夜、テレビ番組がつまらないので、レンタルビデオで映画を借りてきてはせっせと見ている。ただ、ドラマは作者の思惑が先に頭に入り、あんまり楽しめないこともあって、実話を元にしたものかドキュメンタリーが中心だ。ロッククライミング中に岩とともに落下し、腕を挟まれ身動きが取れないクライマーが、5日後には自分の腕をナイフで切り落として脱出する「127時間」、人生に悩み、ほとんど無計画でラクダと愛犬を連れてオーストラリアの砂漠を横断する「奇跡の2000マイル」、モンゴルで暮らす遊牧民が飼っているラクダが、自分の産んだ子の育児拒否をしたので、昔からの儀式を執り行うことで子供への愛情を復活させる「らくだの涙」など。
最近の映画はCGをふんだんに使い、アクション映画でなくてもよりリアルな描写ができるようになったが、実際の僕らの生活ではCGが必要になるような場面というのは滅多にない。それどころか、平々凡々、ただダラダラと長いだけで盛り上がりの少ない散文的な暮らしだ。
が、「奇跡の2000マイル」にしろ、「らくだの涙」にしろ、身の回りには荒涼たる砂漠の風景が続くばかりで、その中をただ歩き続けるだけの毎日や、砂嵐や寒さの中で遊牧をする家族の日常は、不思議といつまでも見続けていられるのはなぜだろう。世界中で反響を呼んだということは、同じように平々凡々と続く日常でも、何か別のものをそこに発見しているということになるのだろうか。
翻って、今の日本の日常をドキュメンタリーで撮ろうとすれば、親子でめいめいのスマホを操作しているシーンがメインになるのだろう。なんともつまらない話だ。
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