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サイケおやじの生活と音楽

シャープ・ホークスとシャープ・ファイヴの奇蹟

2011-10-24 15:42:25 | 日本のロック

ついておいで / シャープ・ホークス (キング)

ダンサブルなボーカルグループは何時の時代も人気があるわけですが、とりわけ昭和元禄のGSブーム期に活躍したシャープ・ホークスは、なかなか忘れ難い印象を残しています。

メンバーは安岡力也(リキヤ)、野沢裕二(トミー)、鈴木忠男(サミー)、小山真佐夫(アンディ)の4人が本日ご紹介の公式レコードデビュー盤「ついておいで」を出した頃の顔ぶれですが、サイケおやじの個人的なイメージでは、かなり流動的だったように思います。

というのも、それ以前には後にサリー・メイとして人気女優になる加古幸子が加わっていた5人組だった頃もあり、また後期には自らが演奏して歌うバンドスタイルの編成に衣替えしていた時期もありましたから、そうした変遷も興味深いところでしょう。

しかしシャープ・ホークスが個性的だったのは、「歌って踊れる混血のグループ」というウリを堂々と表明し、実際、それが最高にカッコ良かったのですから、この「ついておいで」が発売された昭和41(1966)年秋からは忽ちの大ブレイク!

メンバー各々が如何にものニックネームで人気者になったのも、巷の野暮天には絶対に叶わない不良っぽくてイカシたムードが、決して意図的にワルぶったものではなく、極めて自然体に表現出来ていたからじゃないでしょうか。

もちろん、それでいてスッキリとした芸風があった事は言わずもがな、とにかくステージでのダンスのバラバラさ加減やほとんどハーモニーの無い歌い方が逆にダイナミックな魅力に溢れていたのですから、そのスタア性は本物だったと思います。

そしてシャープ・ホークス独得の魅力で、もうひとつ欠かせないのが、バックバンド扱いでありながら、実は主役と遜色が無かったシャープ・ファイヴの存在です。

ご存じのとおり、このバンドは井上宗孝(ds) をリーダーに去来したメンバーは名人肌のテクニシャンが多く、特に三根信宏(g) は当時のエレキ青少年の憧れのスタアとして、寺内タケシと双璧の実力者でした。また古屋紀(key,arr) の緻密なアレンジと粘っこいオルガンプレイも絶妙のコントラストを作り出す重要なポイントでしょう。

ですから、昭和40(1965)年からテレビで人気を集めた「勝ち抜きエレキ合戦」の模範演奏バンドとしては格の違いを見せつけ、また主役となった演奏の他にも、歌伴がこれほど巧みなグループもありません。

それはこの「ついておいで」にも決定的で、イントロから炸裂するエレキのビートは強烈至極ですし、なによりも三根信宏の「津軽じょんがら」の如きギターによるオカズのフレーズと間奏の白熱的な早弾きは圧巻!

あぁ、このロックビートのグルーヴは恐ろしいほどですよねぇ~~♪

当然ながらシャープ・ホークスの歌がバンドに煽られている状況も好ましい限りで、これがテレビやライプステージでは、さらに狂熱的だったのですから、たまりません♪♪~♪

実際、少年時代のサイケおやじは、たった一度だけですが、そのライプを体験した時の圧倒的な勢いを忘れていませんし、今から思えば、それはメチャメチャに合っていなかった歌と演奏だったような気もしているんですが、そういう疾走感こそが「ついておいで」の最高の秘密かもしれません。

ちなみにシャープ・ファイヴとしても同時期、畢生のシングル曲「ゴールデン・ギター」を出していますから、いっしょに楽しむのも至上の喜びですよ♪♪~♪

それとシャープ・ホークスと言えば、最大のヒット曲が次に出した「遠い渚」というスローな歌謡フォーク調の歌ではありますが、個人的には「ついておいで」や同系のゴキゲンロック「レット・ミー・ゴー」のようなアップテンポ物が大好きで、当時としては派手だったステージアクションも、「ネタ」として真似るバカ芸人が今も存在するほど、血の騒ぐものでした。

しかし、それゆえにと言えば贔屓の引き倒しでしょうが、人気が凋落するのも意外なほど早く、そこにはシャープ・ファイヴの独立とレコード会社移籍の諸々や本格的なバンド演奏と歌を一緒にやってしまうグループが乱立するGSブームがあった事は否めません。

そこでシャープ・ホークスもメンバーチェンジを重ね、自ら楽器を手にするバンドスタイルに転換したのですが、結局は昭和44(1969)年頃に解散したようです。

しかし以降にも、安岡力也は自らリーダーとなってシャープ・ホークスを続けていた時期もありますから、このあたりはちょいと勉強不足で申し訳ありません。

そして安岡力也が俳優として最高のカッコ良さを発揮していくのと同じく、グループに来歴したメンバー各々もまた、様々なところで今も活躍していますし、懐メロ大会での時折の臨時再編がファンを喜ばせる事は、往年のスタアの中でも飛び抜けた存在になっています。

ということで、シャープ・ホークスとシャープ・ファイヴのコラポレーションが爆発的な人気を得たのは、当時としては驚異的なロック本来のノリが体現出来たからだと思います。

しかし、それが長続きしなかったのは、両者がビジネス絡みでジョイント不可能となったところに原因があるという推察も容易です。

それでも残された音源は日本のロックの財産のひとつとして、これからも愛されつづけるんじゃないでしょうか?

もちろん、音源だけを聴いて、それを軽んじる向きもあるでしょう。

ですから、可能であれば当時の映像も復刻してもらいたいんですよねぇ~~。

抜群のカッコ良さにシビレること、請け合いです!

コメント (2)
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