癌による膀胱全摘出手術の定期的事後観察診察に今日行ってきた。CT検査などを事前にやっておいて三ヶ月に一度ある診察なのだが、今日も「異常なし」。ただし、この診察には僕はいつも、結構「不安なし」なのである。というのも、手術の後に定期的にオプチーボという新薬を定期的に点滴してきたからだ。医者はこの類の薬による治療法のことを普通名詞では「免疫チェックポイント療法」と呼ぶが、その理屈はこういうことだ。ガンは人間の免疫力を避けるべく、人体免疫機能を阻害する防壁を作って大きくなっていくものだが、その防壁を取っ払うというか、壊す薬なのである。京都大学の本庶佑先生がノーベル賞をもらった薬であって、医者たちも「癌治療のゲームチェンジャー」と呼んでいるもので、この薬だけでがんが消えたという例すら存在するといわれてきたものらしい。これが7年前だかに保険適応になってどれだけの癌患者が助かってきたことか。ガン患者というものは、術後も5年ほどは再発を恐れるものだが、この悩みが皆無とは言わないが大きく消える療法なのである。
僕は16年には前立腺がんもやった。そして、この時は陽子線(照射)日帰り治療に通って治したものだった。僕はこれを高度医療保険に入っていてそれを使ったのだが、これがまた画期的な療法なのである。放射線というのは、周辺にも当たり、副作用が大きいのだが、陽子線治療は前後左右に当たることが極めて少なく、癌にピンポイントで当てられるという特徴がある。つまり、周囲を傷めないから、患部だけに強い照射もできるのだろう。ちなみに僕の場合、前立腺照射なのだったが、男性機能については何の害、後遺症状も出なかった。手術当時74歳だったのだけれど。名古屋ではこの治療は今は保険適応になっていると聞いている。このような機械は、一刻も早く全国的に普及するといいと思うばかりだ。 ただしこの治療は、その本質的性質上、よく動く臓器の癌には使えないということも付け加えておかねばならないだろう。つまり、ピンポイントで照射するから、体なども厳重に固定してこれがなされるものだ。と言っても、この固定は何の苦痛もないものであった。