OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

この鬱陶しさがハードロックの魅力なり!

2012-08-06 15:48:18 | Rock

Whole Lotta Shakin' Goin' On / Mountain (Windfall / CBSソニー)

ロックはロケンロールとして誕生した時代から基本的に熱い、熱~い音楽であり、それがサイケデリックブーム期にはクールという逆説的ジャズ用語までも使われながら、はやり熱くて触れることも叶わない歌と演奏が、所謂ハードロックに繋がったというのは、あまりにサイケおやじの独断と偏見ではありますが……。

しかし本日の主役たるマウンテンが繰り広げるハードロックは、ど~したって暑苦しさは絶対の熱気と迫力に満ちていますし、それは掲載したジャケ写でもご覧になれるとおり、鬱陶しいルックスのバンドとしては上位にランクされるんじゃ~ないでしょうか。

う~ん、レスリー・ウェストの野獣の笑い!?

それがそのまんま、レコードに記録され、レコード針からスピーカーを経てこの世に放出される時、我々リスナーは圧倒的なエネルギーの海に溺れてしまうのです。

しかしリアルタイムのマウンテンは、所謂アメリカンハードの王者だった全盛期は過ぎ去りし夢……。

既に1972年には実質解散状態で、レスリー・ウェストは元クリームのジャック・ブルース(b,vo)、そして盟友のコーキー・レイング(ds) のトリオによるウェスト・ブルース&レイングを立ち上げ、マウンテン以上の疑似クリーム路線を突っ走っていました。

ところが翌年までにLP2枚を出したところで、何故か期待のトリオが空中分解!?

なんとっ! 来日公演が決まっていながらの分裂劇から、急場凌ぎ的に再結成されたのが、この当時の来日マウンテンの実相で、フェリックス・パパラルディ(b,vo,key) とレスリー・ウェスト(vo,g) が、ボブ・マン(g,key)、アラン・シュワルツバーグ(ds) というニューヨークの超一流セッションミュージシャンを帯同してのライプステージは予想以上の大熱演となり、これを公式レコーディングした日本優先の実況録音盤が世界各国で評判を呼んだのですから、後は流れでお願いします♪♪~♪

結局、レスリー・ウェストとフェリックス・パパラルディはマウンテンを存続させる道を選び、こうして1974年に作られたのが掲載シングル曲を含むアルバム「雪崩 / Avalanche」だったのですが……。

やはり、これは「悪あがき」の産物というのが定評になっています。

それはアルバム全体を貫く覇気や纏まりに乏しく、それでいて収録トラックの1曲毎の出来はなかなか良いんですから、マウンテンのファンにとっては精神衛生上、全くよろしくありません。

ですから、ついついシングル盤オンリーで済まそうと決意したサイケおやじの方針も、その頃のコストパフォーマンスを考慮すれば無駄使い気味ではありますが、それでも鬱陶しいばかりのパワーが滲み出たジャケットデザインに免じて、ご勘弁を……。

もちろんご紹介の「Whole Lotta Shakin' Goin' On」は、元祖火の玉スタイル(?)のジェリー・リー・ルイスが1957年に大ヒットさせたロカビリー系ロケンロールの決定版であり、それをハードロックに焼き直す手口は1970年代の常套手段として、何もマウンテンだけの先輩特許ではありません。

しかしレスリー・ウェストの強引な歌とギターには、策士のフェリックス・パパラルディでさえも手を焼いている感じでしょうか。

また、当時のマウンテンはレスリー&フェリックスの創業者コンビの他にお馴染みのコーキー・レイング(ds,per)、新参のテヴィッド・ペリー(g) の存在も確認されていますが、それでも何かしら白々しいムードが???

そして、だからこそ、こうしたカパーリバイバル狙いハードなロケンロールが楽しめると言っては、贔屓の引き倒かもしれません。

個人的には暑苦しいジャケットを眺めつつ、アホみたいな軽さも感じられるハードロックに熱くなる事が、ひとつの避暑になっているのでした。

コメント (6)
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