OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

偶然の幸せ

2005-11-18 16:22:53 | Weblog

もやしそば、豚汁、おしるこ、甘酒、鍋焼きうどん……、だんだん、そういうものが食いたくなる季節になってきましたですね。今日は昼に肉まん&餡まん、食いました。熱い麦茶が、けっこう合ったりします。

ということで、本日の1枚は――

Jazz Tones / Buddy De Franco (Verve)

ジャズ界でのクラリネットは、例えばベニー・グッドマンとか、スイング時代には花形でしたが、1940年代中頃からのモダンジャズ期以降は主流から外れていきました。それはクラリネットのオクターブ・キーの操作や吹奏方法が、ビバップの激しい音の跳躍やシンコペーションを用いるには容易ではなかったからだと思われます。

しかしその中で孤軍奮闘というか、非常に優れた演奏をしていたのが、白人のバディ・デフランコです。リード楽器でビバップといえば、その創始者であるチャーリー・パーカー(as)のフレーズを避けて通ることが出来ないのですが、操作・吹奏がそれに適していないクラリネットで、いとも易々とパーカー・フレーズを出してしまうデフランコは、やはり凄い人です。さらにビバップの語法を使いながら、けっして難解にならず、歌心満点のアドリブ・メロディを聞かせてくれるのですから、この人もまた、天才なんでしょうねぇ~♪

で、このアルバムは、まず最初の2曲が1953年録音で、メンバーはケニー・ドリュー(p)、ミルト・ヒントン(b)、アート・ブレイキー(ds) という黒人ハードバップのツワモノ達がリズム隊のカルテット演奏ですが、まず初っ端の「When Yout Lover Has Gone」の歌心満点の演奏が最高の気持ち良さです。これほどまでに琴線にふれてくるアドリブ・メロディを次々に吹きまくるデフランコは絶好調! リズム隊の黒~い雰囲気も快適です。

私はこのアルバムの、この演奏で、バディ・デフランコの虜になったのですが、それまで自分がジャズ・クラリネットに抱いていた古いイメージが、まさに目からウロコ状態になりました。

それは続く「The Things We Did Last Summer」の泣きを含んだスローな展開から、徐々に盛り上げていく演奏でも変わらず、ジャズの素晴らしさをたっぷり聞かせてくれます。

後半は1年後の1954年録音で、メンバーではソニー・クラーク(p) の参加が大注目! もちろん仄かに哀愁を漂わせた演奏を聞かせてくれますが、後年のようなファンキー味は控えめです。しかし、それがかえってデフランコのクラリネットと手が合っているのです。演目は「Lover Man」等、スタンダード中心の小粋な演奏ですが、例外的にブルースの「Jack The Field Stalker」では、ハードバップ感覚溢れる黒いフィーリングが満喫出来ます。

ちなみにこのアルバムのオリジナル・アナログ盤はお宝として物凄い高値がついており、1970年代まではジャズ喫茶でも置いてある店が少なかったはずですが、そのひとつが高田馬場の「イントロ」で、私は最初にそこで聴きました。つまり滅多に聴けるチャンスが無かったというわけで、その偶然からバディ・デフランコに夢中になった私は、本当にラッキーでした。

ただし、そのレコードは入手出来るはずもなく、それが今日、CD復刻されているは幸せとしか言えません。とにかくそれほどの名演なので、虚心坦懐に聴いていただきとうございます

コメント
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