現在、国連などで標記のことが急激に進んでいる。日本のマスコミではなぜか小さな記事扱いの事件でも、これらを集めてみると米国孤立化が鮮やかに浮かび上がってくる。こんな状況では、米自身が仕掛けている米中冷戦の行く先についても、とても成功はおぼつかない。去年10月の日本自身の対中行動から、順に日を追ってここで扱った事件を書き連ねてみよう。
10月26日に7年ぶりに、大代表団を引き連れた安倍首相訪中の、首脳会談。その「日中今後の3原則確認」がその後の日本政府部内で物議を醸すという事件があった。「競争から協調へ」「互いに脅威とならない」「自由で公正な貿易体制を発展」の3原則確認を国会でも強調した首相に対して、外務省などがこう反論したと報道された。「原則という言い方はしていない」と。対中制裁に急なアメリカの反発を予測した外務省の、対米配慮、沈静化の動きとも見えたのである。ちなみにこの前後から12月までの3ヶ月間におこった激しい世界的株安とともに、日本のGPIFで15兆円の損失が生まれるという大事件が起こった。僕はこの二つが無関係だとは思えないのである。日本が踏んではいけないアメリカ2本の虎の尾として「米軍基地の縮小」と「日本が、対中国で米の頭越しに行動すること」を上げ続けてきたのは、元外務省国際情報局長、孫崎享。
明けて1月には、「18年度版韓国国防白書」が発表されて、その「近隣諸国の防衛協力相手」に、半世紀ぶり以上の重大変化が起こった。その協力国の筆頭が日本から中国へと書き換えられたのである。韓国が米日を差し置いて、米中等距離外交へと大転換を遂げたということだ。韓国その後のGSOMIA破棄も、ここに原因の一つがあることは明らかだろう。
次いで8月19日、アメリカの大企業経営者団体「ビジネス・ラウンド・テーブル」が「株主利益の最大化、株主最優先方針を大転換」するという行動指針を発表した。事の真偽や今後の成り行き論議やはともかくとして、数十年ぶりのこんな「大転換」が、グローバリゼーションの核心部分に対する内外の悪評を意識したものであることは確かだろう。この同じ8月、国際決済銀行は、こんな発表をした。「世界の債務160兆ドル、リーマン前の1・6倍。特に新興国で増大」。
そしてこの10月には国連の総会などにおいて、二つの採決にアメリカが大敗北を喫するという事件が起こった。
先ず、米介入で話題を呼んできたベネズエラ問題。17日国連総会の全加盟国秘密投票によって、人権理事会理事国47国のうち14か国の選出が行われた。中南米理事枠2か国に対して3か国が立候補したのだが、ブラジルとベネズエラが選ばれ、コスタリカが落選したのである。「ベネズエラの人権問題が許せない」として立候補したコスタリカが落選したことが、国連で大きな話題になったのである。ちなみに、コスタリカを押して猛烈なロビー活動を展開したアメリカの権威失墜というこの結果について、アメリカ代表はこう述べたのだそうだ。
『人権理事会が破綻している揺るがぬ証拠だ』
次いで29日には、アメリカが同じく人権問題を喚起してきたウイグル・中国を巡る国連委員会採択があった。31日の中日新聞記事の書き出しなどを抜き出してみよう。
『国連総会で人権問題を扱う第三委員会は二十九日、中国の新疆ウイグル自治区で少数民族ウイグル族などを弾圧しているとされる問題で、欧米や日本など先進国を中心とした二十三か国が中国に人権尊重を求めた。一方、二倍以上の五十四か国が中国の人権に対する姿勢を称賛。国際社会で影響力を増す中国を巡る対立の構図が浮き彫りになった。
(中略)
一方、中国を称賛する五十四か国には、ロシア、パキスタン、エジプトなどが名を連ねた。ベラルーシが代表で二十三か国の声明は「人権問題の政治化だ」と反論し、「ウイグル自治区ではテロや分離主義、宗教的過激主義が人々に甚大な損害を与え、重大な人権問題になっている」と中国の対応を支持。国数で優位に立った中国の張軍国連大使は「世界の人々は真実を観て判断している」と自賛して見せた。
(後略)』
さて、現在アメリカが中国に仕掛けつつある関税戦争、経済戦争は米中冷戦の前哨戦だとは、世界のマスコミの常識。この冷戦の今後の成り行きに対して、上に観た世界情勢はアメリカの圧倒的不利を示している。アメリカが世界に吹聴してきた「人権問題」国すら、国連では既に全く信用されていないのである。マッチョ・アメリカは今後、中国に対してどんな「戦争」を仕掛けていくのだろうか。まさか全面戦争はできないなかで、貿易戦争の累積黒字と大赤字という形で深まっていく敗北を、ただ待っているだけのじり貧ということはないはずだ。対GDPの国家累積赤字比率が、2倍日本の倍で4倍と、元会計検査委員長デイブ・ウオーカーから既に2015年に発表されていたアメリカなのである。だから今後の米中問題は何が起こるかと、」僕は怖いのである。
