アジアと小松

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小松基地問題研究会

湯川遥菜さんと後藤健二さんの死について考える

2015年02月02日 | 思い出の人
湯川遥菜さんと後藤健二さんの死について考える

 1月20日、湯川さんと後藤さんの映像が流され、「イスラム国」に2人の日本人が拘束されていることを知らされた。湯川さんは2013年8月に民間軍事会社「PCM」を設立しし、シリアへの渡航をくりかえしていた。ホームページには「(業務は)危険地帯での情報収集や警備」と紹介している。一方、後藤さんはジャーナリストとして中東などの紛争地域で取材をおこない、内戦で被害を受ける子どもたち、市民、難民から取材し、世界に発信していた。

 8月には湯川さんが「イスラム国」に拘束され、10月には後藤さんが拘束された。日本政府は2人が拘束された時点で情報を掌握していたが、ほとんど対策を取らないまま、安倍は中東各地を訪問した。1月17日、安倍は訪問先のエジプトで、「『イスラム国』がもたらす脅威をすこしでも食い止める(curb=抑止する)ためだ。人材開発、インフラ支援を含め、『イスラム国』と戦う各国に支援を約束する」と発言した。英語版では「『イスラム国』と戦う国の戦闘基盤を構築するための支援」となっており、2億ドル(約235億円)はそのために使われる。この発言と2億ドルは「イスラム国」にたいする宣戦布告であり、湯川さんと後藤さんの命を危険にさらす行為以外の何ものでもなかった。

 そもそも有志連合とは「イスラム国」に戦争をしかけるアメリカが呼びかけた「連合軍」であり、昨年8月には「イスラム国」を空爆し、日本も含めて約60カ国によって構成されている。アメリカが「イスラム国」を倒して、守ろうとしているのは第1次世界大戦後に英仏ロが勝手に引いた国境線(中東の既存秩序)と石油利権である。

 「イスラム国」にとっては、このようなアメリカと行動を共にする日本は敵の一員であり、その日本が「人質=捕虜」の安否も確認せずに、有志連合に「人道支援」という名の「軍資金」を提供することが何をもたらすかは子供にもわかることだ。

 安倍は湯川さんと後藤さんが殺害されるに至るいきさつをまったく語らず、殺害されたことだけを大写しにして、「イスラム国」に責任を転嫁している。それはどの野党にも共通している。例えば、共産党の池内衆議院議員が「命を軽んじ続ける安倍政権」とツイッターで安倍の責任に触れたが、志位は「不適切」と安倍批判を封じ、1月25日のNHK日曜討論では、「(湯川さんの殺害について)このような残虐非道な蛮行は、絶対に許されるものではない。強く非難する。人質を直ちに解放することを強く要求する」と、政府とまったく同じ立場でものを言っている。まさに木を見て森を見ない浅はかな見識だ。

 かろうじて安倍の責任を追及したのは生活の党の小沢代表だ。小沢代表は安倍の記者会見を宣戦布告と批判し、「人道支援」という名前で、戦争の重要な要素としての後方支援、補給戦を担っていることを批判している。

 安倍政権は湯川さんと後藤さんの死を奇貨として、集団的自衛権の行使容認、米軍などへの支援拡大、ODAに他国軍援助を含め、武器輸出3原則を解禁し、米英などとの武器共同開発に乗り出し、イスラエルなどに提供しようとしている。

 安倍は湯川さん、後藤さんの殺害に際して、自らの失政がふたりの死をもたらしたことを認めようとせず、家族に謝罪もしていない。このまま安倍に政権をゆだねることは日本をふたたび侵略戦争の道に導くことであり、世界の人々と日本人に災厄をもたらすことになる。安倍政権を打倒しなければならない。
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