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九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

書評 「政治家や財界人は『それを』恥じて欲しい」    文科系

2023年08月10日 00時51分55秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 中公新書ラクレから出た「日本の絶望ランキング集」という本を買って来た。著者が元国税調査官だということと、各国国政結果の比較が見えるという動機から。まさに出るべくしてついに出てきた本と思ったし、「まともな政治家がこれを読んで、まともに仕事をするようになって欲しいけど・・・?」などと、標記のことを思ったものだ。
 常々日本の政治家が外国との比較などを見て自国を考えようとしないのかなーと慨嘆していたから、現在日本の強みも含めて、学ぶところがとても多かったのである。今後への強みとして、日本の希望も見えたのだ。日本政府が保有する金融資産額が世界一だとか、対外純資産(「日本が外国に持っている資産」から「外国が日本に持っている資産」を差し引いた残額)が世界一だとか。
 もちろん、累積赤字など負債も多くて、さらに、こんな低ランキングは続々なのだが。GDPに占める公共事業費率は最高クラスだが、東京、大阪などは、ロンドンやパリに比べて無電柱率が10分の1以下、住民1人当たり公園面積は低いパリやソウルに比べても2分の1以下。90年代の公共建設ブームも後で閑古鳥が鳴いたハコモノばっかだったというわけ。

 読後感として、「あとがき」文中から、強烈に印象に残った一文を転載する。以下の文中この一言は、極めて新鮮、強烈であった。
『政治家や財界人は、それを恥じてほしいものである』

『 いまの日本で問題なのは金がないことではなく、金があるのにそれがきちんと循環していない、ということである。
 週に40時問まともに働いて、家族を養うどころか自分がまともに食うことさえできない国というのは、世界中そうそうあるものではない。
 政治家や財界人は、それを恥じてほしいものである。
 これだけ金を持っているくせに、国民をまともに食わせることさえできないのか、ということである。
 いまの日本に必要なのは、大企業、天下り特殊法人がため込んでいる金を引き出して、金が足りない人のところに分配することである。それは、決して特別なことではない。先進国として最低限度の雇用政策、経済政策をとるということである。
 世界の10%という莫大な金を持っているのに、たった1億2000万人の国民を満足に生活させることができない、という「経済循環の悪さ」。その点に、為政者、経済界のリーダーたちは気づいていただきたいものである。
 そもそも日本の高い競争力は、誰が担ってきたものなのか?
 日本が誇る高い技術力は、十分な教育を受けた勤勉な多くの国民が支えてきたものである。だから競争力を維持したければ、まずは国民が普通の生活をしていける環境を整えるべきなのだ。
 そして「金がないから進学できない」「金がないから結婚、出産できない」というような若者を絶対に出さないことである。


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マイクロソフトチャット画面に、何これ? 文科系

2023年07月12日 13時55分58秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 マイクロソフト・ビーイングのチャット画面にとんでもない虚偽文章が載っていたが、これって、どういうことなのだろう。チャットへの呼び込み文章とか、形式的なある文例表示としても、ちょっと酷すぎると思うが。

『安倍晋三氏は、東京大学法学部を卒業されています。文科系の大学である東京大学法学部は、QS世界大学ランキング2022において、世界第11位にランクインしています 』

 どうしてこういうことになっているのか、誰か説明していただけないだろうか? 10日までこういう三つのエントリーを書いてきた者としては、(他人の)学歴詐称をしてさしあげたのかなとしか思えないけど。
  • 安倍晋三の仲間たち  文科系
  • 所属大学の安倍晋三評価   文科系
  • 書評「安倍晋三の正体」(祥伝社新書)   文科系
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怖いニュースの火消しは?  文科系

2023年07月07日 02時16分32秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 米・イラン間の怖い「事件」が、日テレニュース(ネット)で報道されていた。これには、「イラン側が「恐ろしいこと」をやったもんだ!」と日本視聴者のコメントが続々。ところが、この事件の裏側をロイターが説き明かしたようだが、こちらは日テレから報道されたのかな?
 これから先の中台間でも起こりそうなことなのかどうか、怖い怖いとよくよく気に留めておきたいということで。

【イラン軍艦艇】タンカーに発砲 だ捕図るも…アメリカ海軍が阻止 (日テレニュース)
 アメリカ海軍が公開した、イラン海軍の艦艇が発砲した際のものだとする映像からは、イランの艦艇が商業用タンカーに近づくと、タンカーの近くで光が点滅するようすがわかります。
 アメリカ軍は、イランの艦艇が国際水域を航行中の商業用タンカー2隻を相次いでだ捕しようと試み、その際に小火器などで「複数回、長時間の連射を行った」としています。
 死傷者はいませんでしたが、船体に数発の弾丸が命中したということで、アメリカ軍はイラン艦艇による相次ぐ商船のだ捕などを非難しています。
(2023年7月6日放送) 』