10月26日に7年ぶりに、大代表団を引き連れた安倍首相訪中の、首脳会談。その「日中今後の3原則確認」がその後の日本政府部内で物議を醸すという事件があった。「競争から協調へ」「互いに脅威とならない」「自由で公正な貿易体制を発展」の3原則確認を国会でも強調した首相に対して、外務省などがこう反論したと報道された。「原則という言い方はしていない」と。対中制裁に急なアメリカの反発を予測した外務省の、対米配慮、沈静化の動きとも見えたのである。ちなみにこの前後から12月までの3ヶ月間におこった激しい世界的株安とともに、日本のGPIFで15兆円の損失が生まれるという大事件が起こった。僕はこの二つが無関係だとは思えないのである。日本が踏んではいけないアメリカ2本の虎の尾として「米軍基地の縮小」と「日本が、対中国で米の頭越しに行動すること」を上げ続けてきたのは、元外務省国際情報局長、孫崎享。
明けて1月には、「18年度版韓国国防白書」が発表されて、その「近隣諸国の防衛協力相手」に、半世紀ぶり以上の重大変化が起こった。その協力国の筆頭が日本から中国へと書き換えられたのである。韓国が米日を差し置いて、米中等距離外交へと大転換を遂げたということだ。韓国その後のGSOMIA破棄も、ここに原因の一つがあることは明らかだろう。
次いで8月19日、アメリカの大企業経営者団体「ビジネス・ラウンド・テーブル」が「株主利益の最大化、株主最優先方針を大転換」するという行動指針を発表した。事の真偽や今後の成り行き論議やはともかくとして、数十年ぶりのこんな「大転換」が、グローバリゼーションの核心部分に対する内外の悪評を意識したものであることは確かだろう。この同じ8月、国際決済銀行は、こんな発表をした。「世界の債務160兆ドル、リーマン前の1・6倍。特に新興国で増大」。
そしてこの10月には国連の総会などにおいて、二つの採決にアメリカが大敗北を喫するという事件が起こった。
先ず、米介入で話題を呼んできたベネズエラ問題。17日国連総会の全加盟国秘密投票によって、人権理事会理事国47国のうち14か国の選出が行われた。中南米理事枠2か国に対して3か国が立候補したのだが、ブラジルとベネズエラが選ばれ、コスタリカが落選したのである。「ベネズエラの人権問題が許せない」として立候補したコスタリカが落選したことが、国連で大きな話題になったのである。ちなみに、コスタリカを押して猛烈なロビー活動を展開したアメリカの権威失墜というこの結果について、アメリカ代表はこう述べたのだそうだ。
『人権理事会が破綻している揺るがぬ証拠だ』
次いで29日には、アメリカが同じく人権問題を喚起してきたウイグル・中国を巡る国連委員会採択があった。31日の中日新聞記事の書き出しなどを抜き出してみよう。
『国連総会で人権問題を扱う第三委員会は二十九日、中国の新疆ウイグル自治区で少数民族ウイグル族などを弾圧しているとされる問題で、欧米や日本など先進国を中心とした二十三か国が中国に人権尊重を求めた。一方、二倍以上の五十四か国が中国の人権に対する姿勢を称賛。国際社会で影響力を増す中国を巡る対立の構図が浮き彫りになった。
(中略)
一方、中国を称賛する五十四か国には、ロシア、パキスタン、エジプトなどが名を連ねた。ベラルーシが代表で二十三か国の声明は「人権問題の政治化だ」と反論し、「ウイグル自治区ではテロや分離主義、宗教的過激主義が人々に甚大な損害を与え、重大な人権問題になっている」と中国の対応を支持。国数で優位に立った中国の張軍国連大使は「世界の人々は真実を観て判断している」と自賛して見せた。
(後略)』
さて、現在アメリカが中国に仕掛けつつある関税戦争、経済戦争は米中冷戦の前哨戦だとは、世界のマスコミの常識。この冷戦の今後の成り行きに対して、上に観た世界情勢はアメリカの圧倒的不利を示している。アメリカが世界に吹聴してきた「人権問題」国すら、国連では既に全く信用されていないのである。マッチョ・アメリカは今後、中国に対してどんな「戦争」を仕掛けていくのだろうか。まさか全面戦争はできないなかで、貿易戦争の累積黒字と大赤字という形で深まっていく敗北を、ただ待っているだけのじり貧ということはないはずだ。対GDPの国家累積赤字比率が、2倍日本の倍で4倍と、元会計検査委員長デイブ・ウオーカーから既に2015年に発表されていたアメリカなのである。だから今後の米中問題は何が起こるかと、」僕は怖いのである。