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新聞の片隅に載ったニュースから(77)    大西五郎

2013年02月17日 18時51分08秒 | Weblog
新聞の片隅に載ったニュースから(77)

首相「この憲法でなければ、めぐみさん守れた(2013. 2.16 朝日新聞)

 安倍晋三首相Gは15日、自民党本部で開かれた憲法改正推進本部(保利耕輔本部長)の会合で講演し、北朝鮮による拉致被害者の横田めぐみさんを引き合いに出して「こういう憲法でなければ、横田めぐみさんを守れたかもしれない」と改憲の必要性を訴えた。講演は非公開で、党が昨年4月にまとめた憲法改正草案を新人議員に説明する目的で開かれた。
 出席者によると、首相は「日本は拉致犯の存在を知りながら手を打てず、拉致被害の拡大を許した」と言及。1977年に旧西独のルフトハンザ機がテロリストにハイジャックされた事件に触れ、「西ドイツでは実行犯を射殺して人質を奪還し、世界から喝采された。西ドイツは何度も憲法改正をしてきたからできた」と強調したという。

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 どこかで聞いたような話だと思いませんか。そうです。石原慎太郎日本維新の会代表が12月に福岡市の街頭演説で同じようなことを言いました(新聞の片隅に載ったニュースから№67)。
 石原氏の発言は「暴走老人」のオーバーランですまされましたが、一国の首相の発言となると、厳密な検証が必要です。
 安倍首相の発言にはいくつかのすり替えがあります。まず、ルフトハンザ機ハイジャック事件では、西ドイツの国境警備隊が機内に突入してハイジャック犯を射殺し、一部を逮捕しました。
国境警備隊は当初は警察の組織でしたが、ミュンヘンオリンピックでパレスチナゲリラがイスラエルの選手を襲った事件を契機に国防省の管轄下にはいりましたから、軍隊とも言えます。
 日本ではこのミュンヘン事件を教訓に警察の特殊急襲部隊、通称SATを各県警に創設し、テロ事件や銃器使用犯に対処することにしました。2000年に愛知県長久手町で起きた立てこもり事件で愛知県警のSATが出動し、隊員一人が犯人に銃で撃たれて死亡するという不幸な事件も起きています。自衛隊が憲法9条に縛られてテロや拉致事件に対処できない。横田めぐみさんの拉致を防ぐことができなかったといいますが、テロにしても、拉致にしても、警察が捜査する権限を持っています。現に1979年1月に起きた三菱銀行人質立て篭もり事件では、大阪府警の特殊部隊が銀行に突入し、犯人を射殺して人質を救出しています。
 こんな子供騙しのような論理を展開する首相を信用できますか。
 それに、新人議員にあらためて党の憲法改正草案の内容を説明するために会議を開いたということは何を意味するのでしょう。総選挙前の自民党の総裁選挙では、立候補者全員が憲法改正を公約として掲げました。自民党の政冶の中心課題といえます。それを衆院選の当選者である新人議員に改めて説明するための会合を開いたということは、その候補者(現在は議員)は党の中心的公約をよく理解せずに選挙を行ったということになります。そういう指摘は報道にありませんでした。
 マスコミも首相の発言だけを伝えるだけでは役割を果したとは言えません。発言の中身を検証し、おかしなところがあれば、読者・視聴者(国民)に知らせる義務を怠ってはなりません。
                                       大西 五郎
コメント (3)
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