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OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

いつまでも愛聴します

2005-11-20 18:09:24 | Weblog

いろいろと公私共にゴタゴタが続いて、全然休みになっていない土日です。疲れが増幅しましたが、ネタの仕入れで街へ出たのがストレス解消になりましたです。実際、なかなか素敵なブツが沢山出ていましたので、それは追々、少しずつご紹介することにして、本日の1枚は私の愛聴盤――

Blue's Moods / Blue Mitchell (Riverside)

ジャズ喫茶で聴いて、即、気に入って買ってしまう盤というがあります。私にとっては、このアルバムが当にそれでした。

内容は典型的なハードバップのワンホーン物で、メンバーはブルー・ミッチェル(tp)、ウイントン・ケリー(p)、サム・ジョーンズ(b)、ロイ・ブルックス(ds) という黒人4人組! 録音は1960年8月、つまりモダンジャズの爛熟期ということで、隅から隅まで、黒くて粋な雰囲気が充満しています。

まずA面初っ端の「I'll Close My Eyes」から颯爽としたウイントン・ケリーのイントロに導かれ、ブルー・ミッチェルが哀愁のテーマを見事に歌い上げます。バックで要所を締めるサム・ジョーンズのベースとブラシ&スティックでピリッとしたアクセントを入れるロイ・ブルックスも見事です。そして何よりも、ブルー・ミッチェルのトランペットが、ややセンが細い音色を逆手にとった、本当に味のあるアドリブ・メロディを聞かせてくれます。それは続くウイントン・ケリーのピアノ・ソロにも受け継がれ、快調・快適なグルーヴが♪ さらにそれを受けて〆に入るトランペットの最初のフレーズが、またご機嫌で、この瞬間を聴くだけで、ワクワクする名演です。

ちなみにこの曲は山下達郎の「甘く危険な香り」の元ネタでもありますが、決定的名演は、このブルー・ミッチェルのバージョンでしょう。

続く2曲目の「Avars」はモードを導入した快適なナンバーで、当時、ジャズ喫茶ではこれが流れると一緒に口ずさんでしまうお客さんが沢山いました。

3曲目はビバップの定番「Scrapple From The Apple」を軽快に処理した演奏ですが、4曲目がやや重たいブルースの「Kinda Vague」で一休みです。

しかしB面トップの「Ser.John」は陽気なゴスペルで、ウイントン・ケリーのピアノが圧巻の出来! もちろんリーダーのトランペットもお約束のフレーズを入れつつも冴えています。

そして続けては、このアルバムのハイライト「When I Fall In Love」で、この曲は同じトランペッターのマイルス・デイビスによる決定的な名演が残されていますが、ブルー・ミッチェルは、俺なら、こう吹くね~、というような、勝るとも劣らない演奏を聞かせてくれます。もちろんそれは、所謂B級的な快感ではありますが、そういう楽しみに連れて行ってくれるのが、ハードバップ期に夥しく残された、こういうアルバムの魅力だと思います。

そういう味はB面3曲目の「Sweet Pumpkin」にも濃厚で、まず哀愁系のテーマが何とも魅惑的♪ リズム隊のピリッとしたサポートも素晴らしく、バンド全体がメロディ重視の演奏を心がけているところは好感が持てます。

それはオーラスの「I Wish I Knew」に受け継がれ、これも一抹の哀愁が滲み出た名演になっています。というか、これもド頭の「I'll Close My Eyes」に一脈通じる味があり、ジャズを聴く楽しみが存分に満たされるのでした。

ちなみにリーダーのブルー・ミッチェルはR&Bの世界で活動してから、ホレス・シルバーのバンドに入ってブレイク! それからリーダー盤を出すようなりましたが、平行してレイ・チャールズやブルースロックのジョン・メイオールのバンドでも活躍し、さらにスタジオで仕事から、1970年代にはフュージョンのアルバムまで作ったという、なかなか守備範囲の広い名手です。ただし、すでに述べたように、トランペッターとしては、ややセンが細く、けっしてテクニシャンではありません。しかしその味のある演奏は如何にもジャズの楽しみに直結していると思います。