『 [ドバイ 6日 ロイター] - イランの裁判所は、オマーン湾でイランの船舶と衝突した石油タンカーを拿捕するようイラン海軍に命じていた。
 このタンカーは米石油大手シェブロンが管理するバハマ船籍の石油タンカー「リッチモンド・ボイジャー」。米海軍は5日、イラン海軍が同タンカーを含む2隻を拿捕しようとしたため、阻止したと発表していた。
 イラン南部ホルモズガーン州の海洋捜索救助センターが国内メディアのIRINNに明らかにしたところによると、リッチモンド・ボイジャーは乗組員7人が乗ったイラン船と衝突。イラン船の5人が負傷し、船内に浸水したが、リッチモンド・ボイジャーは事故後も停船しなかった。その後、イラン船の船主がタンカーの拿捕を要求したという。
 シェブロンは、リッチモンド・ボイジャーの乗組員は無事で通常通り航行しているとコメントした。
 米海軍によると、イランは約1カ月前、1週間で石油タンカー2隻を拿捕している。』

 発砲理由も調査・報道して付いてない『一方的発砲ニュース』って、戦争の「原因」にさえなり得て、「要注意」。それに乗る世論はさらに怖いって、歴史の教訓だ。
 このニュースをこの後少々追跡してみた、その結果に驚いたのだが、「イラン発砲」の方は日本マスコミもいろんな所がいっぱい報道。「イラン側の事情」の方は、圧倒的に少ない。前者の多数報道の方は、後で追加の修正解説をちゃんと出すのかな? これがないと、「悪者国」を世界にいっぱい生み出せることになろうが。
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このままじゃ危ない、朝日  文科系

2023年07月06日 07時09分08秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 朝日新聞は、どう見てもこのままじゃ危ない。他よりはマシとの判断で購読して来た僕として、愚考を述べてみる。中途半端の上に、近ごろ「自己都合の押しつけ」を感じてならないのである。
 中途半端は、新聞論調。アメリカや中国の報道姿勢とか、ウクライナ報道では体制に合わせた固定観念のようなものを感じ、一般に調査報道が随分少なくなって、アクセス報道と、論説委員らのも含めて貯めおけるような論文調(穴埋め記事)が多くなったと感じる。

 それ以上に嫌なのが、自己都合で作る紙面が多すぎること。まずは全面広告など最近特に目立つ、広告の多さ。次いで、日米プロ野球だけではなく高校野球、子ども野球関係などの紙面が多すぎ。日米プロ野球だけで二面を占めたり、甲子園はもちろん、高校地方戦の予告や結果、有名校の関係者記事などなどの上に、最近は「野球が忌避されてきた原因調査」?? 丸坊主が減ってきただとか、強権的指導が云々とか、ご丁寧に「野球関連調査報道と野球振興策助言」まで手取り足取り・・・。他のスポーツ愛好者から見たら「今時なんで、野球ばっか?」と反発さえされているのにも気づかない「主観主義」? 読売を初めとして半分は昔ながらの「野球興行主・マスコミ」を固守というところではないのか?
 こうして、広告と野球抜いたら、ちかごろ何面残るのか、考え直してみるようお勧めしたい。

 ネット有料記事ってのも全くダメ、将来性なしと観る。新聞社、テレビ局など「できるだけ幅広く連合した団体交渉」やって、ヤフーからニュース使用料金をもぎ取ることだ。日本ヤフーの記事をもう少しマシにすることにも貢献して欲しい。あれが日本国ネットニュースを席巻してちゃ、日本国民の人品が低劣になるばかりだろう。このこと、日本既成マスコミ界にもちっとは責任を感じてもらわなくっちゃあ。なんせ、昔は公器だったんだから。「民間」部門が「丸公」部門をどんどん消してきたこの国、世界なんだけども、広告戦線含めて全新聞社・テレビ局がヤフーに負けた? このままじゃ既成マスコミ、新聞はヤフーに潰されると感じられてならないのである。

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こういう国際ニュースが欲しい  文科系

2023年07月04日 16時17分45秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 最近いろんなネット記事ニュースをいろいろ読んでいる。種類ばかり多く国際ニュースでは特に低級なヤフーばかりが日本にのさばっているのが嫌になったから。日本でやったG7についての産経のこの記事は今も大事に取ってある。世界で善悪大きい役割を果たしながら時代遅れと言われ始めたG7の現状がとてもよく分かるからだ。ヤフーの国際ニュースは種々雑多で低級、読むに堪えないから、もうやめた。グーグルの国際ニュースは、よく整理されていて、まだ読みやすいが、ヤフーのニュースは、知識人は読まなくなるはずだ。


『 仏紙「日本、フランスを理解せず」 独紙「G7の力、まだある」2023/5/22 08:48 産経新聞
 
【パリ=三井美奈】フランス紙フィガロは、先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)について「ロシアに制裁し、中国を叱責する」会議になったと位置づけた。中国に対する立場で、フランスと日米の間で大きな違いがあったとも伝えた。
同紙によると、首脳声明の中国をめぐる文言で、「マクロン大統領は抑えた表現にしようとした」。マクロン氏自身、「リスクを減らしても、経済は切り離さない」と主張した。これに対し、中国の脅威に直面する日本は「フランスの立場を理解しなかった。フランスを『G7の弱い環』とみなした」と記した。

