九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

随筆紹介  万葉からだ歌(三) 「腰」、肝心腰    文科系

2015年12月02日 11時05分26秒 | 文芸作品
万葉からだ歌(三)「腰」 肝心腰   N.Rさんの作品
   
降る雪を腰になづけて参り来し
 験もあるかも年の初めに
 (雪が深く腰までまとわりつく。でもやって来てよかった。新年の趣向はとても心地よく、招待してくれた方の気持ちがうれしい)

 ひた土に足踏みぬき夏草を腰になづみいかなるや通はすも妹
 (足にけがをするのもかまわずに、夏草にからまれるのも気にしないで、せっせっと通って行くのは、美しい娘が目当てなのだよ)

 万葉集人は、ことのほか「腰」を大切にし、日々の暮らしの中で、その腰に多くのことを語らせてきた。腰の初漢字は「要」。腰骨の象形で、女の骨盤が子を育て生む重要な部分、要点の意にしてきた。
 現代とおなじように「腰をかける」「逃げ腰になる」「話の腰を折る」。「腰をすえてかまえる」「腰抜け者」などの意を込めた言の葉の歌はたくさんある。そうそう「腰が低い人」「腰のすわった人」も登場してくる。

 後年、お能、狂言が腰の美を観せるもので、歌舞伎の”六方を踏む”強く美しい芸も腰の訓練から。いずれも腰こそが肝心要なものと心してきた。今、街のあちらこちらで地面にペタンと座り込んでいる制服の女学生は「腰の抜けた人」というしかない。

 こうした腰にかかわる文化も、今昔で少し変化してきたことはたしか。かっては、全体的に肉付きがよく豊かな腰回りの女性を多産安産のあかしと、尊んできた。肥満、太っているという言葉はなく、豊満であった。日本人が美の原型とした仏様の姿だって、ふくよかな腰回りである。七福神も、女は弁天様一人だが、全員が豊かな体型。万葉集人、大伴家持をはじめ秀歌を持つ歌人たちは、男女を問わず豊かで太って描かれている。小さい細いは貧弱、病弱の意だった。
 だからである。さかんにダイエットをし、拒食病で頬がそげおち、すんなり腰になっては、豊かな頬笑みも失ってしまう。子どもの一番のやすらぎは、母の太めの腰で、すがり、まとわりつくのも自然なこと。柳腰の細さではカエルだってずっこけおちる。
 英語のウェストと日本人の腰とでは、かなり意味が違うものでは・・・・。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 随筆紹介  万葉からだ歌(... | トップ | 琉球新報より  らくせき ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。