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小松基地問題研究会

20171017ゴミ有料化山谷論文と金沢市ごみ政策

2017年10月17日 | 金沢市ごみ有料化問題
20171017ゴミ有料化山谷論文と金沢市ごみ政策
 金沢市家庭系ごみの有料化効果=14%削減は本当か?
 <市民努力+人口減少+事業系ごみ適正排出>がキーワードだ

 10月2日、金沢市環境政策課とリサイクル推進課に、「家庭系ごみ有料化後の14%減少について、その根拠(調査、論文)について教えてください」と問い合わせたが、
 環境政策課から、「導入5年目(注:金沢では2024年度)で、ごみ量14%削減するというのは、東洋大学の山谷教授の研究によるものです。今のところ、山谷教授はごみ減量化研究の第一人者でもあり、ほかにこのようなデータは環境省も持ち合わせていないということでした。答えになっていないですが、このような状況です」という返事が返ってきた。
 金沢市はさまざまな自治体の報告があるにもかかわらず、これを無視し、山谷論文しか見ていないということである。

山谷論文の欠陥
 2013年山谷論文の欠陥は単純化しすぎていることである。山谷論文によれば、全1742自治体のうち、1078自治体が有料化を導入しており(62%)、そのうち2000年度以降に有料化を導入した118自治体を対象化しているという。(2000年以降有料化した自治体は全部で118自治体なのか、2000年以降有料化した自治体のうち118自治体を対象化したのか不明…論文の緻密さがない)
 第1に、論文では118自治体を明らかにしていない。第2に、118自治体の減量効果を、①自治体の大きさ、②農漁村型・都市型、③導入時期(経済動向の反映)などを考慮せず、単純平均しており、科学的分析の水準を低いものにしている。
 金沢市が山谷論文の結果を鵜呑みにして、家庭系ゴミ有料化によって14%削減できると判断しているが、小都市と大都市の差(金沢市の人口は46.6万人)、2000年代初旬の導入とそれから10年以上あとの導入を一緒くたにできるのか(経済的社会的要因)、人口の増減などにかんして、十全の検討を必要としている。

人口増減との関係
 さらに、山谷論文も、金沢市も人口の増減を一切対象化していない。たとえば、2007年から2015年まで(8年間)の金沢市の人口増加率は2.0%であり、にもかかわらず家庭系ゴミの減少率は2.6%である。1人あたりの家庭系ゴミ排出量をみると、2007年=約2566㎏で(11.7トン÷45.6万人)、2015年=約2237㎏になり(10.4トン÷46.6万人)、この8年間で人口が2%増加したにも拘わらず、家庭系ゴミ量は12.8%も減少しているのである。要するに、金沢市と市民の努力の結果である。
 金沢市は2025年の人口を45万3000人と予測している。2017年から2025年までの8年間で、人口は1.5%減少し、金沢市と市民がこれまでどおり削減努力をかさね、さらに、ゴミステーションに排出されている事業系ゴミを正規の排出ルートで処理すれば、金沢市が目標としている「2024年家庭系ごみ14%削減」は有料化せずとも確実に実現できるのである。
 キーワードは<人口減少+事業系ごみの適正排出+市民努力>であり、<家庭系ごみ有料化>ではないのである。

捜せば、出て来る資料
 環境政策課は基礎資料は山谷論文しかないと言っているが、インターネット上にはさまざまな情報が散らばっている。環境政策課がゴミ有料化導入自治体から直接資料を集め、独自で集計し、分析するなどの努力を放棄している。
 たとえば、人口47万8000人の大分市(金沢とほぼ同規模)は2014年に家庭系ごみの有料化を導入し、導入以前と比べて1年後は11.5%、2年後は11.6%削減されたと報告している(14%ではない)。
 人口97万4000人の千葉市(金沢市の2倍規模)も、2014年に家庭系ごみの有料化を導入し、導入以前と比べて1年後は8.4%、2年後は7.5%、3年後は8.4%削減されたと報告している(14%ではない)。
  左=大分市  右=千葉市

   

金の力ではなく、市民自治の力で
 大分市、千葉市の例では、山谷論文の「14%削減」はあてはまらず、8~11%の削減効果であった。にもかかわらず、金沢市はこれらの直近の情報を精査せず、2013年の山谷論文を金科玉条のようにして、「有料化による14%削減」論をぶち上げているのである。
 推測するに、2000年代と違って、2010年代になると市民のゴミ問題にたいする意識が進歩し、家庭系ゴミの削減が進行しているからではないだろうか。
 金沢市はカネによるプレッシャーで「削減効果」を期待するのではなく、市民自治の力と事業系ゴミの適正処理で、ゴミ減量化を実現するべきである。

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