仏紙リベラシオンは、ウクライナのゼレンスキー大統領の広島サミット参加は「歴史的」だったと評価した。一方で、ゼレンスキー氏は、G7以外の有力な招待国に支持を広げようとしたが、「中途半端な成果」にとどまったと報じた。

ドイツ紙ウェルトは、「G7が初めて、中国に対する共通の政策で合意できた」と成果をたたえた。首脳声明について「米国のタカ派が求める強硬な立場はとらなかった。それでも、中国への過度な依存を減らしてリスクを抑え、先端技術を保護することに合意し、スタートを切ることができた」と意義を強調した。

G7については「時代遅れ」という批判があるが、インド、インドネシア、ブラジル、さらにウクライナという「新しい民主主義国」を招いたことで、「これまでと違うやり方をとれば、まだ力を発揮する」ことを示したと論じた。

独紙フランクフルター・アルゲマイネは、対面で行ったサミットは「電話やビデオ会議ではできない」成果をあげたと強調した。同紙はまた、米国が首脳声明で「中国の経済的進歩および発展を妨げようとしない」という文言を受け入れたことに注目。米国の対中強硬姿勢が変化する可能性に触れ、「兆しは示された」と指摘した。

今回のサミットは、ウクライナ支援が大きなテーマとなり、G7以外の欧州諸国の関心も高かった。デンマーク公共放送DRは、ゼレンスキー氏の参加で、「G7広島サミットは、最も重要なサミットのひとつとして、記憶に残る」と伝えた。首脳声明が中国の経済的威圧や人権侵害に言及し、厳しい批判を盛り込んだと評価した。』

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マイクロソフトの拙稿紹介が急減?・・・  文科系

2023年07月02日 15時27分57秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
   このブログでこんな一連の記事を書いてきた。
『ブログ記事の評価? 2023年05月24日 』
 最初のこの記事では、グーブログ記事の拙エントリー題名部分を「ネット検索」にかけるとマイクロソフトビーイング画面でこれらが紹介されていて、拙稿のほとんどがここに紹介されていると報告した。そこで、「いろんなニュース種」を書いて「載らぬもの、載るもの」をちょっと調べてみようと思い立ち、その結果を6月27日「マイクロソフトが紹介しないニュース種」に報告した。この文章はその続きである。

 先ず目立ったのは、「いろんなニュース種」を書き始めて以降、掲載チェックが明らかに厳しくなっている。5月の不掲載が4つだったのに、6月は12へと増えた。5、6月両月の不掲載率は各16%、48%になる。マイクロソフト自身が厳しくしたのか、どこかから横やりが入ったのか? 
 ちなみに、不掲載で圧倒的に多いのが、台湾問題をもめぐって日米安保関連を書いたもの、および、ウクライナ戦争関連であった。いずれも例えば日本ネットニュースを席巻しているヤフーニュースなどの論調とは正反対の内容ばかりである。それぞれの「不掲載例」を挙げておこう。

6月30日、台湾海峡、米艦こそ黒
16日、対中「軍備大増強」は日本だけ
7日、朗報、NATO東京事務所お流れに
5月29日、見えてきた、米覇権の揺らぎ
15日、米の「新しい(世界)コンセンサス」

6月19日、ウロ戦争、すぐやめろ
18日、ロシアへの革命輸出
12日、ロ・ウ戦争、大本営発表に大爆弾
5月27日、偏向したウクライナ報道

 この2種類のエントリー種、内容について、今後もしばらくせっせと書きつつ、マイクロソフトビーイング画面を注視していきたい。ウクライナ報道にしても、韓国関連を含めればもっと多くなる日米韓安保にしても、民主主義の観点から考えて実に低級なニュースばかりであるヤフーなどとは正反対の論調を書いているから、大切なことと考えて来た。

 ヤフーニュースみたいなものが、日本最大のネットニュースだというのは、民主主義の観点から言って実に嘆かわしいことだと考えて来た。特に、その国際ニュースは低級である。例えば、韓国を嘲笑い、国連公認かつ先日ブリンケン訪中でも確認してきた「一つの中国」原則をも嘲笑っている・・・。
 今世界でも問題になっているプラットフォームによる既成報道機関ニュースの使用料義務問題で、ヤフーが既成マスコミの金がかかったニュースを使う場合費用を払えという問題もどうなっているのだろうか? これがきちんとしていなければヤフーニュースが低級になるのは必然なのである。日本ヤフーって、ソフトバンク関連らしいけど・・・狭い島国根性丸出し? 日本で新聞社が消えたり力がなくなったりして、こんなのだけがますます幅を利かせていったら、日本社会は真っ暗闇だな。


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マイクロソフトが紹介しないニュース種  文科系

2023年06月27日 11時04分38秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 最近ここに、グーブログの記事、拙稿の題名をウェブ検索にかけると「マイクロソフトビーイング」画面で広く紹介されていることが分かるとか、拙稿はほとんど紹介されているとかのことを書いてきた。
 それでちょっと悪戯をしてみようと思い立って、「気に入らなさそうな」つまり「紹介したくなさそうな」ニュースをこのところ多く送ってみた。案の定である。パタッと紹介が止まった。彼らの「落選基準」になれてきたこともあって、間には「普通のもの」、「気に入りそうなもの」も意識して入れてみたらちゃんと紹介されるから、余計に彼らの「タブー」が分かってきた。それはどんなものか。

