、傍聴者と合流した。

記者会見…法廷では
 裁判後に石川県教育会館で開かれた記者会見で裁判の様子を知ることができた。裁判では、原告側から関西電力の地震動に関する主張への反論のために第3準備書面が提出された。前回の裁判で、関電はこれ以上の主張をしないと言っていたのに、新たにふたつの準備書面を提出した。第21準備書面では5層の過酷事故対策があるから「安全」だとしながら、結論は民事訴訟の判断基準にすべきではないというのだ。主張と結論がちぐはぐである。

 原告弁護団によるプレゼンテーションがおこなわれたが、裁判官からは積極的な質問もなく、裁判官が何を考えているのかわからないので、弁護団は進行協議を要望したが、裁判所は争点整理を作成してから判断すると答えて、閉廷した。

記者会見…争点の解説
 内山弁護人は地震動についてあらためて詳しく確認した。まづ、地震と地震動(揺れの大きさ)を区別し、揺れに注目するよう訴えた。そして、関電は揺れの想定を最大ではなく、平均でやっており、これでは誤差が大きく、平均から4倍も外れており、安全対策を立てるなら少なくとも平均の8から10倍とらねばならない。

 すなわち700ガル程度ではなく、5000以上、できれば10000ガルの揺れを想定すべきである。このように議論を進めても、関電は負けることがわかっているからか、まともに反論も議論もしない。地震が起きて、関電の想定を越える揺れが発生して、原子炉や給水系が破壊されれば、人々の命はひとたまりもない。人命軽視も甚だしい企業であり、「死の商人」である。

 海渡弁護人は前日の仮処分決定の内容について説明した。関電は多重防護だから安全と主張しているが、第1陣の備えが貧弱なため、いきなり背水の陣となり、「多重防護」は成立していない。関電は「めったに起きない」ことを前提に、安全対策を手抜きしている。規制委員会は免震重要棟の設置に猶予期間を設けているが、地震は人間の都合で待ってくれるわけではなく、規制基準は緩やかすぎて、適合しても安全は確保できない。

 原告は口々に、仮処分決定の喜びを語ったが、しかし、司法への全面依存を戒め、市民自身の力で再稼働を止める決意が相次いだ。

規制委員会、政府、関電の反応
 仮処分決定を受けて、規制委員会の田中委員長は「(規制基準は)世界で最も厳しいレベルだ」「見直す必要性は感じていない」「地裁の決定は我々の行政手続きを妨げるものではない」と居直っている。そもそも世界で何番目かが問題になっているのではなく、決定は過去の平均値を基準にするのではなく、最大値を基準にすべきであるとしているのだ。

 菅官房長官は「粛々と再稼働を進めていく」「国は当事者ではない」、安倍首相は「安全性が確認された原発は再稼働を進める」などと口走り、原発再稼働にしがみついている。国は当事者ではないって! そもそも新規制基準は国が設けたのであり、その基準が「緩やかだ」としているのであり、国は真摯に受けとめるべきである。しかも、原子力政策は国策であり、国が深く関与し、再稼働をごり押ししており、「♪そんなの関係ねぇ♪」(小島よしお)などと言わせてはならない。

 関電の森会長は「(早期再稼働を)諦めたわけではないが、可能性は低くなった」と打撃感を吐露し、関経連角副会長は「事業者の立場からは理不尽だ」と防戦に必死である。まさに人の命よりも金儲けを優先させる「死の商人」を地で行く発言だ。

 5月22日には川内原発再稼働差し止め仮処分請求の結論が出される。高浜原発仮処分決定を全国に広げ、日本の原発はもちろん世界の原発の息の根を止めよう。憲法を閣議決定で覆すような内閣のもとでは政治的に対抗しなければ、原発をとめることはできないからだ。
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