ファンの中には、これがウイントン・ケリーの最高傑作という人までいますよ♪

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ところによる名盤

2005-11-19 17:12:42 | Weblog

最近、食い物の事ばっかり書いていますね。そういうモードに私が入っているのですが、ちょっと花鳥風月に近づいた気がして、危なさも感じています。枯れるのは、まだ、早いですよね。

ということで、本日の1枚は――

Under Paris Skies / Freddie Redd (Futura)

日本にはジャズ喫茶の名盤というがあります。それはまず、入荷枚数の少ない輸入盤で、しかもリーダーが地味で日本のジャズ・マスコミにはあまり登場しない人、もちろん内容が素晴らしくて、日本盤が出ないというブツを指します。

このアルバムもそのひとつで、アメリカの黒人ピアニスト、フレディ・レッドが1971年にフランスで録音したものです。共演の Didier Levallet(p) と Didier Carlier(ds) はフランス人だと思われますが、なかなかグルーヴィなサポートが秀逸です。

フレディ・レッドは1950年代から活躍しているベテランですが、作曲が上手く、仄かにマイナー調で日本人の琴線にふれるオリジナルを多数発表しています。このアルバムも全曲オリジナルですが、これが泣きを含んだイイ曲ばかり♪ しかも本人のピアノがツボを外さないアドリブ・メロディを次々に聞かせてくれます。

タイプ的にはデューク・ジョーダン系ですが、タッチが強く、モード奏法も導入しているのが、このアルバムの時代背景を表しています。つまり暗さと重さ、力強さと哀愁のバランスがとても良く、これが1970年代ジャズの魅力だと思います。

収録曲では、A面ド頭の「Diane I Love You」から哀愁モードのテーマ曲がリスナーの心をワシ掴みにします。フランス人リズム隊のノリも良く、フレディ・レッドのピアノも歌心万点です。

2曲目の「Bleeker Street Blues」では、重くて暗い泣きのテーマを、思わず一緒に口ずさんでしまいます♪ もちろん、アドリブも思わせぶりで最高です。

そしてA面3曲目の「To Bud With Love」は、タイトルどおり、パリで晩年を過ごしたバド・パウエルに捧げたもので、ワルツを基本にしながらも、変化するリズムパターンの中で、ハッとする美メロを弾いてくれるので大好きです。

B面では初っ端の「Thes Heart Is Mine」が情けなさと紙一重の女々しさがあって、これも男心にグッときます。リズム隊の強靭なグルーヴも聴き逃せません。

続く「You」は淡々とした寂しさがたっぷり、そしてラストの「My God Is Love」はアップテンポながら一抹の哀愁が滲み出た名演です。

フレディ・レッドは指が早く動くタイプではありませんが、それを逆手にとったように、ひとつひとつの音に感情をたっぷり込めて弾くスタイルのようです。それがこのアルバムでは最高に良く記録されていて、ジャズ喫茶の暗い空間で聴くと、その場の空気が重くジャズに偏っていく瞬間が体験出来ました。

これは冒頭に書いたように、入荷枚数が少なかったことが「吉」と出た好例で、その後、何年にもわたって、思い出したように輸入盤店に入荷した時には、奪い合いという始末でした。

それが現在、CD復刻され、ついに万人の名盤になろうとしていますので、哀愁系ピアノ・ジャズが好きな皆様にはオススメです。

あっ、枯れたというか、シブイ名盤を出してしまった……。

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偶然の幸せ

2005-11-18 16:22:53 | Weblog

もやしそば、豚汁、おしるこ、甘酒、鍋焼きうどん……、だんだん、そういうものが食いたくなる季節になってきましたですね。今日は昼に肉まん&餡まん、食いました。熱い麦茶が、けっこう合ったりします。

ということで、本日の1枚は――

Jazz Tones / Buddy De Franco (Verve)

ジャズ界でのクラリネットは、例えばベニー・グッドマンとか、スイング時代には花形でしたが、1940年代中頃からのモダンジャズ期以降は主流から外れていきました。それはクラリネットのオクターブ・キーの操作や吹奏方法が、ビバップの激しい音の跳躍やシンコペーションを用いるには容易ではなかったからだと思われます。

