きょう7月1日の中日新聞朝刊にみだしの記事が掲載されました。
明快な主張です。記事の全文を紹介させていただきます。
小生には、経済界は「企業活動と国民の命をてんびんに掛けている」
という指摘が印象的です。
■未来へ大転換が必要。中日懇話会。高村薫氏が講演
*http://www.chunichi.co.jp/article/konwakai/list/CK2011070102000165.html
第435回中日懇話会(中日新聞社主宰)が30日、名古屋市中区の名古屋観光ホテルで開かれ、作家の高村薫氏(58)が「変化を求む」と題して講演した。高村氏は「今、日本は変わらなくてはならない大転換期。ここで変われるかで未来が決まる」と訴えた。要旨は次の通り。
【日本の現状】
政治も経済界も「現実を見よ」「背に腹は代えられない」と言い改革を先送りにしてきた結果が今の日本経済や産業の行き詰まり。東日本大震災で震災前の困難が消えたのではなく、復興のための巨大財源が重なり、さらに困難になった。復興はゼロではなくマイナスからのスタート。
【4つの困難】
震災前からの困難の1つは少子高齢化問題。今世紀末に日本は人口が半分に減る。2つ目は世界の基軸の変化。アジアの台頭は安全保障上の危うさをはらむ。3つ目は日本社会の構造的な劣化。既得権と構造的利益を守る人のもとで、社会の改革を止める規制や構造が維持されている。4つ目は政治の劣化。この期に及んで、政治も産業界も旧来の構造を守ろうとしている。
【旧来構造からの脱却】
エネルギー問題は日本社会の構造の停滞を生む典型。原発は本当に安い電力なのか。福島原発の事故処理に、いったいいくらの税金が投じられるのか。
決定的に経済界が誤っているのは、企業活動と国民の命をてんびんに掛けていること。国民の命より、経済を優先することはあってはならない。15万人以上の周辺住民の生活を根こそぎ奪っている現実があるのに、電力不足もない。重大事故が起きると、強制的に避難を余儀なくされ、家も土地も失うのが現状。周辺何百キロも放射性物質が広がり、食べ物にも不安を覚える生活が何十年も続く。
国も企業も私たち生活者も深く頭を下げ、反省しなくてはならない。電力不足だろうが、経済活動に支障が出ようが、立ち止まらなくてはならない。
時代の状況に合わせて変わらなくてはならない時がある。今、変われるかで未来が決まる。変わることのリスクより、変わらないリスクが大きな大転換期に差しかかっている。