おっさんひとり犬いっぴき

家族がふえてノンキな暮らし

つくつくぼうしの句

2022-08-25 13:03:08 | 12音詩
 朝から雨が降っていたので、今日は買い物の後、習字をすることにした。お昼近くまで熱心に書いていると、庭木のフリーシアの木から、突然大きな鳴き声が聞こえてきた。「オーシーツクツク、オーシーツクツク」。おお、ツクツクボウシではないか。おそらく今年初めて耳にするツクツクボウシの声なのだ。

 次第に大音量になった声は、そのうち名前の通り、「ツクツクボーシ、ツクツクボーシ」と鳴き始めた。普段は気にもとめない蝉の声でも、初鳴きを聞くとなんだか嬉しくなる。これはツクツクボウシだけに限らず、ミンミンゼミだってそうだし、コオロギだってそうだ。ウグイスやカッコーの声も、初鳴きを耳にした途端、強烈に季節を実感できるのである。

 というわけで一句。「今日からか ツクツクボウシ」

 ツクツクボウシの俳句と言えば、まず思い出すのは自由律俳句で有名な山頭火だ。
  この旅、果てもない旅のつくつくぼうし
  年とれば故郷こひしいつくつくぼうし
  つくつくぼうしあまりにちかくつくつくぼうし
  一人となればつくつくぼうし
  はれてはつきりつくつくぼうし

 各地を放浪しながら句を詠んだ山頭火だからこそ、数多くのツクツクボウシの句が存在するのだろう。机の上で俳句をひねっていてはこうはいかない。炎天下、あるいは秋空の下を歩いてこそ、耳に入るのはツクツクボウシの大音量の声だったのだろう。

 ちなみにツクツクボウシをウィキペディアで調べてみると、8月下旬から9月上旬に鳴き声が目立つようになる、とある。昔は北日本ではツクツクボウシは川沿いのシダレヤナギ並木だの局地的にしか分布していなかったが、最近では街中の公園でも分布するようになっているらしい。そんなわけで、我が家の庭先でも大きな声で鳴いているのである。
コメント
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