しかしその中で孤軍奮闘というか、非常に優れた演奏をしていたのが、白人のバディ・デフランコです。リード楽器でビバップといえば、その創始者であるチャーリー・パーカー(as)のフレーズを避けて通ることが出来ないのですが、操作・吹奏がそれに適していないクラリネットで、いとも易々とパーカー・フレーズを出してしまうデフランコは、やはり凄い人です。さらにビバップの語法を使いながら、けっして難解にならず、歌心満点のアドリブ・メロディを聞かせてくれるのですから、この人もまた、天才なんでしょうねぇ~♪

で、このアルバムは、まず最初の2曲が1953年録音で、メンバーはケニー・ドリュー(p)、ミルト・ヒントン(b)、アート・ブレイキー(ds) という黒人ハードバップのツワモノ達がリズム隊のカルテット演奏ですが、まず初っ端の「When Yout Lover Has Gone」の歌心満点の演奏が最高の気持ち良さです。これほどまでに琴線にふれてくるアドリブ・メロディを次々に吹きまくるデフランコは絶好調! リズム隊の黒~い雰囲気も快適です。

私はこのアルバムの、この演奏で、バディ・デフランコの虜になったのですが、それまで自分がジャズ・クラリネットに抱いていた古いイメージが、まさに目からウロコ状態になりました。

それは続く「The Things We Did Last Summer」の泣きを含んだスローな展開から、徐々に盛り上げていく演奏でも変わらず、ジャズの素晴らしさをたっぷり聞かせてくれます。

後半は1年後の1954年録音で、メンバーではソニー・クラーク(p) の参加が大注目! もちろん仄かに哀愁を漂わせた演奏を聞かせてくれますが、後年のようなファンキー味は控えめです。しかし、それがかえってデフランコのクラリネットと手が合っているのです。演目は「Lover Man」等、スタンダード中心の小粋な演奏ですが、例外的にブルースの「Jack The Field Stalker」では、ハードバップ感覚溢れる黒いフィーリングが満喫出来ます。

ちなみにこのアルバムのオリジナル・アナログ盤はお宝として物凄い高値がついており、1970年代まではジャズ喫茶でも置いてある店が少なかったはずですが、そのひとつが高田馬場の「イントロ」で、私は最初にそこで聴きました。つまり滅多に聴けるチャンスが無かったというわけで、その偶然からバディ・デフランコに夢中になった私は、本当にラッキーでした。

ただし、そのレコードは入手出来るはずもなく、それが今日、CD復刻されているは幸せとしか言えません。とにかくそれほどの名演なので、虚心坦懐に聴いていただきとうございます

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美味いものは、まだまだあるね

2005-11-17 16:15:31 | Weblog

仕事に振り回されて、今頃やっと、昼飯の弁当食べてます。しかし米が良いと、冷えても旨いですね。コシヒカリかと思ったら、コシイブキという品種だそうですよ。世の中にはまだまだ知らない、美味いものが沢山あるんですねぇ。

ということで、本日の1枚は――

Now's The Time / Sonny Rollins (RCA)

断言しますが、ソニー・ロリンズは本当の天才という黒人テナー・サックス奏者です。その演奏は天衣無縫、縦横無尽なアドリブと時空を超越せんばかりのリズム感が聴き手を圧倒してくれるので、ファンはいつも過大な期待を寄せてしまうのです。

しかし、それにいつも答えてしまうのは、天才らしくありません。天才は世間から誤解を受け、それを才能で吹き飛ばしてしまうところに真価があると思います。

で、このアルバムは1964年初頭に吹き込まれたということは、ライバルのジョン・コルトレーンが頂点を目指して疾走していた時期ですが、それを横目に人気ジャズ曲を言われるがままに演奏してしまったというイージーな姿勢が、評論家の先生方から一段低く論じられている作品です。

つまりロリンズの諸作中では名盤扱いされていないのですが、本当にそうでしょうか? 私はかなり好きですし、ロリンズはロリンズでしかない演奏をたっぷりと聞かせてくれるのです。

