おっさんひとり犬いっぴき

家族がふえてノンキな暮らし

ふわふわなマナー

2023-04-16 11:26:46 | 日記
 若い頃には大して気にならないが、歳をとるに従って、結婚式やら葬式に出た時にどう振舞っていいのか分からず、会場でふわふわと浮ついた行動しか取れないというのは、なんともみっともないものである。いつかはちゃんとしたマナーを身につけたいとは思っているものの、その場をやり過ごすことができたら、どうでもよくなってしまい、またそんな機会に出くわすと、ふわふわと自信のない行動を繰り返すということになっている。

 で、思いついた時に買っておこうと、ネットでマナーに関する本を探して購入した。届いたのは、「大人のマナー講座」(著 日本マナー・プロトコル協会)というものだ。文部省後援と帯にあるから、とりあえずこの本を読んでおけば、少しはマナーが身につくだろう。知らなかったが、マナーにも検定があるようで、この本は「マナー・プロトコル検定標準テキスト」ともなっている。なんでも検定があるもんだなあ。

 それにしても「マナー」というのはわかるが、「プロトコル」というのは何だ。トム・クルーズ主演の映画「ミッション・イン・ポッシブル」のシリーズに「ゴースト・プロトコル」というのがあるが、意味もわからずにいた。この本の前書きを読んで、初めて「プロトコル」というのが、「外交儀礼」だということを知ったアベさんである。

 前書きを読むと、そもそもマナーやプロトコルというのが必要になった経緯というのは、世の中を平和に保つためだったということに、改めてなるほどなと思った。それぞれが好き勝手に振舞っていては騒動の元になる。だから、共通の振舞いのルールを決めようということだ。それを決めておかないと、こちらが良かれと思ってやったことに対して、相手が「失礼な」と怒るということは多々ある。イスラム教徒が豚肉を、ヒンドゥー教徒は牛肉を食べることができないということを知らないと、ご馳走を用意しても怒らせる可能性がある。そうした面倒を最初から忌避しようというが、プロトコルやマナーなのである。

 日本では、ある時から家を継ぐのは長男だということになっていた。これも遺産を巡る兄弟間の諍いを防ぐためである。が、平和な世の中が続く間はこれでもいいが、動乱の世の中になると、兄弟間で一番能力があるものが相続するのが利口なやり方だ。それを長男が継ぐのが決まりだと頑なになっていては、落ちぶれて行くことになる。

 マナーや儀礼についても、ずっとそうでなければならない、ということはない。時代に合わせて変えて行くことができなければ、そもそも世の中を平和に保つためのものが、かえって騒乱を起こすということにならないとも限らない。

 西洋で慣例となっているレディ・ファーストは、十字軍の遠征などで家を開けることが多かった騎士たちが、家を守るための奥さんに全権を任せるために始まったことだという。ジェンダーレスが叫ばれるようになった現代でも、おそらく世界標準のマナーや儀礼が生まれるだろう。それを身につけることができないならば、プロトコルもままならないということになるのだろう。
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