・何よりも今は、ウクライナ問題。マスコミ主流論調、ウクライナ支援の「批判」に当たるようなものは、たとえ「戦争やめろ」でも、駄目なようだ。

・次いで面白いのが、「野球帝国主義」批判。マスコミ全体が懸命にやっている「野球復興」努力に水を差すようなものはお嫌いらしい。

原発関係タブーも、相変わらず存在する。しかも強力に。最初から真実を歪めてきたと裁判関係など一部専門家が批判してきた福島県立医大ではないが、原子力村のマスコミ制圧は、今もことのほか強いようだ。

・他には、今盛んな韓国野党への下らない批判を嗤ってやったら忌避されたし、少子化問題に対して政府関係から出た誤魔化し文章を批判したものも門前払いを喰った。


 さてさて、ところで、ここまで書いてきたこの記事がビーイングに紹介されることは先ずないだろうが、「こういうのはダメですよ!」という意味を込めて、この拙稿をば全国に紹介するのは、ビーイング編集氏の方針にあっているのではないのか。
 ちなみに、世界のニュース、政治知識などにこれだけ大きな力を持つプラットホームに、ニュース取材元新聞社などがニュース使用料を払う仕組みを作れと要求している昨今だが、これは当然の権利であると思う。新聞社などが特派員派遣など金をかけて集めたニュースをタダで使えるからこそ、世界のニュースに関わってプラットホームがここまで大きくなれたのだから。いまやこの力関係が逆転して、ホームが取材元を支配できるなどとなっては、世の中がすべて狂っていくだろう。プラットホームに公器という自覚などは全く期待できないのだから。
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こんな「嫌韓」報道は良識外れだ  文科系

2023年06月13日 12時28分06秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 一時の人種差別にもなる嫌韓報道が普通のネットからは少々鳴りを潜めてきたと思ったら、今度は韓国政界への一種の干渉報道が荒れ狂っている。
『韓国で文在寅の嘘が続々と明らかに』
『韓国「安保理・理事国選出」で見えた!「文在寅シンパ」が受けるダメージと「歴史問題解決」の一筋の光明』
『韓国大統領室、中国大使を狙って「架け橋役が不適切な時は両国の国益を害する場合も」』

 日韓関係でいくつかの問題があって、話題になるのは必然というものもある。原発汚染水の放出問題、中韓関係の推移などはその例で、上記の三番目の記事などは、この後者に当たる。だが、この韓中関係でも書き方があるはずで、「仲違いしろ」というのが昨今多すぎて、明らかに外交的礼儀を欠いていて、品性下劣である。

 さらに、上記の二つの記事、韓国の与野党関係で今の与党を持ち上げ野党を貶すやり方が激しすぎる光景が多く見られ始めたが、これは一体何と言ったらよいのか? アメリカが歴史的に世界のあちこちで度々やってきた「革命輸出」の小型のように、僕には見えてしまう。普通の人間感性、いわゆる良識を持っていれば、日韓の与党支持者でも不快になるべきものではないか。あきらかに、他国からの内政干渉(奨励)のようなものだからである。

 ブログをやっていると、ネットが「イイネ!」や「人気」を欲しがるのは分かる。また、嫌韓がヒットニュースになりやすいというのもあるのだろう。だが、こういうのが昂じて「耳目を引きつけるだけ」とか、なんらか金になるということ記事も多いようだ。が、人としての品性、礼節を忘れたくないと言いたい。(ネット記事の編成者、編集者が?)これを踏み外し始めると、やがて善悪判断もできないエゴ、私利だけのニュースも増えていき、そういう外交にも傾いて、今のアメリカやG7のように、グローバルサウス、世界の弱者から嫌われるようになっていく。マスコミと人間との悪循環的劣化に繋がるような記事が多くなっているが、好ましくない傾向と言いたい。

 マスコミが政治のもっとも悪い部分と結びつきを強めるとき、さらに先走って政治をもっともっと悪い方向へと引っ張っていく時があるもの。これが日本の戦前や、イラク戦争前のアメリカに見た光景であった。


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ブログ記事の評価?   文科系

2023年05月24日 09時02分21秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 僕のブログ友や、ブログを書いている皆さん、標記のこと(のようなこと)をマイクロソフトがやっていることを知っていますか。ご存知の方がほとんどかも知れませんが、念のために。

 それぞれのブログ記事題名を青転して「webで検索」をクリックすると「マイクロソフトビーイング」と名の付いた画面に替わって、関連記事がずらーっと紹介されてきます。紹介された記事はそれぞれ、クリックするとその記事画面そのものに転換、これが出てくるような形で。
 さて、普通のブログ記事もグーブログである限りはこのなかで紹介されています。が、実はここにマイクロソフトビーイングの掲載不掲載判断があるようです。というのは、こんな実験をしてみましたから分かったんです。
 自他のブログの「良い」と思った記事はほとんど載っていますから。というよりも「マーマー」と思ったらもう紹介されています。いくつかのブログ友の記事についてもこれをやってみましたから、先ず間違いない。特にその文章を僕が親しんで来た良いと思ったブログの記事はほとんど載っている。ブログにもマイクロソフトとしての信用度があるようです。僕が以下をよくやるのですが、例外があって、とても良い記事でも題名を変えた二重投稿のようなのは、落ちることが多いです。その場合は古い方がすぐ下にのせてあります。だから、ちゃんとチェックもされているわけだ。