特にリズムに対する圧倒的なノリとハズシはロリンズでしか出来ない超空間的吹奏ですし、そこに必死で食らい付くリズム隊との対決が、なかなか緊張感ある演奏を生み出しています。

そのリズム隊がハービー・ハンコック(p) とロン・カーター(b) という、当時のマイルス・デイビス・バンドのメンバーが参加しているのもミソで、いまにもマイルスのトランペットが出できそうな瞬間さえありますが、でも、そうなったら悲劇でしょう。なにしろロリンズが凄過ぎますからねぇ~♪

気になる演目はビバップの定番曲「Now's The Time」や「Blue'n' Boogei」、モダンジャズの人気曲「I Remember Clifford」や「'Round Midnight」等々、それだけで買ってしまいそうなものばかりですが、そこがツウのマニアには面白くないのかもしれません……。

でも、いいんじゃないでしょうか。ちなみに私はこのアルバムの聴き所はベースとドラムスの動きというか、それ中心に聴いていると、とっても気分が最高になります♪

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白い冬が近づいて

2005-11-16 16:22:53 | Weblog

雪国の冬も3回目とあって覚悟は出来ているつもりですが、今日は朝からアラレがバラバラと降りまくりです。突然、襲ってくるんですよ~。あたりは一面真っ白に! でも気温がまだ氷点下いかないので、すぐに融けるんですが、今夜にでもスノータイヤにしておかないと、危ないかもしれません。

ということで、本日のBGMは――

The Modern Jazz Quartet Plays No Sun In Venice (Atlantic)

1957年のフランス&イタリア合作映画「大運河」のサントラ用にジョン・ルイスが作曲したスコアを元に吹き込まれた名盤です。

モダン・ジャズ・カルテットはジョン・ルイス(p) をリーダーに、ミルト・ジャクソン(vib)、パーシー・ヒース(b)、コニー・ケイ(ds)で編成された、ジャズ界では珍しいレギュラー・グループで、全員が黒人でありながらタキシードで正装してのライブ・ステージやクラシックや現代音楽までも取り込んだハイブラウな雰囲気で、幅広い人気を集めていました。

その演奏は瞬間芸が持ち味のジャズでありながらアレンジの比率が高く、入念なリハーサルが行われていたという、つまり「すでに存在しているアドリブ」を再現しているとまで言われていました。

しかし、それでも彼等にジャズ魂が確固として感じられるのは、ミルト・ジャクソンという誰にも文句のつけようが無い、アドリブの大名人がいたからです。そしてもちろん、このアルバムでも大活躍なのでした。

まずA面ド頭は、この後も彼等のライブでは欠かせない演目となる「The Golden Striker」で、ミディアム・テンポの中で4人のメンバーが緻密に絡み合うアレンジと、ミルト・ジャクソンの純粋アドリブの対比が素晴らしい出来です。特に個人的には、コニー・ケイが叩き出すドドンパのリズムが最高に楽しい♪

そして続く「One Never know」は究極のスローバラードで、寂寥感漂うジョン・ルイスのピアノと泣きのフレーズで対抗するミルト・ジャクソンがたまりません! あたり一面、寂しさいっぱいになりますよ……。

しかしA面ラストの「The Rose Truc」では暗黙の了解によって4人のメンバーがそれぞれにジャズ魂を発揮、バッハのフーガや対位的技法を取り込んでのアドリブの応酬が鮮やかです。

B面に移っては、まず冒頭の「Cortege」が感動的名演! スローな哀愁ナンバーですが、ジワジワと盛り上げていく様は、おそらくアドリブよりも入念なリハーサルで作り上げたもという雰囲気が濃厚です。しかしそれでも、聴き終えた後には無条件降伏が待っています。

さらに続けて演奏される「Venice」でのミルト・ジャクソンのアドリブ・フレーズは出来すぎという素晴らしさです。個人的には最高に好きなトラック♪

ということで、ラストはここまでの集大成的な曲である「Three Windows」で、これはここまでの曲の元ネタを纏めたという雰囲気です。しかし、ちょっと凝り過ぎか……。

