OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

モントローズ大彗星!

2012-08-30 15:41:02 | Rock

灼熱の大彗星 / Montrose (Warner Bros. / ワーナーパイオニア)

果たして現在、如何にもアメリカのハードロックバンドだったモントローズを覚えていらっしゃるのは、例えサイケおやじと同世代の皆様であっても、それは極めて少人数かもしれません。

しかし彼等の登場は、まさに衝撃でありました。

ご存じのとおり、モントローズは業界では凄腕ギタリストとして様々なバンドやセッションで重宝されながら、基本的には所謂一匹狼的な存在であったロニー・モントローズによって、1973年に結成されました。

そしてデビューアルバム「ハード・ショック! / Montrose」は今やハードロックの名盤にして、ヘヴィメタルの根源的傑作と崇められているのですが、何故かリアルタイムでは同業者や評論家の先生方には好き嫌いが激しかったようで、発売状況も世界各国でバラバラだったところに、モントローズの行く末が予見されていたのかもしれません。

なにしろ我国でも、モントローズのレコードが初めて発売されたのが、既に1974年に作られていた2ndアルバム「ペーパー・マネー」からで、しかも当時はLPを売るためには必須とされていたヒット狙いのシングル盤として、本日ご紹介の「灼熱の大彗星 / I Got The Fire」がカットされたのは、1975年春になっていました。

しかし、その衝撃度は今でも鮮烈と言う他はなく、アップテンポで唸るギターと覚え易いキメのリフ、バタバタしながら闇雲に疾走するドラムス、さらには真っ向勝負でシャウトするボーカル!

当然ながらギターソロは極めて正統派の早弾きにトリッキーなフレーズを巧みに混入させるという、その流石はプロの手練手管には、ハナからケツまでシビれさせられましたですねぇ~~♪

ちなみに同曲の演奏メンバーはロニー・モントローズ(g) 以下、サム・ヘイガー(vo)、アラン・フィッツジェラルド(b)、デニー・カーマッシ(ds) と日本盤ピクチャースリーヴの裏解説に記載されていますが、サム・ヘイガーは後にヴァン・ヘイレンに加入するサミー・ヘイガーであり、アラン・フィッツジェラルドはナイト・レンジャー、デニー・カーマッシはハート、という以降の活躍があるほどですから、その実力は侮れません。

そしてリーダーのロニー・モントローズのギターワークは既に述べたとおり、当時のギター青少年やハードロック愛好者の琴線に触れまくりのテクニックとフィーリングを兼ね備えた、ある意味では天才的なスタイルだと思います♪♪~♪

ところが一般的なセールスは伸び悩みどころか、極言すれば売れない代表選手であり、アルバムもシングルもヒットチャート云々では全く評価されなかったのが実情です。

しかし我国では発売が前後してしまった前述のデビューアルバムも含めて、ロニー・モントローズ及びバンドとしてのモントローズが残したレコードをじっくりと聴いていけば、とても「じっくり」なぁ~んて言葉は使えないほどの興奮と歓喜、胸に染み入るハードな情熱、おまけにフュージョン的な気持良さまでもが保証付きの歌と演奏ばかりなんですからねぇ~~♪

全く売れなかったのが不思議と思わざるをえません。

まあ、このあたりを冷静の考察すると、以下は某評論家の先生も唱えておりますが、リーダーのロニー・モントローズの場当たり的なバンド運営方針が宜しくなかった……!?

つまりレコーディングを重ねる毎に音楽性が変化するというか、このシングル曲「灼熱の大彗星 / I Got The Fire」が気に入ったサイケおやじが当時のロック喫茶でリクエストして聴いたアルバム諸々には正直、雑多なトラックが入り混じり、特に3rdアルバム以降は妙にキーボードが全面に出たり、曲調もレインボー風のウケ狙いに偏ったり、気抜けのビールみたいなアコースティックな歌が入っていたり……等々、それを「幅広い音楽性」と言えば、それはそれで納得も出来ますが、となればハードロック一辺倒のデビューアルバムとキャッチーなポップ性とプログレ風味を意図的に強めた感もある2ndアルバムは、狭義の意味では未完成と聞こえてしまうんですから、難しいものです。

そして実はそういう部分を巧みに監修リードしていくのがレコードプロデューサーの役目とすれば、そこには高名なテッド・テンプルマンの名前もクレジットされていますが、やはり実質的に現場を仕切っていたのはロニー・モントローズであり、結局は自分やりたい事がコロコロ変わっていたという結果なんでしょうか……?

個人的にはロニー・モントローズのギターが大好きなんで、スタイル的にも共通点が感じられるジェフ・ペックの人気名曲「哀しみの恋人達」が入っている大成功傑作「ブロウ・バイ・ブロウ」、そして「ワイアード」的なアルバムを作って欲しかったんですけどねぇ~~。

ということで、モントローズは彗星のように現れて、星屑の如く消えてしまったと書けば、このシングル曲の邦題「灼熱の大彗星」も最初っから的を得ていたわけですが、それはあまりにも悲しい現実でしょう。

そこで今こそ、モントローズの最初の2枚のLPぐらいは、真っ当に楽しまれて然るべきと思うのですが、奮闘虚しく1977年頃にバンドを解散させたロニー・モントローズが以降、ボチボチと出していくソロ名義のアルバムの方が現在密かに聴かれているという裏話(?)もあるらしいので、本人の好きなようにやってもらう事が一番と思いたいのが、往年のファンの思い入れかもしれません。

残念ながら、個人的には現在の消息を知る由もないロニー・モントローズではありますが、それでも中古盤市場でモントローズのアルバムが頻繁に出回っている事実は不滅!

気になる皆様は、とりあえず本日ご紹介のシングル曲「灼熱の大彗星 / I Got The Fire」あたりから、お楽しみ下さいませ。

グッと力が漲ってきますよっ!

コメント (8)
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