 とこんなことを書くと、この僕の「マーマー」というその判断力が問題になりますが、一応の自信はあります。一応旧帝大の流れを組む大学一つの文学修士(哲学でとりました)で、とあるちっぽけな文芸同人誌の編集長を永年やってきて、いろんな文章批評に慣れているんです。評論のような論文も、文芸文にも。ちなみに、僕を編集長に任命した同人主宰は、元新聞社学芸部員でテレビ脚本などをよく書いていて、新聞社の方を早く辞めたプロの作家だった方です)
 そんなわけですから、近い内のいつか、マイクロソフトの「ブログ記事紹介の評価基準」のような物を書いてみたいと目論んでいます。

 なお、ここでついでに一言。グーブログ編集部に文句です。「いいね」とか「役立った」とかに編集画面では評価クリックが入っていても、実際画面にはそれが不掲載、反映されていないことが結構多い。何時間経ってもこれがあると分かったから、ミスではなく作為的なものなのかと思いました。としたら失礼だが、このことに関するかぎりでは、マイクロソフト(なのかグーグルなのか)が「検閲」をやっていることになる。


 後から追加です。この記事が掲載されたのが9時2分で、今10時7分現在、もうこの記事自身が「web検索」に掲載されていました。流石、「双方向」創造が望むところのようだと、そう申し上げておきましょう。
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ある書評、「日本貧困化、ある結末」  文科系 

2022年08月05日 17時32分10秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 

 団塊世代(1947~49年生まれを中心とした世代)は、ちょっと周り同世代を見回せば、孫がいない家が多いと分かる。理由はそれぞれ色々だろうが、共通して流れる特大理由が一つ、団塊2世が同時に就職氷河世代に当たるのだ。この就職氷河時代とは、1990~1年から尾を引いた日本住宅バブル破裂、1997年のアジア通貨危機から生み出されたものである。住宅バブル破裂は、ここまでの狂乱地価をあおった政策の結末。アジア通貨危機はグローバル金融資本が人為的に起こした国際的搾取。後にサブプライムバブル破裂を総括した国連委員会総括書の長だったノーベル賞経済学者スティグリッツがそう述べている。ちなみに、サブプライムバブル破裂・リーマンショックの国連総括書については、その委員会出発から最後まで、これにアメリカが猛烈に反対してきたという事実を付け加えておく。今のアメリカは、国連無視がとても多いのだ。

 孫なし世代の急増は、こんな事実とも呼応する。50歳まで一度も結婚できなかった、あるいはしなかった男性が4人に1人に近づき、日本政府は、この原因論議を妨げてきた分かるのだ。この少子化の背景を描いた著作「日本の少子化対策はなぜ失敗したのか」を以下要約する。

 

 山田昌弘・中央大学文学部教授(家族社会学)の光文社2020年刊行著作の問題意識は、こういうものだ。合計特殊出生率1・6以下の状況が30年、1・5以下が25年続いているその原因を考えようと。そして、少子化の初期10年の段階において政府が採った欧米風対策が全くピント外れだったうえに、今はもう取り返しがつかなくなっていると証明した。

 ちなみに、合計特殊出生率とは、女性1人当たりが一生に産む平均子ども数。2・07人を上回れば人口が増加し、下回れば減る数字。1・5とか1・6とかが長く続いては・・というわけである。

 71~74年の第2次ベビーブームでちょっと持ち直したかという以外は戦後一貫して下がり続けてきたのがこの数字と示されている。90年代に入って「1・57ショック」とか「少子化社会の到来」とかの標語で国家の重大問題としてきた議論が何の役にも立たなかったという現状なのである。政府対策がどうピントが狂っていたのか。

 この少子化の最大原因として、何よりも若者の大変な貧困化から来た「未婚化」等の経済問題があるという正しい見方を、国家が少子化対策の審議会などでタブー視してきたと、この本は語っている。政府が代わりに鳴り物入りで対策を出した若者の西欧風現状分析が、①若者は1人で暮らし、②愛情があれば結婚するはずで、③相手を見つけるのは簡単であるというもの。この三つが全く現状に合っていなかったという説明が、以下である。
①日本の若者は西欧と違って、親元で暮らすパラサイトシングルが多い。地方などは特にそうだ。
②③については、何よりもこんなことを言う。男女とも、育った家庭並みの生活を望むのだが、1人の収入で子どもを大学にやれるような男性は非常に少なくなった。次いで、仕事による自己実現を求める西欧女性と違って「日本女性は仕事よりも(育った親の家庭並みの)消費生活を求めている」という現実があるなどなどと、この本は現状分析するのである。