それにしても、このアルバムはジャズの範疇を超えて良く出来ていると思います。本当は私なんかの解説等は無用の長物、聴く度に、ただ唸るだけです。

ちなみにジャケ写はイギリス美術界の巨匠、ターナーの作品で、アナログ盤ジャケットを壁に飾っていた時期がありましたです。

 

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凄さの中身

2005-11-15 17:07:48 | Weblog

アントニオ猪木が、自らの信念をかけて創業した新日本プロレスの持ち株を某ゲーム会社に売却したのには、驚きました。50%以上ですからねぇ~。流石の猪木も最近のエンタメ・プロレスには見切りをつけたんでしょうか、それとも!? と思わせるところが、猪木の凄いところかもしれません。

ということで、本日の1枚は――

Everybody Digs Bill Evans (Riverside)

47年前の今日、つまり、1958年12月15日、ニューヨークで録音された名盤です。

ビル・エバンスは、今更言うまでもなく、エバンス派という確固たる流れを生み出した白人ジャズ・ピアニストですが、これはその源流です。

共演はサム・ジョーンズ(b) とフィリー・ジョー・ジョーンズ(ds) という、当時全盛だったハードバップ~ファンキー派のイケイケ黒人コンピということで、繊細な味のエバンスとはミス・マッチかと思われますが、これが「吉」と出てしまうのが、ジャズの面白いところです。

つまりどちらかといえば、クールに鋭く突っ込んでエバンスのノリと、グッと後ノリのベースとドラムスが、筆舌に尽くしがたいポリ・リズムを全体から発散させているのです。

それはモダンジャズ~ハードバップの定番曲「Oleo」に顕著で、今では当たり前のグルーヴが、それまでは聴いたことも無い新鮮な感覚を生み出した瞬間ではなかったでしょうか? そのあたりはA面ド頭の「Minority」でも聴かれますが、いずれも黒人ジャズメン、ソニー・ロリンズとジジ・グライスの作曲というところに興味が惹かれます。

しかし、このアルバムの真価はその点だけではなく、やはりエバンスその人の鋭い感覚がはっきりと確立されていることで、ワルツ・タイムで極上にスイングする「Tenderly」や崩れ落ちる寸前の退廃美が凄いソロピアノのウルトラ傑作「Peace Piece」、さらに優しさに溢れた「What Is There To Say ?」は何度聴いても感動します。

ちなみに「Peace Piece」の元ネタはバーンスタインの「Some Other Time」ですが、CDではボーナス・トラックとして、それが入っています。そして、これがまた、素晴らしい! もちろん別テイクとして聴いていいわけです♪

あと、このアルバムのオリジナルはもちろんアナログ盤ということで、A面とB面の区切りがきちんと「Epilogue」というエバンスのオリジナル小品でつけられているあたりに、リーダーの並々ならぬ気合が感じられます。

それはスローな解釈に黒人的なグルーヴをさりげなく取り入れた「Young And Foolis」の潔さ、ただ単にテーマのメロディを弾いているだけなのに、緊張感漂う「間」のとりかたと鋭いハーモニー感覚に溺れそうになる「Lucky To Be Me」、A面に収められたこの2連発で、いきなり頂点を極めているのですから、仰天です。

個人的には、これも棺桶にいれて地獄まで持っていきたい1枚です。

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委ねます

2005-11-14 17:33:40 | Weblog

休み明けから仕事はゴタゴタ続き、トラブルばっかりでした。

正直言って、お前ら、何やってんだぁ~! とキレそうになりましたですよ。

こんな時は何聴いても、気分がノッてこないんで、それならいっそ――

John Coltrane Live At Birdland (Impulse)

全盛期コルトレーンのライブ盤といえば、まず、これです! もちろん演奏は1963年10月の黄金のカルテット、つまりエルビン・ジョーンズ(ds)、ジミー・ギャリソン(b)、マッコイタイナー(p) を従えて爆裂しています。

