アジアと小松

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小松基地問題研究会

戦時強制連行(徴用)被害者に未払い金を支払え

2017年08月19日 | 戦後補償(特に不二越強制連行)
戦時強制連行(徴用)被害者に未払い金を支払え

 8月17日、韓国文在寅大統領は「日韓両国間の合意が個々人の権利を侵害することはできない」と表明し、韓国政府は「個人請求権の消滅」を否定した。2012年には、韓国最高裁でも「元徴用工問題は請求権協定の対象には含まれず、個人請求権は消滅していない」と判示している。当然の判断である。

莫大な未払金
 今年に入って、「経済協力韓国108」が開示され、その文書の表紙には「帰還朝鮮人に対する未払賃金債務等に関する調査集計(供託分、未供託分、第3者に対する引渡分)」と書かれていて、背表紙には「未払賃金債務等(朝鮮人に対する)調」と書かれている。
 書類を精査すると、供託された金額は1098万2115円55銭、未供託分は454万9331円84銭、第3者への引渡分は296万3777円32銭であり、合計すると、1849万5224円71銭に達する。現在の貨幣価値が当時(戦前)の2000倍とすれば、369億9044万8420円になる。これに70年分の利息をつけ、更に強制連行(徴用)による慰謝料を含めればさらに増える。
 日本政府は、朝鮮人を強制連行(徴用)して、苛酷な労働を強いて、賃金は強制的に「貯金」させて、通帳も会社が保管(取り上げ)して本人には渡さず、日本が敗戦し、この忌まわしい日本から一刻も早く脱出したいと故郷に帰った朝鮮人には、給料や貯金を渡さなかったのである。

日本政府の見解
 マスコミなどは、「日韓条約で解決済み」と報道しているが、日本政府は「この条約上は、国の請求権、国自身が持っている請求権を放棄した。そして個人については、その国民については国の権利として持っている外交保護権を放棄した。したがって、この条約上は個人の請求権を直接消滅させたものではないということでございます」(1992年 第123回通常国会 衆議院-外務委員会 会議録-2号 2月26日柳井条約局長の答弁)と答弁している。日本政府の見解は、日韓請求権協定によっても「徴用工」などの個人請求権は残されているというものだ。
 このようなウソ(マスコミ報道)がまかり通っているのは、日本政府の「ずるさ」と私たちの無関心にあることを肝に銘じなければならない。

必要書類はある
 日本政府と強制連行に係わった企業は手許にある諸資料に基づいて、朝鮮から強制連行(徴用)してきた朝鮮人の名前と住所を調べ上げ、当時の給料や貯金を2000倍し、利子をつけ、慰謝料をつけて渡すべきである。
 資料はないとは言わさない。不二越強制連行訴訟では、不二越は政府機関に供託したから未払賃金の責任はないと主張し、「未払金内訳」「供託金明細書」を書証として提出した。その供託名簿には、強制連行(徴用)された人々の当時の住所、名前、金額などが詳細に書かれていたのである。ほかにも、「従業員名票」も作成していたのであり、韓国(朝鮮)政府と協力して、誠実に調査すれば総てが明らかになってくる。

  

真実に接し、解決の道を
 今回開示されたのは「経済協力韓国108」であるが、2008年には「経済協力韓国105」が開示され、竹内康人著『戦時朝鮮人強制労働調査資料集2』で「105版」以外の資料も加えて、詳細な「朝鮮人未払金事業所一覧表」が作成されている。
 文在寅大統領が就任し、韓国政府の腹が据わり、いよいよ「慰安婦」問題、「徴用(強制連行強制労働)」問題を解決する正念場にさしかかった。問題は日本の労働者人民自身がこの問題を解決しようという意志を持つのかどうかにかかっている。

 

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