 僕、文科系は、このブログでこう述べてきたが、それを肯定してくれるのがこの本であった。日本では今、50歳まで一度も結婚したことがない男性が4人に1人に近づいている。それは、結婚相手に選んでもらえない低収入男性が増えたからだ。
 こうなった原因はこの30年近くの日本の貧困化にあって、国民1人当たりの購買力平価GDPがわずか25年ほどで世界5位あたりから21年度世界銀行ランキングでは38位(お隣の韓国は31位である)にまで落ちたことによってもたらされた。そして、このことを原因と見ないような少子化対策ばかりを政府がやって来たとこの本も述べているのである。該当箇所に、こんな文章があった。長い引用になるが・・・・。

『私は1996年に出版した「結婚の社会学」(丸善ライブラリー)の中で「収入の低い男性は結婚相手として選ばれにくい」という現実を指摘している。・・・・・
 当時、これほど評判の悪かった指摘はなかった・・・1990年代後半のマスメディアや政府は、この事実への言及を避けていた。
 政府関係の研究会で、私がこの指摘をしたところ、政府のある高官から、「私の立場で、山田君が言ったことを言ったら、首が飛んでしまう」と言われたことがある。
 当時、大手の新聞では、私の発言の該当部分は記事にならなかった。
 ある地方公共団体に依頼され執筆したエッセーに関しては、担当課長が、削除を依頼しにわざわざ大学までやって来て、頭を下げられたこともある。
 その理由は、「収入の低い男性は結婚相手として選ばれにくい」という指摘は事実であっても差別的発言だから(たとえ報告書であっても)公で発表することはできない、それだけではなく、それを前提とした政策をとることはできない、というものである』(48~49ページ)

 少子化対策がこのようにピントがずれていては、どれだけ年月をかけても何の効果もなかったということなのである。真実の原因を国民から隠している間は、無策は当たり前だろう。

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書評 関野吉晴「グレートジャーニー」  文科系

2022年07月24日 01時34分03秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など

 まず最初にちくま新書のこの題名、「グレートジャーニー(長い旅行という訳になる)」が、現生人類すべての祖先誕生からその世界拡散・人類分化の歴史に関わる概念だということをご存じだろうか。
 最初の現生人類がアフリカ・タンザニアに生まれ、10数万年前に中東に出た人々が西欧人とアジア人に別れていき、アジア系からまずオーストラリア原住民、次いで縄文人などが生まれて、そのアジア北方系人種がベーリング海経由でアメリカ大陸に渡った末に、南米南端のパタゴニアまでたどり着いたという人類分化史を「グレートジャーニー」とイギリスのある考古学者が呼んだのである。著者関野吉晴は、この旅を南米南端パタゴニアからタンザニアへと逆に辿ったのだった。それも、自転車とカヤック・カヌーだけの人力で、1993年12月5日から2002年2月10日までかけてのことであった。

 なお、関野のこの旅にはその前史があって、1970年代半ばに、彼は南米はペルー・アマゾンのマチゲンガという少数民族の部落で何か月も過ごしている。それから日本に戻った彼は、人生をこんな風にやり直したと述べている。改めて医者になれば、滞在先の人々になにがしかのお返しができるだろう、と。
『一度日本に帰った私は彼らとの付き合いを続けたいと思った。もっともっと彼らのことを知りたくなった。そのためにはどうしたらいいのか? 世話になりっぱなしのただの居候であるより、医者として入っていったらどうだろうか。文科系の大学に8年間いた(文科系注 一橋大学に探検部を作った)私は医学部(文科系注 横浜国立大学。 後の文科系注 横国出身の娘にこの本を見せたら、言われた。「横国には医学部はない。横浜市大ではないか」とのこと。誤植?)に入り直すことにした。そしてその後も彼らの村に通い続けた』

 さて、上記の年月日をかけたこの旅の途中、当然のことながらアマゾン・マチゲンガ部落と旧交を温めることにもなるのだが、それも含んだ全行程はこうなっている。1993年12月のパタゴニアに端を発して、1995年アマゾン源流、中央アンデス。1995年10月中米に入る。1996年9月アラスカに入る。1997年8月ベーリング海峡を渡り、シベリアのヤクーツク、バイカル湖からモンゴル、中央アジア、中東、アフリカと辿って行った、と。この全体行程の中でただ一つだけ長い寄り道、別コースがあって、1999年にモンゴルからヒマラヤ横断をやっている。この寄り道コースの方では、行った先、例えばネパール・カトマンズから飛行機で帰ってきたのだろうと推察される。

 この本の長所は、まず半分は写真集と言ってよいような、その写真の美しさ。土地土地の「庶民の」生活、特徴を表す風景、祭り、祈りなどの写真もさりながら、諸民族の子どもの大写し容姿、表情などがすべて何とも言えず良いのである。皆が皆、それぞれエスニックに可愛すぎて・・・。そして、この旅人への心遣いなどにも現れた諸民族の良俗、美風などが文章で紹介されていて、それがまた「人類みな兄弟は残っている」という気にさせてくれたものだ。この旅の着想、誕生自身にかかわっているやのアマゾン・マチゲンガ部落から著者が学んだ人間の美しさを、世界に見続けていった旅と言ってもよいのではないか。僕はとにかく、そこが気に入ったのである。