特にA面初っ端の「Afro Blue」のエルビンの暴れ方は半端じゃありません。コルトレーンがケツ叩かれている感じです。もちろんマッコイ・タイナーも焦り気味! でも、その焦りを逆手にとってコルトレーンを攻めつけるあたりが痛快ですね♪ 全く身も心も委ねていい演奏です。

しかし2曲目の「I Want To Talk About You」ではコルトレーンが反撃してます! スローからミディアム・テンポの演奏が、グイグイ引っ張られて盛り上がり、最後にお約束のコルトレーンの無伴奏パートは、お前ら、何やってんだぁ~! 的な味があって最高です。

B面は一転して穏やかなムードに漂い、「The Promise」もアップテンポではありますが、バンド全体に余裕が感じられます。まあ、それが良いか、悪いかは別にして、安心して聴いていられますね。

そしてそれが、続く「Alabama」では静謐なものに変化しています。ここからはスタジオ録音ですが、重く、まろやかに、さらにディープに心の内を吐露していくコルトレーンは、魅力あります。本当に短いのが残念です。

こうして向かえたラストの「Your lady」はどこか明るい、ノーテンキなものがあります。あぁ、明日はこうして迎えたいものです……。

全体としてはコルトレーンよりも、エルビン・ジョーンズを聴くアルバムかもしれません。

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屈折したら正統派を

2005-11-13 16:54:36 | Weblog

大相撲、始まりましたですね♪ 何だかんだ言っても、これから2週間は楽しみがあるわけです。個人的には十両が最近のお気に入りで、行司なら木村政直が、斉藤セイロク的風貌と動き、大袈裟なアクションに厳しい力士への注文、それを誰も聞いていないという土俵上の力士の身勝手という部分が、最高です。

肝心の力士では、北桜の闘志むき出しの仕切り、塩まき、勝負の後の喜怒哀楽が♪

とまあ、相撲の見方も屈折気味の私ですが、テレビ観戦のもうひとつの楽しみは桟敷席にいる女性のお客さんを見ることです。明らかな水系、芸者さん、有閑マダム、お嬢様が大勢、いますよね♪

いかん、また、屈折してきましたので、本日の1枚は――

Silver's Blue / Horace Silver (Epic)

ホレス・シルバーは、1950年代前半から盟友のアート・ブレーキーと共にハードバップの原型を築いたピアニストですが、ジャズ・メッセンジャーズで大ブレイクした後に独立して吹き込んだのが、このアルバムです。

その原因はバンド内の主導権争いだと言われていますが、真相は藪の中、しかしこの作品でのミソは、そのジャズ・メッセンジャーズから当時のレギュラーメンバーだったドナルド・バード(tp)、ハンク・モブレー(ts)、ダク・ワトキンス(b) を引き抜く形で作られたことで、実際にこのメンツで巡業もこなしていたようです。

そしてその他に夭折した隠れ名手のジョー・ゴードン(tp)、ベテランのケニー・クラーク(ds)、当時の売れっ子アート・テイラー(ds) が参加しているのですから、悪いわけが無いという、ハードバップの人気盤なのです。

ちなみにハードバップとは分かりやすいビバップ、より黒っぽく、楽しいモダンジャズのことです。

それはファンキー味がたっぷり染み込んだド頭のタイトル曲から全開で、スロー・ブルースで展開される各人の黒~い表現は、何度聴いても不思議な魅力があります。

特にハンク・モブレーは、まろやかな温か味とパワフルな黒っぽさが魅力で、私が一番好きなテナー奏者♪ ちょっと聴きにはぼやけた音色で、もたれるフレーズがコルトレーン全盛期にはバカにされた対象でしたが、誰にも真似の出来ないタイム感覚と当にモブレー節というアドリブ・メロディーは唯一無二で、虜になったら抜け出せません。

また、がっちり底辺を支えるダグ・ワトキンスの太いベース・ラインも最高です。

そして曲によって別々に参加しているトランペッターも、個性丸出しですし、後で煽るリーダーのピアノも、それだけ聴いていても楽しめるほどにファンキー! 全篇、捨て曲無しの充実盤なのです。

