アジアと小松

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小松基地問題研究会

ゴミ有料化違憲訴訟第2回口頭弁論

2017年07月19日 | 金沢市ごみ有料化問題
ゴミ有料化違憲訴訟第2回口頭弁論 2017年7月18日

 この裁判は正式には、「金沢市の家庭ごみ有料化条令取り消し請求事件」と呼ばれている。この裁判を担当する裁判官は大嶺崇裁判長、磯崎優、戸部友希の3人で、比較的若い裁判体である。この青年裁判官たちは、最高裁から末端にかけて官僚組織でがちがちに固められたヒエラルキーに風穴を開けることが出来るのか。蒼穹の月を射る若者よ出でよ!

法律の素人だからこそ
 かつての恵庭事件裁判について、「北陸中日新聞」(2017年7月12日「こちら特報部」)は、以下のようにレポートしている。

 1962年12月、酪農家の野崎さんは陸上自衛隊の騒音に抗議するために、自衛隊員らの眼の前で、大砲演習用の通信線をペンチで切断した。野崎さんらは自衛隊法違反(防衛供用物損壊)の罪で起訴された。この裁判には、全国から480人の弁護士が手弁当で駆けつけた。

 裁判では、自衛隊は違憲であり、自衛隊法は無効と主張した。裁判官は憲法判断の前に、事実調べをしたいと言い渡したが、野崎さんらは「自衛隊が合憲か違憲かわからないうちに事実調べをするのは、この法廷が憲法違反になるおそれがある」と主張し、裁判所はこれを受け入れた。

 事実調べがおこなわれなかったことにより、検察官は求刑が出来なくなり、判決は憲法判断に踏み込まないまま、無罪となった。

 野崎さんは当時を振り返って、「法律の素人だから、憲法の原点から考えることが出来た」と話している。

 鳥越さんの行動には、野崎さんに通じる現状打破性を感じさせる。だが、金沢には、原発訴訟、基地騒音訴訟、年金訴訟などに手弁当で取り組んでいる弁護士が沢山いるにも拘わらず、法廷の「プロ」として、「法の論理」に呪縛されているのか、たったひとりの弁護士も反応しない。

市民の権利を行使せよ
 7月18日の第2回口頭弁論には、原告席には鳥越さん1人、被告席には代理人(弁護士)2人と市職員4人が、相対峙し、傍聴席には前回よりも多い約20人の市民が陣取った。

 鳥越さんの弁論は、前回に増して明快になっている。金沢市が主張する「憲法になじまない」「抽象的主張」論に反論し、ゴミ有料化を国(環境省)や全国市長会の提言を根拠にしており、憲法から外れたものを根拠にして、憲法が規定する福利を受ける権利を消滅させている。

 さらに、生活保護を受ける権利を争った「朝日訴訟」と同様、憲法25条<生存権>にも抵触しており、国や地方自治体が住民の福祉を増進する基本をないがしろにしている。有料化は低所得層にダメージを与える施策であり、97条基本的人権、13条個人の尊重に違反するという視点からも問題を立てている。

 最後に、鳥越さんは違憲訴訟は市民の権利であり、市民こそが行使しなければ、憲法は形骸化すると、私たち傍聴者にも耳の痛い告発となった。

 金沢市は旧来の裁判所の価値判断に期待し、追加の主張も反論もしないで、結審となった。判決は9月29日午後1時10分である。

 
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