OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

トン汁よりも熱いジャズ

2005-11-25 14:38:57 | Weblog

最近、すっかりトン汁に、ハマっています。昼飯の出前の弁当屋が持ってくるんですが、車の中で加熱してあるので、アツアツで♪

まあ、給食の業界も過当競争気味らしく、いろんな業者が売り込みに来ますから、サービスも良くなってきて嬉しいかぎりです。でも、付加価値をつけるよりも値段を下げたほうが良いという気もしますね。これは贅沢かなぁ……。

ということで、本日の1枚はギター特集第1弾ということで――

Further Adventures Of Jimmy And Wes (Verve)

ジミー・スミス(org) とウェス・モンゴメリー(g) !

ともにジャズ界に留まらず、その楽器演奏者としては頂点に立つ2人の共演盤ですから、悪いわけが無いのです!

しかし、このアルバムは同じ2人の共演盤「The Daynamic Duo (Verve)」の影に隠れている印象があるのも、また事実です。何せそのアルバムは巨匠2人の丁々発止の激突を、オリバー・ネルソン指揮・編曲のオーケストラが盛り立てた豪華絢爛仕様でしたからねぇ~♪

でも、それ故に、私のような屈折気味のジャズ者は、もっとピュアな2人の共演が聴きたいという欲求不満に陥っていくのですが、それを解消してくれたのが、この作品です。

メンバーはジミー&ウェスに加えて、グラディ・テイト(ds) とレイ・バレット(per) という実力派打楽器コンビで、1曲だけ、オリバー・ネルソンのオーケストラがバックについていますが、これは前述した「The Daynamic Duo」とは逆の構成で、つまりこの2枚は兄弟関係にあるのでした。

で、まず冒頭の「King Of The Road」は、雰囲気的に仄かなゴスペル味がある穏やかな曲で、もしかするとクリスマス関連曲かもしれません。しかし演奏は熱いです! 何気なくテーマを弾くジミー、そしてフワッとアドリブに入るウェスの肩の力の抜け具合が、逆に密度の濃い展開を導き出しているのは流石です。もちろんウェスは単音弾き~オクターブ奏法~コード弾きと、得意の展開で山場を作ります。

ちなみにオクターブ奏法とはウェスが完成させた驚異のギター奏法で、その名のとおり、ギターでオクターブの2つの音を同時に弾くというスタイルです。しかも基本的にウェスはピックを使わず、親指のダウンストロークだけで弦を弾くのですから、ネックとフレットを押さえる指の腹で、不必要な音をミュートしなければならないという、非常に高度なテクニックが要求される必殺技になっています。

しかしそのソフトかつダイナミックな音の響きは最高で、現代ではギタリストの必須テクニックになっているのでした。

それに対抗するジミー・スミスも、ハモンド・オルガンの革新者として余裕の演奏というか、ツボを外さないバッキングとソロからはジワジワとした熱気が伝わってきます。

そのリラックスムードは2曲目の「Maybe September」にも引き継がれ、オリジナルはトニー・ベネットの大ヒットですが、ここでは尚一層、夜のクラブで良い雰囲気という夢の世界が描かれていきます。主役の2人は終生クラブサーキットが主な仕事でしたが、きっとこういう大人のムードの演奏が、連夜繰り広げられていたのでしょうねぇ、羨ましい限りです。特にウェスはツアー嫌いで、地元インディアナポリスでの活動が多かったらしいので、タイムマシンがあれば、そこへトリップしてみたくなる、そんな素敵な演奏です。

そしてA面ラスト「O.G.D.」は、後に「Road Song」と改題されてCTIレーベルから発売されたウェスの大ヒット曲の元ネタです。もちろんボサ・ビートで軽快に楽しくスイングしていますが、ここではCTIバージョンで付いていたストリングスが無いので、よりビートが強い、ハードな演奏になっていて、個人的には大きな演奏です。それにしても、この曲の良さ、特にサビの展開は最高ですねっ♪ ですからウェスのギターも歌心満点のノリを聴かせれば、ジミー・スミスもブリブリ・モリモリ、アドリブを積み重ねていく度に強烈な魅惑のフレーズを連発してくれます。それと聴き逃せないのが、グラディ・テイトのロック味を強めたドラムスとレイ・バレットの隙間埋めのパーカッションで、これだけ聴いていても楽しくなります♪ とにかく、快演!

その楽しさはB面1曲目の、これもボサ・ロックの「Call Me」でもたっぷり楽しめます。まず、テーマ・メロディを歌わせるウェスのギターは最高です♪ 続くジミー・スミスのアドリブも黒っぽさを押さえ、溢れる美メロのアドリブを聴かせます。しかし、ここはやはりウェスです。バッキングの刺激的なフレーズにも唸ります。あ~ぁ、もっと聴いていたいという短い演奏なのが、ミソでしょうか……。

そんな感慨に浸っているところへ襲ってくるのが、次の「Milestones」です。オリジナルはご存知マイルス・デイビス(tp) の代表曲ですが、ここではオリバー・ネルソン指揮・編曲のオーケストラを助っ人に、豪快なアドリブを披露するジミー&ウェスが強烈です。特にジミー・スミスはかなり革新的なフレーズ、コルトレーン風なアプローチを展開しています。

そしてアッという間のオーラスは多分ジミー・スミスのオリジナルという「Mellow Mood」で、タイトルどおりにジャズの成熟した魅力が溢れた演奏です。リズムパターンはラテン・ロック風ですが、アドリブ・パートはあえてジャズのノリを大切しているところがグッときます。つまり演奏者が相互に相手を挑発しながら進行するという、所謂インタープレイの妙味があるのですねぇ~♪ ここでもジミー・スミスがいろんなゴスペル曲を引用してバカノリすれば、ウェスは強烈なツッコミのバッキングで対抗していますから、本当にジャズは素敵です!

ということで、今回もジャケ写からネタ元に繋げてあります。試聴も出来るはずなのですよ。ちょっと聞きにはイマイチかもしれませんが、聴くほどに凄みが滲み出てくるアルバムだと思います。ちなみにCDはボーナストラック付いてます。

アッ、トン汁が冷めてきた……。

コメント (2)
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