この後、ホレス・シルバーは名門ブルー・ノートと契約してヒット盤を連発しますが、その発端を記録したこのアルバムも、やはり名盤だと思います。現在CD復刻されていますので、未聴の皆様には激オススメです。

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この季節に聴きたいですよ

2005-11-12 17:47:05 | Weblog

11月は好きな季節ですね。師走で切羽詰まる前、一抹の寂しさもあり、寒くなりつつある季節の移ろいを感じたり、とまあ、いつもの私に似合わないことを書いてしまいましたが、この時期に良く聴くのが、これです――

Restless Night / Karla Bonoff (Sony)

「ささやく夜」という邦題があまりにも有名な1970年代西海岸ロックのヒット盤です。

カーラ・ボノフの2枚目のアルバムになりますが、それ以前からソング・ライターとして下積みながら、業界では嘱望された存在だったようです。実際、彼女の作品はリンダ・ロンシュタットに取上げられてヒットしていました。

で、このアルバムは1979年に発売されるや、本国アメリカよりも、日本でウケたような雰囲気で、当時流行のカフェ・バーとか、おしゃれな店では定番のBGMでした。

その影響力は絶大で、例えば中島ゆみきの「寒水魚」というアルバムの音作りやジャケットの雰囲気は、モロじゃないでしょうか。

肝心のこのアルバムは、サウンド的にはイーグル直系の演奏ですが、彼女の作る曲は1970年代のモータウン調が入った黒っぽい隠し味があります。それと歌詞が女性の心の奥底を歌って、かなりエグイものが感じられますが……!

そのあたりは英語が完璧に理解出来ない日本人には、結果オーライというか、素直に曲調の良さ、ボーカルの味、演奏の上手さ等に酔ってしまえばいいんです。それが日本人としての洋楽のひとつの楽しみ方でもあるわけですから♪

で、個人的にはラス・カンケル(ds)、ケニー・エドワーズ(b)、ドン・グロニック(p)、ワデイ・ワクテル(g)あたりが中心となった柔軟かつ強靭な演奏と、多彩なゲスト達による西海岸温もりコーラスに囲い込まれた彼女のスジの通った歌いっぷりに、たまらなく心魅かれているわけですよ、何年たってもですね♪

機会があれば、ぜひとも聴いてみて下さい。今の季節には最高ですよ、特にタイトル曲が♪

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譲りませんよ

2005-11-11 17:51:25 | Weblog

気が早いというか、私が遅れているのか、もはや街にはクリスマスの飾りがチラホラ見えますねぇ。でも、BGMみたいなのでジョン・レノンの「ハッピー・クリスマス」は止めてしいです。この季節、悲しい記憶が蘇ってきますからね……。この曲をこの時期に、鳴らすやつの気が知れません! 私はこの気持ちだけは、ゆずりませんよ。

ということで、本日の1枚は――

Tardo Time / Tardo Hammer (Sharp Nine)

正統派ビバップ・ピアノの後継者のデビュー盤です。1999年に発売されましたが、遅咲きというか、世渡りが下手というか、かなりガンコな人かもしれません。演奏スタイルはバド・パウエルというよりも、バリー・ハリス直系の朴訥誠実な音使いに好感が持てます。そう、けっして指が早く動くという人ではないのです。地味に、良い、という雰囲気です。

このピアニストの素敵なところは、その選曲センスで、このアルバムでは「危険な関係のブルース:No Problem」とか「Gnid」という泣き系のモダンジャズ曲、スタンダードでも「」Moment to Moment」とか「You Leave Me Breathless」等々、私の好みにジャストミートな部分で、買ってしまいました。しかも、きちんとツボを押さえた演奏です。

あと、このアルバムが良いのは、その音作りで、団子状の音で迫っていながら、ウッドベースも音に芯がありますし、ドラムスもシンバルの鳴りが最高です。

ちなみにメンバーは Tardo Hammer(p)の他に、Dennis Irwin(b)、Leroy Williams(ds) という隠れ名人達で、じっくりとモダンジャズ・ピアノトリオの真髄を聞かせてくれるのです。

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