おっさんひとり犬いっぴき

家族がふえてノンキな暮らし

悪習は続くよ、どこまでも

2022-08-18 12:18:09 | 日記
 Yahoo!ニュースに、日本の悪習のタイトルで記事が出ていて、興味深く読んだ。それは太平洋戦争末期の、東京大空襲によって大勢の犠牲者が出た話だ。

 戦争も末期になると、日本の都市はあちこちで連合軍による爆撃を受けた。東京や大阪では絨毯爆撃という空襲が実行に移され、東京では数時間で10万人の民間人の犠牲者が出た。連合軍の血も涙もない攻撃は大問題だが、記事は空襲を受けた側についての備えについてになる。というのも、同じ時期、ロンドンではナチスドイツによって連続57日間の夜間空襲を実施した。東京では数時間で10万人にも及ぶ犠牲者が出たのだから、ロンドンの場合はそれをはるかに上回る犠牲者が出たに違いない。ところがである。実際には4万3000人の民間人が犠牲になっている。

 この差はどこから来たのかと言えば、ロンドンの場合、空襲に備えシェルターを用意し、貧しくてシェルターどころではない人たちは、地下鉄などへ避難したのである。その頃の東京にも同じように地下鉄があったにもかかわらず、パニックを起こした民間人が地下鉄へと殺到するのは危険とのことで、おまけにインフラとしての地下鉄が使用できなくなるので、民間人の立ち入りを禁止してしまったのだ。

 準備をしておくということが苦手な日本だが、永世中立国のスイスでは、将来の核戦争に備えて国中にシェルターを用意している。その数は、スイス国民を全員収容しても余るほどで、倍の国民でも収容できる規模である。なぜそんなにシェルターがあるのかと言うと、観光立国としてのスイスには、常にかなりの数の他国からの観光客がいるからである。そういう人たちに対してまで、シェルターの準備ができているのである。

 北朝鮮がミサイルを打ち上げるたびに戦々恐々とし、それでもミサイル迎撃システムをアメリカから買うだけで何かをしたような顔をしている日本だが、国民のことを思えば、普段からもっとやっておくことがあるのは、イギリスやスイスの備えを見れば明らかである。

 さて、記事は東京の空襲から現代のコロナ感染に進む。国民の命を守る対策よりも、まずはインフラの確保を優先する国では、医療崩壊を避けようというのが第一義になる。そのため、地域医療を守るを大義に、個人経営のクリニックや町医者の多くはコロナ患者を診ることはなかった。

 人命よりも社会インフラ、という優先順位は、おそらくこの国の悪習である。社会インフラを守るためには、少しくらいの人命の犠牲は仕方がないと考えているが、他国がやっていることはその逆で、人命を救うために状況を見て社会インフラを拡張するのである。
コメント
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