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書評 「嫌われた監督」(文藝春秋社)  文科系

2022年06月02日 00時34分13秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など

 この評判の本2090円也を、本日書店で買ってきて、すぐに全12章500ページ弱の半分ほどを読んでしまった(2日追記 本日完読により、末尾に追加記述あり)。『20~21年の「週刊文春」に連載された落合博満・中日監督時代』を単行本に書き直したこの内容は、予想通りのもので、ちょっと良い小説以上に面白いこと、面白いこと! すぐに書評を書く気になった。

 あらかじめ見当を付けていた内容は、こういうもの。
 中日球団としても歴史的まれにあれだけ鮮やかな実績を上げた監督が「嫌われ」、辞めさせられたのは、こういうことに決まっている。「勝つ野球」と「興業としての人気ある野球」とで、よく起こる矛盾があって、球団が後者を取ったから前者を追求した落合が辞めることになった、と。そしてまさにこの予想通りの内容だったのである。こういう問題性を、あるスポーツ新聞新米記者が落合就任の2004年度に感じ取り始めていたからこそ、この本が書けたとも分かるのである。
  こうしてこの本はまた、野球に勝つには何が必要かこそ分かるものである。このことを1人1人の当時の選手ら12人を例にとって八年間にわたって追跡、分析、解明していく、そういう内容になっている。

 プロ野球はスポーツかエンタテインメントなのか? これが球団赤字問題が絡んだ集客上結局エンタテインメントの方に傾いてきたというのが、落合が嫌われた理由なのだろう。そして、野球のこの「スポーツ離れ」を危惧しているとも読めるものである。

 2007年に日本シリーズ制覇までの準備期間に当たる4~6年の3年間、その第1~3章のそれぞれ、川崎憲次郎、森野将彦、福留孝介はすべて面白かった。
 川崎では、野球界功労者とも言えるこの栄光の人物に引退の花道を作ってやる結果になった道程を通して、自分の選手への要求、遇し方というものをチームに示して見せたわけだし、立浪に換えて守りの中心に育てるべく森野をいかに鍛えていったかは、まさに鬼気迫る描写力である。福留という天才が、「人間」落合ではなく「打撃指導者・落合」と付き合ってきたのだと書いている下りも、またとても面白かった。

 最後の感想だが、野球界はサッカー界とは大変に違うと思ったところだ。サッカー界でエンタテインメントとか、この本で言うところの「ロマン」とかを第一に追求したら、そのチームはたちまち「降格」するにちがいないのである。日本プロ野球界は12球団しかないから、「相互扶助組織」のようになっているのではないか。そうでないと営業として生きていけない世の中になった?

 

 2日の追加分

「強いチームをつくらなくてはいけません。それと同時にファンを大事にしなくてはいけません」、「(落合は)メディアを、ひいてはファンを軽んじている」。これらが球団幹部の落合に対する遠慮がちな不満の声であった。それにしても、これだけの実績を残した監督が、どうして退団になったのか。8年間Bクラス陥落なし、リーグ優勝4回でそのうち日本シリーズ優勝1回。それも、退団が決まったこの11年も、15勝3敗2分という終盤戦の猛烈な追い込みによって、他を圧倒する強さを見せたその真っ最中の退団発表だった。プロ野球って、強すぎる球団があると客が減るのかな? そういうファンを大事にするって、どういうことなんだろう。今のアメリカのように「フライボール革命」をおこす? するとこれは、「低め球も含めたすくい上げ打法」になって、落合が強さの敵として嫌う、波があって不安定な野球そのものではないのか?

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ブレグマン・池上彰の対談紹介  文科系

2022年05月23日 13時43分17秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など

 当ブログではつい最近、ルトガー・ブレグマンの本を2冊、ごく簡単に内容紹介してきた。ところで、このブレグマンと池上彰とが、週刊文春電子版で対談をしている読み物をたった今、見つけたところだ。以下であるが、これが出たのが、2022年4月29日のこのゴールデンウイークのこととあった。

『“プーチンの戦争”の最大の教訓|池上 彰×ルトガー・ブレグマン  池上彰のそこからですか!? GWスペシャル対談   池上 彰 

 ブレグマンとの対談というならば、現代世界最大の問題の論議にもならざるをえない。株主・株価資本主義に覆い尽くされて世界、孫子の先が見えぬ問題をこそ論じ、これに絡んだ「性悪説・性善説」の論議などもでるだろう。と言っても、この対談の表題、主内容は上気のようなものなのだけれど。

 僕は今から読むが、ここを訪れる皆さんにも是非お勧めしたい。

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書評 「隷属なき道」(文藝春秋社)  文科系

2022年05月15日 12時46分37秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など

 14年に出版されたこの本は、オランダ国内でベストセラーになり、世界20か国に翻訳されたもの。著者は、オランダ人でBBC、ガーディアン、ワシントンポストなども注目、紹介して来た若手論客で、この日本語訳は文藝春秋から出たものだ。この本には、末尾の解説に日本語版編集部自身の要約があるので、この要約を以下そのまま書評に代えることにする。20世紀最大の経済学者ケインズの「将来予測」を現代的にアレンジした以下の議論は、日本ではいかにも荒唐無稽に見えるはずだが、経済学の基礎知識をちょっと囓った者ならば現代経済学史上の王道の一角を相変わらず占め続けている議論なのである。

