OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

いつまでも愛聴します

2005-11-20 18:09:24 | Weblog

いろいろと公私共にゴタゴタが続いて、全然休みになっていない土日です。疲れが増幅しましたが、ネタの仕入れで街へ出たのがストレス解消になりましたです。実際、なかなか素敵なブツが沢山出ていましたので、それは追々、少しずつご紹介することにして、本日の1枚は私の愛聴盤――

Blue's Moods / Blue Mitchell (Riverside)

ジャズ喫茶で聴いて、即、気に入って買ってしまう盤というがあります。私にとっては、このアルバムが当にそれでした。

内容は典型的なハードバップのワンホーン物で、メンバーはブルー・ミッチェル(tp)、ウイントン・ケリー(p)、サム・ジョーンズ(b)、ロイ・ブルックス(ds) という黒人4人組! 録音は1960年8月、つまりモダンジャズの爛熟期ということで、隅から隅まで、黒くて粋な雰囲気が充満しています。

まずA面初っ端の「I'll Close My Eyes」から颯爽としたウイントン・ケリーのイントロに導かれ、ブルー・ミッチェルが哀愁のテーマを見事に歌い上げます。バックで要所を締めるサム・ジョーンズのベースとブラシ&スティックでピリッとしたアクセントを入れるロイ・ブルックスも見事です。そして何よりも、ブルー・ミッチェルのトランペットが、ややセンが細い音色を逆手にとった、本当に味のあるアドリブ・メロディを聞かせてくれます。それは続くウイントン・ケリーのピアノ・ソロにも受け継がれ、快調・快適なグルーヴが♪ さらにそれを受けて〆に入るトランペットの最初のフレーズが、またご機嫌で、この瞬間を聴くだけで、ワクワクする名演です。

ちなみにこの曲は山下達郎の「甘く危険な香り」の元ネタでもありますが、決定的名演は、このブルー・ミッチェルのバージョンでしょう。

続く2曲目の「Avars」はモードを導入した快適なナンバーで、当時、ジャズ喫茶ではこれが流れると一緒に口ずさんでしまうお客さんが沢山いました。

3曲目はビバップの定番「Scrapple From The Apple」を軽快に処理した演奏ですが、4曲目がやや重たいブルースの「Kinda Vague」で一休みです。

しかしB面トップの「Ser.John」は陽気なゴスペルで、ウイントン・ケリーのピアノが圧巻の出来! もちろんリーダーのトランペットもお約束のフレーズを入れつつも冴えています。

そして続けては、このアルバムのハイライト「When I Fall In Love」で、この曲は同じトランペッターのマイルス・デイビスによる決定的な名演が残されていますが、ブルー・ミッチェルは、俺なら、こう吹くね~、というような、勝るとも劣らない演奏を聞かせてくれます。もちろんそれは、所謂B級的な快感ではありますが、そういう楽しみに連れて行ってくれるのが、ハードバップ期に夥しく残された、こういうアルバムの魅力だと思います。

そういう味はB面3曲目の「Sweet Pumpkin」にも濃厚で、まず哀愁系のテーマが何とも魅惑的♪ リズム隊のピリッとしたサポートも素晴らしく、バンド全体がメロディ重視の演奏を心がけているところは好感が持てます。

それはオーラスの「I Wish I Knew」に受け継がれ、これも一抹の哀愁が滲み出た名演になっています。というか、これもド頭の「I'll Close My Eyes」に一脈通じる味があり、ジャズを聴く楽しみが存分に満たされるのでした。

ちなみにリーダーのブルー・ミッチェルはR&Bの世界で活動してから、ホレス・シルバーのバンドに入ってブレイク! それからリーダー盤を出すようなりましたが、平行してレイ・チャールズやブルースロックのジョン・メイオールのバンドでも活躍し、さらにスタジオで仕事から、1970年代にはフュージョンのアルバムまで作ったという、なかなか守備範囲の広い名手です。ただし、すでに述べたように、トランペッターとしては、ややセンが細く、けっしてテクニシャンではありません。しかしその味のある演奏は如何にもジャズの楽しみに直結していると思います。

ファンの中には、これがウイントン・ケリーの最高傑作という人までいますよ♪

コメント (2)
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