『産業革命以来、人類の労働時間はずっと減り続けていた。ケインズは、第一次世界大戦のあと、スペインで講演を行い、その中で、「2030年までに週の労働時間は15時間にまでなる」と予測した。ところが、今日の我々はそんな状況ではまったくない。確かに1970年代まで労働時間は減り続けていた。しかし、80年代以降、減少が止まり、逆に上昇に転じた国もある。
 労働生産性を見てみよう。これは、80年代以降も順調に上がっている。しかし、逆に労働者の実質賃金は下がり、貧富の差は、国内で見ても、また世界的に見てもこれ以上ないくらいに拡大している。何しろ、今世界では上位62人の富豪は、下位35億人の総資産より多い富を所有しているのだ。
 そうした世界を救う方法として著者が提案しているのが、ベーシックインカムと1日3時間労働そして国境線の解放だ。
 中でもベーシックインカムをめぐる著者の議論には、目からうろこが何枚も落ちる人が多いのではないだろうか。日本のケースに当てはめてみれば、生活保護、奨学金などの学費援助制度、母子家庭保護のための福祉プログラム等々を全て廃止する。そのかわりに全ての個人に年間150万円なりのお金を直接支給するのである。
 2009年のイギリスでの実験例が第2章で紹介されている。3000ポンド(約45万円)のお金を与えられた13人のホームレスは、酒やギャンブルに使ってしまうだろうという予想に反し、電話、辞書、補聴器などまず自分にとって本当に必要なものを買い求めた。20年間ヘロインを常用していたサイモンの場合、身ぎれいにしてガーデニング教室に通いだした。そして実験開始から1年半後には、13人の路上生活者のうち7人が屋根のある生活をするようになった、というのである。
 つまり、貧困者は第一にまとまったお金がないことで、貧困から抜け出せないのだ。教育制度や奨学金にいくらお金を使っても、そもそも貧困家庭の子どもたちはそうした制度を利用するということを思いつかない。だからまず、すべての国民に、施しではなく権利として必要最低限の生活を保障するお金を渡すという考え方だ。』

 この文章にかかわって、イギリスのホームレスについて別の文献から一言。イギリスのこれらの人々はアルコール中毒がほとんどで、日本のいわゆるホームレスはいないと聞いてきた。

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書評 有名な性悪説「証明」、その嘘を暴く  文科系

2022年05月13日 14時04分51秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など

 オランダ人歴史家ルドガー・ブレグマンの「ヒューマンカインド 希望の歴史」(文藝春秋)の主内容に連なる表記のことを紹介してみよう。本国オランダで25万部、世界46カ国翻訳という世界的ベストセラーである。

 初めはずっと、史上有名な数々の「性悪説証明」と言われてきた例をいちいち反証していく。上下2巻の上巻は、ほぼこれらへの反論に各章が当てられたものだ。

 第2章『本当の「蠅の王」』は、この有名なノーベル賞小説を実際にあった実話でもって反証したもの。小説と同じシチュエーション、少年たちの漂流から1年以上の孤島暮らし、はてどんな生活になったかという実例を見つけ出してきて、それが報告されている。1966年オーストラリアの新聞に載ったこの出来事を検索で見つけ出した上に、現地を訪問して生存者らから聞き取った調査報告だ。「イースター島の謎では、ジャレド・ダイヤモンドの「文明崩壊」が描いたイースター島の殺し合いが実は考古学的創作であったいう、新たな実証反論を提示している。
 さらには、「スタンフォード監獄実験」は、「結論に合わせた実験になっていた」ことを細々と例証、暴露したうえで、この実験について「BBCのスタンフォード再現実験」があったが、同じことは全く起こらなかったという紹介を細々とやっている。ちなみに、この実験の主、心理学者フィリップ・ジンバルドは、「それから数年で彼は、その時代の最も注目される心理学者になり、アメリカ心理学会の会長にまで登り詰めた」とある。同じように知られた「ミルグラムの電気ショック実験」もスタンフォードと瓜二つで、結論ありきの実験法操作や不都合な事実の無視などの数々が示されていた。こちらの実験の場はイェール大学で、その研究室の主はスタンレー・ミルグラムと言う。先のジンバルドよりもさらに広く知られるようになった心理学者なのだそうだ。

 こうしてこの著者の結論。性善、性悪は、人間の何か宿命のようなものではなく、その時と場に規定された人間固有の社会性、共同・共感性によって形成されていくもの、そういうことになるのだろう。ちなみに、この上下2巻本全体の初め(序章を書き出す前の1ページ全部)にアントン・チェーホフの言葉と銘打って、こんなたった一言が掲げられていた。

『人は、自分がどのような人であるかを教えられると、より良い人になるだろう』

 

追記ーこの本は、「作為的実験」を告発された「史上偉大な」心理学者、ジンバルドやミルグラム(の関係者を含む)からの告発を覚悟してもなおかつ内容に自信があるからこそ書かれている訳だ。そして、その告発がないということが、この内容の真実性を証明していることになるだろう。

 

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